WordPressサイトを多言語化する方法は非常に分かりにくく、どんなに経験豊富なWordPressユーザーや開発者であっても、いざ多言語対応しようとすると、さまざまな疑問が湧いてくるはず。例えば、SEOにどのような影響を与えるのか、技術的にどのような課題が生じるのか等々…。

2024年現在、Kinstaのウェブサイトは10ヶ国語に対応しています。そこで今回の記事では、Kinstaが本格的にウェブサイトを多言語化した経験をもとに、多言語対応について詳しく掘り下げていきます。私たちと同じように多言語対応を検討している方の疑問や質問に答えられる内容になっているはずです。サイトの多言語対応にはメリットが多数あります。技術的な問題やSEOの懸念を恐れずに、ぜひ実行してみてください。

WordPressサイトを多言語化する方法は数多くあるため、いくつか厳選してご紹介していきます。

多言語サイトの強み

WordPressサイトを多言語対応することには多くの利点があり、ビジネスによっては、新たな地域に事業を拡大する効果的な方法になります。

1. SEOの強化

多言語サイト最大のメリットは、SEOの強化にあります。例えば、WordPressサイトのコンテンツをスペイン語とドイツ語に翻訳するとします。Googleは、この2つの言語のコンテンツを別コンテンツとしてクロール、インデックスします。つまり、SERP(検索エンジンの結果ページ)で、より多くのページが表示されるようになるということです。さらに、訪問者がブラウザで設定している言語に応じてコンテンツを表示させることも。

Kinstaでは、ブログを10ヶ国語に翻訳し、全体のオーガニックトラフィックを18%増加させることができました。翻訳の良い点は、最も手間のかかるコンテンツ制作自体は終わっているということ。完成したコンテンツを別の言語に翻訳することで、通常のトラフィックとは別に、別の方法では見つけられなかったかもしれない世界中のユーザーを集めることができます。これによって、より多くのトラフィックと顧客獲得につながります。

さらに本格的に取り組めば、もちろん10ヶ国語以上の言語にも対応可能です。SEOのスペシャリストとして有名なNeil Patel氏は、自身のサイトで、ブログを82ヶ国語に翻訳する実験を行いました。すると、たった3週間で全体のトラフィックが47%増加するという結果に。

ただし、当然ながら翻訳の質が非常に重要であることをお忘れなく。一度に複数の言語を扱うことは、言うは易く行うは難し。この点については、後ほど詳しくご説明します。

多言語化によって、より多くのトラフィックが見込める理由は、他の言語では競争率が下がることにあります。コンテンツマーケティングそしてSERPにおいて、英語のコンテンツは今や完全に飽和状態。キーワード調査の例を見てみましょう。英語で「marketing strategies(マーケティング戦略)」というキーワードを調べると、月間4万件程の検索ボリュームがあり、検索結果の上位に表示されるためには、ドメインオーソリティの高い大規模サイトに匹敵しなければなりません。よほどの勝算がない限りは、このキーワードは避けるのが得策です。

英語キーワードの検索ボリューム
英語キーワードの検索ボリューム

同じキーワードをスペイン語「estrategias de marketing」で検索すると、検索ボリュームは少なくなり、1ヶ月あたり1万5,000件程度。英語での検索ボリュームを考えれば、取り組んでみる価値がありそうです。また、競合相手となるサイトのドメインオーソリティは、40未満と低い傾向に。このように、英語以外の言語の方が、さまざまな検索キーワードでランクインしやすくなります。

スペイン語キーワードの検索ボリューム
スペイン語キーワードの検索ボリューム

どの言語への翻訳に手間と費用を投資するかを決める前に、必ずキーワード調査を行いましょう。ある言語で検索ボリュームが多いからといって、他の言語でも同様の結果になるとは限りません。

2. ユーザーエクスペリエンスの改善

SEOにメリットがあるだけでなく、ユーザーがコンテンツを母国語で閲覧することができれば、ユーザー体験は必然的に改善されます。そして、優れたユーザー体験は、コンバージョン率、サイト滞在時間、直帰率など、すべてに良い影響を与えてくれます。

