WordPress 5.4は2020年3月31日リリース予定です。現在WordPress 5.4 RC 5になっており、これ以上のコミットや新機能のリクエストは追加できません。
それでは、WordPress 5.4の興味深い新たな機能と変更点について詳しくご紹介します。
何よりもまず、WordPress 5.4ではブロックエディターに多くの機能、改善、バグ修正がなされ、グーテンベルクプラグインのかなりの数のバージョンがコアに統合されました。この変更は、機能とUIの両方に影響を与え、エディターのアクセシビリティ、使いやすさ、そして全体的な編集のしやすさを向上させています。
WordPress 5.4ではエディターの他に、サイトヘルスツールとREST APIに興味深い改善が導入されていますが、WordPress 5.4に期待されていたいくつかの機能は延期されており、WordPress 5.5のリリースでコアにバンドルされるはずです(画像のネイティブ読み込み遅延とナビゲーションブロックをご参照ください)。
WordPress 5.4 Development Cycleの次の日付とリンクを保存しておくことをお勧めします。
- 2020年2月11日: Beta 1
- 2020年2月18日: Beta 2
- 2020年2月25日: Beta 3
- 2020年3月3日: RC 1
- 2020年3月10日: RC 2
- 2020年3月17日: RC 3
- 2020年3月24日: RC 4
- 2020年3月27日: RC 5
- 2020年3月30日: リリース予行演習
- 2020年3月31日: WordPress 5.4リリース予定日
さあ、それでは、WordPress 5.4で何が新しくなったのか見てみましょう。
ブロックエディターの変化
かなりの数のグーテンベルクプラグインバージョンがコアに統合されました(6.6〜7.5)。グーテンベルクプラグインを使用していない場合には、WordPress 5.4にアップグレードすることで、大量の新しい機能、改良、バグの修正を目にすることになるでしょう。
しかしエディターの変化は、ブロックや機能にとどまりません。全体的なパフォーマンスの改善も見られます。
ブロックエディターを担当するチームは、WordPress 5.3から、かなりのボリュームの投稿(〜36,000文字、〜1,000個のブロック)について14%の読み込み時間の短縮、51%のタイピングまでの時間の削減に成功しています。
素晴らしいニュースが盛りだくさん。詳細に迫りましょう。
ブロックエディターの最新機能と改善点
誰もがブロックエディターがいまだに開発段階にあることを承知しているでしょう。しかしながら、WordPress 5.4では、幾つもの変更と改善がなされ、デスクトップとモバイルの両方でエディターの使いやすさが向上しています。
そんな変更の一部は、デフォルトで有効化されるフルスクリーンモード、改良型ブロック選択、編集モードと選択モードの簡単な切り替え、固定モバイルツールバー、ブロックナビゲーションのパンくずリストなどなど、インターフェースに大きく関係しています。さらに、2つの新しいブロックと追加のオプション設定により、エディターにさらに多くの機能が追加されました。
WordPress 5.4搭載の、注目のブロックエディターの機能と改善点を簡単にリストでご紹介します。
- 新しいソーシャルアイコンブロック
- 新しいボタンブロック
- ウェルカムガイドモーダル
- デフォルトでフルスクリーンモードが有効に
- リッチテキストブロックでのインラインテキストカラーのサポート
- 複数のブロックでの色の選択肢の追加
- 最新の記事ブロックにおけるアイキャッチ画像
- ブロックナビゲーションのパンくずリスト
新しいソーシャルアイコンブロック
最初はソーシャルリンクと呼ばれていたソーシャルアイコンブロックを使うと、リンク付きのアイコンをソーシャルプロフィールにすばやく追加でき、さらに豊富な数のソーシャルアイコンの子ブロックから選択できます。このブロックはしばらく実験的に導入されてきたもので、グーテンベルク7.5以降は安定しています。
ソーシャルアイコンブロックには、デフォルト、ロゴのみ、楕円形という、3つのスタイルが用意されています。
これはグーテンベルク6.5で実験的な機能として最初に導入され(そしてWordPress 5.3に統合された)、ソーシャルアイコンがグーテンベルク7.5に追加され、古いバージョンのグーテンベルクプラグインを使用している場合には、期待どおりに機能しない可能性があります。
Jorge Costa氏によると、ソーシャルアイコンの問題を回避する方法は2つあります。
- ソーシャルアイコンを含むコンテンツを手動で移行する:WordPress 5.4に更新し、投稿をブロックエディターで読み込み保存します。これで、ソーシャルアイコンは自動的に新しいバージョンに移行されます。
- WordPress 5.4更新時にグーテンベルクプラグインをインストール状態のままにする:このプラグインには下位互換性があり、問題は発生しないはずです。
