ウェブサイトのリバースプロキシの設定は、経験豊富なWordPress開発者や技術に精通したビジネスオーナーであれば、簡単な作業に思えるかもしれません。多数の解説記事やオープンソースツールが存在することから、その複雑さは過小評価されがちですが、実際のところ想像よりも複雑になるのが一般的です。

リバースプロキシは、クライアントとサーバー間の「ゲートウェイ」であり、ロードバランシング、SSL終端、キャッシュ、複数のオリジンサーバーを単一のホスト名で統一するなどの重要な機能を持っています。これらの機能は、ウェブサイトをスムーズ、安全、かつ効率的に運営するのに役立ちます。とはいえ、専任の担当者を確保できない場合、その管理の難易度は高くなります。

リバースプロキシとは(入門編)

プロキシサーバーは、インターネット通信の仲介者として様々なタスクをサポートし、一般に「フォワードプロキシ」または「リバースプロキシ」として定義できます。フォワードプロキシは、クライアントサイドで起きていることを隠し(会社の従業員がブラウザを使ってインターネットにアクセスする際は、このサーバーを経由してコンテンツを取得)、リバースプロキシはウェブコンテンツやアプリケーションサービスをホスティングする1つ以上のサーバー(オリジンサーバー)へのリクエストを仲介します。

リバースプロキシには、以下のような重要な役割があります。

  • ロードバランシング:受信トラフィックを複数のサーバーに分散する際、1つのサーバーに負担がかからないようにし、特にトラフィックの多いサイトのパフォーマンスと信頼性が向上する。
  • SSL終端SSL/TLS暗号化を管理し、バックエンドサーバーから安全な接続の復号の負担を軽減。これにより、バックエンドサーバーの設定が簡素化され、サイトのパフォーマンスが向上する。
  • キャッシュ:頻繁に要求されるデータのコピーを保存し、毎回バックエンドサーバーに到達することなくユーザーに配信。KinstaのCDNエッジキャッシュはリバースプロキシの一種。
  • サイトパフォーマンスとセキュリティの向上:ゲートキーパーの役割も果たし、悪意のあるリクエストをブロックして、有害なトラフィックがオリジンサーバーに到達する前にフィルタリング。

上記の機能は、ECサイトから複数のクライアントサイトを管理するWeb制作会社まで、あらゆる人にとって重要になります。リバースプロキシの存在により、ウェブサイトがスムーズかつ安全に、パフォーマンスのボトルネックなく運営されます。

しかし、 Apacheや Nginxようなウェブサーバー用のリバースプロキシの設定に関しては、特に独自のセットアップや高負荷の環境においては、高度な専門知識と細心の注意が必要になります。これらのシステムの動作に関する深い知識がなければ、何かを誤って設定してしまうことは簡単で、パフォーマンスの問題やセキュリティの脆弱性を引き起こすことがあります。

リバースプロキシの設定がうまくいかないケース

経験豊富な開発者であっても、リバースプロキシの設定と手動での保守管理は大変な作業です。以下、リバースプロキシを自分で設定する際に生じる課題をいくつかご紹介します。

複雑な設定

リバースプロキシは、万能のソリューションではありません。複数のドメインを扱う場合、サーバー間でトラフィックを負荷分散させる場合、SSL証明書を扱う場合など、要件と環境に合わせて、それぞれの設定をカスタマイズする必要があります。ApacheやNginxなどでは、設定ファイルの小さなエラーでさえパフォーマンスの問題やサイトのダウンにつながる可能性があります。

複数のサーバーセットアップ

複数のサーバーにまたがるリバースプロキシの管理は、さらに複雑化します。事業の規模が拡大するにつれ、トラフィックの増加、パフォーマンスの最適化、セキュリティルールの調整などのために設定を更新しなければなりません。各設定を複数のサーバー間で常に同期させるには多くの時間がかかり、エラーも発生しやすくなります。

セキュリティの脆弱性

リバースプロキシは、悪意のあるトラフィックをフィルタリングすることができますが、設定を誤ると脆弱性が生じる可能性があります。適切でないSSL終端、ファイアウォールルール、キャッシュはサイトをデータ漏洩、DDoS攻撃、中間者攻撃などの脅威にさらすかもしれません。これを回避するには、最新のセキュリティパッチやプロトコルを常に適用し、安全な設定を維持する必要があります。これには手間と専門知識を要し、誰もが担当できる作業ではありません。

継続的なメンテナンス

リバースプロキシを一度稼働すれば、停止することはありません。定期的に設定を更新し、セキュリティパッチを適用し、パフォーマンス最適化のために設定を調整して、潜在的な問題を監視する必要があります。セットアップに独自の設定を行なっている場合、特にトラブルシューティングが必要な問題が発生した際に、より多くのリソースが求められます。

複数のクライアントサイトを管理する企業は、この継続的な管理に多くのリソースを消費する可能性があります。リバースプロキシの設定、更新、セキュリティの確保などの作業が、本業への注力や顧客への価値提供に充てる時間を奪うことになるかもしれません。

Web制作の負担を軽減するKinstaのリバースプロキシ管理

リバースプロキシの管理は、複数のクライアントサイトを抱えながら、常に質の高いサービスを提供したい企業にとっては頭痛の種になります。Kinstaでは、これを考慮し、専任のチームが複雑なセットアップと継続的なメンテナンスを代行しています。Kinstaを選ぶことで、面倒な技術的な作業は一任しながら、リバースプロキシのメリットを余すことなく利用できます。

