WooCommerceストアの継続的な最適化は、コンバージョンの向上、売上のアップ、収入の増加につながります。こちらのガイドの目的は、この3つの目標を達成するお手伝いをすることです。テーマの選択から、プラグインの統合、ページの最適化、コンバージョンと売上を向上させる機能の追加まで、WooCommerceストアの最適化に関するあらゆる側面をカバーします。WooCommerceストアを最適化するための便利なツールやテクニックを手に入れ、好ましい結果を招き入れましょう。
SEOの施策が完了したら、購入サイクルのあらゆる段階で顧客とより密接に関わり、カート放棄率を引き下げ、顧客サービス向上のためのテクニックを導入するべきです。検索エンジン最適化(SEO)は、あらゆるサイトに欠かせない要素です。これを念頭に置いて、キーワードに対するサイトの最適化、顧客とGoogleの両方を意識した魅力的な商品説明の書き方についてご説明します。
簡単に言えば、WooCommerceストアを最適化してその潜在能力を最大限に引き出したいならこのガイドをご利用ください。さあ、はじめましょう。
- 第1章 ─ 飛躍的な成長を遂げるEC市場を探る
- 第2章 ─ WooCommerceがECの世界を席巻した理由
- 第3章 ─ WooCommerceストアのテーマ選び
- 第4章 ─ WooCommerceストアのユーザー体験の最適化
- 第5章 ─ WooCommerceストアのユーザビリティテスト
- 第6章 ─ ABテストの実施
- 第7章 ─ ストアのスピードと信頼性の確保
- 第8章 ─ WooCommerceストアのセキュリティ強化
- 第9章 ─ 効果的で魅力のある商品説明の書き方
- 第10章 ─ 優れた商品画像の作成
- 第11章 ─ 売れる商品動画の作成
- 第12章 ─ WooCommerceストアのSEO
- 第13章 ─ 決済プロセスの最適化
- 第14章 ─ ライブチャットの導入
- 第15章 ─ トラストマークの取得
- 第16章 ─ WooCommerceストア用メールリストの作成
- 第17章 ─ マーケティングパフォーマンスの追跡、分析、最適化
第1章 飛躍的に成長するEC市場を探る
インターネットの発展に伴い、より多くの人がオンラインで商品やサービスを購入するようになりました。これは主に、利便性と、何千もの商品を素早く簡単に検索・比較できることの両方が理由です。
EC業界の世界的な規模は、非常に大きなものです。eMarketerが発表した数字によると、B2C(Business to Consumer)の ECにおける売上は間もなく14.6%増加して4兆ドルに達すると予想されており、この恩恵を受けるのはAmazonのような企業だけではありません。特に、WordPressなどのコンテンツ管理システム(CMS)プラットフォームやWooCommerceなどのストアビルダーを利用できる小規模な小売業者は、海外の顧客層に簡単に訴求できることにメリットを感じているようです。
つまり、ネット販売の勢いは衰える気配がないということ。今こそ、ECサイトを運営する絶好の機会です。

第2章 WooCommerceがEC業界を席巻した理由
WooCommerceは、WordPressの主要なECプラグインです。最適化されたユーザーフレンドリーなECストアづくりを助けます。管理者がシームレスに新商品を追加、支払い方法を設定し、支払いゲートウェイを統合することができます。顧客に接する側とバックエンドの両方で、ベストプラクティスを念頭に置き構築されています。
管理者とビジネスマネージャーが売上を評価し、商品レビューを読むことができる機能的なダッシュボードを備え、在庫レベルや店舗全体のパフォーマンスを監視する機能もあります。さらに、WooCommerceは、あらゆるデザインに対応することができ、信じられないほど汎用性があります。

WordPressが勢いを増す中で、使いやすくカスタマイズ可能なECソリューションへの需要も高まりました。2008年、WooCommerceのアイデアは、数カ国のWordPress愛好家3人がメールで情報やアイデアを共有することによって生まれました。これが現在のWooCommerceへと発展し、今では世界中の何千人ものユーザーが愛用しています。
WooCommerceはWooThemesにより2011年にリリースされました。当時、同社は機能性よりもデザイン性を重視したテーマ販売元でした。しかし、すぐにWooCommerceが最も有望な商品であることが明らかに。
2018年、WooCommerceは全オンラインストアの約8%、上位100万サイトの21%で利用されるまでになりました。毎日約4〜5万回ダウンロードされており、これは1分間に10回以上ダウンロードされている計算になります。インストールはとても簡単で、しかも無料です。

WooCommerceのアクティブインストール数は、100万件以上です。その人気の大きな理由は、技術的な知識が乏しい人でもインストールが簡単であることです。包括的なセットアップガイドがあれば、ECサイトの立ち上げから運営までに必要なすべての情報を把握できます。さらに、WooCommerceの機能を大幅に向上させることができる、優れた開発者による何百もの無料/有料の拡張プラグインが利用できます。Kinstaのおすすめプラグインが気になる方は、おすすめのWordPressプラグインの記事をご覧下さい。
第3章 WooCommerceサイトのテーマ選び
オンラインビジネスを立ち上げるのであれば、ウェブサイトのデザインは非常に重要です。ECサイトの場合はなおさらです。サイトの訪問者は、ページの読み込み速度が速く、わかりやすいユーザーインターフェースで、快適な使い心地を期待しています。サイトにアクセスしたユーザーは、そのサイトにとどまるか、競合サイトに移動するか、即座にします。
ショップのデザインにおいて視覚的な魅力が必要なのはもちろんのこと、機能的で使い勝手が良くなければなりません。多くの人はわずか1〜2秒の間にウェブサイトの印象を決定します。シンプルで合理的なデザインであればあるほど、その貴重な一瞬のうちに。良い印象を与えることができるのです。