新しいボタンブロック
グーテンベルク7.2のブロックエディターで追加されたボタンブロックは、今までの単一のボタンのブロックに取って代わるかたちになりました。これでブロックコンテナー内コンテンツに多くのボタンが追加できます。
ボタンには2つのプリセットスタイルと、ボタンの外観をさらに微調整するためのオプションがあります。
WordPress 5.4には、詳細なカスタマイズの出発点として使用できるグラデーションプリセットがいくつも付属したグラデーション背景が追加されています。これで、サイト所有者はコール・トゥー・アクションの見た目と感覚をより詳細に制御できます。
ウェルカムガイドモーダル
WordPress 5.4には、新しいウェルカムスライドショーが追加されています。ブロックエディターに関する基本情報とオンラインドキュメント(グーテンベルク7.1で追加)へのリンクが確認できます。
モーダルは、5.4に更新した直後にのみ表示されます。もう一度表示するには、右上のボタンから「ツール」メニューの項目にある「ウェルカムガイド」をクリックします。
デフォルトでフルスクリーンモードが有効に
WordPress 5.4以降、新しいWordPressインストールデータとデバイスでは、エディターはデフォルトでフルスクリーンモードで開きます。下の画像にあるように「ツール」メニューから「フルスクリーンモード」のオン/オフを切り替えることができます。
現時点では、この設定はローカルに保存されています。つまり、シークレットモードでウェブサイトにアクセスする時など、設定が変更されるたびに上書きされます。将来的には、この設定はデータベースに保存され、ユーザーの選択はどのコンテキストにも反映されるようになります。
エディターをデフォルトでフルスクリーンモードにするという決定は、初心者などのユーザーを混乱させる可能性があると考えられ、満場一致での賛同は得られていません。全画面モードに関する懸念の声について詳しく知りたい方は、この投稿のコメントをご確認ください。
ブロックエディター開発者であれば、たった数行のJavaScriptの記述でプログラムを使用してフルスクリーンモードを制御できます。
const isFullscreenMode = wp.data.select( 'core/edit-post' ).isFeatureActive( 'fullscreenMode' );
if ( isFullscreenMode ) {
wp.data.dispatch( 'core/edit-post' ).toggleFeature( 'fullscreenMode' );
}
リッチテキストブロックでのインラインテキストカラーのサポート
長文の記事を書く時に、インラインテキストカラーのサポートはありがたいものです。このアップデートが適用される前は、リッチテキストブロックをHTMLモードでいちいち編集し、単語や文章の色を変更する必要がありました。
WordPress 5.4以降では、リッチテキストブロック内の単語や文章を選択して、ビルトインのカラーピッカーを使用して色をすばやく変更できます。
複数のブロックでの色の選択肢の追加
WordPress 5.4では、色に関連する様々な機能と機能拡張がブロックエディターに追加されています。上記のように、単色に限定されません。いくつかのブロックでは、グラデーションの背景と設定済みのグラデーションのパターンをサポートするようになりました。
以下に、色に関連した機能の強化の概観をご紹介します。
- ボタンブロックによるグラデーション背景のサポート(グーテンベルク7)
- カバーブロックによるグラデーション背景のサポート(グーテンベルク8)
- グループブロックによるテキストカラーのサポート(グーテンベルク4と7.5):内包されるブロックが、親のグループブロックからテキストの色を継承できるようになりました。
- 列ブロックにおけるテキストと背景の色のサポート(グーテンベルク4と7.5)
最新の記事ブロックにおけるアイキャッチ画像
ブロックエディターのもう1つの注目すべき変化として、最新の記事ブロック(グーテンベルク7.5)でアイキャッチ画像がサポートされるようになりました。
これは、最新の記事ブロックに追加されたいくつかの改良点のうちの最新のものであり「より複雑な動的・グローバルブロック」 への一歩となっています。
WordPress 5.4では、最新の記事ブロックを使用して特定のカテゴリの投稿を表示できますが、カテゴリ/タグ/投稿タイプによる高度なクエリを作成したり、特定の投稿を含めたり除外したりすることはできません。
将来的には、このブロックのさらなる機能の強化が期待されます。
ブロックナビゲーションのパンくずリスト
この新しいパンくずリストは、バージョン6.7以降、グーテンベルクユーザーが利用してきたもので、現在はコアに統合されています。入れ子構造のブロックをよりシンプルに操作できるようにするためのものです。
