PHP 8.5が正式リリースされました。そこで気になるのは、主要なCMSやフレームワークでパフォーマンスがどの程度向上するのかという点です。
今回もその性能を確認するため、WordPress、WooCommerce、Drupal、Joomla、Laravel、CodeIgniterなど、12種類の主要なCMS/フレームワークを、PHP 8.2、8.3、8.4、8.5で同一条件下で比較検証を行いました。また、WordPressでは、現在も広く使用されているPHP 7.4もテストしています。
PHPリリースの間でパフォーマンスがどのように変化しているのか、またアップグレードすることで期待できる改善をご紹介します。
PHPベンチマークの設定
一貫性のある再現可能な結果を得るため、全ての比較検証にはDocker Compose を使用し、同一かつ隔離された環境で実行しました。各PHPバージョンおよび CMS/フレームワークは、それぞれ専用のコンテナ、データベース、設定を用いて個別にテストしています。
テスト環境
Kinstaの内部ベンチマーク環境(Google Cloud上)に構築したUbuntu 24.04.3 LTSのVM(30 vCPU、120 GB RAM、100 GB SSD)上で実行しました。
使用したスタックは意図的にシンプルで、Nginx(プロジェクト要件に応じてnginx:alpine、またはnginx:stable)、公式のphp:-fpmイメージを用いたPHP-FPM、そしてMariaDB 10.11で構成しています。JITはすべてのテストで無効にし、OPcache は本番環境向けの標準設定で有効化しています。
PHPバージョンとテスト方法
PHP 7.4、8.2、8.3、8.4、8.5 を対象にベンチマークを実施しました。各テストは以下の手順で構成されています。
- ウォームアップリクエストの実行
- ApacheBench(
ab -n 1000 -c 15)による5回の測定 - 最小値と最大値を除外したトリム平均の算出
結果は1秒あたりのリクエスト数(req/s)で示しています。
構成
アプリケーションとサーバーの構成は、一般的な本番環境に近くなるようできる限りシンプルに保っています。
PHPとOPcache
memory_limit=128M(Drupal:256M)max_execution_time=30opcache.enable=1、opcache.jit_buffer_size=0opcache.memory_consumption=128- Interned strings buffer(インターンド文字列のバッファ):8 MB(WordPressでは16 MB)
- タイムスタンプチェック:2秒ごと(WordPressでは
validate_timestamps=0) - FPMのカスタム設定なし
フレームワークとCMSの設定
- Laravel:
APP_ENV=production,APP_DEBUG=false - WordPress:
WP_DEBUG=false - Drupal:本番モード(開発用モジュールは無効)
- 全プラットフォーム共通:デバッグバー、プロファイラープラグイン、開発用拡張機能は使用なし
ドキュメントルート
ドキュメントルートは、各フレームワークが推奨する本番環境用ディレクトリに合わせて設定します。
- Laravel:
/var/www/html/public - WordPress:
/var/www/html - Drupal:
/var/www/html/web
CMSとフレームワーク
比較検証を行うプラットフォームは、人気度、コミュニティサポート、稼働中のサイト数、利用傾向、米国での検索ボリュームなど要素を考慮して厳選しています。
WordPressのシェアはCMS市場全体の60%以上を占めており、これは3,700万以上のサイトを稼働していることを意味します。WordPressのエコシステムには、WooCommerceとEasy Digital Downloads(EDD)の人気ECプラグインも含まれています。
WordPressに加えて、Joomla、Drupal、OpenCart、OctoberCMS、Craft CMSといった他の主要プラットフォームもベンチマークしています。また、開発者向けの環境として、Laravel、CodeIgniter、CakePHPのようなフレームワークテストします。
それでは、各CMS/フレームワークのテスト結果をご紹介します。
WordPress
WordPress.orgはオープンソースのCMSであり、現在も世界で最も広く使用されており、全サイトの43%以上を動かしています。
当初はブログ用に構築されましたが、個人ブログから大規模なECサイトやエンタープライズアプリケーションまで、あらゆるものを稼働する汎用性の高いプラットフォームへと進化しました。WordPress REST APIは、最新のJavaScriptフレームワークやSSGと互換性のあるヘッドレスCMSとしても機能します。
今回のテストでは、プラグインやキャッシュレイヤーのないデフォルトのWordPress 6.8.0を使用しました。
WordPressのベンチマーク
- テストしたバージョン:WordPress 6.8.0
- テストしたURL:
/ - レスポンスサイズ:49,788 バイト(約48.6 KB)
- 結果
- PHP 7.4:139.06 リクエスト/秒
- PHP 8.2:146.09 リクエスト/秒
- PHP 8.3:142.75 リクエスト/秒
- PHP 8.4:148.22 リクエスト/秒
- PHP 8.5:148.30 リクエスト/秒