つまり、印象的で上品なデザインとわかりやすいショッピング体験は、かけがえのない信頼とロイヤリティを築くことにつながります。デザインは非常に重要です。では、WordPress、とりわけWooCommerceで利用できるデザインの選択肢を見てみましょう。
無料のWooCommerceテーマの長所と短所
無料のWooCommerceテーマを使用する主な利点はずばり、「費用がかからないこと」です。事業を立ち上げたばかりで資金が限られている場合、非常に心強いメリットとなります。
とはいえ、無料のWordPressテーマの場合、すべてのデザインや機能が最高の質であるとは限りません。また、サポート体制も限られており、アップデートの頻度もまちまち。さらに、経験豊富なプログラマーでない限り、テーマをそのまま使うしかないでしょう。無料のテーマでは、カスタマイズの幅が限られている傾向にあります。

無料のテーマを使用する場合、必ず信頼できるソースから選ぶようにしましょう。WordPress.orgには、WooCommerceに対応したテーマが多数掲載されています。しかし、WordPress.orgのフィルタリング機能には不十分なところがあり、WooCommerceと互換性があるかどうかは、テーマの説明文を読まなければ分かりません。
有料WooCommerceテーマの長所と短所
オンラインストアを運営するのであれば、質の高い有料テーマにお金を払うだけの価値はあります。料金はお手頃なものから高額なものまでありますが、高品質なものの場合、およそ50ドル程です。これは一回限りの買い切り価格です。長期的にはサイトの収益に大きな差がでてくるでしょう。
有料WooCommerceテーマを選択することで、丁寧なサポートと定期的なアップデートに加え、優れたデザインと操作性のストアを構築することができます。さらに、多くの有料テーマは、無料のテーマでは通常利用できない高度なカスタマイズ機能を備えています。

無料テーマと同様に、商品だけでなくサービスの質を確保し、将来的にも使い続けられるように、評判の良い提供元の有料テーマを選択することをおすすめします。違法に配布されているWordPressテーマ・プラグインは使わないようにしましょう。
まずはWooCommerceのテーマストアを見てみるのが効率的かもしれません。とは言え、他にも評判の高いテーマストアがいくつかあります。Elegant Themes、ThemeIsle、MyThemeShop、Tesla Themes、そして最も人気のマーケットプレイスThemeForestは要チェックです。ProteusThemes運営のWoonderShopのような特定の分野に特化したテーマストアもあります。WoonderShopは、コンバージョンの面で最適化されたモバイルファーストのWooCommerceテーマです。
WooCommerceのカスタムデザインの長所と短所
潤沢な予算があるのであれば、オーダーメイドのサイト作りのためのテーマデザイナー・開発者探しには事欠かないでしょう。費用は数万円から数十万円、はたまた数百万円まで、大きく幅があります。しかし、1つ言えることは、オーダーメイドのデザインは有料テーマよりもはるかに高額になるということ。そのため、ほとんどのECサイト所有者にとって、オーダーメイドデザインは現実的ではないかもしれません。そこで妥協案として、有料テーマを使い、開発者を雇って各所に変更を加えてもらう方法が考えられます。これであれば、コストをはるかに低く抑えながら、個々の状況に合ったデザインに仕上げることができます。
次に進む前に、一つ知っておくべきことがあります。それが、WordPressテーマ制作における「ウェブデザイナー」と「開発者」の違いです。ウェブデザイナーはサイトの見た目や審美的な要素を扱います。一方で、開発者はデザイナーによるデザインを、実際に機能するサイトへと生まれ変わらせます。多くのフリーランサーが、ウェブデザイナー兼開発者として活動しています。予算が限られている場合には、そういった人に依頼するのが得策かもしれません。

開発会社やウェブデザイナーを選ぶときは、テーマを選ぶときと同じような姿勢で臨みましょう。信頼できるソースで探すこと。以下のサイトがおすすめです。
また、信頼できるWordPress開発者探しもご覧ください。
テーマ選びのポイント
信頼できるソースでテーマを探すことで、大きな違いが生まれます。気に入ったテーマが見つかったら、次のチェックリストを活用してみてください。
- サポートはきめ細かいか、テーマが定期的に更新されているか
- レビュー/評価は高いか(該当する場合)
- レスポンシブか(※必ずレスポンシブなWooCommerceテーマを使用しましょう─Googleのモバイルフレンドリーテストでテストを行うこと)
- 読み込みは速いか(Pingdomなどのウェブサービスで複数のテーマのパフォーマンスを比較してみましょう)
この4つの質問に対する答えが「YES」なら、一般的に優れたテーマだと考えられます。
第4章 WooCommerceストアのユーザーエクスペリエンスを最適化する
優れたウェブデザインにとって最も重要な要素の1つが、使いやすさと明確なナビゲーションです。サイト訪問者は、自分がサイトのどの部分にいるのかを常に把握しながら、買い物を楽々こなしたいと思っています。ナビゲーションが不適切であったり、Aという画面からBという画面に移動する方法が即座にわからなかったりすると、訪問者は諦めて別のサイトへ移動してしまうでしょう。
ナビゲーションの行間や余白をPCとモバイルの両方で確認するなど、ちょっとした手間で、大きな違いが生まれることがあります。UXPinでは、あるクライアントがPC版サイトのナビゲーションの役割を果たすコールアウト間の余白を増やしたところ、全体のコンバージョン率が20%近く上昇しています。