下の画像は、入れ子構造のブロックと下部に表示される新しいパンくずリストを示しています。
テーマ・ブロック開発者向けのブロックエディターの変更点
テーマとブロックの開発者は、WordPress 5.4でブロックエディターに加えられた多くの変更に注意する必要があります。その変更とは次のとおりです。
ブロックエディタのキーボードショートカット
ブロック開発者や技術面に精通したユーザーは、カスタムショートカットをブロックエディターに追加できるようになりました。
エディターのショートカットの登録、削除、ドキュメントを一元化するために、 @wordpress/keyboard-shortcuts
という新しいパッケージが導入されました。
開発者は、次のようにregisterShortcut
アクションを呼び出すことで、カスタムショートカットを追加できます。
wp.data.dispatch( 'core/keyboard-shortcuts' ).registerShortcut( {
// Shortcut identifier
name: 'plugin/shortcut-test',
// Shortcut category (possible values global, block, selection)
category: 'global',
// Shortcut description
description: 'My first shortcut',
// The key combination that triggers the shortcut
keyCombination: {
// Available modifiers:
// primary, primaryShift, primaryAlt,
// secondary, access, ctrl, alt,
// ctrlShift, shift, shiftAlt
modifier: 'alt',
character: 'w',
},
// An alias for the key combination
aliases: [
{
modifier: 'primary',
character: 'q',
},
],
} );
これにより、エディターの右上隅からアクセスできる「ツール」メニューのショートカットの欄にカスタムショートカットが自動的に追加されます。
次に、 useShortcut
関数を使用してキーボードショートカットのハンドラを設定できます。
import { useShortcut } from '@wordpress/keyboard-shortcuts';
import { useCallback } from '@wordpress/element';
const MyComponent = () => {
useShortcut(
'plugin/shortcut-test',
useCallback(
( event ) => {
// Do something
},
[]
)
);
}
キーボードショートカットの詳細については、 Make WordPress Core blogブログをご覧ください。
グラデーションテーマAPI
WordPress 5.4では、グラデーションの背景、ボタン・カバーブロック用の豊富なプリセットが導入されました。これは、新しいグラデーションテーマAPIのおかげで実現しています。
このAPIには、 editor-gradient-presets
テーマサポートオプションが用意されています。これにより、テーマデベロッパーはデフォルトのプリセットを上書きして独自のプリセットを定義できます。
add_theme_support(
'editor-gradient-presets',
array(
array(
'name' => __( 'CadetBlue to Chartreuse', 'themeLangDomain' ),
'gradient' => 'linear-gradient(135deg,rgba(95,158,160,1) 0%,rgb(127,255,0) 100%)',
'slug' => 'cedetblue-chartreuse'
),
array(
'name' => __( 'Chocolate to Coral', 'themeLangDomain' ),
'gradient' => 'linear-gradient(135deg,rgba(210,105,30,1) 0%,rgba(255,127,80,1) 100%)',
'slug' => 'chocolate-to-coral',
),
array(
'name' => __( 'DarkMagenta to DarkOrchid', 'themeLangDomain' ),
'gradient' => 'linear-gradient(135deg,rgb(139,0,139) 0%,rgb(153,50,204) 100%)',