WordPressの場合は、PHP 7.4から最新のPHPバージョンに移行するとともに、着実なパフォーマンスの向上を示しています。PHP8.4とPHP 8.5が最速の結果を出し、いずれも148リクエスト/秒前後で、PHP8.5がわずかに上回っています。
PHP8.2、8.3、8.4、8.5間のパフォーマンスは拮抗しており、大きな違いは見られませんでした。PHP 7.4で動作しているサイトをPHP 8.5にアップグレードすると、6.6%の改善が見られることがわかりました。
WooCommerce
WooCommerceはWordPressで最も広く使用されているECプラグインで、世界で300万以上のオンラインストアで使用されており、インターネット上の全ECサイトの約8%を占めています。
また、WooCommerceはWordPressの広範なエコシステムを活用し、プラグイン、WP-CLI、フック、フィルター、REST APIエンドポイントへのアクセスを提供することで、簡単にストアを管理・強化することができます。
WooCommerceのベンチマーク
- テストしたバージョン:Woo 10.2.2(WordPress 6.8.0を使用)
- テストしたURL:
/?post_type=product - レスポンスサイズ:88,855 バイト(約86.8 KB)、PHP 8.5では54,822 バイト(約53.5 KB)
- 結果
- PHP 7.4:44.20 リクエスト/秒
- PHP 8.2:54.67 リクエスト/秒
- PHP 8.3:53.74 リクエスト/秒
- PHP 8.4:53.37 リクエスト/秒
- PHP 8.5:71.02 リクエスト/秒

PHP 7.4から最新のPHPバージョンにアップグレードした場合、WooCommerceのパフォーマンスは大幅に改善され、PHP 8.2はPHP 7.4よりスループットが約23%向上しました。パフォーマンスはPHP 8.2〜8.4で安定しており、わずかな変化しか見られません。
ここで際立っている結果はPHP 8.5で、71.02 リクエスト/秒に達し、PHP 8.4と比較して約33%向上しています。この伸びは、テスト中に返されたレスポンスサイズが大幅に小さくなったことと一致しており、出力構造やレンダリング処理のオーバーヘッドが変化し、ペイロードの負荷が減った可能性を示唆しています。
Easy Digital Downloads (EDD)
Easy Digital Downloads(EDD)は、デジタル商品(ダウンロード、ライセンス、サブスクリプション)を販売することに特化したWordPressのECプラグインです。ソフトウェア、オンライン講座、メディア素材、メンバーシップなどで広く利用されており、スムーズな決済やファイル配信の仕組みが重要なケースに適しています。
EDDベンチマーク
- テストしたバージョン:Easy Digital Downloads 3.5.2(WordPress 6.8.0を使用)
- テストしたURL:
/?page_id=9 - レスポンスサイズ:54,177.75 バイト(約52.92 KB)
- 結果
- PHP 8.2:85.80 リクエスト/秒
- PHP 8.3:85.69リクエスト/秒
- PHP 8.4:85.54リクエスト/秒
- PHP 8.5:86.52リクエスト/秒