多くのオンラインストアが、基本的な部分ができていないために、大きな打撃を受けています。続いては、WooCommerceサイトを最適化するのに効果的な3つのポイントについて説明します。
視認性の高いコール・トゥ・アクションボタンを作成する
WooCommerceストアの各ページに明確なコール・トゥ・アクション(CTA)ボタンを設置することで、訪問者を次の購入ステップに導くことができます。CTAボタンを目立たせるだけでなく、それをクリックすることでどのようなことができるのかを明確にしましょう。CTAボタンが戦略的に配置されている、よく考えられたサイト構造にすることで、訪問者は快適にサイトを閲覧できます。
具体的には、「カートに追加」、「決済へ進む」などのボタンは、絶対に見落とされないように目立たせること。ちなみに、「カートに追加」ボタンは、最も頻繁に使われるCTAボタンの一つです。しっかりと目立たせ、他のボタンやリンクと明確に区別できるようにする必要があります。必要に応じて、サイト内の複数の場所にボタンを設置し、商品を購入しやすいように工夫しましょう。
重要な情報をわかりやすく、目立つように
価格、送料、納期を明確にし、商品について正確に説明することで、訪問者の信頼が向上します。また、簡単な返品ポリシーを設け、返品の仕組みを明確にしましょう。以上のことを徹底するだけで、多くのECストアに差をつけることができ、訪問者に選んでもらえる可能性が高まるはずです。
商品を見つけやすくする
サイトの最終的な目標は、商品やサービスを簡単に購入できるようにすることです。そのため、WooCommerceストアの構造は非常に重要です。このことを念頭に置いて、ウェブデザイナーや開発者と協力して、メニュー、フィルター、検索機能をうまく活用し、各商品ページを見やすくしましょう。
いかに少ないクリック数で商品を見つけ、必要な情報を入手し、購入することができるかどうか、買い物客の視点で店舗のデザインを検討してみることが重要です。

決済のcが買い物客にとってわかりやすいかどうかを確認するには、フィードバックをもらうのが一番。商品の購入後にアンケートのリンクを送ったり、ディスカッションに招待したりできます。
商品をアピールできるレイアウトを選ぶ
どのようなストアにも完璧な万能な商品の表示方法というものは存在しません。多くの人がこの点を誤解しており、大半のWooCommerceストアでは、商品をグリッド状に並べるデフォルトのストアレイアウトを採用しています。場合によってはこれが最適なこともありますが、そうでない場合もあります。
どのレイアウトで最も効果的に商品を紹介できるか考えてみましょう。大きな画像が効果的な、見た目が重要な商品を扱っている場合は、標準のグリッドレイアウトがおすすめです。見た目がそれほど重要でない(大きな画像が必要でない)商品の場合、情報に重点を置いたレイアウトを選択しましょう。例えば、WooCommerce Product Tableなどのプラグインでは、表形式で商品を掲載でき、多くのショップがこのような工夫により売上を伸ばしています。例えば、商品が見つけやすくなり、多くの商品データを掲載でき、複数商品を「カートにれる」ボタンも設置できます。
ウェブサイトのユーザビリティを評価する方法はいくつかあります。続いては、その手法をいくつかご紹介します。
第5章 WooCommerceストアのユーザビリティを確認する
ユーザビリティは、特にECサイトを運営する場合、サイト設計において不可欠な要素です。ユーザビリティ・テストは、サイトの質を確保するために避けては通れません。加えて、サイト訪問者(潜在顧客と既存顧客の両方)がサイトをどのように閲覧し、どのように使っているか、詳しい情報を得ることもできます。
ユーザビリティ・テストとは?
ユーザビリティ・テストには、複数の人間が関わります。通常、進行役がテストを通して、ユーザーを導きながらメモを取り、オブザーバーがテストの流れを監視します。そして、当然、テスト参加者、ウェブサイト所有者、サイト開発チームがいます。
テストは開発段階を通じて定期的に実施すべきです。問題があればすぐに解決できるようにしましょう。ECサイトの場合、規模が大きくなると数多くのカテゴリーや商品ページが蓄積するため、特に重要です。多くのプロが、ユーザビリティ・テストを次のタイミングで実施することを推奨しています。
- プロジェクト開始時(ホームページのモックアップを使用)
- 企画・開発段階
- ウェブトラフィック解析中に問題が報告された場合
- ウェブサイトの所有者が、サイトに関する特定の情報を必要とする場合

ユーザビリティ・テストを開始する前に、達成したいことを十分に検討しましょう。テストの対象を選び、時間とテストの実施方法を決定します。ユーザビリティ・テストを実施することにより、次のことが分かります。
- サイト訪問者がサイトでどのような行動をとっているか
- ページを移動する際の使い勝手の良さ
- 特定の商品やカテゴリーを探すのが容易かどうか
- 訪問者が迷う箇所がないかどうか
- サイトを見て不安になる要素がないかどうか
- カゴ落ちが多い場合、その理由
- 訪問者が気に入った点、気に入らなかった点
ユーザビリティ・テストは、テストしたい内容にもよりますが、5分から1時間程度で終了します。テストには、対象のサイトを始めて見る人に参加してもらいましょう。すでにサイトを使いこなしている人だと、新しい顧客の視点に立った客観的な意見が出てきません。
おすすめ
ユーザーテストの実施に役立つウェブサイトはたくさんありますが、以下がおすすめです。
第6章 A/Bテストの実施
A/Bテスト(スプリットテストとも)とは、同じページを2つ以上作り、どちらがより効果的かを測定するテストのことです。特に、新しいカテゴリーを追加したり、商品ラインナップを充実させたりといった大きな変更を行う場合、多くの開発者が日常的に行っている手法です。また、デザインの変更がコンバージョン率を向上させるかどうかを、本番サイト上で実際に変更を加える前に判断する上で有効です。
この種のテストは、(単なる予想ではなく)事実に基づいて意思決定を行うことができるため、ウェブサイト最適化における不確実さを取り除くことができます。A/Bテストを利用することで、加えた変更がコンバージョン率や購買数などの主要な指標に与える影響を評価し、それが良い結果をもたらすことを十分確認した上で、正しい意思決定が行えます。テストと最適化を行うのは手間がかかるように思えるかもしれません。しかし、それが売上に大きく影響することを考えると、実施する価値は十分にあります。
A/Bテストで確認・比較できることには次のようなことがあります(※その他にも数多くあります)。

