ウェブサイトを日常的に扱っていれば、時に死の真っ白画面(WSOD)やデータベース接続エラーといったCMS特有のエラーに遭遇します。また、インターネット接続やDNSに関連するエラーも例に漏れません。
Google Chromeでページにアクセスしようとすると、「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」というエラーコードとともに、「(URL)のサーバーのIPアドレスが見つかりませんでした」というエラーメッセージが表示されることがあります。これによって突然サイトを閲覧できなくなったり、最悪の場合はブラウジングが全くできなくなったりするため、非常に厄介です。
そこで今回は、このエラーの原因と解決方法をPCおよびモバイル別にご紹介していきます。また、ChromeだけでなくFirefoxやEdgeなど、他のブラウザでも有効です。
「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」エラーとは
「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」エラーは通常、DNSの設定ミスまたは問題によって引き起こされるエラーです。DNSとは、Domain Name System(ドメインネームシステム)の略で、ドメインと実際のウェブサーバーを接続することで、インターネット上のトラフィックを誘導する役割を担います。簡単に言えば、「kinsta.com」のような人が認識しやすいドメイン名を受け取り、「216.3.128.12」のようなコンピュータが認識しやすいサーバーIPアドレスに変換します。
ユーザーがウェブブラウザにURLを入力すると、DNSはそのURLをサーバーのIPアドレスに紐付けます。この作業は名前解決と呼ばれ、DNSサーバーがさまざまなネームサーバーに問い合わせ、IPアドレスを割り出します。
「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」エラーは、DNSがドメイン名またはIPアドレスの解決に失敗する発生することがあります。「NXDOMAIN」は、Non-Existent Domain(存在しないドメイン)を意味する略語です。DNSの詳細についてはこちらでご紹介しています。
エラーコード | DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN |
エラーの種類 | DNSエラー |
エラーメッセージの種類 | This site can’t be reached(このサイトにアクセスできません) Hmm. We’re having trouble finding that site(アクセスしようとしているサイトを見つけられません) Hmmm… can’t reach this page(申し訳ございません。このページに到達できません) Safari Can’t Find the Server(サーバが見つかりません) |
エラーの原因 | インターネット接続の問題 ファイアウォールによるブロック DNSの設定ミス DNSがまだ伝播されていない サーバーが応答していない |
「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」エラーのブラウザでの見え方
このエラーはブラウザによって見え方が異なります。
Google Chrome
Google Chromeでは、「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」のエラーコードとともに、「このサイトにアクセスできません」そして「(URL)のサーバーのIPアドレスが見つかりませんでした」というメッセージが続きます。
Mozilla Firefox
Mozilla Firefoxの場合は、「アクセスしようとしているサイトを見つけられません」というメッセージが表示されます。
Microsoft Edge
Microsoft Edgeでは、「申し訳ございません。このページに到達できません」というメッセージ。
Safari
Safariの場合は、以下のように「サーバが見つかりません」というメッセージが表示されます。
「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」エラーの主な原因
先に触れた通り、このエラーはDNSがサイトのURLをIPアドレスに紐付けられない場合に発生し、これには以下のような原因が考えられます。
- 検索バーに入力したURLに誤りがある
- インターネット接続のエラーがアクセスを妨げている
- ファイアウォールがサイトへのアクセスをブロックしている
- ウイルス対策ソフトまたはVPNがネットワーク設定を妨害している
- ドメインの有効期限が切れている、または登録されていない
- DNSの設定に誤りがある
「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」エラーの解決方法(PC)
上記のような原因を踏まえて、このエラーを解決する方法を見ていきましょう。
1. IPアドレスを解放・再取得する
通常、このエラーの原因はクライアント側のDNSの問題にあるため、まずはコンピュータのIPアドレスを解放し、再取得してみてください。これには、ブラウザのキャッシュのような、ローカルDNSキャッシュのクリアも含まれます。
Windows
Windowsでは、WindowsのロゴキーとRキーを押してコマンドプロンプトを開き、「cmd」と入力してEnterキーを押します。
