メールマーケティングで期待通りの結果を得られない場合、そのデザインやコンテンツに原因があるのではないかと考察しがちですが、実は、WordPressからメールが送信されていない可能性も。この場合、最初に配信するウェルカムメッセージや、アカウント情報の変更、そしてお得な情報など、コンテンツがそもそも購読者に届いていません。
このような懸念は、テストメールを送信することで解消することができます。WordPressでメールが適切に送信されていることを確認した上で、大切な情報を顧客に配信しましょう。
この記事では、WordPressでテストメールのメリットに触れた後、テストメールを送信する方法を2通りご紹介します。それでは、さっそく見ていきましょう。
テストメールを送信するメリット
WordPressサイトの所有者であれば、メールの送受信の動作を確認しておくのは重要です。多くの場合、メールは、フォロワーや顧客との主要なコミュニケーション手段になります。
メールの種類には、以下のようなものがあります。
- メールサーバーからのメール:Google WorkspaceやOutlookなどのESP(電子メールサービスプロバイダー)から配信される個人またはビジネス向けのメール
- トランザクションメール:パスワードのリセットや商品の購入、お問い合わせフォームでのメッセージ送信など、サイト上の特定の操作に対する自動通知
- プロモーションメール:購読者に配信するマーケティングメール
WordPressのメールが適切に機能していなければ、重要な情報を顧客に届けることができません。迷惑メールと判定されてしまったり、サーバーの設定不備で誤配信されてしまったりすることも考えられます。
このような問題を回避するためには、テストメールの送信を行うのが賢明です。これは、WordPress経由で簡単なメールを送信し、それが適切に配信されるかを調査します。
また、メールテストを送信して、メールトラッキングも行いましょう。メールが届いたかどうか、開封されたかどうか、そして実際に読まれたかどうかを調査せずにメール配信を行っている方も少なくないはず。基本的なメールテストは、メールマーケティングの改善の良い足掛かりになります。
WordPressでテストメールを送信するには(2つの方法)
WordPressのメールが迷惑メール判定されないようにするには、定期的にテストメールを送信するのが得策です。これによって、購読者や顧客と確実につながり、最新の情報を届けることができます。
方法1. ローカルでテストメールを送信する
開発者なら、送信メールやお問い合わせフォームの送信は、ローカル開発環境から実行したいと思われるかもしれません。確かにローカルサイトの機能をテストする効果的な方法ではありますが、手順が複雑になる可能性があります。
送信メールは、通常、ウェブアプリケーションデフォルトのSMTPサーバーによって処理されます。ローカル環境では、OS、ウェブサーバー、ウェブアプリケーションのセットアップが必要です。テストに実際のアドレスを使用すると、メールの信頼性を損なう恐れがあります。
そこで一役買うのがMailHog。ローカルサイトに偽のSMTPサーバーを作成するオープンソースのメールテストツールで、ローカルのウェブアプリケーションからメールを送受信することができます。さらに、DevKinstaと連動しており、便利で使い勝手の良いのも特徴です。
ステップ1. MailHogのダウンロード
MailHogを使用する大きなメリットは、インストールが不要ということ。驚くほど軽量かつポータブルで、ほぼすべてのOSで実行可能です。ただし、ダウンロードと設定は必要です。
Windowsをお使いの場合は、MailHogのGithubページから、最新のリリースを見つけてダウンロードします。
現在の最新バージョンは、MailHog 1.0.1です。ダウンロードした.exeファイルを開くと、自動的にプログラムが実行されます。これで、ポート1025のSMTPサーバーとポート8025のHTTPサーバーがセットアップされます。
何らかの警告が表示されたら、ファイアウォールの制限を解除すると、ローカル環境でもMailHogが実行できるようになります。
MailHogのセットアップ後は、ウェブブラウザを開いて、localhost:8025
または127.0.0.1:8025
にアクセスすると、MailHogのウェブUIが表示されます。
macOSの場合は、HomebrewでMailHogをダウンロードします。Homebrewパッケージマネージャがコンピュータにインストールされていることを確かめてから、ターミナルに以下のコマンドを貼り付けます。
brew install mailhog
次に、mailhog
を実行してMailHogを起動します。
以下のコマンドでもOKです。
brew services start mailhog
これで、ログインすると自動的にMailHogが起動し、バックグラウンドサービスとして実行されます。MailHogの起動を確認したら、ブラウザでlocalhost:8025
または127.0.0.1:8025