- 商品名
- 商品の説明
- コール・トゥ・アクションのテキストと形式
- リンク
- 画像
- カスタマーレビュー
- 価格
A/Bテストは複雑になりがちなので、業者に依頼するのも時には得策です。A/Bテストの詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
第7章 ストアのスピードと信頼性を確保する
ウェブサイトの速度と信頼性は、大きな違いを生む可能性があります。読み込みが遅すぎると、訪問者や潜在顧客は他のショップに移動してしまいます WordPressサイトのパフォーマンス向上のためにできる工夫は多数ありますので、ご安心ください。
ウェブサイトの速度を測定する
サイトの速度を測定できるオンラインツールはたくさん存在します。KinstaのおすすめはPingdom Toolsです。では、ウェブサイトの速度がわかったところで、それを改善するためにどのようなことができるのでしょうか?

最適なWordPressレンタルサーバーの選択
スピードと信頼性においてまず重要なのはレンタルサーバーの選択です。大きく分けると、共用サーバー、マネージドWordPressホスティングサービスの2つの選択肢があります。

ここでは詳細について説明しませんが、本気でECサイトを運営したいのであれば、マネージドWordPressホスティングサービスの利用を強くお勧めします。優れたプロバイダーを選択することで、共有サーバーで起こりうるあらゆる問題から解放されます。特にサイトの速度の問題は重要です。比較的お手頃な料金で使えることを考えれば、利用する価値は大いにあるでしょう。
WooCommerceストアの高速化
WooCommerceビジネスが成長すると、商品ラインナップが増え、トラフィックもトランザクションも膨大なものになります。商品ラインナップの展開には、多くのデータのインポートが伴い、その処理によるパフォーマンス低下がネックとなり得ます。また、商品の数が増えると、キャッシュのヒット率が低下します。大量のトランザクションをさばくには、サーバーとデータベースの規模が求められます。そして、最大の課題は大量のトラフィックです。これに対処するには、最適化が重要になります。
WordPressサイトでは、多くの場合VarnishやNginxなどによるページキャッシュが優れた武器になります。これは、ほとんどのブログがキャッシュに適した静的コンテンツを持つためです。しかし、通常ECサイトでは動的コンテンツが生成されるため、キャッシュはあまり役に立ちません。例えば、ユーザーがサインインしている状態、カートのステータスの表示、プラグインによって実行されるPHPセッション、過去の購入履歴に基づいたおすすめ商品などです。
では、これらについては、どうすればいいのでしょうか。まず、特定のCookieが設定されていない限り、ページをキャッシュする、という方法があります。ユーザーが何らかの商品をカートに入れたときだけCookieが有効になるように設定します。すると、カートに入れる前のものはすべてキャッシュ可能になります。ここで言うCookieとは、具体的には、woocommerce_items_in_cartというものですが、WooCommerceのその他のCookieの一覧はこちらで見ることができます。もう一つの選択肢は、サーバーサイドではなくクライアントサイドでパーソナライズを行う方法です。この方法では、必要なデータをCookieに保存し、クライアント側でそのCookieを読み込んで、それに応じてUIを更新することができます。これは標準的な設定ではないので、実装に多少時間がかかりますが、ストアをより細かく制御できるようになります。
ECサイトは大量のデータを生成するため、標準的なWordPressサイトよりもホスティングの費用が高くなります。トラフィックの多いストアで生成されるこの大量のデータを処理するには、堅牢なPHPとデータベースリソースが求められます。そのため、ストレージ、メモリ、CPUに余裕のある専用のデータベースマシンが必要になります。さらに、PHPに適切な量のCPUとメモリが必要です。WP-CLIでメンテナンスを行うのがおすすめです。
その他の注意点として、テーマやプラグインの中には使用すべきでないものがあります。例えば、1ページに何百もの商品を表示するもの、データベースからすべてのページを取得するダイナミックメニュー、ページの読み込みの度に特定のAPIを呼び出すもの、リサイズを行うためにHTTP経由で画像を読み込むものなどです。また、CPUを大量に消費すると、並行処理のために速度が犠牲になることから、無制限のスケーリングが可能なコンテナベースのホスティングサービスが必要になります。実際のMySQLクエリを最適化しようとしても、WooCommerceやWordPressを更新するたびに無になるので、意味がありません。その代わりに、MySQLチューニング用のツールを利用してパフォーマンスを分析し、必要に応じてデータベースクエリのキャッシュ設定を調整することをおすすめします。
第8章 WooCommerceストアの安全性の確保
WooCommerceでECサイトを立ち上げる際、セキュリティはおそらく最も重要な要素の一つです。オンラインで買い物をするユーザーが増えている今、サイトの安全の重要性はますます高まっています。もし、サイトが安全でないかもしれないという不安があれば、訪問者はそのサイトで買い物をしません。
顧客データや支払い情報などの個人情報は非常に機密性の高いものですが、オンラインでの買い物の際に共有されるのが一般的です。セキュリティは非常に重要であり、データの漏洩や損失はしばしばメディアで取り上げられます。そして、その漏洩の原因は、多くの場合セキュリティの脅威に対する策が不十分であることなのです。幸いなことに、WordPressはセキュリティを意識した強固なシステムを誇ります。