「コンバージョンの増加は、ユーザーエクスペリエンスの向上、およびユーザー調査の強化に対する、費用対効果(ROI)の測定に非常に良い指標になる。相対的な指標であるため、長期的に追跡することが重要である」─Nielsen Norman Group(英語原文の日本語訳)

Chromeで右クリックして「日本語に翻訳」を実行するのは、できるだけ避けたいもの。自動翻訳によって、内容を理解することができるかもしれませんが、その質は、生身の人間による自然な翻訳には到底及びません。ユーザーエクスペリエンスの向上を目指すには、時間をかけて質の高い翻訳に投資することが大切です。

3. 信頼性の向上

ビジネスにおいて、顧客と同じ言語を使用することは非常に重要です。ニッチな分野のマーケティング用語や専門用語に限らず、単に母国語でコミュニケーションが取れるということは、ユーザーに大きな安心感を与え、信頼性の向上につながります。当然ながら、文化的背景も含め、母国語でのコミュニケーションほど心地よいものはありません。

世界中の人口のほとんどは、英語を使用しない、または第二言語として使用しています。デュッセルドルフ大学の調べによると、世界の母国語話者数を比較すると、英語は6位に位置します。

母国語話者の比較(画像出典: The Washington Post)
母国語話者の比較(画像出典: The Washington Post

言語は、最大のコミュニケーションの障壁の1つ。ちょっとした行き違いで、大きな誤解や誤認を引き起こしてしまう恐れがあります。相手が理解している言語や方言を使用しなければ、円滑なコミュニケーションは難しく、真に伝えたいことを届けることが困難になります。そしてこの問題は、売上に直接影響を与えかねません。

WordPressサイトの多言語化で生じる一般的な疑問

ここからは、WordPressサイトの多言語化を行う際に生じる一般的な疑問や懸念点にお答えしていきます。

多言語サイトを作成した方がいいのか

そもそも多言語サイトは本当に必要なのか、とお考えの方も多いはず。これについては、まず現在すでに国外からのアクセスがあるかどうかを確認しましょう。Google アナリティクスのデータ(可能であれば数年分)に目を通すことをおすすめします。まずは、「オーディエンス」>「地域」>「言語」。このデータは、訪問者のウェブブラウザから取得されています。

Google アナリティクスの言語別オーディエンス
Google アナリティクスの言語別オーディエンス

次に、「オーディエンス」>「地域」>「地域」に移動しましょう。どちらのデータも、各地域で検索結果に表示されるコンテンツを持っていれば、この数値が高くなります。

Google アナリティクスの地域別オーディエンスデータ
Google アナリティクスの地域別オーディエンスデータ

また、企業サイトや大規模なサイトでは、顧客や訪問者とのやり取りから、すでに何かしらの洞察を得ているはずです。例えば、スペインのユーザーからの問い合わせが多い、韓国での売上が多いなど。このように、WordPressサイトの翻訳が自社にとって有益であるかどうかは、実際のデータに基づいて判断しましょう。

どのようなURL構造を使用すればいいのか

WordPressサイトの場合は、基本的には以下3つのパターンが考えられます。

1. トップレベルドメイン(TLD)

https://domain.com/

https://domain.es/

https://domain.de/

トップレベルドメインは、略してTLDとも呼ばれ、ドメイン名の最後の文字列(最後のドットの後に来る部分)です。

これは特定の国をターゲットにするのに適しており、それぞれに独自のSEO戦略やドメインオーソリティが必要になることから、最も複雑な手法でもあります。他のパターンと比べて、通常より手間がかかり、スタンドアロン環境、またはマルチサイト(ドメインマッピングあり)に使用できます。

