サーバーの移行やメールレコードの更新、DNSの変更などを行う際、制作会社が遭遇する大きな問題の1つがDNSアクセスです。このような問題が起きる主な原因は、DNSの管理がクライアント側にあり、さらに複数のレジストラに分散しているケースが多いためです。
サイト移行自体は完了していても、クライアントが管理画面にログインし、認証情報を確認し、二段階認証(2FA)に対応し、連絡を返してくれるのを待っている間に、サイトがオフラインのままになることも少なくありません。
実際に、何百件ものサイト移行が完了しても、最後のDNS更新で足止めされてしまうケースもしばしばあります。こうした待ち時間は、本来もっと重要な業務に使えるはずの貴重な時間を奪っていきます。
この問題を防ぐ最も効果的な方法は、DNSを一元管理することです。シンプルかつ拡張性の高い選択肢としておすすめなのが、Cloudflareです。無料でアカウントを作成することができ、レジストラへの個別ログインなしで、複数のクライアントドメインのDNSを一箇所で管理できます。
CloudflareでDNSを一元管理する方法
CloudflareでDNSを一元管理するには、各クライアントドメインを一度設定するだけでOKです。これは通常、新規クライアントのオンボーディング時に行うのが効率的ですが、いつでも既存のサイトに適用することもできます。
ステップ1. Cloudflareの無料アカウントを作成
まずはCloudflareのアカウント登録から始めます。DNS管理は無料プランで十分です。複数のクライアントドメインを1つのアカウントに追加し、一箇所で管理することができます。
このアカウントは複数のクライアントサイトで利用することになるため、制作会社の共通アカウントとして管理するのがおすすめです。1つのログイン情報を共有するのではなく、チームメンバーをアカウントに招待する形にすることで、DNSへのアクセスが特定の個人に依存するのを防ぐことができます。また、誰が変更を行えるのかも管理しやすくなります。
ステップ2. Cloudflareにクライアントドメインを追加
Cloudflareのダッシュボードから、「+追加」をクリックして「ドメインを接続する」を選択します。続いて、ドメインを入力します。www.clientsite.comのようなサブドメインではなく、clientsite.comのようなルートドメインを追加してください。

ドメインを入力したら、「続行」をクリックします。次のページでプランの選択を行いますが、DNS管理には無料プランでOKです。
プランを選択すると、Cloudflareがドメインをスキャンし、既存のDNSレコードの自動インポートを試みます。これには通常、メインのウェブサイトレコード、wwwレコード、電子メール関連レコード、およびすでに使用されているその他のDNSエントリが含まれます。

この時点では、Cloudflareはまだ有効化されておらず、ドメインは引き続きレジストラ側のDNSを使用している状態です。Cloudflareには現在のDNS設定が読み込まれて表示されているだけなので、実際に変更が反映される前に内容を確認できます。
ステップ3. CNAMEレコードを使ってドメインをKinstaに紐づける
インポートされたDNSレコードの中から既存のAレコードをすべて削除し、ルートドメイン(apexドメイン)に対してCNAMEレコードを追加します。CNAMEの参照先には、[sitename].hosting.kinsta.cloudを指定してください。

[sitename]は、MyKinstaのサイトの「情報」画面の「データベースへのアクセス」セクションにある「データベース名」である必要があります。

wwwを使用している場合は、www用のCNAMEレコードも同じ[sitename].hosting.kinsta.cloudに紐づいていることを確認します。この詳細はこちらをご覧ください。
ステップ4. ドメインのネームサーバーをCloudflareに変更
DNSレコードを確認して更新したら、ドメインのネームサーバーを変更します。これにより、DNS管理がCloudflareに移動します。
Cloudflareはドメインのレジストラを検出し、そのドメインに使用する2つのネームサーバーを提供します。

これらのネームサーバーは、ドメインを登録しているレジストラ(GoDaddy、Namecheap、Google Domainsなど)に設定されている既存のネームサーバーから変更する必要があります。
レジストラへアクセスできる場合は、直接この変更を行うことができます。アクセスできない場合は、2つのネームサーバー情報をクライアントに共有し、クライアント側で更新してもらうよう依頼してください。
ステップ5. 各クライアントドメインで同様の作業を繰り返す
ネームサーバーの更新が完了すると、ドメインが有効化されたタイミングでCloudflareから通知が表示されます。その後は、他のクライアントドメインについても同じ手順を繰り返すだけです。
この運用を続けることで、すべてのクライアントサイトのDNSを1か所から管理できるようになり、毎回同じワークフローで効率的に作業を進められます。
制作会社がDNSを一元管理するメリット
DNS管理を一元化することは、特にクライアントサイトが増えてくると、制作会社の運用効率に大きな差をもたらします。この仕組みのメリットは、以下が挙げられます。
- 移行時のボトルネックを解消できる:DNSを一元管理することで、クライアントからのアクセス権限や承認を待つことなく、サイトの準備が整った時点ですぐにレコードを更新可能。
- サーバーの変更が容易になる:パフォーマンスや信頼性、サポートが期待に沿わなくなった場合でも、制作会社側でスムーズにサーバーを変更できる。
- レジストラのログインや認証情報への依存を回避できる:レジストラアカウントへのアクセスは多くの場合、運用上の大きな課題に。認証情報の期限切れや二要素認証の問題、あるいはそもそもアクセス権がないといったケースも少なくない。DNSをCloudflareで管理することで、日常的なDNS変更のためにレジストラへログインする必要がなくなる。
- クライアントとのやり取りや混乱を減らせる:多くのクライアントはDNSの操作に慣れておらず、「DNSの更新」や「ネームサーバーの変更」といった言葉を聞くと、不安や疑問が生じやすい。DNSを一元管理することで、クライアントの関与を最小限に抑え、移行やプロバイダ変更時の不要なやり取りを減らることができる。
- 複数ドメインを単一のダッシュボードで管理できる:複数のレジストラや異なる管理画面を行き来する必要がなくなり、1つのダッシュボードから、すべてのクライアントドメインのDNSを管理できる。
- 追加コストなしでスケールできる:Cloudflareの無料プランでも、複数ドメインのDNS管理が可能なため、新たなツールや継続的なコストを増やすことなく、クライアント数の増加に対応できる。
より良いワークフローで業務を効率化
複数のクライアントサイトを管理する制作会社にとって、DNSが作業の足かせになったり、クライアントの対応状況に左右されたりするべきではありません。DNSを一元管理することで、移行やサーバーの変更、そのほかの更新作業を、クライアントのログイン可能なタイミングではなく、準備が整った時点で実行できるワークフローを構築できます。
このアプローチであれば、ドメインの所有権は引き続きクライアント側に保持されたまま、レジストラへのアクセスに依存することなく、すべてのサイトで一貫した方法でDNSを管理できます。クライアントサイトが増えるほど、この一貫性の価値はさらに高まります。
設定方法についてサポートが必要な場合や、DNS構成に関して、ご質問がありましたら、Kinstaのカスタマーサポートまでお気軽にお問い合わせください。