数時間働いた後、疲れ目を感じたり、コードが読みにくくなったりすることはありませんか?コーディングに適したフォントに切り替えることで、そんな疲労を緩和できることはあまり知られていません。
何百行ものコードを読んでいる途中で目が霞んだり、コーディングを終えた後に頭痛が起こったりする経験があるなら、使用しているフォントを替えてみてください。そのような症状がない場合でも、優れた設計のフォントに変更することで、コードが読みやすくなるはずです。
気分転換にフォントを替えてみるのもありです。無料のフォントは数多くあり、試してみて損はありません。この記事では、眼精疲労を軽減し、可読性を上げるプログラミングに適したフォントを、無料と有料に分けてご紹介します。
優れたプログラミング用フォントについて動画での解説もご用意しています。
プログラミング用フォントを使用すべき理由
IDE(統合開発環境)や開発ツールには、必ずしも最適なフォントが搭載されているとは限りません。一般的には等幅のシステムフォントが使用されており、一部のプログラマーは目が疲れる、読みにくいと感じています。
ほとんどの開発ツールでは、フォントを変更することができるのですが、あまり活用されていません。他のプログラマーが推奨するフォントに替えてみて、初めて自分が質の悪いフォントを使っていたことに気が付く、なんていうこともあります。
優れたフォントは、長時間目にしても疲れにくく、コードが読みやすくなり、さらには仕事の効率も劇的に上げてくれる可能性があります。
では、プログラミングに適したフォントの条件とは何でしょうか。
- 数百行のコードを長時間読んでも目が疲れにくい、明瞭で見やすい文字
- アルファベットの「O」と数字の「0」、小文字の「L」と数字の「1」など、混同されがちな文字がはっきりと識別できる
- 一般的なプログラミング言語でよく使われる記号に合字(リガチャ)やスペースがある(万人向けではないが、一般的に可読性が上がる)
- 特定の文字に複数のバリエーションがあるフォント(自分好みのものを選択することができて便利)
プログラマーの間では、基本的には読みやすく、コードのエラーを見つけやすい等幅・固定幅フォントが使われており、そのほとんどが上記の条件を満たしています。中には、好みに合わせて選べる非等幅フォントが搭載されていることもあります。
無料のプログラミング用フォント
オープンソースの理念の下、多くのデザイナーがプログラミング用フォントを無料提供しており、GitHubなどのサイトで入手することができます。評価が高く、推奨されているフォントが数多くあるため、気になったものは、ダウンロードしてぜひ実際に使ってみてください。
1. Fira Code
「Fira Code」のコンセプトはシンプルで、頻繁に使用される記号列を1つにまとめること。探している文字列や記号列を見つけやすくすることを目指した等幅フォントです。
例えば、不一致の記号(「!=」など)が「≠」に変換されたり、HTMLの開閉記号(「</」など)の間隔が統一されたりします。この合字は、多くのプログラミング言語で使用されます。
文字そのものや文字の見え方は変わらないため、コードに影響を与えずに可読性を上げることができます。
さらに、文字の種類も複数あり、自分好みのフォントに微調整することも可能です。
Fira Codeは、ほとんどのブラウザでサポートされており、実際のコード例も確認することができます。
2. Proggy Fonts
「Proggy」は、シンプルでありながら機能的な外観を持ち、特にCやC++のコーディング用として開発者の間で愛用されています。斜線付きゼロや識別しやすい文字などの搭載に加え、垂直方向に中央揃えされたアスタリスクや、軸方向に整列した算術演算子といった最適化も行われています。
Proggyでは、ベクターフォントやビットマップフォントなど、様々なフォントを選ぶことができ、特定の文字の描画方法も変更可能です。お好きなものを選んで、コーディングをお楽しみください。
3. DejaVu Sans Mono
「DejaVuフォント」は、Unicodeの文字セットを網羅するように設計されており、まだ完全とは言えませんが、他のフォントと比較して、はるかに広い範囲をカバーしているフォントです。
「DejaVu Sans Mono」もこの原則に基づいていますが、開発用に設計された等幅フォントです。読みやすく、識別しやすい文字が特徴で、プログラマー向きと言えます。
無料のオープンソースフォントで、比較的人気があるため、Linux OSなど、多くのオペレーティングシステムに組み込まれています。そのため、使っているコンピュータにすでにインストールされている可能性が高く、フォントをインストールするのが面倒と感じる方にもぴったりです。