'slug' => 'darkmagenta-to-darkorchid',
),
array(
'name' => __( 'DeepSkyBlue to DodgerBlue', 'themeLangDomain' ),
'gradient' => 'linear-gradient(135deg,rgba(0,191,255,1) 0%,rgba(30,144,255,1) 100%)',
'slug' => 'deepskyblue-to-dodgerblue',
),
)
);
name
:グラデーションに関する情報を提供するツールチップのラベルです。これは、スクリーンリーダー利用時や、特定の色を区別するのが難しいユーザーにとって特に便利です。gradient
:グラデーションのCSSの値です。slug
:ブロックエディターで使用されるCSSクラスを生成するための識別子です。
disable-custom-gradients
テーマサポートオプションを使用して、カスタムグラデーションを無効にすることもできます。
add_theme_support( 'disable-custom-gradients' );
グラデーション機能は、 disable-custom-gradients
とeditor-gradient-presets
の両方を使用して完全に削除できます。
add_theme_support( 'disable-custom-gradients' );
add_theme_support( 'editor-gradient-presets', array() );
ブロックエディターでのマークアップとスタイルの変更
WordPress 5.4では、テーマ開発者が知っておくべきDOM階層構造の変更が適用されています。
- 従来の
editor
-というクラスプレフィックスはブロックエディタースクリプトから削除され、開発者はblock-editor
-のみを使用すべき状態になりました。 edit-post-layout__content
クラスがブロックエディターのDOMから削除されました。- いくつかの
div
ラッパーが、リッチテキストをはじめとする複数のブロックから冗長として削除されました。この変更により、パフォーマンスが大幅に向上し、DOMツリーが簡素化されます。これは、ブロック・テーマの開発者にとって嬉しいニュースです。 - ブロックのパディングとネガティブマージンが消えました。ブロックスタイルはこれに応じて変更する必要があります。
DOMとCSSの変更の詳細については、WordPress 5.4のマークアップとスタイル関連の変更をご覧ください。
ブロック開発パッケージ
新しい@wordpress/create-blockパッケージの登場で、開発者はブロックエディタープラグインのディレクトリ構造を生成する新たな手法が利用できるようになりました。この構造には通常、index.php、index.js、style.cssが含まれます。
ブロック開発者は、次のコマンドを実行するだけでよくなりました。
$ npm init @wordpress/block block-name
ブロックコレクション
ブロックコレクションは、ブロックエディター挿入画面で複数のブロックを視覚的にグループ化する手段となります。コレクションはカテゴリーとは別の、ブロックをグループ化するための手段です。
新しいAPIにより新しい関数が利用できます。
registerBlockCollection( namespace, { title, icon } );
namespace
:ブロックのプレフィックスと照合されます。title
:ブロック挿入画面に表示されるラベルです。icon
:ブロック挿入画面でタイトルとともに表示されるアイコンです。
この新しいAPIは、グーテンベルク7.3で導入され、現在コアに統合されており、テーマ・ブロックの開発者がブロックをより綺麗に整理することが可能になりました。ユーザーによるブロックの発見や追加が便利になります。
ブロックのバリエーション
Block Variations APIの一連の関数を使うと、開発者は、ユーザーによるブロック追加の際に選択できるブロックのバリエーションを追加、管理、削除できます。新しいバリエーションの登録は非常に簡単です(JSコード)。
wp.blocks.registerBlockVariation( 'core/heading', {
name: 'green-text',
title: 'Green Text',
description: 'This block has green text. It overrides the default description.',
attributes: {
content: 'Green Text',
textColor: 'vivid-green-cyan'
},
icon: 'palmtree',
scope: [ 'inserter' ]
} );
blockName