次に、ipconfig /release
を貼り付けて、Enterキーを押すと、現在のIPアドレスが表示されます。
続いて、ipconfig /flushdns
を貼り付けて再度Enterキーを押します。これでローカルのDNSキャッシュがクリアされます。完了後、「Successfully flushed the DNS resolver Cache」というメッセージが表示されます。
ipconfig /renew
と貼り付けてEnterキーを押すと、IPアドレスが再取得されます。
次にnetsh int ip set dns
、およびnetsh winsock reset
を実行して、IP設定とWinsockカタログをリセットします。
DNSキャッシュをクリアして更新する別の方法として、単にネットワークアダプターを無効にして、再度有効にすることもできます。
Mac
MacでIPアドレスを解放・再取得するには、まず「システム設定…」を開きます。
「ネットワーク」に移動し、接続中のネットワークをクリックして「詳細…」をクリックします。
「TCP/IP」タブを開いて、「DHCP リースを更新」をクリックしてください。
Windows同様、MacでもローカルDNSキャッシュをクリアするには、別の場所に移動します。「ユーティリティ」>「ターミナル」を開きます。
次のコマンドを貼り付けます。
dscacheutil -flushcache
なお、Macでは完了メッセージは特に表示されません。
2. DNSサービスを再起動する
Windowsをお使いの場合は、ドメイン名の解決とキャッシュを行うDNSサービスを再起動してみてください。
先ほどと同じようにWindowsのロゴキーとRキーを押してコマンドプロンプトを開き、「services.msc」と入力してEnterキーを押します。
「DNS Client」を見つけたら右クリックし、「再起動」を選択します。
「再起動」が選択できない場合は、コマンドプロンプトで実行することもできます。
WindowsのロゴキーとRキーを押してコマンドプロンプトを開き、「cmd」と入力してEnterキーを押します。
以下のコマンドを実行してください。
net stop dnscache net start dnscache
Windowsのバージョンによっては、次のようなエラーが表示されることがあります。
The requested pause, continue, or stop is not valid for this service.(要求された一時停止、続行、または停止は、このサービスに対して有効でありません)
これは、コマンドを発行するためにネットワークサービスとしてCMDを実行する必要があるためです。このエラーに遭遇したら、まずは続けてご紹介するその他の解決策を試してみてください。
3. DNSサーバーを変更する
次に試したいのは、DNSサーバーの変更。DNSサーバーは、ISPによって自動的に割り当てられるのがデフォルトですが、GoogleやCloudflareのようなパブリックDNSサーバーに一時的に変更することも可能です。
- Google Public DNS(8.8.8.8および8.8.4.4)─長期的に使用を好むユーザーも。
- CloudflareのパブリックDNSリゾルバ(1.1.1.1および1.0.0.1)─今回はこれを使用した例をご紹介。Google Public DNSを使用する場合も手順は同じ。
補足)GoogleとCloudflareのDNSが完璧に動作するとは限りません。すでに無料のDNSサーバーを使用している場合は、デフォルトのISPのDNSサーバーに戻すことでエラーが解消される事例もあります。
Windows
Windowsの場合、WindowsロゴキーとRキーを押してコマンドプロンプトを開き、「コントロールパネル」と入力してEnterキーを押します。
「ネットワークとインターネット」>「ネットワークと共有センター」に移動し、左側メニューから「アダプターの設定の変更」を選択します。
現在の接続を右クリックし、接続方法に応じてローカルエリア接続、またはワイヤレスネットワーク接続を選択します。「プロパティ」をクリックしてください。
「インターネット プロトコルバージョン 4 (TCP/IPv4)」(または必要に応じてIPv6)を選択して、「プロパティ」を再度クリックします。
後ほど元に戻さなければいけない場合に備えて、既存の設定をメモしておきましょう。「次の DNS サーバーのアドレスを使う」を選択し、以下を貼り付けるか、既存のものと置き換えます。
IPv4の場合:1.1.1.1
および1.0.0.1
IPv6の場合:2606:4700:4700::1111
および2606:4700:4700::1001
「OK」をクリックしたらウィンドウを閉じ、ブラウザを再起動してください。
Mac
MacでDNSサーバーを変更するには、「システム設定…」を開きます。
「ネットワーク」に移動し、接続中のネットワークをクリックして「詳細…」をクリックします。
「DNS」タブを開きます。
次にCloudflareのDNSサーバーアドレスを追加します。
IPv4の場合:1.1.1.1
および1.0.0.1
IPv6の場合:2606:4700:4700::1111
および2606:4700:4700::1001
4. Chromeのフラグをリセットする
Chromeの設定や実験的な機能が誤って変更されたり、おかしくなってしまうことがあります。ブラウザのアドレスバーにchrome://flags
を貼り付け、「Reset all to default」をクリックすると、これらの設定をデフォルトに戻すことができます。