4. Source Code Pro
Adobeは、オープンソースのフォントファミリー「Source Sans」でいくつかフォントを公開しており、「Source Code Pro」は等幅で、UI向けに作られたフォントです。通常のプログラミングであれば、標準の文字の重さ(太さ)で十分ですが、必要があれば太さの変更も可能です。
このフォントはSource Sansと非常に似ていますが、最適化された記号、ドット付きゼロ、改良型「i」「j」「l」など、コーディングを最適化する変更が施されています。
5. Dina
「Dina」は、目が疲れにくい、明瞭ですっきりとしたデザインのフォントで、コードを読みやすくしてくれます。
このバージョンはオリジナルの再製版で、TTFファイルに変換され、視覚的なアーティファクト(目に見える歪みやバグ等)が取り除かれたものです。このバージョンが、おそらく最も高品質で洗練された形態だと言えるでしょう。
また、太字フォントも利用可能で、この再製版が気に入らない場合には、オリジナルのビットマップフォントも無料でダウンロードできます。
6. Terminus
「Terminus」は、8時間以上の長時間作業を行うプログラマーのために設計されたフォントです。他のフォントと比較して、目に負担がかかりにくく、インストールやスキャンも非常に簡単です。
10年以上前に発表されて以来、今でもこのフォントを愛用している開発者は多く、試してみる価値ありです。
最近のプログラムでは、ビットマップフォントに不具合がみられることもあり、その場合は、「Terminus TTF」を使ってみてください。
7. Input
複数のスタイルが利用でき、どんな状況でも見やすい柔軟なフォントをお探しでしょうか。特定のプログラムで一般的なビットマップフォントを使っていて、不具合が頻繁にみられる場合には、「Input」を使ってみてください。
スタイルは全168種類あり、特定の記号や文字のデフォルトを好みに合わせて入れ替えることができ、行間調整も可能です。公式サイトのプレビューで、その多機能ぶりをぜひ実際に確かめてみてください。
業界で人気のあるビットマップフォントからデザインの着想を得て、プロポーショナルフォントを採用するなどの工夫も施されています(等幅フォントも利用可能)。
個人で使用する分には無料ですが、サイトなど公共性の高いプロジェクトで使う場合は、ライセンスが必要になります。
8. Hack
コーディングに特化したフォントをお探しですか?「Hack」には、太字、斜体、その両方の組み合わせ、Powerline対応、そして画面上での読みやすさを考慮して丁寧に設計された文字など、実用的な機能がすべて揃っており、もう目を細めてコードを読むことも、頭痛を心配する必要もありません。
多言語対応のプログラミング用フォントはあまりありませんが、Hackには1500以上のグリフがあるため、大抵の言語であれば問題ないでしょう。
Font Playgroundを使って、普段使っているプログラミング言語がどのように表示されるか試してみてください。すでにシステムにインストールしているフォントと比較することも可能です。
さらに、alt-hack(グリフライブラリ)とfont-lineツールを使えば、代替の文字セットを入れ替えたり、行間を調整することもできます。
9. Cascadia Code
「Cascadia Code」は、WindowsターミナルとVisual Studioのデフォルトフォントです。標準、等幅(合字なし)、斜体、草書体フォントが搭載されており、Powerline記号の埋め込みにも対応しています。
このフォントは、機能的で洗練された合字で知られていますが、合字なしのパッケージも用意されています。開発者の間では賛否両論で、批判的な(もしくはデフォルトのConsolasを好む)人もいれば、愛用している人もいます。
いずれにせよ、オープンソースフォントなので、一度気軽に試してみてください。Visual Studioを起動して、動作を確認することも可能です。
10. JetBrains Mono
JetBrainsのIDEを使用している場合には、このフォントにはおそらく馴染みがあるでしょう。このフォントを使用したことがなければ、ぜひ試してみてください。開発者のために設計され、大量のコードを読むのに最適化されています。
「JetBrains Mono」は、約140の合字、8種類の太さ(それぞれに斜体付き)、145言語対応など、機能満載です。このフォントもオープンソースフォントであるため、個人・商用を問わず使用することができます。