2. サブドメイン

https://domain.com/
https://es.domain.com/
https://de.domain.com/

これも一般的に採用されており、スタンドアロン環境またはWordPressマルチサイトに使用できます。

3. サブディレクトリ

https://domain.com/
https://domain.com/es/
https://domain.com/de/

最も一般的な方法の1つで、Kinstaではこの手法を採用しています。スタンドアロン環境、マルチサイト、プラグインを使用した1つのシングルサイトに設定可能です。各方法のメリットとデメリットについては、多言語サイトのURL構造を選択する方法を解説したWPLANGの記事をご覧ください。

hreflangタグとは

多言語WordPressサイトを作成する場合、hreflangタグを使用して、Googleが提唱する言語・地域別URLの推奨事項に従うことをおすすめします。このタグは、サイトの各ページで使用されている言語をGoogleに伝えるために使用されます。

例えば、英語とスペイン語でコンテンツを提供している場合、スペイン語版には、英語版へのリンクに加えて、リンクタグrel="alternate" hreflang="x"を含めます。また、英語版にもスペイン語版へのリンクを含めなければなりません。補足)ロシアの検索エンジンYandexもhreflangタグを使用しています。

hreflangタグ

以下、hreflangタグで言語を伝える場合、そして同じ言語で異なる地域を伝える場合の例を見てみましょう。

例1. hreflangタグで言語を伝える

これが最も一般的な使用例で、複数の言語を扱っていることをGoogleに知らせる目的で使用します。例えば、英語版とスペイン語版のコンテンツを提供しているけど、米国にはスペイン語話者の人口が多いため、地域に絞り込みたくない場合。この際、役に立つのが言語コード(ISO 639-1)です。

英語版は以下のようになります。

<linkrel="alternate"href="https://domain.com/"hreflang="en" />
<linkrel="alternate"href="https://domain.com/es/"hreflang="es" />

スペイン語版は以下の通り。

<link rel="alternate" href="https://domain.com/" hreflang="en" />
<link rel="alternate" href="https://domain.com/es/" hreflang="es" />

例2. hreflangタグで言語と地域を伝える

場合によっては、同じ言語で複数の異なる地域を指定したいという場合もあります。例えば、アメリカの英語とイギリスの英語など。この際に役に立つのが、国名コード(ISO 3166-1α2)です。hreflang regionsアメリカ版は、以下のようになります。

<linkrel="alternate"href="https://domain.com/"hreflang="en-us" />
<linkrel="alternate"href="https://domain.com/en-gb/"hreflang="en-gb" />

イギリス版は以下の通り。

<linkrel="alternate"href="https://domain.com/"hreflang="en-us" />
<linkrel="alternate"href="https://domain.com/en-gb/"hreflang="en-gb" />

ISOコードは変更可能で、例えば「de-ES」と指定すると、ドイツ語のコンテンツで、スペインにいるユーザーを対象にしていることを示します。hreflangタグツールジェネレーターツールを使用すると、Googleの仕様に沿った適切な値と構文で、サイトのhreflangタグパターンを作成することができます。

hreflang x-defaultタグとは

hreflang x-defaultタグは、ユーザーのブラウザがhreflangタグに一致しない場合に使用されます。例えば、英語とスペイン語でウェブサイトを展開していて、ブラウザやGoogleの言語設定をドイツ語にしているユーザーがアクセスした場合、x-defaultタグに設定されているバージョンにリダイレクトされます。このタグは、デフォルトのフォールバックタグと考えるとわかりやすいです。以下のようになります。

<link rel="alternate" href="https://domain.com/" hreflang="x-default" />

英語版とスペイン語版を組み合わせると、次のようになります。

英語版

<link rel="alternate" href="https://domain.com/" hreflang="x-default" />
<linkrel="alternate"href="https://domain.com/"hreflang="en" />
<linkrel="alternate"href="https://domain.com/es/"hreflang="es" />

スペイン語版

<link rel="alternate" href="https://domain.com/" hreflang="x-default" />
<linkrel="alternate"href="https://domain.com/"hreflang="en" />
<linkrel="alternate"href="https://domain.com/es/"hreflang="es" />

hreflangタグに関する詳細は、Yoastのhreflang解説記事を参考にしてみてください。

Bingにおけるhreflangタグ

検索エンジンと言えば、Googleにばかり注目しがちですが、Bingの存在も忘れてはなりません。Bingではhreflangタグをサポートしておらず、<html>タグの言語属性、HTTPレスポンスヘッダー、またはHTMLメタ要素のいずれかが使用されます。bing multilingual