EDDはPHP 8.2〜8.5の間で一貫したパフォーマンスを示しており、どのバージョンもほぼ同じスループットを記録しました。PHP 8.5は、86.52 リクエスト/秒とわずかにリードしていますが、その差は WooCommerce(PHP 8.4から8.5で約33%向上)と比べるとごく小さなものです。
これは、EDDのワークロードがすでに高度に最適化されており、最近のPHPリリースで加えられている段階的な改善によって大きな影響を受けないことを示しています。
Laravel
Laravelは、最新のウェブアプリケーション構築に役立つツールとリソースを多数揃えた、オープンソースのPHPフレームワークです。
コマンドラインインターフェイス(Artisan)、標準の認証機能、MVC(Model-View-Controller)アーキテクチャなどの組み込み機能により、Laravelは柔軟性が高く、扱いやすいフレームワークとして広く利用されています。
Laravelのベンチマーク
- テストしたバージョン:Laravel 12.33.0
- テストしたURL:
/ - レスポンスサイズ:80,650バイト(約78.8 KB)
- 結果
- PHP 8.2:730.11リクエスト/秒
- PHP 8.3:708.44リクエスト/秒
- PHP 8.4:695.98リクエスト/秒
- PHP 8.5:700.33リクエスト/秒

Laravelの場合、PHP 8.2が730.11 リクエスト/秒と最も高いスループットを記録し、PHP 8.3、8.4、8.5 がそれに続く結果となりました。
PHP 8.xバージョン間の差は小さく、通常のばらつきの範囲内に収まっていることから、Laravel 12.xは、最新のPHPバージョンでも安定した予測可能なパフォーマンスを維持していると言えます。
Joomla
Joomlaは、モデル・ビュー・コントローラー(MVC)方式のウェブアプリケーションフレームワーク上に構築された、人気のオープンソースCMSです。このフレームワークは、CMSとは独立してオンラインアプリケーションを構築するためにも利用できます。また、豊富な拡張ライブラリによって機能を柔軟に拡張・カスタマイズしやすいのが特徴です。
Joomlaのベンチマーク
- テストしたバージョン:Joomla 5.2.2
- テストしたURL:
/ - レスポンスサイズ:7,713 バイト(約7.5 KB)
- 結果
- PHP 8.2:290.30 リクエスト/秒
- PHP 8.3:287.37 リクエスト/秒
- PHP 8.4:289.23 リクエスト/秒

Joomlaのパフォーマンスは、テストしたすべてのPHPバージョンで非常に安定していました。スループットは287〜290 リクエスト/秒の範囲に収まっており、顕著な性能低下や急激な向上は見られません。最も高い値を出したのはPHP 8.2でしたが、各バージョンの差は1%以内にとどまり、ごくわずかな違いです。
Drupal
Drupalは柔軟性、スケーラビリティ、セキュリティに優れた強力なオープンソースCMSで、企業サイト、大学、政府機関などで広く採用されています。カスタムデータ構造、多言語対応、ロールベースのコンテンツワークフローなど、複雑な要件をもつサイトに最適です。
2025年1月、Drupal 7は14 年以上にわたるコミュニティサポートを経て正式にサポート終了を迎えましたが、いまだ68万以上の稼働中のDrupalサイトのうち31%を占めています。こうした背景から、移行期の実際の利用状況を反映するため、今回のベンチマークでは Drupal 10、Drupal 11に加えて、Drupal 7もテストしています。
Drupalのベンチマーク
- テストしたバージョン:Drupal 7、10、11
- テストしたURL:
/ - レスポンスサイズ
- Drupal 7 :7,985バイト(約7.8 KB)
- Drupal 10:16,476バイト(約16.1 KB)
- Drupal 11:15,606バイト(約15.2 KB)
- Drupal 7の結果
- PHP 8.2:907.53 リクエスト/秒
- PHP 8.3:900.26 リクエスト/秒
- Drupal 10の結果
- PHP 8.2:1401.43 リクエスト/秒
- PHP 8.3:782.84 リクエスト/秒
- PHP 8.4:1391.39 リクエスト/秒
- Drupal 11の結果
- PHP 8.3:782.84 リクエスト/秒
- PHP 8.4:817.40 リクエスト/秒