11. Anonymous Pro
「Anonymous」は、90年代半ばに発表された歴史あるフォントです。当初Macintosh用に開発されたビットマップフォントが、2001年にTrueTypeに変換されています。そのクラシックなフォントを再製し、プログラマー向けに特別に設計された4つの等幅フォントが搭載されています。
このフォントは、同デザイナーの多くのフォントと異なり、Open Font Licenseの下で無料提供されています。もしこのフォントが気に入れば、他の有料フォントも試してみる価値ありです。
有料のプログラミング用フォント
優れたフォントがすべて無料で使えるというわけではありません。プログラミングに特化したトップクラスのフォントは、当然有料の場合もあります。オープンソースフォントを選ぶのもありです。しかし、無料フォントではなかなか実現できない、細部まで考慮して設計された有料フォントに投資すれば、仕事がさらに捗るかもしれません。
12. Monolisa
見栄えが悪く、読むのも疲れる退屈な等幅フォントに嫌気がさしていませんか?「Monolisa」は、等幅の規格に沿った個性的で、読みやすく、そして美しいフォントです。
Monolisaには、読みやすさを追求したフォントデザインに加えて、Powerline記号、200以上の言語対応、合字に置き換える機能(空白のみ、記号全体の両方)もあります。また、不要であれば機能を無効にすることも可能です。
購入前に、ぜひ文字セットやデモ版を確認してみてください。14日間の無料トライアルがあり、返金保証もついています。
13. Gintronic
プログラミングだからといって、ロボットのように機械的な文字セットを使う必要はありません。また、等幅フォントがすべて退屈とは限りません。「Gintronic」は、読みやすさと美しさを兼ね備え、シンプルでありながら技術的に設計されている優れたフォントです。
6つのスタイル(それぞれ斜体付き)があります。あらゆる記号や言語に対応。コーディング以外の用途で使用しても違和感のないデザインです。
Gintronicにはいくつかのバージョンが用意されており、気に入ったものを選んで購入することができます。また、無料トライアルもあるため、購入前に実際に使ってみることができます。
14. Dank Mono
多くのコーディング用フォントは、小さな画面用に設計されており、大きな画面用には最適化されていません。「Dank Mono」は例外で、高解像度の画面を考慮し特別に設計された、おしゃれで魅力的なフォントです。
従来のビットマップの等幅文字とは異なりますが、機能的で、常に美しい見た目を保ってくれます。一部の界隈で非常に人気があり、総合的に評価の高いフォントです。Dank Monoの制作過程にご興味のある方は、制作者のデザインに関する文章を読んでみてください。
用途に応じて、個人用と商用ライセンスのどちらかを選びます。
15. PragmataPro
逆に小さな画面に最適化されたフォントをお探しの場合は、「PragmataPro」がおすすめです。このフォントは、行間を取らないため、全体的にコンパクトになります。
多数用意されたPragmataProの合字は、あらゆるプログラミング言語に対応しており、楽しいグラフィカルなものもいくつかあります。
非合字の等幅フォントのみを収録したEssentialパッケージ、等幅・モジュラー(非等幅)スペーシング、合字あり・なしがセットになった完全パッケージの2種類があります。
欠点としては、更新頻度が非常に低く、2010年に発売されたのに未だバージョン1.0に到達していません。そのため、既存のバージョンを気に入った場合のみ、購入するのが賢明です。
まとめ
一日中パソコンの画面を見続けるような仕事をしているなら、仕事後の疲労を少しでも軽減するために、見やすいフォントに替えてみてください。また、長年同じフォントを使い続けているのであれば、ユニークで魅力的なフォントに替えてみると、良い気分転換になるはずです。
多くの人が、IDEのデフォルトのフォントをそのまま使用していますが、それが必ずしも最適なフォントとは限りません。自分に合ったものを見つけるために、ぜひ何種類か使ってみてください。幸い、プログラミング用フォントはほとんどが無料なので、好きなだけ試してみることができますよ。
ご紹介したフォント以外のものも気になる場合は、どんなデザインプロジェクトにも安心して使用できるフォントをこちらからご覧ください。
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