<html>タグの言語属性

WordPressサイトの場合は、デフォルトで使用されている<html>タグの言語属性だけ使用すればOKです。以下は、英語とスペイン語のサイト例です。

英語版

<html lang="en-US">
...
</html>

スペイン語版

<html lang="es-ES">
...
</html>

これを実装するには、WordPressのHTMLを編集しなければなりませんが、後ほどご紹介する方法で自動設定することも可能です。

多言語対応はSEOに悪影響を与えるのか

正しく設定すれば、多言語化がSEOに悪影響を与えることはなく、コンテンツが重複してしまうこともありません。

何を翻訳すればいいのか

サイトを他言語に翻訳するとなると、ユーザーエクスペリエンスとSEOの両方の観点から、基本的にはすべてを翻訳するのがベストプラクティス。

URL(スラッグ)

SEO上、URLにキーワードを入れることが推奨されているため、URLもその言語に翻訳するのが得策です。例えば、Kinstaの会社概要ページのURLは、以下のようになっています。

英語版

https://kinsta.com/about-us/

スペイン語版

https://kinsta.com/es/sobre-nosotros/

ご覧の通り、URL(スラッグ)もスペイン語に翻訳されていることがわかります。母国語のURLをクリックする確率の方が高く、それに伴いSERPでのCTR向上も期待されます。

ただし、日本語のような固有のアルファベットを持つ言語は例外で、GoogleとWordPressでサポートされていても、サードパーティ製プラグインで問題が生じる可能性があります。そのため、URLの翻訳は避けるのが無難です。例えば、Kinstaの日本語版サイトのお問い合わせページのURLには、英語を使用しています。

https://kinsta.com/jp/contact-us/

とは言え、これは言語によって異なります。例えば、中国語には拼音という中国本土の標準中国語の公式ローマ字表記があり、パーマリンクに使用できます。Pinyin Slugsなどのプラグインを使用すれば、コンテンツのURL(スラッグ)を北京語から、より検索エンジンに最適化されたPinyinに自動変換することができます。

特殊文字については、まずその言語について調査を行った上で、ネイティブスピーカーや、その言語に特化したサイトを頻繁に閲覧しているユーザーの助言を受けることをおすすめします。

画像のファイル名

SEOのヒントでもご紹介した通り、画像のファイル名はSEOに影響を与えるため、ファイル名もその言語に翻訳することをおすすめします。

英語

https://kinsta.com/wp-content/security.png

スペイン語

https://kinsta.com/es/wp-content/seguridad.png

メタ情報

タイトルとメタディスクリプションを含むメタ情報も翻訳を忘れずに。Yoast SEOプラグインは、ほぼすべてのWordPressの多言語設定およびプラグインと互換性があります。

コンテンツ

言わずもがな、可能な限り多くのコンテンツを翻訳しましょう。これには、WordPressのメニュー項目、カテゴリ、タグ、ウィジェット、フッターコンテンツなどが含まれます。多くの多言語対応プラグインでは、ストリング(文字列)翻訳でウィジェットなどを更新することができます。

翻訳の外部委託

WordPressサイトの多言語化に必要なタグに続いて、質の高い翻訳をどのように用意するかも重要です。自社で翻訳を行うことができれば、翻訳の質がより管理しやすくなるでしょう。

しかし、時間的な制約や他言語への知識がなく、翻訳の外注が必要になる企業も多いはず。数あるコンテンツの翻訳サービスの中から、いくつか優れたサービスをご紹介します。

Fiverr

利用時には注意が必要ですが、Fiverrには優れた翻訳者が在籍しています。翻訳料金は、コンテンツの長さに応じて5ドル〜20ドル程度。良い評価とレビューを持つ翻訳者を選びましょう。翻訳者の多くは、扱う言語の認定資格も持っています。

予算が限られている場合には、Fiverrは間違いなく良い選択肢になるはず。Fiverrに関する詳細はこちらをご覧ください

Fiverr
Fiverr

Gengo

Gengoでは、世界各地の2万人のネイティブスピーカーによる迅速かつ手頃な価格で質の高い翻訳サービスを利用できます。料金は1単語0.05ドルからで、95%の依頼が数時間以内に完了します。