にアクセスします。
MailHogのウェブUIが正常の機能することを確かめたら、次にプログラムの設定を行います。
ステップ2. MailHogの設定
MailHogは、mhsendmailでメールをリダイレクトすることで動作し、メールをlocalhost:1025
のSMTPサーバーに転送するsendmailの代替になります。MailHogを設定するには、mhsendmail
のセットアップが必要です。
mhsendmailのインストール方法はいくつかあります。Ubuntuを使用している場合は、以下のコマンドを実行します。
wget https://github.com/mailhog/mhsendmail/releases/download/v0.2.0/mhsendmail_linux_amd64
次に、以下のコマンドを使って、ファイルを実行可能にして、ユーザーディレクトリに配置します。
sudo chmod +x mhsendmail_linux_amd64
sudo mv mhsendmail_linux_amd64 /usr/local/bin/mhsendmail
Homebrewを使用している場合は、まずGoをインストールしてください。
brew install go
次に、以下のコマンドを使って、mhsendmailのダウンロードとインストールを行います。
go install github.com/mailhog/mhsendmail@latest
それから、ローカルのウェブアプリケーションがmhsendmailを使用するように設定します。Linuxでは、デフォルトでsendmailが使用されています。
これを変更するには、ルートディレクトリにあるphp.iniファイルを編集します。php.iniファイルは、以下のコマンドで見つけることができます。
php -i | grep 'php.ini'
sendmail_pathの値をsendmail_path = /usr/local/bin/mhsendmail
に変更しましょう。
または、sendmail_path = /usr/sbin/sendmail -S mail:1025
でもOKです。
Macをお使いなら、Postfixの設定ファイルを以下のように編集してください。
myhostname = localhost
relayhost = [127.0.0.1]:1025
また、必須ではありませんが、様々なコマンドを使ってデフォルトの独自ホスト名を設定したり、他の変数を設定したりなど、さらに設定を行うことも可能です。
ステップ3. ローカルテストメールの送信
MailHogを設定したら、早速テストメールを送信しましょう。MailHogのCLIでは、以下のmhsendmailディレクティブを使用します。
mhsendmail [email protected] <<EOF
From: 山田 太郎 <[email protected]>
To: テスト <[email protected]>
Subject: テストメール
こんにちは。
テストメールを送信します。
山田
EOF
<<EOF
を使用して独自の区切り文字(デリミタ)を設定し、ターミナル内にテストメールの情報を入力します。mhsendmail
コマンドで、MailHogアドレスにメールが送信されます。
macOSでは、別の方法でテストメールを送信します。以下のコマンドを実行してください。
date | mail -s "Hello, MailHog!" [email protected]
Windowsの場合は、PowerShellを使用してメールを送信します。以下のコマンドを使用します。
Send-MailMessage -To "[email protected]" -From "[email protected]" -Subject "Hello, MailHog!" -SmtpServer "localhost" -Port 1025
あるいは、PHPスクリプトを使用して、メールデータを定義することも。定義したら、PHPのmail()
関数でメールを送信します。
<?php
$to = "[email protected]";
$subject = "テストメール";
$body = "こんにちは。テストメールです。";
$headers = "From: [email protected]" . "rn";
mail($to,$subject,$body,$headers);
?>
これで、MailHogからテストメールが送信されます。
ステップ4. テストメールの結果を確認
MailHogが正しく設定されていれば、メールの配信状況をトラッキングすることができます。ブラウザでhttp://localhost:8025/
にアクセスすると、MailHogのウェブUIが表示され、新着のメールを確認したり、メールを開いて内容を読んだりすることができます。
また、KintaのWordPressローカル開発ツール「DevKinsta」を使用する方法もあります。メールサービスにMailHogが使用されるため、ローカルサイトとメールを一箇所で管理することができます。
