複雑で扱いづらいGoogle アナリティクス 4(GA4)の代替ツールをお探しですか?特にサイトのパフォーマンスを正確に把握したい場合、GA4の複雑で多機能なインターフェースを厄介に感じる人は少なくないはず。
GA4の代替となるアクセス解析ツールは現在多数存在します。今回は、使いやすくプライバシー重視のFathom Analyticsを取り上げます。
Cookie同意バナーや複雑な設定に煩わされることなく、GDPRに準拠したサイト分析のトラッキングを行うことができ、簡単に統合もできるため、WordPressユーザーにとっては有力候補になります。
WordPressサイトへのFathom Analyticsの導入方法、そしてGA4から移行する手順をご紹介します。
Fathom Analyticsとは
Fathom Analyticsは使いやすさ、ユーザープライバシー、EU一般データ保護規則(GDPR)をはじめとするデータ保護規制への準拠に重点を置いたアクセス解析プラットフォームです。Paul Jarvis氏とJack Ellis氏によって開発され、ユーザーのプライバシーを最優先し、現在GA4が提供する機能よりも直感的で使いやすいインターフェースが搭載されています。
主要な機能には以下のようなものがあります。
- コンプライアンス最優先─Cookieを使用したユーザー追跡を行わないため、Cookieの同意バナーを設置する必要なし。ユーザー体験を最適化しながら、GDPRやカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)といった最新のプライバシー規制に準拠できる。
- シンプルなデザイン─ユーザーフレンドリーなダッシュボードは最大の魅力の一つ。GA4のような複雑さはなく、必要な指標はすべて提供しながら余分なものは排除。わかりやすいシンプルなソリューションを探している人には特におすすめ。
- データ管理の完全制御─詳細なイベント追跡、ニュースレター登録、ボタンクリックなどのカスタムイベントを作成可能。ユーザーインタラクションやキャンペーンの最適化に役立つ貴重なインサイトを取得できる。メールレポートや簡単なデータエクスポート機能もあり、分析を効果的に管理・共有できる。
- 高いスケーラビリティ─インフラは大量のトラフィックを処理できるように設計されているため、アクセスの多いサイトやアプリに適している。
- 統合機能─WordPress、Vue.js、ConvertKitなど、多くのプラットフォームやサービスと統合可能。複数のツールやプラットフォームにまたがるシームレスな分析機能と統合により日々の作業が捗る。
GA4からFathom Analyticsに移行するメリット
GA4からFathom Analyticsに乗り換えることで、サイトのプライバシーとユーザーエクスペリエンスを高めながら、アクセス解析が簡単になります。
Fathom Analyticsにはプライバシー重視、コンプライアンスへの準拠、使いやすさ以外にも、以下のようなメリットがあります。
サイトパフォーマンスの向上
Fathom Analyticsの分析スクリプトは2kB未満で、Google Tag Managerと組み合わせると30kBにもなるGA4のスクリプトと比較するとはるかに小さくなります。フットプリントが小さいほど読み込みが高速になるため、検索エンジンでの表示順位を維持・向上させるのに欠かせないサイト速度とSEOが改善されます。
データサンプリングなし
Fathom Analyticsではデータに直接アクセスできるため、サンプリングやデータ操作がなく、正確なサイトのトラフィックが反映されます。すべての訪問者のインタラクションを正確に記録することで、サイトパフォーマンスに関する詳しいデータが得られます。
Fathom Analyticsの価格設定
Fathom Analyticsは、サイトの月間ページビュー(PV)に基づいた透明性の高い価格設定を提供しています。また30日間の無料トライアルもあり、トライアル期間中に解約しても、データをエクスポートして他の場所で使用することができます。
各プランは以下のとおりです。すべてのプランに無制限のデータ保持、プライバシー保護規制への準拠、統合機能などのコア機能が付帯します。
- 月額15ドル─10万PV
- 月額25ドル─20万PV(成長中のサイト向け)
- 月額45ドル─50万PV(アクセスの多いサイト向け)
- 月額60ドル─100万PV
- 月額100ドル─200万PV
- 月額140ドル─500万PV
- 月額200ドル─1,000万PV
- 月額290ドル─1,500万PV
- 月額380ドル─2,000万PV
- 月額470ドル─2,500万PV
非常にシンプルな価格設定で、正確に試算できるのもFathom Analyticsのメリット。また年払いを選択すると2ヶ月分の割引が適用され、よりお得に利用できます。
Fathom Analyticsでアカウントを作成する方法
Fathom Analyticsでのアカウント設定方法は簡単で、すぐにサイトパフォーマンスの追跡を開始できます。
まずはアカウントの作成方法をご説明し、その後サイトへの統合方法を見ていきます。
Fathom Analyticsのアカウント登録ページにアクセスします。メールアドレスを入力してパスワードを作成し、支払い情報を設定した上で、「Create your account」をクリックします。
先に触れたとおり、Fathom Analyticsには30日間の無料トライアルがあり、本格的に利用し始める前にサービスを試すことができます。
次のページで、請求先情報(住所や名前など)の入力を行います。
アカウントを作成したら、アカウントにサイトを追加します。アカウント登録後、Fathom Analyticsダッシュボードの「Sites」セクションに自動的に移動します。
サイトにわかりやすい名前をつけて、「Create site」をクリックします。
次の画面にサイトの埋め込みコードが表示されます。これにはサイトID(後でWordPressでの設定に必要)とサイトのヘッダーにコピー&ペーストできるHTMLコードが含まれます。