セキュリティの基本原則
WordPressは本質的に非常にセキュアです。しかし、サイトの最終的なセキュリティレベルは、管理者が取る行動により決まります。まず、WordPressサイトの管理者アカウントには、強力なパスワードを設定しましょう。「強力なパスワード」の定義はさまざまですが、パスワードには次のようなものを推奨します。
- 10文字以上
- 単語をそのまま使用しない
- 大文字と小文字の両方を使用する
- 1つまたは複数の数字を含む
- 1つまたは複数の記号/文字を含む
例として、「1&sF^m?2p0」は解読が非常に困難なパスワードとなります。覚えるのは難しいかもしれませんが、単純なパスワードを選ぶのは危険です。
もうひとつ、サイトの安全性は、脆弱性の底辺により決まります。パスワードが非常に強固でも、誰かがあなたのメールのアカウントをハッキングし、新しいパスワードを取得すれば、サイトは危険にさらされます。WordPressのセキュリティだけを意識するのではなく、関連する要素全体のセキュリティを考えましょう。
このトピックに関する解説記事「WordPressのセキュリティ─サイトの安全性を強化する19+ステップ」もご覧ください。
WordPressサイトの更新
WordPressサイトは最新の状態に保っておかないと、脆弱性が大幅に高まります。そのため、更新を怠らないことが非常に重要です。

アップデートがリリースされた際、WordPressコアと、サイトにインストールされているテーマやプラグイン(有効かどうかに関わらず)をすぐさま更新するのが理想です。幸い、バージョン3.7以降では、新しいマイナーアップデートがリリースされると、WordPressサイトは自動的に更新されます。
サイトのバックアップ
サイトのバックアップの重要性は、いくら強調してもしきれません。どんなセキュリティやシステムも完璧とは言えないため、データが失われたり危険にさらされたりした場合、それを復元することが最後の頼みの綱となります。WordPressには、無料/有料両方のバックアップツールがあります。
機能はサービスによって異なるため、好みに応じて選択しましょう。おすすめの無料ツールは次の2つです。
多少の出費をいとわないのであれば、よりスムーズな操作性と復元機能が利用できる次のツールがおすすめです。
KinstaのようなマネージドWordPressホスティングサービスをご利用の場合、データの安全性を保証するために、日々バックアップを行う機能が搭載されている(ファイル、データベースの両方)ため、別途バックアッププラグインは必要ありません。
SSLによるトラフィックの保護
ECサイトを閲覧しているときに小さな南京錠のアイコンが表示されるのをご覧になったことがあるはずです。これは、あなたの情報が安全であることを示すものです。ECサイトを運営するなら、この南京錠のアイコンは必須です。
ブラウザに表示される南京錠は、そのサイトがSSL(Secure Socket Layers)で保護されていることを表しています。簡単に言うと、クレジットカード情報などの機密情報を暗号化し、第三者による傍受を防ぐために使用されます。
SSL証明書は、ほぼ間違いなくお使いのレンタルサーバーで購入できます。証明書を入手したら、WordPressサイトを新しいURLにリダイレクトする必要があります(「http」から「https」へ)。HTTPからHTTPSへの移行に関する解説記事はこちらをご確認ください。また、httpsに切り替えた後、こちらでSSLをテストすることができます。

第9章 魅力的で有益な商品説明の書き方
「コンテンツが一番」というのはもはや基本中の基本ですが、ECサイトも例外ではありません。WooCommerceサイトを最適化する際には、説得力があり、ユニークで有益な商品コンテンツを書くことが重要です。特に、大規模なWooCommerceストアを立ち上げた場合、メーカーの商品説明をそのまま使用したり、複数の商品を同じ説明文で済ませてしまったりすることがあります。しかし、これは大きな間違いです。Googleは文言が重複しているウェブサイトにペナルティを課すので、競合サイトやメーカーの商品説明をそのまま使用するのはやめましょう。時間がかかるかもしれませんが、独自のコンテンツを作成することが肝要です。
魅力的な説明文づくりのヒントをご紹介します。

- リサーチをする: 競合サイトがどのように商品を掲載しているかを見て、差別化を図ること。競合サイトとは常に比較されると思っておきましょう。また、当たり前のことのように感じるかもしれませんが、商品説明もよく読んでから掲載するようにしましょう。誤字脱字のある商品説明や稚拙な商品説明が複数あると、印象が悪くなります。
- 商品を正しく理解すること: これは、質の高い商品説明を作成する上で基本的なことです。書き始める前に、販売している商品を良く知る必要があり、ユニークで説得力のある文章でそれを説明することができるようにしましょう。
- 正しい説明文の書き方を身につける: 商品説明文には、特徴だけでなく、メリットも記述する必要があります。商品説明文を書くときは、その商品を買おうとする人のことを考え、その人が読みたいと思う内容を書くようにしましょう。どのような疑問を抱くか、どのような情報があれば購入するのかなど。ターゲットとなる買い物客の視点で考えてみましょう。
- SEOを考慮する: 買い物客はどんなキーワードでGoogle検索をするでしょうか?説明文には、同義語や関連するフレーズを含めるようにしましょう。また、競合サイトに差をつける61のWordPress SEOのコツもあわせてご覧ください
- 販売を促しつつ、押しつけがましくならないように: このバランスが難しいところです。誰も押し売り系ページを好みません。購入につながるよう、さりげなく説得する必要がありますが、押し付けがましくなりすぎないように注意すること。プロのコピーライターは、この点を心得ているため、商品説明を作成するためにECサイト選任のコピーライターを雇ってもいいかもしれません。
何千もの商品がある場合、どこから手をつければよいのかわからないことがあります。最も回転率の高い商品、またはより人気の高いものから順に着手していくといいでしょう。商品説明の作成には時間がかかるかもしれませんが、その努力は最終的にウェブトラフィックと売上の増加という形で実を結ぶはずです。
第10章 高画質な商品画像の作成
さて、セキュリティの確保と商品説明の作成が完了したところで、今度は、画像に注目しましょう。一見、簡単そうに思えますが、画像は買い物客が商品を購入するかどうかに非常に大きな影響を与えることがあります。画像を最適化することは、何よりも重要です。質の高い商品画像は、商品の売上増加につながります。また、商品を実際に見ることができないオンラインショッピングでは、角度の違う複数の商品画像があると非常に有用です。セーターの裏と表、財布の内側と外側など、複数のショットがあるとお客さんに喜ばれます。

