Kinstaでは、お客様のサイトごとに異なるトラフィックパターンを考慮し、既存の訪問数ベースのプランに加えて、帯域幅ベースの料金体系を導入しました。今後は、要件に適したいずれかの料金体系を柔軟にお選びいただけます。

新規アカウント作成時はもちろん、既存のお客様も、必要に応じてご利用中のプランの料金体系を簡単に変更することができます。

シンプルでわかりやすい価格設定を維持するため、既存の訪問数ベースのプランのリソースと価格はそのままに、訪問数の代わりに帯域幅の使用量に基づくプランをご用意しました。

訪問数と帯域幅の料金体系の違い

総訪問数は、24時間ごとに見られる一意のIPアドレスの合計を指します。これには、KinstaでホスティングしているWordPressサイトへの訪問、Cloudflare統合の一部であるCDNおよびエッジキャッシュ経由でコンテンツにアクセスする訪問が含まれます。

MyKinstaでは、すべてのステージング環境への訪問が追跡され、分析画面に表示されますが、プランの訪問数として計上されるのは、本番環境への訪問のみとなります。また、既知のボットユーザーエージェントも可能な限り排除されます。

サーバー帯域幅の総使用量は、WordPressサイトがリクエストに応答して送信するデータ量を指し、バイトで測定されます。これには、CDNやエッジキャッシュによって配信されるコンテンツは含まれません。

WordPressサイトから送信されるデータには、HTML、CSSスタイルシート、JavaScriptファイル、画像などのメディアが含まれます。エッジキャッシュは、HTMLページの提供、CDNはスタイルシート、JavaScriptファイル、画像などの静的アセットに利用できます。

訪問数と同様、ステージング環境で消費する帯域幅は、プランの帯域幅に計上されません。既知のボットへの応答も可能な限りフィルタリングされます。

また、いずれの料金体系を選択しても、MyKinstaで訪問数と帯域幅の使用状況の両方を確認することができます。

訪問数または帯域幅は、プラン内のすべてのサイトで共有されるため、リソース使用状況の概要は「企業の設定」(MyKinsta画面右上のユーザー名>「企業の設定」>「分析」>「リソース」)で確認可能です。

企業の分析画面「リソース」タブで訪問数と帯域幅の使用状況を確認
企業の分析画面「リソース」タブで訪問数と帯域幅の使用状況を確認

帯域幅ベース料金体系の導入経緯

ウェブサイトの活動を測定するのに、訪問数を用いることは妥当であり、実際多くの場合、サイトの成功を測るには、帯域幅消費量よりも訪問数の方が価値のある指標になります。

その一方で、訪問数の増加が帯域幅の消費量増加と一致しないケースが見られます。一部では、人工知能サービスの大規模言語モデル(LLM)用にウェブをスクレイピングするボットが激増したことが一因であると言われています。

Imperva社は悪質なボットに関する2025年の報告書で、2024年の全ウェブトラフィックの半分以上(51%)がボットであることを明らかにしています。この増加は、先に挙げた大規模言語モデルの需要によるところも大きいと分析されており、さらにウェブトラフィックの37%は悪質なボットによるものと言われています。この悪質なボットは、AIそのものを動力源とすることが多くなっている傾向にあります。

このような現状から、ボットトラフィックにより、消費する帯域幅に対して通常より多くの「訪問」を占める場合があります。これを考慮し、帯域幅ベースの料金体系の導入に至りました。

訪問数と帯域幅ベースか─サイトに適したプラン選び

Kinstaの大半のお客様は、プランの訪問数上限を超過することはなく、上記で挙げたような「悪質なボット」による活動は検出されていません。

プランの訪問数の上限に達した場合は、その旨をお知らせする以下のようなメールが送信されます(MyKinstaを日本語でご利用の場合は、日本語のメール通知が送信されます)。

Kinstaからの訪問数の上限超過通知メール例
Kinstaからの訪問数の上限超過通知メール例

通知メールは、プランの訪問数が上限80%、および100%に達した時点で送信されます。訪問数上限の超過によってサイトが停止することはありませんが、超過後は訪問1,000件あたり0.50ドルの超過料金が発生します。

帯域幅プランへの変更後の超過料金

訪問数ベースのプランをご利用で、月間の訪問数上限を超えることがある場合、同等の帯域幅ベースのプランに変更しても、確実に超過料金を回避できるとは限りません。サイトの成長によっては、プラン自体のアップグレードが必要になるかもしれません。