その後、ブラウザを再起動してください。
5. VPNとウイルス対策ソフトを一時的に無効にする
VPNやウイルス対策ソフトは、DNSサーバーなどのネットワーク設定を競合させたり、上書きしたりすることがあります。もし利用している場合は、それらを一時的に無効にして(終了させて)、エラーが解決するかどうかを試してみてください。
6. hostsファイルを確認する
コンピューターには、hostsファイルと呼ばれるものが存在し、このファイルには、特定のIPアドレスにマッピングされた手動DNSエントリが含まれています。通常、hostsファイルはドメインを別のホスティングに移行するにあたって、DNSをプレビューする際にのみ編集します。
しかし、このファイルが変更または編集されている可能性は大いにあるため、ここまでの解決策のいずれも機能しなかった場合には、アクセスしようとしているサイトがローカルのhostsファイルに含まれていないかを念のため確認してみてください。
Windows
hostsファイルは通常、アクセスが制限されています。そのため、まずは管理者としてテキストエディターを開いてください。スタートメニューをクリックし、テキストエディターを検索し、右クリックで「管理者として実行」を選択します。この操作は、メモ帳、Notepad++、Atomなど、任意のテキストエディターで実行可能です。以下、Sublimeを使った例をご紹介します。
テキストエディターで「ファイル」>「開く」をクリックし、以下を参照します。
C:WindowsSystem32driversetc
hostsファイルをクリックし、「開く」をクリックします。
訪問しようとしているサイトが一覧にないかどうかを確認します。存在する場合は削除してください。
Mac
Macでhostsファイルを確認するにはGas Maskが便利です。無料のアプリケーションで、hostsファイルマネージャー、hostsファイルエディターとして機能します。Gas Maskを使用せず手動で操作を行う場合は、以下の手順に従ってください。
「ユーティリティ」>「ターミナル」を開きます。
以下のコマンドを貼り付けて、Enterキーを押します(通常管理者パスワードの入力が求められます)。
sudo nano /private/etc/hosts
訪問しようとしているサイトがhostsファイルに含まれていないかを確認します。存在する場合は削除してください。
7. ドメインのDNSを確認する
hostsファイルをチェックしても、「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」エラーが1つのドメインでしか発生していない場合、ドメイン自体のDNS設定を確認してみます。
Kinstaのお客様は、KinstaのDNSにDNSレコードを追加する方法をご覧ください。最近ホスティングを乗り換えた場合、DNSがコンピュータに誤ってキャッシュされている可能性があります。これに該当する場合は、方法2「DNSサービスを再起動する」で解決できるはずです。
8. コンピュータを再起動する
ここまででまだエラーが解決しない場合、初歩的に思われるかもしれませんが、コンピューターとルーターを再起動してみてください。知らずに何百ものタブやアプリケーションを開いたままということも珍しくありません。デバイスを再起動することで、一時的なキャッシュがクリアされます。
「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」エラーの解決方法(AndroidとiOS)
続いて、モバイルデバイスでこのエラーを解決する方法も見ていきましょう。
1. デバイスを再起動する
「デバイスの電源を切って再起動する」は、基本となるトラブルシューティング。
実際、再起動で問題が解決することはよくあります。本格的な他の解決策を試す前に、まずは手っ取り早いデバイスの再起動から始めましょう。
Android
Androidデバイスを再起動するには、デバイスの電源ボタンを長押しして「再起動」をタップします。
端末が再起動されたら、Chromeアプリを開いてエラーが消えているかを確認します。
iPhone/iOS
iPhoneまたはその他のiOSデバイスを再起動するには、まず電源ボタンと2つの音量ボタンのいずれかを同時に長押しします。
画面に電源オフのスライダーが表示されるまで押し続けます。
スライダーを左から右にドラッグすると、デバイスの電源がオフになります。
完全に電源が切れたら、電源ボタンを長押しして再起動します。再起動後、エラーが解消されているかを確認しましょう。
2. Chromeアプリのアップデートを確認する
再起動でエラーが解消されない場合は、Google Chromeアプリが最新の状態になっているかをチェックします。
以下の手順でアップデートを確認し、必要に応じてインストールします。
- Google Playアプリを開きます(iOSデバイスではApp Store)
- 右上(検索バー内)のプロフィールアイコンをタップ
- 「アプリとデバイスの管理」をタップ
- (アップデート可能な場合)Google Chromeの「アップデート利用可能」をタップ
- 「更新」をタップ
更新を行ったらChromeアプリを再起動し、エラーが消えているかどうかを確認します。まだ解決しない場合は、次の解決策に進みましょう。
3. Chromeのブラウザとアプリのデータを削除する
キャッシュは、ブラウジングの高速化に貢献します。Kinstaで独自に行ったテストでは、エッジキャッシュによって、ブラウザに完全なページを配信するのにかかる時間を50%以上短縮できることがわかりました。
