走り続ける制作会社4社の現在地このシリーズについて
本シリーズは、「規模を拡大しながら制作会社を経営するためには、実際のところ何が本当に必要なのか」という問いから始まりました。
創業初期の試行錯誤や、初めて人を雇う段階の話ではなく、数十のクライアントサイトや複数のチームをどのようにマネジメントしているのか、そしてどのようなインフラの意思決定が実際に大きな影響を及ぼすのか、ということに焦点を当てています。
Built Mighty、40Q、Fixel、Pronto Marketingの4社にインタビューを行い、事業拡大の過程で得たリアルな経験を語っていただきました。成功したこと、うまくいかなかったこと、そして今なら違う選択をするであろう意思決定について。実際に役立っているAIツール(そして逆効果になりかねないもの)、大きな学びにつながった失敗、さらには仕事を断ることがより良い機会を生む理由まで。経営者自身の実体験に基づく、率直な学びが詰まっています。

完成された成功談ではなく、現在進行形の実践から
本コンテンツは単なる成功事例ではなく、今も現在進行形で試行錯誤を続けている制作会社経営者たちとの、リアルな対話をまとめたものです。
今回インタビューを行った4社はいずれも、Kinstaエージェンシーパートナープログラムを利用しています。インフラが重要となる成長中のWordPress制作会社を対象とした本プログラムは、複雑な環境構築や厳しいSLAを求められるクライアントを抱える制作会社に対し、共同マーケティングの機会やリード紹介、そして定期的な紹介報酬などの特典を提供しています。
今回インタビューを行った制作会社4社のご紹介

会社概要
- 創業15年以上
- エンジニアリング主導のアプローチ
- 多業種にわたるエンタープライズ企業を支援
- Laravel/Rootsを活用したカスタムWordPressアーキテクチャ
40Q
ブエノスアイレスから世界へ──エンタープライズ向けWordPressエンジニアリング
40Qの強み:ウェブサイトの制作ではなく、WordPressソリューションを設計・構築するエンジニアリング集団。もともとはデザイン会社向けのホワイトラベル開発を手がけていたが、現在はエンタープライズ企業へ直接サービスを提供。カスタムDAMやLMSプラットフォーム、そしてWordPressを本来の想定を超える(本来そうあるべき)形へと進化させる複雑な統合開発などを手がける。
40Q独自のアプローチ:各プロジェクトごとにシニアエンジニアがミドルレベルの開発者を育成する「開発ポッド」体制を採用。あらゆる案件を追いかけるのではなく、単なるWordPress導入でない、真にエンジニアリングの専門性が求められるプロジェクトを選んでいる。
インタビューで語る主なトピック:正しく機能するオフショア開発の条件。プロセスよりも文化が重要になる理由。WordPress「開発者」と「エンジニア」の違いと、それがエンタープライズ企業にとって意味するもの。

私たちはクリエイティブ制作ではなく、ビジネスの成長に直結する技術的・戦略的な課題に取り組んでいます。
Eddie Wise 氏|40Q 戦略的成長担当 兼 VP

会社概要
- 2009年創業(現在16年目)
- 18名の分散型チーム
- WooCommerce専門
- 元EC事業者による制作会社
Built Mighty
自らECを経験してきた、WooCommerce専門チーム
Built Mightyの強み:現場でECを経験してきたチーム。もともとはオンラインで商品を販売していた創業者のJonny Martin氏は、次第に店舗運営よりも構築そのものに魅力を感じるように。その後、WooCommerce以外の業務をすべて手放し、実際に成果につながるEC構築に特化している。
Built Mighty独自のアプローチ:採用は迅速に行い、リモートであっても基本は対面コミュニケーションを重視。実際の仕事の質を測るにはそれしかないとして、分単位でのタイムトラッキングを徹底している。また、AIが買い物を置き換えるという前提の案件は受けない方針をとっている。
インタビューで語る主なトピック:買い物は娯楽であり体験であるという視点と、AIがその本質を変えない理由。オフィス文化から分散型・非同期の働き方へ移行しながらも責任感を維持する方法。5,000ドルのサイトと2万ドルのサイトの本質的な違い。

競合相手は、社内の開発担当者や地元のWordPress制作会社であることが多いですね。実際には、他社に負けるというよりも、決断が見送られるというのがよくあるケースです。
Jonny Martin 氏|Built Mighty CEO

会社概要
- 2010年に創業(現在15年目)
- 10名体制+外部の専門パートナーと連携
- 33社と継続的なサポート契約
- サイバーセキュリティ分野のB2Bテックに特化
Fixel
サイバーセキュリティ系スタートアップに特化したデザインエージェンシー
Fixelの強み:信頼そのものが製品になる市場において、SeedおよびシリーズA段階のサイバーセキュリティ企業が確かな存在感をもって立ち上がるための支援を行っている。50件以上のサイバーセキュリティ案件を通じて再現性のあるやり方を確立し、評判を軸に紹介が広がる体制を築いている。
Fixel独自のアプローチ:クライアントが実際に手を動かすシニアメンバーと直接やり取りできる体制を確保。プロジェクトマネージャーやアカウント担当者を何層も挟むことがない。各サイトは柔軟なブロックシステムとページテンプレートをベースにカスタム構築され、マーケティングチームが迅速に展開・拡張できるよう設計されている。コンテンツ戦略やSEO、マーケティング効果測定については、長期的に連携する専門パートナーが担当。
インタビューで語る主なトピック:立ち上げ期のサイバーセキュリティ企業にとって必要なのは、ローンチ後も伴走する長期的パートナーであるという考え。明確さと信頼性を備えたブランド構築。継続的な関係性が支える成長基盤について。

クライアントは何年も私たちと仕事を続けてくれています。契約に縛られているからではなく、信頼して任せてもらっています。
Vin Thomas 氏|Fixel|クリエイティブディレクター 兼 創業者

会社概要
- 創業17年
- 1,000社以上のクライアントを管理
- タイ/フィリピンの2拠点体制
- クライアントの90%が北米、うち50%がIT企業
Pronto Marketing
1,000社以上を支える分散型チーム──オフショアを正しく実践する制作会社
Pronto Marketingの強み:Microsoft出身のDerek Brown氏が米国での企業勤めを離れ、タイで起業。リモート中心の小規模なIT向け支援からスタートし、現在では北米を中心に1,000社以上のクライアントを抱えるまでに成長。タイとフィリピンに拠点を置く分散型チームが、地球の反対側から米国の営業時間に合わせてサービスを提供している。
Pronto Marketing独自のアプローチ:日中のコアチームに加え、専任の夜間対応チームを設け、米国の営業時間中もシームレスかつリアルタイムで対応。新入社員はテストプロジェクトで基礎を学び、その後2週間の模擬クライアント対応を通じて運用プロセスを習得。評価制度では成果だけでなく、企業として大切にする価値観への適合も重視している。ツール以上に「文化」が成長を支えると信じている。
インタビューで語る主なトピック:コスト削減型オフショアと、優秀な人材を拡張するためのオフショアの違い。50万ドル規模の案件を追い続けた1年間と、その長い営業サイクルが持つ意味。多くの制作会社がオフショア人材採用で陥りがちな共通の失敗。

どんなシステムを導入していても、間違った人材が関わっていれば、そのシステムは必ず機能しなくなります。
Tim Kelsey 氏|Pronto Marketing 経営責任者

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