GitHubは、コードの保存・共有プラットフォームとして、長年多くの開発者に利用されています。GitHubでコードリポジトリを作成することで、他の開発者と共同でオープンソースプロジェクトに取り組むことができます。とはいえ、そんなGitHubには本当に利用する価値があるのか、疑問に抱いている方もいるかもしれません。今回はそんな疑問にお答えするべく、GitHubの統計データをご紹介。具体的な数字を通して、GitHubの利用状況や可能性、そして今後の動向を紐解きます。
GitHubの統計データ(要約)
- 年間定期収益は10億ドル
- 世界中でおよそ1億人の開発者がGitHubを利用しており、特に米国、インド、中国からの利用者が多い
- 2022年には、4億1300万件以上のオープンソースコントリビューションを達成
- フォーチュン100社の90%以上がGitHubを採用
- 2022年には、GitHub上でのソフトウェア構築に約500の言語が使用されている(一番人気はJavaScript)
利用状況
統計データをご紹介する前に、GitとGitHubの違いを理解しておきましょう。Gitは開発者向けのバージョン管理ソフトウェア。変更内容を記録したり、プロジェクトの前の段階に復元したりすることができます。
GitHubは、Gitを使う開発者同士の共同作業を支援するプラットフォームです。1つの開発プロジェクトに複数人で取り組んだり、他のチームメンバーが加えた変更点をリアルタイムで確認したりすることができます。
GitHubの利用状況に関する主な統計データは以下のとおりです。
- 2022年には、コミット、イシュー、プルリクエストなどによりコントリビューションが35億件を超える。
- プライベートリポジトリのコントリビューションは、2021年と比較して約38%増。
- 2022年は、脆弱性のあるパッケージの更新が前年比で50%増え、GitHub上の1,800万のプロジェクトで安全性が確保された。
- GitHub Copilotを利用している開発者のうち88%が、生産性の向上と開発作業の高速化に役立っていると回答。
GitHub Copilotは、自然言語でコードの提案や関数を生成するAIツール。実現したいことを伝えるだけで、その関数を作成するために必要なコードを提供してくれます。
この機能がGitHubの人気の秘密と言っても過言ではなく、GitHubの利用者数はBitbucketやGitLabを凌ぎます。Bitbucketの利用者数はおよそ1,500万人、GitLabの利用者数は3,000万人以上です。
もう一つのGitHubの強みはGitHub Pages。これは、リポジトリから直接静的サイトをホストできるサービスです。
加えて、GitHubは安全性が非常に高く、プラットフォームへのアクセスにはSSH鍵の生成が必要になります。
トラフィック
先に挙げたとおり、世界中の何百万人もの開発者がGitHubを利用していますが、トラフィックと利用者の行動をもう少し掘り下げてみましょう。 HypeStat(サイトのトラフィックやパフォーマンスを分析するサイト)でGitHubを検索した結果は以下のとおりです。
- インターネット利用者の約1.5%がGitHubにアクセスしている
- 1日の訪問者数は約1,400万人、ページインプレッション数は9,641万9,713
- 米国、中国、インドからの利用者が多い
- 訪問者は平均7ページ、およそ7分間GitHubを利用している
以上のような統計データから、GitHubのエンゲージメント率が高いことがわかります。また、直帰率はわずか37.30%です。
これらの指標は、このプラットフォームの協調的な性質を反映しており、開発者同士がコミュニケーションを取り、様々なプロジェクトに多くの時間を費やしていることがうかがえます。
利用者
GitHubは世界中の開発者に愛用されており、以下のような利用者の地域別内訳が発表されています。
- 2022年の新規ユーザー数は2,050万人で、中国、ブラジル、インドの利用者が急増。
- インドにはGitHub最大の開発者コミュニティがあり、利用者数は900万人を超える。
- アジア太平洋地域、アフリカ、南米、ヨーロッパでの利用者の増加率が最も高い。
また、GitHubは利用者の使用言語に関するインサイトも公表しています。
- プログラミング言語ベスト3は、JavaScript、Python、Java。
- PHPの人気がやや衰え、2022年には6位から7位に下降。
- Hashicorp Configuration Language(HCL)は最も急成長を遂げ、使用率は56.1%増。
- Rustも安全性と信頼性の高さから50%以上の伸び率を記録。
- Pythonも年間22.5%増と人気を伸ばしている。
以下のグラフは、GitHubで最も人気のあるプログラミング言語、およびここ数年間の利用状況を示しています。
機械学習の普及から、将来的にはPythonが最も主要な言語になる可能性が高いとされています。
従業員