Gengo
Gengo

One Hour Translation

One Hour Translationは、75ヶ国語のプロフェッショナルな翻訳サービスを24時間年中無休で利用できます。1万5,000人以上の認定翻訳者が在籍し、一般的な翻訳料金は、わずか1単語0.079ドルから。

One Hour Translation
One Hour Translation

TextMaster

TextMasterは、高速かつ手頃な価格が売りのネイティブ翻訳者による翻訳・コピーライティングサービスです。平均納期は12時間、一般的な翻訳料金は1単語0.066ドルから。

TextMaster
TextMaster

他にも、ICanLocalizecloudwordstranslations.come2fLingotekなどがおすすめです。

方法1. PolylangでWordPressサイトを多言語化(無料)

WordPressサイトに無料で複数の言語を設定する方法をお探しなら、Polylangプラグインがおすすめです。Polylangを使用すると、2ヶ国語以上に対応したWordPressサイトを作成できます。通常通り投稿や固定ページを作成したら、カテゴリや投稿タグを追加し、それぞれの言語を定義。デフォルトの言語であるかどうかにかかわらず、任意で投稿の翻訳も可能です。シンプルなシングルサイトにもおすすめです。

多言語化プラグイン「Polylang」
多言語化プラグイン「Polylang」

Polylangは、40万回以上インストールされ、星評価は5つ星中4.5。プラグイン開発者によって定期的に更新も行われています。WordPressのリポジトリからダウンロード、または管理画面の「プラグイン」>「新規追加」から検索して入手可能です。主な機能は以下の通り。

  • 対応言語数が無制限
  • 投稿、固定ページ、カテゴリ、メニュー、ウィジェットなど、ほぼすべての要素を翻訳可能
  • カスタム投稿タイプ、タクソノミー対応
  • 言語はコンテンツまたはURLの言語コードで設定し、言語ごとに異なるサブドメインまたはドメインを使用可能
  • 投稿や固定ページの翻訳の新規作成時に、カテゴリ、投稿タグなどのメタ情報を自動コピー
  • ウィジェットまたはナビゲーションメニューに設置可能な言語スイッチャー(カスタマイズ可)
  • 管理画面も多言語対応で、プロフィールでWordPressの管理画面の言語を設定可能

Polylangは、Google推奨のベストプラクティスに従って、hreflangタグに対応しており、<html>タグの言語属性が自動的に変更されます。Polylangには有料版もあり、以下のような機能が利用できます。

  • 投稿と用語に言語間で同じURLスラッグを共有
  • URLのカスタム投稿タイプやタクソノミーのスラッグを翻訳

以下、WordPressサイトにPolylangプラグインをインストールする手順を見ていきましょう。例として、英語とスペイン語に対応するサイトをセットアップします。

ステップ1

プラグインをインストールして有効化したら、まずは言語を追加します。WordPressの管理画面の「設定」の下にある「言語」を選択し、英語 「English – en_US」を追加して、「言語を追加」をクリックします。

英語を追加
英語を追加

ステップ2

画面上部に「言語が設定されていない投稿、ページ、カテゴリー、またはタグがあります」というメッセージが表示されます。「これらすべてをデフォルトの言語に設定できます」の文字をクリックすると、先ほど追加した英語がデフォルトの言語に設定されます。

デフォルトの言語を設定
デフォルトの言語を設定

ステップ3

次に、翻訳したい言語を設定します。この例では、スペイン語「Espanol – es_ES」を選択します。それから、「順序」を設定します。この例では、デフォルトの言語に設定した英語が0に設定されているため、「1」と入力し、「言語を追加」をクリックして保存します。

スペイン語を追加
スペイン語を追加

ステップ4

次に、PolyLangの「設定」タブを開き、「URLの修正」セクションで、「URLにデフォルトの言語の言語情報を表示しない」にチェックを入れます。これで、英語のスラッグから「/en/」が取り除かれ、以下のようになります。

