SMTPポートはどれを選択すればいいのかわからない、という方は少なくないはず。Apple MailやOutlookなどのメールクライアントを使用していれば、おそらく送信メールをメールサーバーにアップロードするためにSMTPを使用することになります(受信メールをアプリにダウンロードするのには、IMAPやPOP3のような別のプロトコルが使われるが)。
また、WordPressサイトでのメールの配信に問題がある場合、効果的な解決方法として、SendGrid、Mailgun、G SuiteのようなSMTP配信サービスを利用することもできます。
メールクライアントやWordPressサイトでSMTPの設定を行う際には、複数あるSMTPポートのいずれかを選択することになります。
SMTPポートについて理解し、目的に適したSMTPポートを選びましょう。
SMTPポートとは
SMTPはSimple Mail Transfer Protocol(簡易メール転送プロトコル)の略であり、インターネット上でメールを転送するための標準プロトコルです。メールサーバーがインターネット上でメールを送受信するのに使用されます。
例えば、メールを作成して送信する際、利用するメールクライアントは、送信用のメールサーバーにメールをアップロードする仕組み、そして受取人の受信用のメールサーバーにメールを転送する仕組みが必要になります。
メールサーバーは、表面上は人間にわかりやすいドメイン名が使用され、実際の処理は「222.501.285.45」といったIPアドレスで行われるという点は、ウェブサイトのサーバーとよく似ています(詳しい仕組みはこちら)。
ポートは、コンピュータ同士(メールサーバー同士)が通信するための別の手段です。
- IPアドレスはコンピュータを識別
- ポートはSMTPなど、コンピューター上で動作している特定のアプリケーションやサービスを識別
例えるなら、IPアドレスはオフィス街にある通りの名前、ポートはオフィスビルの中の特定の会社を示す数字といった感じです。
ある会社に何かを配達したい場合、そのオフィスビルの住所だけでなく、会社名まで指定しなければなりません。
IPアドレスの割り当てなどを担う組織であるIANA(Internet Assigned Numbers Authority)は、SMTPを含む一般的なインターネットサービスのポート番号の登録も担当しています。
SMTPポートの重要性
SMTPサーバーに接続する際には、IPアドレスとポート番号の両方が必要になります。しかし、一般的なSMTPポートは複数あり(これについては後ほど)、そのすべてがすべての状況に使用できるとは限りません。
例えば、メールサーバー間でメッセージのやり取りをするための標準的なSMTPポートである25番ポートは、ISPやクラウドサービス(Kinstaが採用するGoogle Cloud Platformなど)にブロックされている可能性があります。
多くのサービスが25番ポートをブロックしていることから、このポートを使用してSMTPサーバーに接続しようとするとエラーが発生する可能性が高くなります。
各SMTPポートの目的
SMTPポートには、それぞれ異なる目的が存在し、SMTPの伝達には主に2つの段階があります。
- サブミッション:メールのメッセージを送信メールサーバーに送信するプロセス。例えばApple Mailでメールを書いて送る際、メッセージはまず送信用のメールサーバーに送信される。
- リレー:2つのサーバー間でメッセージを転送するプロセス。送信メールサーバーにメールが送られた後、メールが受取人のメールサーバーに転送される。
メールクライアント、またはWordPressサイトの設定を行う際には、特に1つ目のサブミッションについて気になるところです。
リレーもSMTPの重要な部分ではありますが、多くの場合、自分のメールサーバーで設定を行う必要はありません。
主要なSMTPポート
今日、複数のSMTPポートがインターネット上に存在しています。主要なSMTPポートは以下の4種類です。
- 25
- 587
- 465
- 2525
それぞれの特徴をご紹介します。
25番ポート
25番ポートは、1982年に作られた最も古いSMTPポートですが、現在でも標準的なSMTPポートであり、主にSMTPリレーに使用されます。
先にも触れた通り、多くのISPやクラウドホスティングでブロックされていることから、WordPressサイトやメールクライアントのSMTPの設定では、25番ポートを選択しないほうがいいでしょう。
というのも、25番ポートは、悪意のあるユーザーがウイルスに感染したコンピュータからスパムメールを送信するのによく使用されているためです。
なお、SMTPのサブミッションとリレーのプロセスは異なるものであり、25番ポートはリレー向きであるため、サブミッションには不向きです。
587番ポート
587番ポートは、SMTPサブミッションに用いるデフォルトポートです。他のポートを使用することもできますが、まずは587番ポートをデフォルトで設定し、587番ポートを使用できない状況(使用しているホスティングサービスが何かしらの理由でブロックしているなど)でのみ、他のサブミッションポートを使用するようにしてください。
587番ポートはTLSもサポートしており、安全にメールを送信することができます。
465番ポート
465番ポートは、もともとSMTPS(SSL over SSL)に割り当てられていましたが、その後別の用途に割り当てられた後、非推奨となりました。
しかし、多くのISPやクラウドホスティングでは、現在もSMTPサブミッションとして465番ポートをサポートしています。
2525番ポート
2525番ポートは(IETFやIANAに認証された)正式なSMTPポートではありませんが、587番ポートの代替としてSMTPサブミッションによく使用されるポートで、多くのISPやクラウドホスティングでサポートされています。
587番ポートをブロックしているサービスでは、代わりに2525番ポートを使用してください。
どのSMTPポートを選択するべきか
「どのSMTPポートを使えばいいのか」という疑問に対する回答は、すでに上でご説明した通りですが、改めてまとめてみます。
SMTPでメールを送信するためにWordPressサイトやメールクライアントを設定する場合、まずは587番ポートを選択してください。サブミッション用のデフォルトのSMTPポートであり、TLSを用いた安全な通信をサポートしています。
何らかの理由により、587番ポートが使用できない場合は、2525番ポートを使用するのが一般的です。正式に認証されたSMTPポートではありませんが、一般的に使用されており、多くのサービスが対応しています。
非推奨となった465番ポートも未だ多くのサービスがサポートしていますが、まずは587番ポート、または2525番ポートを使用するのがお勧めです。
最後に、25番ポートはSMTPリレーに使用され、多くのISPやクラウドホスティングがブロックしていることを考慮すると、メールクライアントやWordPressサイトの設定を行う際には使用しないのが賢明です。
Kinstaで利用可能なSMTPポート
Kinstaでは、以下のポートをお使いいただけます。
- 587
- 465
- 2525
Kinstaは、Google Cloud Platformのインフラストラクチャを採用しています。Google Cloud Platformが25番ポートをブロックしていることから、Kinstaでも25番ポートはサポートされません。
まとめ
SMTPは、インターネット上のメールの送受信において重要な役割を果たします。
WordPressサイトのトランザクションメールを配信するためには、SMTPでメールを送信する設定を行いましょう。また、Apple MailやOutlookなどのメールクライアントを使用する場合も、送信メールをメールサーバーへ送信するのにSMTPが使用されます。
WordPressサイトやメールクライアントをSMTPサーバーに接続するには、SMTPポートの入力が必要です。
一般的なSMTPポートは以下の4つ。
- 25
- 587
- 465
- 2525
再三となりますが、多くのサービスでブロックされている25番ポートの使用は避けましょう。
WordPressサイトやメールクライアントでSMTPの設定を行う場合は、まずはSMTPサブミッションの標準的なポートである587番ポートを使用してください。
587番ポートで接続できない場合は、2525番ポートを使ってみてください。正式に認証されているSMTPポートではありませんが、広く普及しており、TLS対応で安全な通信が保証されます。
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