WP EngineとKinstaの比較
WP Engineは、マネージドWordPressホスティング業界におけるパイオニアとして知られています。長きにわたり業界を牽引する存在ですが、マネージドホスティングソリューション市場が進化を遂げる中、様々なユースケースや要件が生まれています。こちらのページでは、WP EngineとKinstaのWordPress専用マネージドホスティングの機能や特徴を詳しく比較します。ホスティング選びの参考になりましたら幸いです。
WP Engineの概要
WP Engineは、2010年に米国テキサス州で誕生したプレミアムマネージドホスティング。その名の通り、WordPress(WP)サイト、アプリケーションに最適化されたホスティングサービスを提供しています。Google Cloud Platformのみを採用し、24時間年中無休で利用可能なカスタマーサポートや、60日間の返金保証などの利用者を考慮した機能も充実しています。
Google Cloud Platformのみの採用は、KinstaとWP Engineの共通点。両者の大きな違いとしては、Kinstaでは、コンピューティング最適化VM(C3DおよびC2)やプレミアムティアネットワークなどのGoogle最高クラスの製品がすべてのプランで利用できるのに対し、WP Engineでは、上位のPremiumプラン、または専用カスタムプランのみで利用できる点にあります。
また、WP Engineでは、ステージング環境が利用プランの総ディスク容量に加味されます。一方Kinstaでは、より多くの容量を提供できるよう、ステージング環境分は毎月のプランのディスク容量に加味されることはありません。さらにディスク容量が必要になれば、プランをアップグレードすることなく、費用対効果の高いディスク容量アドオンを購入することも可能です。
WP EngineとKinstaの機能
それでは、WP EngineとKinstaの主な機能を早速比較してみましょう。
Kinsta | WP Engine | |
---|---|---|
エンジニアによる無料サイト移行 | ✓ (すべてのプラン) | X |
無料のCloudflare統合 | ✓ | X |
プランの種類 | 22 (+カスタムプラン) | 10 (+カスタムプラン) |
24時間年中無休のサポート | ✓ (ライブチャット、メール) | ✓ |
無料のDDoS対策 | ✓ | X |
内蔵エッジキャッシュ | ✓ (世界260+以上のPoP) | 表記なし |
コアインフラ | Google Cloud Platform | プランにより異なる |
稼働状況監視 | ✓ (3分ごと) | X |
グローバルデータセンター | 東京と大阪を含む37箇所 (サイト毎に選択可能) | 東京を含む14箇所 |
プラン価格 | 35ドル〜/月(約5,450円〜) [2024.11.14時点] | 20ドル〜/月 |
初月無料 | ✓* | X |
返金保証 | 30日間 | 60日間 |
PHPバージョン | PHP 7.4, 8.0, 8.1, 8.2, 8.3, 8.4 | PHP 7.4, 8.2 |
無料のCloudflareファイアウォール | ✓ | X |
無料のSSL証明書 | ✓(Cloudflare─ワイルドカード対応) | ✓(ワイルドカード非対応) |
無料APMツール | ✓(Kinsta APM) | 有料サイト監視(5ドル〜) |
Early Hints | ✓ | X |
マルチサイト | Single 35kを除くすべてのプランで利用可 | Growthプラン(115ドル/月)以上で利用可 |
無料IPジオロケーション | ✓ | 有料アドオン (40ドル/月) |
リバースプロキシ | ✓ | X |
パフォーマンス分析 | ✓ | 一部プランのみ |
Redisアドオン | ✓ | X |
New Relic | ✓(要ライセンス) | 一部プランのみ |
多言語対応 | 日本語、英語、スペイン語、ドイツ語、オランダ語、ポルトガル語、イタリア語、フランス語、スウェーデン語、デンマーク語 | 英語のみ |
WP EngineとKinstaの機能の違いを解説
上記の表からもわかる通り、掘り下げて比較してみると、両者にはさまざまな違いがあります。以下、その違いをさらに詳しくご紹介します。
- Kinstaでは、Googleのグローバルネットワークで37箇所のデータセンター、WP Engineでは14箇所のGoogle Cloudデータセンターを提供しています。日本国内においては、Kinstaでは東京と大阪の2箇所、WP Engineでは東京の1箇所を選択できます。なお、WP Engineでは、一部データセンターの利用に追加料金が発生するため、事前に確認しておくことをお勧めします。
- Kinstaでは30日間、WP Engineでは60日間の返金保証が用意されています。じっくりと性能を試したいという方には、60日間という長期の返金保証期間は利点になるかもしれません。
- Kinstaではプランを問わず、サポートされているすべてのデータセンターでGCPの最速サーバーC3D、またはC2 VMを使用することができます(自社テストの結果、C2仮想マシンは、GCPの下位層のマシンに比べて最大200%高速、C3Dマシンではさらに20〜50%応答時間が向上)。WP Engineは、上位プランで同じC2仮想マシンを利用できますが、ベーシックなプランを検討している場合は、C2よりも下位のサーバーを使用することになります。
- WP Engineでは、1サイトにつき月額30ドルでGlobal Edge Securityアドオンを別途購入すると、ファイアウォールを実装することができます。Kinstaでは、すべてのプランにエンタープライズレベルのファイアウォールとDDoS対策を備えた、Cloudflare統合がデフォルトで付帯しています。