DevKinstaを開いたら、ウェブサイトを選択します。
すると、「サイト情報」画面が開きます。左側に表示されるメールアイコンをクリックしてください。
この受信トレイで、ローカルのメールを管理することができます。メールをクリックすると詳細が表示されます。
各メールの右上に表示されるゴミ箱のアイコンを選択すると、メールを削除することができます。また、既読にしたり、ソースデータを表示したりすることも可能です。
何か問題が発生した場合は、MailHogのログを確認しましょう。これには、以下のDockerコマンドを実行します。
docker logs -f devkinsta_mailhog
ログの確認は、テストメールに関するあらゆる問題の特定とトラブルシューティングに有用です。
また、WordPressサイトのパフォーマンスの問題を特定するには、KinstaのAPMツールが便利です。Kinstaのお客様には、無料でお使いいただけます。
方法2. プラグインを使用する
WordPressでテストメールを送信する別の方法として、プラグインを使用することもできます。今回は、WP Mail SMTPプラグインを例に見ていきます。
ステップ 1. WP Mail SMTPのインストール
WP Mail SMTPは、wp_mail()関数を再設定できる無料ツールです。インストールすると、適切なSMTPサーバーの認証情報、または内蔵のSMTPサービス(メールリレーサービス)が設定され、メールを配信することができるようになります。
SMTPサーバーを選択して、そのサービスのAPIでメール送信が行えます。SMTPポートがブロックされていても、テストメールは正常に送信されます。
まずは、WP Mail SMTPをインストールし、有効化しましょう。その後、インストール手順に従って操作を進めます。
ステップ2. SMTPメールサービスの選択
最初の設定は、SMTPサービスの選択です。簡単に言えば、テストメールの送信に使用するサービスを指します。
以下の中から任意で選択可能です。
- SendLayer
- SMTP.com
- Sendinblue
- Mailgun
- SendGrid
- Postmark
- SparkPost
- Gmail
- Microsoft(Outlook、Office 365)
- Amazon SES
- Zoho Mail
WP Mail SMTPでは、SendLayer、SMTP.com、Sendinblueのいずれかの使用が推奨されています。メールサービスを選択したら、「保存して続行」をクリックします。
次に、メーラーのAPIキーを入力して、「フォーム名」を選択します。この名前は、テストメールの送信者として表示されます。また、サイト全体のメールにこの識別子を使用する場合は、その下にある「この名前を強制使用」のトグルスイッチを有効にしてください。
最後に、「送信元メールアドレス」にメールが送信されるアドレスを貼り付けます。必要に応じて「このメールを強制使用」を有効にしてください。設定が完了したら、「保存して続行」をクリックしてください。
ステップ3. テストメールの送信
テストメールを送信するには、WordPressの管理画面から「WP Mail SMTP」>「ツール」に移動し、「メールテスト」タブを開きます。
「送信先」には、サイトの管理者メールアドレスがデフォルトで設定されていますが、必要があれば変更してください。
次に、メールをHTML形式で送信するか、プレーンテキストで送信するかを選択します。基本的には、「HTML」の設定はそのまま残しておくことをお勧めします。それから、「メールを送信」をクリックしましょう。
ステップ4. テストメールの結果の確認
テストメールを送信すると、配信に関するフィードバックがすぐに届きます。メールが正しく送信された場合には、成功通知が表示されますが、配信性を改善するために何らかの操作が必要になることもあります。
WP Mail SMTPからメールが送信された通知を受け取ったら、受信トレイで確認することができます。テストが成功していれば、管理者である自分宛にメールが届いているはずです。
成功メッセージが表示されなければ、再度テストメールを送信してみてください。場合によっては、SPF、DKIM、またはDMARCでDNSレコードの設定が必要になるかもしれません。必要な場合には、通知が表示されます。
まとめ
WordPressは、メールの送信に関して信頼性に欠けることも。顧客に最新情報を適切に届けるためには、テストメールを送信し、サイトの通信がすべて正常に機能していることを確認するのが重要です。
WordPressでテストメールを送信するには、WP Mail SMTPのようなプラグインが有用です。または、MailHogを使って自分で送信することも可能です。
テストメールを簡単にトラッキングする方法をお探しなら、DevKinstaをお試しください。ローカルで送信したメールを簡単に表示したり、削除したりすることができます。ローカル開発ツールのDevKinstaのダウンロードはこちら。