英語版: https://kinsta.com/about-us/
スペイン語版: https://kinsta.com/es/sobre-nosotros/
デフォルトの言語のURLを非表示に設定
デフォルトの言語のURLを非表示に設定

ステップ5

スペイン語の翻訳を追加します。デフォルトでは、WordPress管理画面の「すべての投稿」セクションに国旗が表示されます(以下参照)。スペイン語のコンテンツを追加するには、「+」アイコンをクリックします(各投稿のエディターからも追加可能)。

スペイン語の翻訳を追加
スペイン語の翻訳を追加

ステップ6

投稿したら、必要に応じてスラッグ(URL)を翻訳します。SEOの観点から、スラッグもスペイン語に翻訳するのが望ましいです。また、Yoast SEOはPolyLangと互換性があるため、タイトルタグとメタディスクリプションも翻訳しましょう。編集を終えたら、「公開」をクリックして完了です。

スペイン語の投稿URL
スペイン語の投稿URL

手順はこんな感じです。これで、各言語のURLとコンテンツが投稿できました。hreflangタグについては、Polylangでは適切なタグが自動追加されるため、特に操作は不要です。

言語別の投稿一覧
言語別の投稿一覧

また、「文字列翻訳」タブで、カテゴリやメニューを翻訳することも可能です。

文字列翻訳
文字列翻訳

必要に応じて、「言語スイッチャー」ウィジェットも使用することができます。

言語スイッチャーウィジェット
言語スイッチャーウィジェット

また、誰かがインデックスされたスペイン語のページを通じてサイトにアクセスし、「domain.com/es/*」に到着した場合、次回以降の訪問時には、自動的にスペイン語版のサイトが表示されるというのも、Polylangの優れた機能です。

方法2. WeglotでWordPressサイトを多言語化(有料)

WordPressサイト全体を素早く翻訳する方法をお探しなら、Weglotが答えかもしれません。翻訳がものの5分で完了してしまうから驚きです。Weglotは比較的新しいプラグインで、毎月のサブスクリプション型の価格設定を採用していることから、プラグインというよりも翻訳サービスといった感じで、近年急速に普及しています。最近では月間収益が1万ドルを突破し、人気を博しています。

Weglotを利用すると、サイトが即座に翻訳されるだけでなく、肝心の質も非常に高く(完璧ではないものの)、翻訳を改善するための編集機能も付帯しています。これは、Google翻訳などのサービスにはない機能です。

多言語対応プラグイン「Weglot」
多言語対応プラグイン「Weglot」

Weglotは、2万回以上インストールされており、星評価は5つ星中5つという高評価を獲得。更新も定期的に行われているため安心です。WordPressのリポジトリからダウンロードするか、WordPress管理画面の「プラグイン」>「新規追加」で検索して入手可能です。ベーシックな無料プランと、月額10ドルからの有料プランがあります。主な機能は以下の通り。

  • ページ上のすべての文字列を翻訳(ウィジェット、フッター、メニューなど指定したもの)
  • コーディングや複雑なセットアップが不要で、数分で起動・実行可能
  • コンテンツを自動的に検出して翻訳
  • 翻訳の管理と編集、機械翻訳の改善を実行できる管理画面
  • すべての言語でSEO対策あり─翻訳されたページは、多言語サイトにおけるGoogle提唱のベストプラクティスに従い専用のURLを持つ(hreflangタグは自動作成)
  • プロの翻訳者に翻訳を依頼可能(現在開発中)
  • カスタマイズ可能な言語切り替えボタン
  • 必要に応じて文字列やページを翻訳対象から排除可能
  • 60ヶ国語以上対応

Weglotは、Google推奨のベストプラクティスに従って、hreflangタグに対応しており、<html>タグの言語属性が自動的に変更されます。注意)Weglotの決定的な欠点は、URL(スラッグ)を翻訳できないこと。とは言え、数々のメリットを考慮すれば、場合によっては、サイト全体を翻訳して数日以内にインデックスを開始する方が、ビジネスにより利益をもたらす可能性もあります。