テストしたすべてのバージョンの中で、Drupal 10は常に最高のパフォーマンスを示し、PHP 8.4では1407 リクエスト/秒に到達し、PHP 8.2でもほぼ同等の結果となりました。
Drupal 11はまだ比較的新しいものの、780〜840 リクエスト/秒と安定して高いスループットを記録しています。Drupal 7は、PHP 8.2とPHP 8.3の両方で約 920 リクエスト/秒を維持していますが、やはりより新しい10と11には及びません。
CakePHP
CakePHP は、堅牢なウェブアプリケーションを素早く効率的に構築できるよう設計された、新しいPHPフレームワークです。
最新リリースのCakePHP 5では、パフォーマンスと開発体験の両面で大幅な改善が加えられています。更新されたORM、改善された依存性注入、より洗練されたミドルウェア管理、フレームワーク全体での型安全性の強化などが主な特徴です。
CakePHPのベンチマーク
- テストしたバージョン:CakePHP 5.2.0
- テストしたURL:
/ - レスポンスサイズ:7,573 バイト(約7.4 KB)
- 結果
- PHP 8.2:74.70 リクエスト/秒
- PHP 8.3:75.53 リクエスト/秒
- PHP 8.4:74.16 リクエスト/秒
- PHP 8.5:73.76 リクエスト/秒

CakePHPは、テストしたすべてのPHPバージョンで安定したパフォーマンスを発揮し、73~76 リクエスト/秒という結果に。PHP 8.3が最も高いスループットを出しましたが、全体的な差はわずかでした。
CodeIgniter
CodeIgniterは、高速で安全、かつ最小限の構成で本格的なウェブアプリケーションを構築したい開発者向けの軽量なPHPフレームワークです。
従来のシンプルさという特徴を保ちながら、PSRサポート、依存関係管理の改善、コンテキストに応じたエスケープ処理、CSRF/XSS 攻撃への組み込み防御など、現代的な標準も取り入れています。
CodeIgniterのベンチマーク
- テストしたバージョン:CodeIgniter 4.6.3
- テストしたURL:
/ - レスポンスサイズ:46,103バイト(約45 KB)、PHP 8.5では17,243バイト(約17 KB)
- 結果
- PHP 8.2:1,216.41 リクエスト/秒
- PHP 8.3:1,197.53 リクエスト/秒
- PHP 8.4:1,214.03 リクエスト/秒
- PHP 8.5:1,874.14 リクエスト/秒

今回のベンチマークでは、CodeIgniterが最速のフレームワークとなり、PHP 8.2〜8.4はいずれもほぼ同等で、約1,200 リクエスト/秒のスループットを記録しています。
PHP 8.5では、1,874 リクエスト/秒とPHP 8.4比で54%もの大幅な改善を見せています。この急上昇は、PHP 8.5で返されたレスポンスサイズが大幅に小さかった点(17 KB対45 KB)と一致しており、レンダリング結果の変化、ルーティング処理の違い、またはテスト環境内のデフォルトテンプレートに関する変更などが影響した可能性があります。
原因はともかく、PHP 8.5上のCodeIgniterは、今回テストしたすべてのフレームワークの中で最も高いスループットを達成しました。
Craft CMS
Craft CMSは、デザイナー、開発者、コンテンツチームが独自のデジタル体験を作れるように設計された、柔軟で「コンテンツ第一」のCMSです。構造、デザイン、ワークフローを自由に制御できるため、クリエイティブエージェンシーやエンタープライズ企業から高く支持されています。
Craft CMSのベンチマーク
- テストしたバージョン:Craft CMS 5.0
- テストしたURL:
/ - レスポンスサイズ:6,257 バイト(約6.1 KB)
- 結果
- PHP 8.2:201.23 リクエスト/秒
- PHP 8.3:197.04 リクエスト/秒
- PHP 8.4:196.23 リクエスト/秒
- PHP 8.5:197.70 リクエスト/秒