具体的には、以下の作業をすべて任せることができます。

  • セットアップ:専任チームがすべてのセットアップを行います。複雑なマルチサーバー環境や独自のクライアント要件の有無に関わらず、すべて適切に設定されます。
  • 継続的なメンテナンスと更新:セキュリティパッチの適用からパフォーマンス改善のための最適化まで、継続的な監視と保守管理を行います。
  • スケーラビリティ:事業が成長し、顧客の要件が複雑化するにつれて、より高いトラフィック、サーバーの追加、またはより複雑な環境に対する調整などが必要になります。Kinstaでは、このようなスケーラビリティも手間要らずです。

Kinstaのリバースプロキシは、顧客に一流のサービスを提供したい企業にとって有益になります。リバースプロキシの管理に貴重な時間を費やす代わりに、より堅牢で信頼性の高いインフラストラクチャを提供しながら、セットアップと管理のコストを顧客に費やすことができます。

IT担当者や開発チームを持たないWeb制作会社や代行会社は、技術的なノウハウがなくても、Kinstaでサイトをホスティングするだけで、最適化されたスピード、セキュリティ、スケーラビリティを実現することができ安心です。

Kinstaでリバースプロキシを利用するメリット(無料ツールとの比較)

Kinstaのリバースプロキシと無料ツールを比較すると、その差は歴然です。無料ツールは一見費用対効果が高いですが、時間、専門知識、継続的なメンテナンスの点で、隠れたコストが生じることが多々あります。Kinstaはお客様の手間を省き、サイトの拡張、セキュリティの強化、最適化を容易にします。

以下、無料ツールと比較した、Kinstaのリバースプロキシのメリットをご紹介します。

DIYの手間や頭痛の種がない

無料ツールを使用する場合、初期設定から継続的なメンテナンスまで、当然ながらすべての作業を自分で行うことになります。NginxやApacheをリバースプロキシとして設定したり、サードパーティのサービスを利用したりすることは簡単に聞こえますが、実際のデプロイメントでは、微調整、トラブルシューティング、調整に何時間も費やすことになるというのも珍しくありません。さらに、セキュリティアップデートやパフォーマンスの最適化も行わなければなりません。Kinstaを利用すると、このような面倒な作業すべてから解放されます。

企業の費用対効果

企業であれば、Kinstaのリバースプロキシアドオンを顧客向けのパッケージに加えることができます。MyKinstaから月額50ドルで追加でき、管理サービスの一部として組み込むのに妥当な価格です。ウェブサイトが専任のスタッフによって管理されているという安心感を顧客に提供することができます。

MyKinstaでリバースプロキシアドオンを追加
MyKinstaでリバースプロキシアドオンを追加

これにより、大企業やWeb制作会社は、技術的な細部に煩わされることなく、新規顧客の獲得やサービス内容の改善など、より価値の高い業務に集中することができます。

速度とセキュリティの最適化

Kinstaではパフォーマンスとセキュリティを考慮し、リバースプロキシがすぐに最適化されます。これにはSSL証明書の処理、キャッシュ、ロードバランシングが含まれ、無料ツールを使用する場合は、専門知識が必要になる重要な機能です。Kinstaでは、これらの最適化もサービスに組み込まれているため、プロキシの効率性を心配する必要がありません。

組み込みのスケーラビリティ

無料のリバースプロキシソリューション最大の課題の1つは、スケーリングにあります。トラフィックが増加するにつれて、負荷を処理するために継続的に設定を調整する必要があり、自分が何をしているのかわからなくなるという最悪の事態に陥ることも。Kinstaのマネージドサービスは、お客様のビジネス要件に応じて拡張できるように設計されています。バイラルマーケティングが成功してトラフィックが急増しても、徐々に事業が成長しても、Kinstaのインフラは難なく対応します。

迅速なサポート

Kinstaのリバースプロキシを利用する最大のメリットは、常に利用可能な迅速なカスタマーサポートにあります。トラブルシューティングを自分で行わなければならない無料のソリューションとは異なり、Kinstaでは専任スタッフがサイトを監視し、維持しながら、お客様そしてお客様のクライアントに影響が及ぶ前に問題に対処します。

まとめ

リバースプロキシの設定とメンテナンスは、複雑でビジネスの足を引っ張る作業になりかねません。Kinstaを利用すれば、すべての設定、メンテナンス、および最適化を一任できるため、最も重要な事業の成長と顧客への価値提供に集中することができます。

無料のリバースプロキシツールに伴う手間にうんざりしている場合、あるいは単に知識豊富な専任のスタッフにセットアップと管理をお願いしたい場合は、Kinstaのマネージドサーバーをご検討ください。1つのサイトを運営している場合でも、何百ものサイトを管理している場合でも、常に最高のパフォーマンスを発揮するウェブサイトを実現できます。

是非ともKinstaリバースプロキシアドオンを利用して、リバースプロキシの実装と管理を効率化してみてください。

Steve Bonisteel Kinsta

Kinstaのテクニカルエディター。救急車や消防車を追いかける記者としてキャリアをスタート。1990年代後半からインターネット関連の技術情報を担当している。