「CMS/Framework」をクリックしてWordPressを選択すると、統合プラグインのインストール方法、およびサイトへの埋め込みコードの追加方法の詳細が表示されます。
WordPressサイトでFathom Analyticsを設定する方法
WordPressサイトにFathom Analyticsプラグインを追加すると、すぐにアクセス解析をサイトに組み込むことができます。
1. プラグインのインストール
WordPress管理画面にログインし、「プラグイン」>「新規プラグインを追加」に移動し、検索バーで「Fathom Analytics for WP」を検索します。
検索結果に表示されたFathom Analytics for WPプラグインをインストールして有効化します。
2. 設定
有効化したら、プラグインの設定を行います。左サイドバーから「設定」>「Fathom Analytics」に移動します。
設定も非常にシンプルです。以下各項目についてご説明します。
Site ID(サイトID)
サイトとFathom Analyticsを連動させるには、先ほど見たサイトIDが必要になります。
このIDは、Fathom Analyticsアカウントのサイト名の下にある「Sites」でも確認可能です。
Share Password(共有パスワード)
ダッシュボードを公開状態にしている場合、「Fathom Share Password」は空白でOKです。非公開にしている場合は、ここに共有パスワードを貼り付けます。
Exclude Role(グループ権限の除外)
必要に応じて特定の権限グループをサイトのトラッキングから除外することも可能です。これにより内部トラフィックによるデータの偏りを防ぐことができます。
以上の設定を終えたら、「変更を保存」をクリックして完了です。これでFathom Analyticsアカウントが WordPressサイトに接続されました。
3. インストールの確認
動作の確認するには、Fathom Analyticsのダッシュボードを開きます。最初のデータが表示されるまで数分かかる可能性がありますが、問題なく接続できていれば、以下のようにデータがわかりやすく表示されます。
Fathom Analyticsの使用方法
WordPressサイトにFathom Analyticsをインストールしたら、ユーザーのプライバシーを保護しながら、サイトのトラフィックやユーザー行動の理解を深めることができます。
Fathom Analyticsプラグインをインストールすると、WordPress管理画面で直接分析データを確認することができるようになります。
WordPress管理画面の「Fathom Analytics」メニューで統計データを表示できます。
カスタムイベントの設定と表示
Fathom Analyticsでは、ボタンのクリックやフォームの送信など、追跡したい行動を定義し、イベント追跡を設定することができます。このデータは、ユーザーエクスペリエンスの最適化やサイト機能の強化に便利です。
自動メールレポート
毎週または毎月メールレポートを自動送信する機能もあり、ダッシュボードをいちいち開かなくても、サイトのパフォーマンスに関する洞察を定期的に確認することができます。
GA4からFathom Analyticsへの移行方法
特に過去のデータを移行するだけの場合、GA4からFathom Analyticsへの移行は簡単です。
1. Google アナリティクスのデータを準備する
移行を開始する前に、GA4(またはユニバーサル アナリティクス)の履歴データがきちんと整理され、インポートできる状態になっていることを確認します。Google アナリティクスは他のプラットフォームへのデータ転送を直接サポートしていませんが、CSVファイルにエクスポートしたり、Googleのデータエクスポートサービスでレポートをエクスポートしたりすることができます。
2. Fathom AnalyticsのGAインポーターを使用する
Fathom Analyticsには、UAとGA4の両方をサポートするGoogle アナリティクス専用のデータインポーターツールがあります。このツールでGAアカウント、プロパティ、ビューをFathom Analyticsのダッシュボードに直接紐づけることができます。
手順は以下のようになります。
- Fathom Analyticsダッシュボードの「Imports」を開き、「Create a new import」をクリック
- GAデータを含むGoogleアカウントを接続
- GAデータをFathom AnalyticsのサイトIDにマッピング
- インポート処理を開始(データセットが大きくても問題なく処理されます)
「Imports」セクションにキューに入れられたインポート、処理中のインポート、完了したインポートが表示されます。
3. インポートしたデータを確認する
データのインポートが完了したら、データの正確性と完全性を確認します。期待されるデータがすべて正しく表示されているか、ダッシュボードに必要なインサイトが反映されているかをチェックしてください。
Fathom Analyticsでアクセス解析がより簡単に
GA 4からFathom Analyticsに乗り換えることで、データ分析が捗り、個人情報保護法への準拠が容易になります。Fathom Analyticsは統合のしやすさと無駄のないデータダッシュボードが魅力の使いやすいアクセス解析プラットフォームです。
特にKinstaのようなマネージドホスティングでWordPressサイトを運営されている場合、パフォーマンスとセキュリティに優れたFathom Analyticsを選択することには大きなメリットがあります。Kinstaの速度とセキュリティに対する取り組みをFathom Analyticsの軽量な分析スクリプトが補完し、WordPressエクスペリエンスをさらに最適化することができます。
KinstaとFathom Analyticsを併用し、プライバシーに配慮したユーザーフレンドリーなアクセス解析を実現してみてください。
コメントを残す