ECサイト、特にWooCommerceの便利な機能の1つに、360度商品画像の機能があります。商品の様々な視点からの見た目が分かるため、実際の商品をより正確に把握することができます。できるだけ多くの商品画像を掲載しましょう。様々なカラーバリエーションがある場合は、すべて掲載することです。
第11章 販売につながる優れた商品動画をつくる
動画の使用も、お客さんに安心感を与え、購入を後押しします。また、買い物客が十分な情報を得た上で選択できるよう、情報を充実させる努力をしている、という姿勢を示すことができます。さらに、紹介動画を使用することで、Googleの評価において“追加点”をあげることができ、商品説明を読んだり、商品写真をスクロールしたりするのが面倒だという買い物客の興味を引くことができます。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
動画コンテンツは、YouTube、Vimeo、Wistiaなどの動画共有サイトに投稿するのがおすすめです。貴重な被リンクやシェアを獲得することができ、ビジネスの認知度を高め、ストアへのアクセスを増やすことにもつながります。
第12章 WooCommerceストアのSEOを改善する
商品をGoogle検索で見つけてもらいたいなら(おそらく誰もが望むことだと思いますが)WooCommerceサイトのSEO戦略は、不可欠な要素です。オンページSEOは最適化プロセスの重要なステップであり、ネット上にはMozやSearch Engine Watchなど、SEOに関するウェブサイトはいくつもあります。
他のSEOと同様に、最初のステップは、競合とキーワードの調査です。競合サイトの調査は、キーワードリストの精度を高め、どのようなキーワードをターゲットにするべきかを判断するのに最適なスタート地点となります。大規模な競合サイトは、すでに最適化に多大な時間を費やしており、様々なツールやテクニックを使っています。その戦略から学ぶことができます。

ECサイトの場合は特に、競合サイトのトップページや主要な商品ページが検索結果上位にランクインしているキーワードを調べましょう。Moz browser extensionは、この情報を入手するのに便利なツールです。また、SEMrushでも、競合サイトが使用しているキーワードとその検索結果表示順位を確認することができます。
SEOでは、ウェブサイトの構造が重要な要素になります。サイトマップを作成し(WordPress SEO by Yoastでは自動的に生成されます)、直感的なサイト構造になっていることを確認しましょう。内部リンクの構造が明確であると、Googleに高く評価されます。また、一般的に、お客さんが3クリック以内で、求めているサイトの箇所に移動できる状態が望ましいとされています。
各商品ページで、メインタイトルとパーマリンクの両方を商品名やキーワードを使用して最適化する必要があります。商品説明文は、情報を伝えるのに十分な長さでありながら、顧客がざっと目を通した途端に重要な情報を把握できるよう簡潔でなければなりません。説明文の冒頭に主なキーワードやフレーズを含むかたちで、明確な要約をつくるようにしましょう。
Googleの評価においてオーソリティは重要です。サイトが権威あるものと判断されれば、評価が高くなります。サイトに関するディスカッション、シェア、カスタマーレビューなど、質の高いリンクがあれば、オーソリティを高めることができます。
しかし、キーワードを使用しすぎると、検索結果表示順位に悪影響を及ぼす可能性があるので、注意が必要です。ページや説明文に過度にキーワードを詰め込みすぎると、Googleから大きなペナルティを課される可能性があります。特定のキーワードやフレーズで検索結果表示順位を改善することだけに固執せず、自然でサイト訪問者を意識した文章を書くようにしましょう。
商品画像も最適化する必要があります。商品画像には無意味な名前ではなく、戦略的な名前を付け、関連するaltテキストを入れましょう。

第13章 決済プロセスの最適化
ECサイトの決済プロセス最適化は非常に複雑です。できるだけ少ないクリック数で、買い物客が購入を完了できるようにする必要があります。どのようなタイプの注文画面を作成する場合でも、次3つの質問を念頭に置きましょう。
- 買い物客があなたのサイトで買い物をする理由は?
- 注文時に起こり得るネガティブな出来事は?
- 買い物客はどのように商品やサービスを注文するか?
この3つの質問を念頭に置いて、ECサイトを最適化するための重要なポイントを見ていきましょう。
決済プロセスを分かりやすくする
決済画面が何ページも続くと、カゴ落ち率が非常に高くなります。そのため、本当に必要な情報のみ入力してもらうようにしましょう。決済プロセスを2~3ステップに分けるオンラインショップもあれば、たった一つの画面で済ませているところもあります。ここでのゴールは、できるだけシンプルにすること。WooCommerceでは、WooCommerce One Page CheckoutプラグインまたはHandsome Checkoutプラグインの利用をおすすめします。どちらも1ページで完結する決済画面を作成することができます。
ログイン/登録不要にする
アカウント登録が求められ、買い物が中断されるほど苛立たしいことはありません。登録を必須にすると、お客さんは登録が不要な別のサイトへ移動してしまう可能性があります。
名前、住所、メールアドレス、郵便番号などは、決済時にも入力をしてもらう項目です。購入を進める前にこれらの情報の入力を求めることで、買い物客の購買意欲をそぐことになります。そのような情報を取得する必要がある場合は、購入後に求めるようにしましょう。ただし、定期的なマーケティングメールの受信を拒否するオプションは必ず設けるようにしてください。

