ランタイムは、洗練されたウェブアプリケーションを構築する上で便利なツールです。プロジェクトに適したものを選ぶことで、デプロイのゴールに素早く到達することができます。選択肢の中では、DenoとNode.jsがJavaScriptとTypeScriptの開発で最有力候補でしょう。
2009年に登場したNode.jsは、ドキュメントやコミュニティサポートなど、確立されたエコシステムを誇ります。一方、Denoは2018年にリリースされたため、比較的初期段階にあるものの、Node.jsとの相関性など、大いに検討する価値のある選択肢となっています。
この記事では、これら2つのランタイムを比較し、賢い判断を下せるように長所、短所、使用例をご紹介します。
DenoとNode.jsを理解する
Node.jsは、C++で書かれ、V8エンジン上に構築されたクロスプラットフォーム、オープンソースのJavaScriptランタイムです。開発者のRyan Dahl氏が2000年代後半に開発者コミュニティに導入して以来、世界で最も人気のあるウェブ開発ランタイムの1つとなっています。
DenoはNode.jsの直接の後継ではないものの、これもDahl氏の発明のひとつです。実際、同氏は、Node.jsの欠点を解決するために、Denoを設計しています。Denoは、各モジュールが隔離されたサンドボックスで実行される、安全なモジュラーアーキテクチャを特徴とします。このユニークなモジュールローディングシステムは、npmのようなパッケージマネージャの代わりにURLベースのインポートを使用し、インポート時に各モジュールをキャッシュすることで、その後の起動が高速になります。
DenoとNode.jsの比較
ランタイムを選択する際には、プロジェクトの要件と各オプションを比較することから始める必要があります。このセクションでは、DenoとNode.jsの類似点と相違点を概説します。
セキュリティ
Dahl氏は、デフォルトでセキュアになるようにDenoを設計しました。ネットワーク、ファイルシステム、および環境変数などのシステムリソースにアクセスするのに明示的なパーミッションフラグを必要とします。
一方、Node.jsは、明示的なパーミッションを要求する代わりに、システムリソースへのデフォルトアクセスを許可する、より制限の緩いセキュリティモデルになっています。このモデルは柔軟性を高め、開発を容易にする一方で、必要な予防措置(アクセス管理やユーザー入力の検証など)をすべて実装しなければ、セキュリティ侵害の可能性が高くなります。
TypeScriptサポート
DenoはネイティブでTypeScriptをサポートしており、追加のツールやプラグインを必要とせずに、TypeScriptコードを直接記述して実行することができます。この機能により、別のビルドプロセスを構成する必要がなくなり、時間と労力を節約し、コードを書くことに集中できます。
Node.jsアプリケーションでもTypeScriptを使用することはできますが、追加のツールとセットアップが必要です。コンパイラのインストールやビルドパイプラインの設定は、特に経験の豊富でない開発者にとっては難しく、時間がかかることがあります。
さらに、コンパイラの更新によってビルドパイプラインの変更が必要になることもあり、メンテナンスの問題が発生する可能性もあります。
依存関係の管理
DenoはURLベースのインポートを使用するため、npmのような別のパッケージマネージャを必要としません。Denoを使用すると、モジュールを個別にダウンロードしてインストールすることなくURLから直接インポートできます。
対照的に、Node.jsは依存関係の管理にnpmとpackage.jsonファイルを使用しています。このファイル内でプロジェクトの依存関係が網羅されることで、他の開発者が自分のシステム上でプロジェクトをセットアップして実行するのが簡単になります。しかし、このプロセスは、特にパッケージが進化するにつれて、依存関係の衝突やバージョンの問題につながる可能性があります。
標準ライブラリとAPI
Denoには、一般的なタスクに不可欠なツールや関数を支える標準ライブラリが組み込まれています。その結果、サードパーティライブラリをインストールして設定することなく、アプリケーションの基本機能をセットアップすることができ、より一貫性のあるAPIを確保することができます。また、コードの質と一貫性を維持するリンター、フォーマッタ、およびテストライブラリも含まれています。
しかし、新しいツールであるため、Denoのエコシステムはまだやや限られています。基本的な機能はすべてあるものの、高度な機能については、ゼロから構築するか、あまりテストされていないサードパーティライブラリに頼る必要があるかもしれません。