そのため、プランの変更を行う前に分析画面で現在の帯域幅使用量を把握し、同額のプランでの変更で問題がないかをご確認ください。訪問数ベースから帯域幅ベースのプランに切り替える際に、各プランで利用可能な帯域幅は以下の通りです。

1サイト向けプラン
プラン名 訪問数 帯域幅
Single 35k 3万5,000件 20GB
Single 65k 6万5,000件 40GB
Single 125k 12万5,000件 65GB
Single 315k 31万5,000件 125GB
Single 500k 50万件 250GB
Single 750k 75万件 500GB
Single 1.2M 120万件 750GB
Single 1.9M 190万件 1,125GB
Single 2.5M 250万件 1,500GB
Single 3.15M 315万件 1,875GB
複数サイト向けプラン
プラン名 訪問数 帯域幅
WP 2 7万件 40GB
WP 5 12万5,000件 65GB
WP 10 31万5,000件 125GB
WP 20 50万件 250GB
WP 40 75万件 500GB
WP 60 125万件 750GB
WP 80 190万件 1,125GB
WP 120 250万件 1,500GB
WP 150 315万件 1,875GB

現在、訪問数ベースのプランをご利用で、帯域幅ベースの料金体系に切り替えることでプランのリソースに余裕が出そうな場合は、以下の手順で変更が可能です。

訪問数から帯域幅ベースプランへの切り替え方法

MyKinstaの「企業の管理者」または「企業の開発者」の権限を持つユーザーは、画面右上のユーザー名から「企業の設定」>「ご利用プラン」に移動して、プランを変更することができます。

MyKinstaの「プランと購読」画面に移動
MyKinstaの「プランと購読」画面に移動

プランを変更」をクリックすると、以下のようなプラン変更ダイアログが表示され、現在ご利用中のプランが緑色の線で強調されます。例えば、WP 5 訪問数プランでは、訪問数が月間12万5,000件に制限されます。

帯域幅ベースの料金体系にプランを変更
帯域幅ベースの料金体系にプランを変更

より多くのサイト数と訪問数(または帯域幅)をサポートする上位プランへの変更も可能ですが、ここでは同じWP 5プランを帯域幅ベースに切り替えたいとします。

その場合は、プラン一覧の上部にある「訪問数ベース」ドロップダウンを選択し、「帯域幅ベース」を選択してください。すると、WP 5プランの12万5,000件の訪問数65GBのサーバー帯域幅に置き換えられます。

帯域幅ベースのプランを選択
帯域幅ベースのプランを選択

任意のプランを選択後、「続行」をクリックし、変更内容を確認します。

変更後のプランの詳細を確認
変更後のプランの詳細を確認

なお、WordPressプランを変更すると、現在の請求サイクルがリセットされ、変更日の日付で新たな請求サイクルが開始されます。既存プランの未使用分は、日割り計算でクレジットとしてアカウント残高に加算されます。

変更後の流れを確認の上、「プランの変更とお支払い」をクリックすると、プランの変更とお支払いが完了します。MyKinstaの「お支払い履歴」には、以下のようにお支払い情報が表示されます。

プラン変更後のお支払い情報
プラン変更後のお支払い情報

上記の例では、変更した年払いプランの請求サイクルが変更当日に開始されています。また、アカウント残高が適用され、お支払い額の合計が107.18ドルになっています。

帯域幅から訪問数ベースプランへの切り替え方法

帯域幅ベースから訪問数ベースへの切り替えも、上記と同様の手順で行うことができます。

プランと購読」画面で「プランを変更」をクリックし、以下のダイアログで「訪問数ベース」を選択してください。

帯域幅ベースから訪問数ベースのプランに切り替え
帯域幅ベースから訪問数ベースのプランに切り替え

帯域幅ベースへの変更と同様、プランの変更当日から新たな請求サイクルが開始されます。

まとめ

WordPress専用マネージドクラウドサーバーでは、訪問数または帯域幅の使用量に基づくプランのいずれかをお選びいただけるようになりました。お客様のサイトのトラフィックの性質に適したプランをご利用ください。

従来の訪問数ベースのプランをご利用中のお客様も、価格やその他のリソースを変更することなく、MyKinsta上で簡単に帯域幅ベースの料金体系に切り替えることができます。

Kinstaをご利用でないお客様も、ぜひKinstaのWordPress専用マネージドクラウドサーバーをお試しください。プランの詳細はこちらでご覧いただけます。

Steve Bonisteel Kinsta

Kinstaのテクニカルエディター。救急車や消防車を追いかける記者としてキャリアをスタート。1990年代後半からインターネット関連の技術情報を担当している。