WordPressサイトにWeglotプラグインを設定する手順は、以下の通りです。先ほどと同様、英語とスペイン語のコンテンツを持つサイトを作成する例を見ていきます。

ステップ1

weglot.comで無料アカウントを作成します。

ステップ2

プラグインをインストールし、有効化したら、WordPress管理画面の「Weglot」で主要な項目を設定。APIキーは、Weglotのアカウントページから取得可能です。今回の例では、デフォルトの言語は英語で、スペイン語に翻訳していきます。「翻訳先言語」に「es」を入力し、その他の設定には触れず、「変更を保存」をクリックして保存します。

Weglotの設定画面
Weglotの設定画面

なんと、設定は以上で完了です。トップページを開くと、画面右下に言語スイッチャーが表示されるようになっています。

Weglotの言語スイッチャー
Weglotの言語スイッチャー

スペイン語に切り替えると、以下のように表示されます。ご覧のように、キャッチフレーズ、投稿、ウィジェット、検索ボックス、ウィジェットのタイトルなどがスペイン語に翻訳されています。加えて、メタ情報もすべて翻訳されます。

Weglotでスペイン語に翻訳されたサイト
Weglotでスペイン語に翻訳されたサイト

翻訳文字列の修正が必要な場合は、Weglotの管理画面から編集可能です。また、この画面で画像URLのファイル名を翻訳することも。

Weglotの管理画面
Weglotの管理画面

Polylangと同様、言語切り替えのウィジェットも設置可能です。

方法3. 独自にWordPressサイトを多言語化

Kinstaが選んだのはこの3つ目の方法で、独自にWordPressサイトを多言語化するというもの。これには、カスタム開発が必要になりますが、WordPress開発者を雇えば実現可能です。この方法では、必要なワークフローを正確に構築することができるため、長期的に見て有利になる可能性があります。

Kinstaの場合は、多くの言語でコンテンツを提供することを想定していたことから、管理と運営の効率化を考慮し、WordPressのマルチサイト方式を採用しています。すでにWordPressサイトを運営している場合は、既存のサイトをマルチサイトに変更することができます。マルチサイトで多言語対応を行うと、以下のようなメリットがあります。

  • まずは、ログイン情報を分ける必要がないこと。マルチサイトのユーザープロファイルは、すべてのサブサイトで共有されるため、10ヶ国語間の移動が容易になります。

    WordPressサイトの多言語化
    WordPressサイトの多言語化

  • オーバーヘッドの面では、マルチサイトのサブサイトはそれぞれ1つのサイトだが、1つのマルチサイトに10のサブサイトがあっても、すべてのサブサイトが同じWordPressデータベースとコアを共有することから、1つのインストールと見做される。したがって、技術的に必要になるリソースを抑えることができ、管理作業の負担が軽減します。

翻訳とhreflangタグのカスタムリンク

独自に多言語化を展開する場合、まず必要になるのがWordPressの管理画面と翻訳をリンクさせる方法です。Kinstaでは、既存の投稿や固定ページの翻訳をリンクさせるだけでなく、投稿全体を別のサブサイトにコピーして翻訳できる簡単なソリューションを構築しています。

WordPressに翻訳をリンクさせる
WordPressに翻訳をリンクさせる

バックエンドで投稿がリンクされると、SEOのためにhreflangタグが自動生成され、Googleにどのバージョンがどの言語であるかを伝えることができます。

マルチサイトのhreflangタグ
マルチサイトのhreflangタグ

また、サイトのフッターに構築した言語スイッチャーとも連動しており、訪問者が言語を簡単に切り替えることができます。

Kinstaサイトの言語スイッチャー
Kinstaサイトの言語スイッチャー

コンテンツの翻訳

Kinstaの場合、スペイン語版のコンテンツについては、社内のスペイン語話者がコンテンツの翻訳を担当し、その他の言語では、大きく投資を行い、ネイティブ翻訳者を採用して翻訳を行っています。

トップページや会社概要ページなど、Kinstaのウェブサイトの一部はWordPressで構成されていますが、すべてカスタムコードでコンパイルされています。すべてのコンテンツの更新や変更を漏らすことなく翻訳するため、ローカライゼーションツールのCrowdinを使用しています。