しかし、販売する商品の性質上、買い物客にアカウントを作成してもらわなければならないことも。例えば、定期購入や定期購読の場合です。その場合、アカウント作成が必要な理由をきちんと説明することが非常に重要です。ECサイトにおけるマイクロコピー(「UXライティング」とも呼ばれる)は、このような場合のユーザー体験の向上とコンバージョンに特化した概念です。これを意識することで、ストアのコンバージョン率を飛躍的に向上させることができます。
複数の決済手段を設ける
できるだけ多くの買い物客に利用してもらいたいのであれば、WooCommerceストアを設定する際にさまざまな支払い方法に対応することが重要です。クレジットカード、PayPal、ビットコインなどに対応することで、売上を大幅に向上させることができます。WooCommerceでは、これらすべてに(さらにそれ以外にも)対応しています。
決済システムにStripeをご利用の方は、「Stripe Radarを使用してクレジットカード詐欺を98%削減する方法」もご覧下さい。
メールの領収書の最適化
オンラインショップで商品やサービスを購入してくれたお客さんには、領収書を発行します。実は、これは大きなマーケティングのチャンスです。そして同時に、最も見落とされがちな部分の一つであり、最適化を怠ると、売上の損失につながる可能性もあります。
メールの領収書でできるマーケティングの例をいくつかご紹介します。
- 関連商品のアップセル
- 次回のお買い物で利用できる割引やインセンティブの提供
- 買い物客からのフィードバックをもらうための手段として活用
- SNSやブログの宣伝
- SNSでのシェアをお願いする
ブランドを反映した領収書は、リピート購入やインセンティブにつながり、売上と収益を大幅に向上させることができます。WooCommerceストアの場合、WooThemesの共同創設者Adii Pienaar氏が開発したConversioの使用がおすすめです。

割引を戦略的に活用する
既存顧客や潜在顧客への戦略的な割引のプレゼントが、売上増加と新規顧客の獲得につながるものです。しかし、割引の利用にはデメリットもあるため、慎重に使う必要があります。
顧客に割引を提供することを検討する際には、事業の成熟度、抱えている顧客の数、価格構成を考える必要があります。なぜ割引を適用する必要があるのかを明確にし、適切な戦略を立てましょう。例えば、競合に差をつけるために値引きをする必要があるのか、商品の価格がそもそも少し高すぎるのかなどです。
すべての顧客に割引を提供したくなるかもしれませんが、これは往々にして不適切な戦略です。常連客のみに割引をプレゼントしたり、会員制サイトを運営している場合は、会員にのみ割引を適用したりすることもできます。割引を行うことで、キャッシュフローに問題が生じ、最終的に商品の価値が下がる可能性もあるため、割引を実施する場合、強力な顧客基盤が整っていることが重要です。
事業をスタートしたばかりであれば、良好で迅速なコミュニケーション、質の高い商品と低価格という、新規顧客を獲得するための従来の方法をまずは試してみましょう。他にも、一括販売により、いくつかの商品をパッケージ化することで、セット内のアイテムに付加価値を付ける方法もあります。
カゴ落ちを減らす
カゴ落ちとは、買い物客が商品をカートに入れたにもかかわらず、購入を完了せずに放置してしまうことです。カゴ落ちの理由は様々ですが、主なものは実店舗で商品購入に至らない理由と非常によく似ています。
- せっかち: 買い物完了までにかかる時間は、カゴ落ちの大きな要因です。オンラインショッピングをする買い物客は、サイトが素早く読み込まれることを(当たり前のように)期待しています。また、決済処理に数分以上待たされたり、大量の情報を入力したりするのに耐えられないのが人間のさがです。
- 混乱: 購入までのステップが明確でないと、お客さんは買い物を諦めてしまいます。また、購入の段階で新たな費用を提示することも、購買を妨げることになるため、商品画面で予めすべての費用を記載するようにしましょう。
- 不確実性: オンラインショッピングを利用する人は通常、個人情報、特にカード情報を入力することに慎重です。少しでも不審な点があれば、即座に購入を断念してしまいます。そのため、しっかりとしたセキュリティとポリシーを設け、情報の安全が守られていることを理解してもらい、安心感を与えなければなりません。

カゴ落ちを減らすための最も重要なポイントは次のとおりです。
- 商品・サービス購入までのステップ数を減らす
- 堅牢なセキュリティ強化策を導入し、それをすべての商品画面と決済画面に適切に反映する
- 決済前にログイン画面を設けない
- できるだけ早い段階ですべての費用を明記(商品画面に記載することが理想的)
- 買い物客の住所などの情報の記入を繰り返し求めない
- 一定額以上の注文で送料を無料にするなどのインセンティブを提供する
- 幅広い支払い方法が豊富な選択肢から選べるようにする
カゴ落ちを防ぐのは難しいですが、買い物客が購入を放棄する理由を理解することで対策を打つことができます。例えばRejoinerは、カゴ落ちを減らし、新規顧客増やすのに役立つ便利なツールです。Jiltも優れたWooCommerce向けカゴ落ち対策ツールなので是非チェックしてみてください。カード落ち率を下げるためのコツをもっと知りたい方は、Learnwooの開発チームが作成したこちらの記事をご覧ください。
SMSで買い物客に通知をする
SMSはお客さんとのコミュニケーションを促進する便利な手段です。注文の追跡や進捗は、基本的には有用な情報ですが、やりすぎは禁物です。購入者にメッセージを送りすぎないようにしましょう。注文完了の確認と、商品発送時のお知らせだけで十分です。
また、買い物客にマーケティングのテキストメッセージを送信することもできますが、事前にお客さんの同意を得るようにしましょう。お知らせにSMSを取り入れたい場合は、Twilio SMS Notificationsがおすすめです。
第14章 ライブチャットの活用
優れたカスタマーサービスは、売上につながる要因の1つです。買い物客が大切にされていると感じられる対応がポイントです。買い物中に優れたサービスを受けると、そのお店の商品をおすすめしたり、リピートしたりする可能性が高くなります。上記を踏まえた上で、ライブチャットには次のような利点があります。
- 買い物客がすぐに担当者に連絡を取ることができる
- 電話で待たされたり、サポートの問い合わせ時間を気にしたりすることなく、オンラインで直接話すことができる
- 優れたライブチャットシステムがあれば、買い物客が疑問をその場で解消できるため、売上増加につながる
- 購入時の不安や悩みを、簡単に素早く解決することができる