:ブロックの名前(例:core/heading
)variation
:ブロックタイプのバリエーションを説明するオブジェクトname
:(string) バリエーションの固有の識別子title
:(string) 人間が読むことのできるバリエーションのタイトルdescription
:(string) 詳細な説明[isDefault]
: (boolean) 現在のバリエーションがデフォルトかどうか(規定ではfalse
)[attributes]
:(Object) ブロック属性をオーバーライドする値[innerBlocks]
:(Array[]) 内包されたブロックの初期構成[example]
:(Object) ブロックプレビューの構造化データ(プレビューを無効にするには、undefinedに設定)[scope]
:(WPBlockVariationScope[]) バリエーションが適用されるスコープ(範囲)のリスト(指定しない場合は、使用可能なすべてのスコープが対象となる。利用できるオプション:block
,inserter
)
Block Variations APIの詳細については、PR #20068をご参照ください。
WordPress 5.4で追加されたブロックエディターの新しい機能
WordPress 5.4のコアに組み込まれたその他の注目すべき機能は次のとおりです。
- 編集モードと選択モードを視覚的に切り替えられるメニュー(7.1)
- 表ブロックへのキャプションの追加 (7.1)
- アイキャッチ画像ボックスへの画像のドラッグアンドドロップ(7.1)
- モバイルで表示される固定ブロックツールバー(7.1)
- ギャラリーブロックでの画像サイズ選択 (7.2)
- メディアと文章ブロックでの画像へのリンクの追加(7.2)
WordPress開発者向けの機能と改善
開発者は、WordPress 5.4で追加されたいくつもの新しい機能を活用したいものです。
中でも私たちが注目しているのが以下のものです。
- 意味的に正しいカレンダーウィジェットと新しいCSSクラス
- PHPスクリプトのショートコード
- WordPress 5.4でのファビコン処理の強化
- メニュー項目にカスタムフィールドを追加する新しいフック
- 開発者向けのその他の変更点
意味的に正しいカレンダーウィジェットと新しいCSSクラス
HTML 5.1の仕様により、テーブルにおけるtfoot
要素の使用方法が変更されました。HTML 5.1より前のバージョンでは、 tfoot
要素をtbody
要素の前に置くことができました。それが新しい仕様では一変し、今ではtfoot
はtbody
の後に記述する必要があります。
WordPressカレンダーウィジェットはこれに応じて変化します。WordPress 5.4以降、ナビゲーションリンクはカレンダーテーブルの外のnav
要素に移動します。
これは、nav
があらゆるナビゲーションリンクに適したHTML要素であり、スクリーンリーダーのアクセシビリティ向上に役立つことを考えても、待望の変更点だと言えるでしょう。Mozillaのドキュメントによると以下の通りです。
ドキュメントには複数の
<nav>
要素が含まれることがあります。たとえば、1つはサイトナビゲーション用、もう1つはページ内ナビゲーション用です。そのような場合、 aria-labelledbyを使用してアクセシビリティを向上できます。障がいのあるユーザーを対象とするスクリーンリーダーなどのユーザーエージェントは、この要素を使用して、ナビゲーションのみのコンテンツの最初のレンダリングを省略するかどうかを決定できます。
さらに、ターゲティングを容易にするために、 get_calendar()
に次のCSSクラスが導入されました。
wp-calendar-table
—table
要素wp-calendar-nav
—nav
要素wp-calendar-nav-prev
— 前月のリンク(#prev
IDに取って代わるかたちで利用)wp-calendar-nav-next
— 翌月のリンク(#next
IDに取って代わるかたりで利用)
以下のスニペットは、新しいカレンダーのHTML構造を示したものです。
<div class="widget widget_calendar">
<div class="widget-content">
<div id="calendar_wrap" class="calendar_wrap">
<table id="wp-calendar" class="wp-calendar-table">
<caption>February 2020</caption>
<thead>
<tr><!-- Day names --></tr>
</thead>
<tbody>
<!-- Calendar cells -->
</tbody>
</table>
<nav aria-label="Previous and next months" class="wp-calendar-nav">