続いて、GitHubの会社概要を見てみます。Craftによると、GitHubの従業員数は約5,595名。また、以下のような詳細な従業員の内訳も公表されています。
- 2022年では、GitHub従業員の女性の割合が40%以上増加し、シニアリーダーの23.6%を占める
- 黒人の従業員数は60.3%、ラテン系の従業員は25.5%増加
- アジア系は15.6%、その他の人種は4.7%
以上のような統計から、GitHubがダイバーシティ採用に力を入れていることがうかがえます。
収益
2018年、Microsoftに75億ドルで買収されたGitHubは、現在年間およそ10億ドルの経常収益を生み出しています。サブスクリプションプランとサードパーティ製アプリの販売手数料が主な収入源です。GitHubには、Free(無料)、Team、Enterpriseの3種類のプランがあり、本記事執筆時点では、GitHubのTeamプランは1ユーザーあたり月額3.67ドルから利用できます。
複雑な開発プロジェクトを抱える企業向けのEnterpriseプランは、1ユーザーあたり月額19.25ドルから。
人気リポジトリ
リポジトリには、プロジェクトに関連するすべてのファイルと、各ファイルのリビジョン履歴が格納されます。GitHubユーザーは、リポジトリを通してプロジェクトを管理することができます。リポジトリによっては、2万人もの貢献者を抱えるものも。GitHubで最も人気のあるオープンソースプロジェクトは以下の5つです。
- microsoft/vscode:Microsoftによって作成された、Visual Studio Code製品の開発に特化したリポジトリ
- home-assistant/core:ローカルコントロールとプライバシーを最優先したホームオートメーションソフトウェアのリポジトリ
- flutter/flutter:モバイルやウェブアプリ用の優れたユーザー体験を構築するためのGoogleのSDK「Flutter」のリポジトリ
- MicrosoftDocs/azure-docs:Microsoft Azureのオープンソースドキュメント
- microsoft/PowerToys:パワーユーザーがWindowsエクスペリエンスを効率化するためのユーティリティセット
上位のプロジェクトのほとんどは、GoogleやMicrosoftなどの大企業によるものです。
スター数とフォーク数
GitHubのスター数とフォーク数も気になるところ。「フォーク」とは、既存リポジトリのコピーすることを意味します。プロジェクトをフォークすることで、自分のGitHubアカウントにコピーでき、元のリポジトリに影響を与えることなくプロジェクトに変更を加えることができます。 以下は、GitHubで最もフォークされているプロジェクトです。
スターとは、お気に入り機能のようなもので、ユーザーが評価したプロジェクトに与えることができるものです。スター数が最も多いプロジェクトは、以下のとおりです。
ユーザーがリポジトリにスターをつける理由は様々ですが、スター数が多いプロジェクトは、質が高く有用なコンテンツを持っているのが通例です。
今後の見通し
最後に、GitHubの将来性についても触れておきます。ここまででご紹介した統計データを踏まえると、以下のようなことが推測されます。
- フォーチュン100社の90%がGitHubを採用していることから、今後もオープンソースプロジェクトに投資する企業が増加する。
- home-assistant/coreのようなプロジェクトの著しい成長は、ホームオートメーションソフトウェアに対する開発者の関心が高まっていることを示唆する。
- GitHub全体におけるPythonの使用率は、年間22.5%増を記録しており、機械学習の普及から今後さらに増える可能性が高い。
- コントリビューター数が最も多いプロジェクトは、microsoft/vscode、flutter/flutter、vercel/next.jsなど、ほとんどが企業主導のプロジェクト。多くの企業が成長と知名度を高めるため、世界中の開発者とのコラボレーションにGitHubを使用し続けることがうかがえる。
また、中国とインドは近い将来、米国に匹敵するほどの開発者人口の増加が予想されます。また、アフリカ大陸の開発者コミュニティと比較し、アフリカ大陸に多くの企業が投資していることから、同地域での開発者コミュニティも拡大していく可能性があります。
まとめ
今回ご紹介した統計データから、GitHubは今後も多くの開発者に利用される可能性が高いことがわかります。世界中の何百万人もの開発者、そして何百もの企業がオープンソースプロジェクトの開発にGitHubを利用しています。Kinstaでは、主要なプログラミング言語とフレームワークを幅広くサポートするアプリケーションホスティングとデータベースホスティングを提供しています。GitHubとの接続も簡単で、プロジェクトのデプロイを自動化も可能。GitHubを使ったウェブ開発プロジェクトに、Kinstaをぜひご利用ください。
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