Craft CMSは、すべてのPHP 8.xバージョンで非常に安定したパフォーマンスを示しており、196〜201 リクエスト/秒を記録しました。PHP 8.2がこのシリーズで最も高いスループットを示していますが、バージョン間の差はわずかです。
October CMS
October CMSは、シンプルさ・柔軟性・パフォーマンスを重視する開発者向けに構築された、LaravelベースのCMSです。世界中で10 万以上のサイトに利用されています。
Laravelが基盤となっているため、すでにLaravelを使用しているチームにとっては採用しやすく、馴染みのある構造に加えて強力なビジュアル編集用バックエンドを手にすることができます。October CMSのモジュール設計、プラグインマーケットプレイス、再利用可能なCMSコンポーネントにより、品質やカスタマイズ性を損なうことなく、制作スピードを大幅に高めることができます。
October CMSのベンチマーク
- テストしたバージョン:October CMS 4.0(Laravel 12.0を使用)
- テストしたURL:
/ - レスポンスサイズ:17,211バイト(約16.8 KB)
- 結果
- PHP 8.2:173.54 リクエスト/秒
- PHP 8.3:152.75 リクエスト/秒
- PHP 8.4:151.38 リクエスト/秒
- PHP 8.5:162.71 リクエスト/秒

OctoberCMSは、PHP 8.2で最高のパフォーマンスを発揮し、173.54 リクエスト/秒に達し、PHP 8.3と8.4で顕著な落ち込みを見せました。PHP 8.5では、PHP 8.2には届かないものの、162.71 リクエスト/秒まで回復しています。
この傾向はLaravelで構築されたフレームワークと一致しており、PHP 8.xのバージョン間で小さな変動を示していますが、大きな後退や増加はありません。
OpenCart
OpenCartは、世界で47万以上のストアを支える人気のオープンソースECプラットフォームです。無料で利用でき、インストールも簡単で、あらゆる規模のビジネスに対応できる柔軟性を備えています。
OpenCartには強力なストア管理ツールが搭載されており、製品、注文、顧客、税金、クーポンを直感的なコントロールパネルから管理できます。また、SEO機能も標準搭載されており、1つの管理画面から複数ストアを運営できるほか、充実したマーケットプレイスを通じて数千の拡張機能やテーマとシームレスに連携できます。
OpenCartベンチマーク
- テストしたバージョン:OpenCart CMS 4.1.0.3
- テストしたURL:
/ - レスポンスサイズ:32,713 バイト(約32.0 KB)
- 結果
- PHP 8.2:143.47 リクエスト/秒
- PHP 8.3:142.04 リクエスト/秒
- PHP 8.4:141.54 リクエスト/秒
- PHP 8.5:142.45 リクエスト/秒

OpenCartは、PHP 8.xの全バージョンで非常に安定したパフォーマンスを示しており、結果は 141〜143 リクエスト/秒のごく狭い範囲に収まっています。
最も高いパフォーマンスを示したのはPHP 8.2でしたが、PHP 8.5も142.45 リクエスト/秒とほぼ同等で、性能低下は見られず安定したスループットを維持しています。
Grav
Gravは、シンプルさ・高速性・柔軟性を重視した、新しいオープンソースのフラットファイルCMSです。従来のデータベース駆動型のシステムとは異なり、Markdownを使ったプレーンテキストファイルにコンテンツを保存するため、非常に軽量で導入もしやすいのが特徴です。
Grav のベンチマーク
- テストしたバージョン:Grav 1.8.0
- テストされたURL:
/ - レスポンスサイズ:13,814バイト(約13.5 KB)
- 結果
- PHP 8.2:600.36 リクエスト/秒
- PHP 8.3:603.66 リクエスト/秒
- PHP 8.4:586.49 リクエスト/秒
- PHP 8.5:1,029.07 リクエスト/秒

GravはPHP 8.2〜8.4で安定したパフォーマンスを示し、スループットは590〜605 リクエスト/秒の範囲に収まっています。PHP 8.5では約75%の性能向上が見られ、1,029 リクエスト/秒に到達し、Gravの全テスト結果の中で最高値となりました。
PHPの使用統計
PHP 8.5のリリースにより、PHPはパイプオペレーター(|>)、致命的エラーのスタックトレースによるエラーハンドリングの改善、IntlListFormatterなどの国際化機能の強化などの最新機能を備え、進化を続けています。これらのアップデートは、幅広いエコシステムとの互換性を維持しつつ、PHPの開発体験をより洗練されたものにしています。
現在、PHPがどのように使用されているのか、いくつかの主要な業界統計を見てみます。
サーバーサイド言語のシェア
PHPは、サーバーサイド処理に依存するサイトの73%以上を動かしており、 依然としてウェブ上で支配的なサーバーサイド言語といえます。