<span class="wp-calendar-nav-prev"><a href="http://example.com/?m=201912">« Dec</a></span>
<span class="pad"> </span>
<span class="wp-calendar-nav-next"> </span>
</nav>
</div>
</div>
</div>
テーマ開発者は、これに応じてスタイルシートを変更する必要があるケースもあるでしょう。
PHPスクリプトのショートコード
WordPress 5.4では、 apply_shortcodes()
関数がdo_shortcode()
のエイリアスとして導入され、PHPファイルでショートコードを使用できるようになりました。
セマンティック(正しい意味づけ)の観点からは、関数自体を呼び出すだけで、 do_*
関数の結果を表示することができます。しかし、do_shortcode
の場合はそうではありません。 指定されたショートコードの出力を表示するには、do_shortcode
をechoする必要があります。
// Displays the result of the shortcode
echo do_shortcode( '[shortcode]' . $text . '[/shortcode]' );
WordPress 5.4では、do_shortcode()
と同じように機能するapply_shortcodes()
の導入により、状況が少し変わりました。これにより開発者は、より読みやすく意味的に正しいコードを作成できます。
// Displays the result of the shortcode
echo apply_shortcodes( '[shortcode]' . $text . '[/shortcode]' );
WordPress 5.4 RC 5の段階では、 do_shortcode()
はサードパーティのプラグインで広く使用されているため、廃止される予定はありません。
WordPress 5.4でのファビコン処理の強化
WordPress 5.4では、テーマ開発者がファビコンリクエストをより柔軟に処理できるようになりました。また、いくつかの新しい機能により、robots.txt関連の機能と同じ要領でファビコンを管理できます。Sergey Biryukov氏は以下のように説明しています。
favicon.ico
のリクエストは、do_robots()
を使用してrobots.txt
を扱うのと同じ方法で処理できます。
- 物理ファイルが存在する場合は何もせず、サーバーにリクエストを処理させます。
- それ以外の場合は、フォールバックアイコンを利用します(以下を参照のこと)。
つまり、物理ファイルfavicon.ico
が提供されていない場合、WordPressは以下のような処理をします。
- カスタマイザーにアイコンセットがある場合は、
/favicon.ico
をその特定のアイコンにリダイレクトします。 - アイコンセットがない場合は、WordPressのロゴ(
wp-admin/images/w-logo-blue.png
)が代替案として使用されます。
複数の新しい関数とフックが、対応するrobots.txt
関連の関数とフックを補完しています。
- 新しい
is_favicon()
関数は、is_robots()
を補完します。 do_favicon
アクションは do_robotsを補完し、template-loader.php
がファビコンリクエストを決定する際にトリガーされます。do_favicon()
関数は、do_favicon
アクションにフックされ、do_robots()
を補完します。do_faviconico
アクションは、do_robotstxt
を補完するもので、開発者はデフォルトの動作を上書きできます。
ファビコンの扱いについてはこちらの詳細をご覧ください。
メニュー項目にカスタムフィールドを追加する新しいフック
WordPress 5.4では、開発者は2つの新しいアクションフックを使用して、カスタムフィールドをメニューアイテムに追加できるようになりました。
wp_nav_menu_item_custom_fields
は、ナビゲーションメニューアイテムが管理メニューエディターに追加される直前にトリガーされます。以下の例をご覧ください。
function kinsta_add_menu_item_custom_field() {
echo '<p class="menu-item-custom-field">Hey! This is an example for Kinsta blog readers!</p>';
}
add_action( 'wp_nav_menu_item_custom_fields', 'kinsta_add_menu_item_custom_field' );
この新しいアクションフックには、カスタムフィールドの動作を微調整するための5つのパラメーターをサポートしています。