ライブチャットでは、適切なタイミングで買い物客にアプローチすることが重要です。早すぎると迷惑だと思われ、遅すぎると販売の機会を失う可能性があります。買い物客が、決済のタイミングなどで困っている場合に即座に利用できるようにライブチャットを用意しておくのがおすすめです。
ライブチャットは非常に便利ですが、導入の際はさまざまな要素を慎重に検討する必要があります。例えば、24時間対応にするか、多言語対応にするか、専任のサポートスタッフは設けるかなどです。
WordPressのおすすめライブチャットプラグイン12選はこちらをご覧下さい。ライブチャットについて詳しく知りたい方は、ライブチャットでコンバージョン率を引き上げる方法もどうぞ。
第15章 信頼のシグナルをつくる
できたばかりのオンラインビジネスでお客さんの信頼を得るのは難しいものです。そのビジネスが十分に認知されていない場合なおさらです。そのため、様々な戦略により、お客さんの信頼を獲得し、自身のサイトで買い物をするよう、ある意味で“説得”しなければなりません。例えば、次のようなものがあります。
- カスタマーレビュー: 顧客の基盤を確立し、サイト内にレビューページを作るか、人気のある外部のレビューサイトにレビューを載せましょう。カスタマーレビューは、どんな商品説明よりも価値があります。肯定的なレビューがたくさんあるサイトは、新規顧客からの信頼と信用を獲得できる可能性が高くなります。SNSを通じてサイトを宣伝して、カスタマーレビューの数を増やすことができますので、考え得る手段を使用しましょう。カスタマーレビューに関連するプラグインやツールも数多く存在します。
- 動画による「お客様の声」: こちらもお客さんの関心を引き付けるのに役立ちます。動画形式の「お客様の声」は、信頼感を与える上、文章よりも映像の方が心に響くものです。
- プレスの利用: プレスリリースを作成し、オンライン、オフラインの両方で公開することで、ブランドと商品の認知度と信頼性を高めることができます。
- 利用者にコンテンツを作成してもらう: お客さんが販売する商品の写真やストーリー、投稿をできるよう、サイトにインタラクティブ性を持たせましょう。これは、新規顧客との信頼関係を築き、既存顧客の再訪を促すのに効果的です。
- WooCommerceストアに不可欠なページを作成する: プライバシーポリシー、利用規約、返品・配送ポリシー、連絡先やサポートページ、独自の404ページなど、ECサイトに必要なページを確実に用意しましょう。また、ユニークで説得力のある「このサイト/ショップについて」ページを作成し、会社の歴史、スタッフ、創業年数などを記載しましょう。ストーリーを伝えることが重要です。お客さんは、サイトがどのようにスタートし、どのような歩みをしてきたかに関心があるはずです。これらがしっかりと伝わるようにすることが重要です。さらに、受賞歴や表彰歴がある場合は、それも記載にしましょう。
第16章 WooCommerceストアのメルマガ
お客さんのメールアドレス収集は、販売プロセスにおいて不可欠な要素です。これを怠ると、大きなマーケティングのチャンスを逃すことになります。WooCommerceと統合できるMailChimpやAWeberなどのサービスを使って、ECサイトのメーリングリスト(メルマガ)を作成しましょう。お客さんのリストができたら、定期的にマーケティングメールを送信し、インセンティブを提供し、リピート購入を促しましょう。メールマーケティングについてもっと知りたい方は、Veroのブログをご確認ください。

第17章 マーケティング効果の追跡・分析・最適化
ECサイトを立ち上げ、上記の戦略をすべて実行してもそれで終わりではありません。定期的にウェブツールを使用してパフォーマンスを監視し、問題があれば対処し、サイトを改善する必要があります。サイトの最適化は継続的な作業です。また、コンテンツを追加し、商品説明を見直し、キーワードやキーフレーズを微調整して、検索キーワードや買い物客のニーズの変化に対応し続けることも重要です。
まとめ
ECサイトで成功を収めるために、最適化の施策は今も昔も変わらず重要です。競争は激しいですが、これまでご紹介してきた戦略を適切に実施すれば、成功の可能性は高まることでしょう。

このWooCommerceストア最適化ガイドを読むことは、最初の一歩に過ぎません。まだ実際に取り組んでいない方は、今すぐ記事の頭に戻って、ご紹介してきたコツを実践してみてください。それが、サイトの最適化、ひいては売上アップにつながるはずです。ECサイトのベストプラクティスをもっと知りたい方は、Thomasgbennett blogで公開されている詳細記事もあわせてご覧ください。
この記事が役に立ったという方や、実際にECサイトで使用、実践してみて効果的だったツールやアドバイスがあれば、是非お聞かせください。また、ここで紹介したもの以外にもWooCommerceサイトを最適化するためのツールやコツをご存じでしたら教えて下さい。
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