ブログ記事などのWordPressエディター内のコンテンツについては、WordPressのリビジョン機能の変更履歴をベースに、WordPressとTrelloの統合を構築。英語版のサイトに変更が加えられると、各言語のTrelloボードに変更が反映され、翻訳者が変更内容を確認して翻訳を行います。

WordPressとTrelloの統合機能
WordPressとTrelloの統合機能

WordPress開発者や翻訳先言語のネイティブスピーカーを採用できる場合は、どちらのバージョンのサイトも完全に管理できるようになることから、これが最も理想的な方法と言えます。WordPressのプラグインには、常に制限や懸念点があり、できれば回避したいもの。とは言え、独自に多言語化を行うことができない場合には、プラグインを使用するのが確実な方法です。

その他のWordPress多言語対応プラグイン

多言語対応プラグインは、取り上げきれないほど存在しますが、PolylangとWeglot以外のおすすめプラグインをいくつかご紹介します。

hreflangタグをテストする方法

WordPressサイトを多言語化したら、テストを実施しましょう。ソースコードを確認することもできますが、画期的なテストツールがあります。Yoast SEO推奨のflangはその一例で、ドメインを貼り付けるだけで、タグを検証することができる優れものです。

hreflangテストツール「flang」
hreflangテストツール「flang」

もう少し深く掘り下げたい場合は、TechnicalSEO.comのhreflang Tags Testing Toolも非常に便利です。

hreflang Tags Testing Tool
hreflang Tags Testing Tool

Google Search Consoleでは、hreflangタグにエラーがある場合、「検索トラフィック」>「インターナショナルターゲティング」に表示されます。言語の追加後、GSCのデータが更新されるまでに、数日から時には1ヶ月かかることがあることを念頭に置いてください。

Google Search Consoleのインターナショナルターゲティング
Google Search Consoleのインターナショナルターゲティング

Google アナリティクスでの多言語対応

WordPressサイトを多言語化した後には、Google アナリティクスでの設定も考慮しなければなりません。これにはさまざまな方法があり、どの手法を選ぶかは個人の好みによって異なります。例えば、全く別のGoogle アナリティクスアカウントに分けてしまうという選択肢も。今回は、言語別のビュー、トラフィックを含める/含めないフィルターを追加する方法をご紹介します。

ステップ1

Google アナリティクスにログインし、新規ビューを作成します。ビューの名前は、例えば「スペイン語トラフィック」などとわかりやすく設定しましょう。

ステップ2

デフォルトのビューに戻り、「/es/」などの追加した言語を含む「サブディレクトリへのトラフィックを除外するフィルターを作成します。

スペイン語のトラフィックを除外
スペイン語のトラフィックを除外

ステップ3

次に、先ほど作成したビューで、「/es/」などの追加した言語を含む「サブディレクトリへのトラフィックのみを含むフィルターを作成します。

スペイン語のトラフィックのみを含める
スペイン語のトラフィックのみを含める

最後に、ビューごとに目標やイベントを設定しましょう。なお、サブディレクトリの代わりにWordPressのサブドメインを使用している場合は、「ホスト名へのトラフィック」を指定してください。

まとめ

WordPressサイトの多言語化は、決して簡単に着手できるものではありません。特に、多言語化には様々な方向性があり、必ずしも正解・不正解があるとは限りません。とは言え、長所は短所を上回るもの。今回の記事を参考に、ぜひ多言語サイトの作成を検討してみてください。hreflangタグを適切に使用し、SEOのベストプラクティスやGoogleの勧告にさえ従えば、トラフィックが急増する可能性は間違いなく高まります。

WordPressサイトの多言語対応について、その他ご質問がありましたら、以下のコメント欄でぜひお知らせください。また、実際に多言語化を行った体験談などもぜひお聞かせください。

Brian Jackson

Brianの最大の情熱の一つは10年以上使用してきたWordPressです。複数のプレミアムプラグインさえ開発しています。Brianの趣味はブログや映画やハイキングなどです。TwitterでBrianとつながりましょう。