Node.jsの組み込み標準ライブラリはより限られており、そのAPIは発展途上です。これらの制限により、基本的なタスクを実行するためにサードパーティのツールを使用する可能性があり、その結果、機能やデザインに問題が生じることも考えられます。
Denoの長所と短所
次のプロジェクトにDenoを使用することを考えているのであれば、何がDenoを際立たせているのか理解しておきましょう。以下は、Denoランタイムエンジンの主な長所と短所です。
長所
- セキュリティ強化性能
- TypeScriptのネイティブサポート
- 簡素な依存関係管理
- 組み込み標準ライブラリ
全体として、Denoはサードパーティのライブラリやツールに依存することなく、セキュアで保守性の高いコードを簡単に書くことができます。
短所
- エコシステムとコミュニティの規模の小ささ
- サードパーティライブラリのサポートが限定的
- 特定の概念やプラクティスを学び直す必要性
Denoの言語と基礎となるアーキテクチャを理解するためにさらに時間を要する可能性があり、学習に時間がかかるかもしれません。
Node.jsの長所と短所
他のテクノロジーと同様に、Node.jsにも長所と短所があります。両方を詳しく見てみましょう。
長所
- 成熟し、確立されたエコシステム
- 大規模なコミュニティと広範なライブラリサポート
- 様々な業界やプロジェクトでの実績
Node.jsには10年以上の歴史があり、多くの企業が主要な開発プラットフォームとして採用しています。その大規模な開発者コミュニティは、ライブラリ、ツール、フレームワークの強固なエコシステムと言えるでしょう。npmウェブサイトは、Node.jsを対象とした100万以上のサードパーティライブラリを誇り、特定のプロジェクトに適したツールを簡単に見つけることができます。
短所
- 潜在的なセキュリティ上の懸念
- TypeScriptのネイティブサポートがない
- 一貫性のないAPIとビルトイン標準ライブラリの欠如
Node.jsには利点がある一方で、その制限の緩いセキュリティモデルとサードパーティライブラリへの依存はリスクを伴う可能性があります。
DenoとNode.jsの使用例
万能のランタイムはありません。プロジェクトに適した選択は、プロジェクト自体によって異なります。Node.jsとDenoの最も一般的な用途を理解し、どちらがプロジェクトの要件に最も適しているかを判断しましょう。
Denoの使用例
Denoは、追加パッケージをインストールする必要のない、強固なセキュリティモデルを特徴とします。その機能により、セキュリティを優先する小規模から中規模のプロジェクトに有用です。また、TypeScriptをネイティブでサポートしているため、TypeScriptに特化した環境での作業を好む開発者にとっても優れた選択肢となります。
最後に、Denoは依存関係をほとんど必要とせず、組み込みの標準ライブラリを活用するプロジェクトに向いています。DenoのURLベースのインポートは、パッケージマネージャの必要性を排除するもので、合理的な開発プロセスを望む開発者と相性が良いでしょう。
Node.jsの使用例
人気のランタイムとして、Node.jsには実績も広範なライブラリサポートもあります。コミュニティが確立されており、長期にわたってアプリケーションを構築するために必要なリソースが手に入るはずです。
次のような用途に向いています。
- 大規模、エンタープライズレベルのプロジェクト
- 幅広いサードパーティツールに依存するアプリケーション
- エコシステムの成熟度と安定性が重要な要素となるプロジェクト
まとめ
JavaScriptまたはTypeScriptのランタイムを選択する際には、プロジェクトの目標、要件、優先順位、制約を考慮することが不可欠です。DenoとNode.jsはどちらも強力で人気のある選択肢。しかし、それぞれに得意、不得意なことがあります。
DenoはNode.jsの多くの欠点を解決するもので、ネイティブでのTypeScriptサポート、高いセキュリティ、組み込み標準ライブラリを特徴とします。しかし、そのサードパーティライブラリはまだ成長段階にあります。対照的に、Node.jsは多くの開発者や組織が信頼する、より馴染みのある選択肢でしょう。Node.jsにこだわるとしても、Denoの人気が今後高まっていくのは目にすることになるはずです。
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