- WP Engineは、CDNサービスの提供にStackPath(旧MaxCDN)を採用しており、約50のPOP(Point of Presence)があります。KinstaのCDNは、Cloudflare統合と100ヶ国以上、約300都市にまたがるグローバルネットワークを使用。世界中の顧客の近くにあるCloudflareサーバーから、サイトのコンテンツを超高速で配信可能。すべてのプランで無料で利用できます。
- Kinstaのすべてのプランには、独自開発されたアプリケーションパフォーマンス監視(APM)ツールが付帯しており、WordPressサイトのパフォーマンスの問題をデバッグするのに有用です。WP Engineには、無料のAPMツールは組み込まれていませんが、代替ツールとして、サイト監視ツールを月額4ドルから購入することができます。
- Kinstaでは、すべてのサイトでMySQL最適化が自動的に24時間実施され、データベースのパフォーマンスが常に最適化されます。これは、WP Engineにはない機能です。
- Kinstaのカスタマーサポートは、WordPressに精通したエンジニアのみで構成。すべてのユーザーに24時間年中無休のライブチャットを提供し、平均応答時間は約2分以内を記録しています。また、営業時間内には日本語をはじめとする多言語でのサポートも受けることができます。WP Engineもまた、24時間年中無休のカスタマーサポートを提供しています。WP Engineのサポートの注意点としては、階層型のサポートシステムを採用しているため、複数のスタッフとのやりとりが必要になる可能性があること、また完全に英語でのコミュニケーションとなることが挙げられます。
- 他社からのサイト移行は、WP Engineの場合、DIYプラグインを使用して自分で作業を行うことになります。Kinstaでは、サイト移行専門のエンジニアが無料で移管作業を代行するため、ベストプラクティスに従い安全にサイトが移行されます。
- Kinstaは、訪問回数のみに基づいたシンプルな価格設定を用意しています。WP Engineは、すべてのプランで総訪問数と帯域幅の制限が設定されているため、月々の費用の見積もりがやや難しくなる可能性があります。
- Kinstaには自己修復PHP機能があり、すべてのサイトで毎日3分ごとに稼働状況監視が行われます。WP Engineのサイト監視は、PremiumとEnterpriseプランでのみ利用可能です。サイトのダウンを瞬時に把握するためには、サードパーティの監視ツールの購入が推奨されます。
- Kinstaでは、常に最新バージョンのPHPをサポートし、ステージング環境では異なるバージョンをサポートしています。また、数回のクリックでバージョン変更可能です。WP EngineにもPHPのバージョン変更機能があります。
- Kinstaならではの特徴として、専用コントロールパネル「MyKinsta」から、データベースの検索と置換、APMツール、ジオロケーションIP、ionCube Loader、PHPエンジンなど、サイト管理に便利なさまざまな機能を使用することができます。
- WP Engineには、自動、システム生成、手動、ダウンロード可能なバックアップがあります。Kinstaでは、毎日の自動バックアップ、毎時(任意)、手動、システム生成、ダウンロード可能、そして、Amazon S3またはGoogle Cloud Storageに自動送信される外部バックアップの6種類が利用可能です(時間単位および外部バックアップは有料アドオン)。
- Kinstaの開発者や代行業者向けローカル開発ツール「DevKinsta」を利用すると、ローカルにプロジェクトを複製して開発し、Kinstaの本番サイトに更新を反映することができます。DevKinstaは、WordPressのマルチサイトにも対応しています。WP Engineは、Localと互換性がありますが、LocalとWP Engine(または他のリモートホスティング)間でサイトを移動するために必要なLocal Connect機能は、現時点でマルチサイトに対応していません。このため、Localでのマルチサイトのインポートやデプロイには、やや手間がかかります。
- WP Engineでは、WordPressのリビジョンが無効化され、wp-config.phpまたはphp.iniで有効化することができません。Kinstaでは、Google最速のC3DおよびC2マシンにより、ブロガーやパブリッシャーに有用なリビジョンなどのWordPressコア機能が無効になることはありません。
Kinstaの高性能ホスティング
2013年創業に創業したKinstaは、WordPress専用マネージドホスティング、静的サイトホスティング、およびアプリケーション&データベースホスティングを提供しています。Google Cloud Platform最速のC3DおよびC2仮想マシンを採用し、業界最高水準の速度、パフォーマンス、拡張性にこだわったインフラストラクチャが強みです。受賞歴を誇る高性能コントロールパネル「MyKinsta」や、世界37箇所のデータセンター、高性能CDN、エンジニアによる24時間年中無休体制のサポート、高度なセキュリティ保持誓約など、サイト運営の負担を軽減する数々の機能を追加料金なしでご利用いただけます。
また、Kinstaは堅牢なセキュリティ手順を確立し、長期にわたってこれに遵守していることを証明する、SOC2報告書の受領、およびISO認証の取得を行っています。Kinstaのセキュリティおよび信頼性の詳細はこちらをご覧ください。
まとめ
世界を視野に入れたオンラインプレゼンスの確立や、さらなるサイト速度とパフォーマンスの最適化、あるいは年中無休の手厚い技術的なサポートを求めている方は、サイト運営の負担を軽減する、KinstaのWordPress専用マネージドホスティングをぜひお試しください。無料のサイト移行サービスで、他社からの乗り換えも非常に簡単です。
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