$item_id
:メニュー項目のID (integer)$item
:メニュー項目のデータオブジェクト(object)$depth
:メニュー項目の階層の深さ (integer)$args
:メニュー項目引数のオブジェクト(object)$id
:ナビゲーションメニューのID (integer)
wp_nav_menu_item_custom_fields_customize_template
はwp_nav_menu_item_custom_fields
と同じように機能しますが、カスタマイズ画面、ナビゲーションメニュー項目のフォームフィールドテンプレートの最後でトリガーされます。下の画像は、WordPress 5.4のカスタマイズ画面のメニューセクションの様子です。
開発者向けのその他の変更点
WordPress 5.4では、開発者と技術面に精通したユーザー向けに、さらに以下の変更も加えられています。
- 新しい
$error
パラメータのおかげで、ログイン失敗の原因となったエラーに関する詳細情報が、wp_login_failed
アクションでサポートされるようになりました。 - サイトIDに応じた、WordPressマルチサイトでのカスタマイズ可能な管理者への通知。
_source_url
メタ値により、メディアファイルの元のURLを保存できるようになりました。- 管理バーが
wp_footer
ではなくwp_body_open
で読み込まれるようになりました。 - REST APIのいくつかの変更点。
WordPressの開発版をインストールする方法
テーマとプラグインがWordPress 5.4と完全に互換性があるかどうか確認したい場合、または最新のWordPressバージョンの新機能に興味がある場合は、数回のクリックだけで既存の開発版をインストールできます。
WordPressベータ版/RCバージョンをインストールするには、2つの方法があります。
- WordPress Beta Testerプラグインをインストールし、既存のWordPress環境のダッシュボードでインストールを実行する
- 現在のBeta/RCを手動でダウンロードしてインストールする:Subversionリポジトリから作成される「nightly build」を取得できます。安定版または開発版の特定のWordPressバージョンをお探しであれば、リリースカテゴリアーカイブから確認できます。
ベータテスタープラグインをインストールする場合は、まずローカルマシンまたはステージング環境で、通常のWordPressをセットアップする必要があります。
WordPressウェブサイトの準備ができたら、「プラグイン」→「新規追加」へと移動し、WordPress Beta Testerプラグインを検索します。
このプラグインを使えば、素早く簡単にWordPressのベータテストが行えます。ボタンのクリックだけで、現在のベータ版またはリリース候補版をインストール・更新可能です。
ですので、 通常どおりプラグインをインストールして有効化します。
「ツール」→「Beta Testing」に移動し、「最新版ナイトリービルド」オプションにチェックを入れて変更を保存します。
その後「ダッシュボード」から「更新」画面に移動し、「今すぐ更新」ボタンをクリックします。
するとWordPressは次のパッケージをダウンロード、インストールします。
https://wordpress.org/nightly-builds/wordpress-latest.zip
インストールが完了すると、一時的なWordPressバージョン情報ページにリダイレクトされます。
以上で完了です。これで、WordPressベータ版とRC版でテストを実行する準備ができました。
WordPressベータ版テストの詳細については、公式ドキュメントをご確認ください。
まとめ
グーテンベルクプラグインの10のバージョンがコアに統合され、WordPress 5.4は主にブロックエディターに集中しています。2つの新しいブロック、カスタムショートカット、使いやすさとアクセシビリティの向上が見られ、近い将来、さらに開発が進むことが予想されます。
しかし、それだけではありません。
- ダッシュボードにサイトヘルスステータスウィジェットが追加され、ユーザーがサイトのヘルス、セキュリティ、パフォーマンスを簡単に確認できるようになりました。
- ベターフォーカスマネージメント、キーボードナビゲーションの簡略化、モバイルとデスクトップでのアクセシビリティを向上させる読みやすいプライバシーポリシーガイド
- 個人データをエクスポートする際のUXを簡素化するプライバシーツールへのいくつかの変更
あなたはWordPress 5.4をどう思いますか?どのような変更や機能が最も気に入っていますか?コメント欄からお教えください!
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