サーバーサイド言語におけるPHPの地位
上位5つのサーバーサイド言語(JavaScript、Java、Ruby、PHP、Scala)の市場における立ち位置を見てみると、高トラフィックサイトの開発者の間では、JavaScriptが圧倒的な存在感を示している一方、PHPは多くのサイトを支え続け、長年にわたり安定した平均トラフィックランクを維持する“堅実な中間ポジション”を占めています。
PHPは、microsoft.com、facebook.com、wikipedia.org、wordpress.org、wordpress.comなど、世界的にアクセスの多いプラットフォームを多数動かしています。

長期的な使用傾向
PHPが長年市場を牽引している理由は、成熟したエコシステム、柔軟なアーキテクチャ、高い後方互換性、そしてメンテナンス性の高さが挙げられます。これらの要素により、PHPはレガシーシステムから最新のアプリケーションまで、信頼できる基盤として使用され続けています。

PHPのバージョン採用とアップグレードの傾向
バージョン採用状況の統計を見ると、多くの開発者が主要なPHPバージョンのアップグレードに慎重であることが読み取れます。この傾向は、サブバージョンレベルでの利用動向にも直接影響しています。
PHP 8.0が最初にリリースされた当初は、PHP 7.4との互換性への懸念から導入が遅れましたが、PHP 7.4が2023年1月にサポート終了を迎えたことで、利用状況は大きく変化しています。
- PHP 7.4の利用率は、2023年時点の35%超から現在は27.8%まで低下
- PHP 7.xファミリー全体は、現在アクティブインストールの36.9%を占めている

結論
今回テストした12種類のCMS/フレームワーク全体を通しても、2025年のPHPベンチマークでは、多くの負荷処理において、PHP 8.2、8.3、8.4、8.5の間でパフォーマンスに大きな差は見られませんでした。

最近のPHPはすでに高度に最適化されており、マイナーリリースで劇的な速度改善が起こることはほとんどありません。最新バージョンへアップグレードしたからといって、アプリケーションが必ず高速化されるとは限りません。
今回のベンチマークでは、同一のラボ環境で各CMS/フレームワークがどのように動作するかを示していますが、実際のパフォーマンスは、その裏側にあるサーバー環境に大きく左右されます。CPUの割り当て、PHPスレッド、キャッシュレイヤー、コンテナの隔離度、データベースの最適化など、さまざまな要因によって、PHP本来の処理速度がどれだけページ表示速度として発揮されるかが変わってきます。
特にWordPress、WooCommerce、Easy Digital Downloadsなどは、アクセスが増えたり、ECの処理が重くなったりした際に、これら要素の影響を強く受けます。
マネージドサーバーは、まさにこの領域を最適化する選択肢です。Kinstaでは、インフラのボトルネックを排除し、あらゆる処理内容に対して安定した高性能のPHP実行環境を提供しています。
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WordPressとWooCommerce向けの世界最高水準のマネージドサーバー(高性能なグローバルネットワーク上に構築)
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ワンクリックでPHPバージョンを切り替え可能(最新のPHP 8.4、8.5をサポート)
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PHPパフォーマンスアドオンでPHPメモリプール・スレッド数・スレッド上限を調整し、トラフィックの急増や重いサイトにも対応可能
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SSH、Git、WP-CLI、ionCube Loaderなどの開発ツールを標準装備
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隔離コンテナ技術、ハードウェアファイアウォール、CloudflareのDDoS攻撃対策による堅牢なセキュリティ
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Kinsta APIによるワークフローの自動化と統合
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WordPressとPHPに精通したエンジニアによる24時間365日のサポート
KinstaのインフラはSOC 2報告書を受領しており、最高クラスの高速仮想マシン上で稼働しています。
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