しかし、キャッシュデータは時に「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」のようなエラーの原因にもなります。
そのため不要なキャッシュをクリアすることで、エラーが解消される場合があります。
数回のタップで実行可能です。以下の手順に従ってください。
- Chromeアプリを開く
- 上部または下部のハンバーガーメニュー(
⋮
または⋯
)をタップ - 「履歴」>「閲覧履歴データの削除」をタップ
- 「Cookie とサイトデータ」と「キャッシュされた画像とファイル」を選択(その他のチェックは外したまま)
- 確認画面で「消去」をタップ
- データの削除が完了するまで待ち「OK」をタップ
エラーが発生したページに再アクセスし、エラーが消えているかを確認しましょう。
4. システムアップデートを確認する
Chromeアプリ同様、お使いのデバイスのオペレーティングシステム(OS)が最新バージョンであるかを確認してください。
Android
お使いのAndroid端末に保留中のシステムアップデートがあるかどうかを確認するには、以下の手順に従ってください。
- 「設定」>「システム」に移動
- 「システム アップデート」をタップ
- システムが最新の状態であるかどうかを確認し「アップデートをチェック」をタップ
- 利用可能なOSアップデートが見つかるのを待つ
- アップデートが可能な場合はインストールに同意し、さらに表示される指示に従ってインストールを完了
- アップデートが自動的に行われない場合は、デバイスを再起動
iPhone/iOS
iPhoneまたはその他のiOSデバイスでの手順は、以下のとおりです。
- 「設定」>「一般」>「ソフトウェア・アップデート」を開く
- 利用可能なアップデートがある場合は「ダウンロードとインストール」をタップ
- プロンプトが表示されたら「今すぐインストール」をタップ
- デバイスを再起動
デバイスのシステムを更新して再起動したら、Chromeアプリを開きましょう。まだエラーが出る場合には、次の解決策に移りましょう。
5. モバイル端末のネットワーク設定を変更する
PCでのDNS設定の変更方法については先に説明しましたが、モバイル端末でも有効です。
Android
AndroidのDNS設定を変更するには、以下の手順に従ってください。
- 「設定」>「ネットワークとインターネット」>「インターネット」を開く
- Wi-Fiがオンになっていることを確認
- Wi-Fiネットワーク接続を長押しして「変更」をタップ
- 「詳細設定項目」を選択して「DNS 1」と「DNS 2」に以下を入力
- DNS 1:
8.8.8.8
- DNS 2:
8.8.4.4
- DNS 1:
- 「保存」をタップ
設定を保存したら、Chromeアプリを再度開いて、エラーが解消されたかどうかを確認します。
iPhone/iOS
iPhoneまたはその他のiOSデバイスでは、以下の手順に従ってください。
- 「設定」>「Wi-Fi」を開く
- 接続中のネットワークをタップ
- 「DNSを構成」>「手動」をタップ
- 「DNSサーバ」にあるサーバーを削除して以下を追加
8.8.8.8
8.8.4.4
2001:4860:4860::8888
2001:4860:4860::8844
Chromeアプリを再起動して、エラーが解消されているかを確認しましょう。
まとめ
「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」エラーは遭遇すると面倒ですが、基本的には簡単に解決することができます。DNSキャッシュのクリアや、IPアドレスの更新、DNSサーバーの変更などによって、すぐにブラウジングを再開できます。
関連して、「DNS_PROBE_FINISHED_BAD_CONFIG」エラーの解決方法はこちらをご覧ください。
よくある質問
「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」エラーとは何ですか?
「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」エラーは、ドメインネームシステム(DNS)がドメイン名またはIPアドレスの解決に失敗したことを意味します。「NXDOMAIN」は、Non-Existent Domain(存在しないドメイン)を意味します。
「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」エラーの原因は何ですか?
「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」エラーは通常、DNSの設定ミスまたは問題によって発生します。
「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」エラーの解決方法を教えてください。
一般的な原因を考慮すると、以下のような解決策が考えられます。
- IPアドレスを解放・再取得する
- DNSサービスを再起動する
- DNSサーバーを変更する
- Chromeのフラグをリセットする
- VPNとウイルス対策ソフトを一時的に無効にする
- hostsファイルを確認する
- ドメインのDNSを確認する
- コンピューターを再起動する
モバイル端末で「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」エラーを解決する方法を教えてください。
モバイル端末でこのエラーに遭遇した場合は、以下の操作を試してみてください。