どのようなデバイスやソフトウェアを使用していても、データが破損するリスクは常に介在します。データベースの場合、「破損」とは、テーブル内の情報の一部または全部が読み取れなくなったり、アクセスできなくなったりすることを指します。このような事態が発生する理由はさまざまで、その解決方法を知っておくことが非常に重要です。
幸いなことに、MySQLテーブルの修復はそこまで難しくありません。ビルトインのMySQL修復ツールやデータベース管理ソフトウェアを使用する方法など、いくつかの術があります。すべてのデータを回復できる可能性が非常に高いです。
この記事では、データベースの破損がどのように起こるかを説明し、テーブルにエラーがないかどうかをチェックする方法を説明します。そして、どんな状況にも対応できるように、MySQLデータベースを修復する4つの方法を説明します。それでは、さっそく本題に入りましょう。
MySQLテーブルが破損する原因
データの破損とは、書き込み、読み取り、保存、処理の際に発生するコンピュータデータのエラーのことを指します。MySQLのテーブル(およびMongoDBやMariaDBのテーブル)において、破損はデータ損失、データベースパフォーマンスの低下、テーブルの読み取り不能を引き起こす可能性があります。
言い換えれば、データの完全性に問題があるか、データベースソフトウェアがそのデータを解釈できない状態が、テーブルの「破損」です。
MySQLテーブルが破損する原因は、以下のように多岐にわたります。
- ハードウェアの問題:ハードドライブやメモリなどのハードウェアコンポーネントに欠陥があると、データにエラーが発生することがあります。
- ソフトウェアのバグ:MySQLやオペレーティングシステムのバグが(特にクラッシュや予期せぬ動作を引き起こすことで)データの破損につながる可能性があります。
- 停電:突然の停電により、データ書き込みプロセスが中断され、不完全なデータが生成されたり、データが破損したりすることがあります。
- 不適切なシャットダウン:MySQLまたはサーバーが適切にシャットダウンされないと、データがディスクに正しく書き込まれず、破損につながることがあります。
- ファイルシステムエラー:基礎となるファイルシステムの問題は、データの破損やデータ損失の原因になることがあります。
- マルウェアやハッキングの試行:悪意のあるソフトウェアや不正なアクセスにより、故意または不注意でデータの破損が発生することがあります。
これらの問題の多くを回避する最善の方法は、安全なデータベースホスティング環境を使用することです。ウェブホストが高品質のハードウェアと性能を保証する限り、データベースの破損に関する問題が発生する可能性は低くなります。
MySQLテーブルにエラーがないか確認する方法
破損の可能性を懸念する場合、「CHECK TABLE」コマンドを使用して、データベースのテーブルにエラーがないかどうか確認することができます。このコマンドは、テーブルの構造とデータに不整合や破損がないかを調べるものです。
ターミナルを使用してCHECK TABLE
コマンドを実行することができます。これを行うには、MySQLのコマンドラインを開き、テーブルを含むデータベースに接続し、このコマンドを実行します。
CHECK TABLE table_name;
「table_name」を確認したいテーブルの名前に置き換えてください。テーブルが正常か、警告があるか、エラーがあるかを示すステータスメッセージが返されます。
とは言え、実際にはもう少し簡単な方法があります。phpMyAdminのようなデータベース管理ツールがあれば、それを使ってユーザーインターフェースからテーブルをチェックできます。これを行うには、phpMyAdminを使用してサイトのデータベースにアクセスし、チェックしたいテーブルを選択します。
「テーブルをチェックする」を選択し「実行」をクリックします。すると、phpMyAdminで、各テーブルのステータスの概要が表示されます。テーブルに破損が無ければ、シンプルにOKというメッセージが確認できます。
MySQLテーブルの修復にかかる時間
MySQL テーブルの修復にかかる時間は、テーブルのサイズ、破損の程度、選択した修復方法などによります。数分しかかからない場合もあれば、複数のアプローチを試すことになり、多くの時間がかかることもあります。
最も効率的に破損したMySQLテーブルを修復する方法は、最近のバックアップからのデータベース復元です。これは、特に破損が広範囲に及んでいる場合や解決が困難な場合に便利です。
ただし、この方法は、最新のバックアップが利用可能であることを前提としています。以下では、バックアップからデータベースを復元する方法など、複数の解決策に迫ります。
MySQLテーブルの破損を修復する方法(4つの実証済みの手法)
このセクションでは、MySQLテーブルを修復する4つの方法をご紹介します。すべて比較的簡単ですが、ご自身の状況に合った解決策を見つけるまで、複数の方法を試してみる必要があるかもしれません。
1. phpMyAdminでMySQLテーブルを修復する
phpMyAdminは、業界でも高い人気を誇るデータベース管理ツールです。Kinstaをはじめとし、ほとんどのホスティングサービスで、phpMyAdminを使用することができます。
データベースへのアクセス方法は、ウェブホストのコントロールパネルの設計により異なります。MyKinstaを使用している場合、まずは、データベースの対象となるサイトを選択します。そのサイトの「情報」タブに移動し、「データベースへのアクセス」セクションまでスクロールします。
ここで、データベースのユーザー名とパスワードを確認できます。
「phpMyAdminを開く」をクリックし、認証情報を使用してログインします。phpMyAdminの画面には、そのデータベースのすべてのテーブルが一覧で表示されます。左側のチェックボックスですべてを選択することも、破損したテーブルだけを選択することもできます。
修復したいテーブルを選択したら、下にスクロールして、「チェックしたものを:」ドロップダウンメニューから「テーブルを修復する」を選択します。
すべてのデータベースがphpMyAdminの修復機能をサポートしているわけではないことにご注意ください。対応している場合には、次のページで各テーブルの名前の横に完了メッセージが表示されます。
修復が必要なテーブルがわからない場合は、データベースの破損をチェックする方法についての前のセクションに戻ってください。phpMyAdminのチェック機能を使用し、テーブルのエラーを把握することができます。
2. MySQLコマンドラインを使用する
コマンドラインの使用に慣れていて、サイトのサーバーにSecure Shell(SSH)でアクセスできる場合、これを使うことも可能です。まず、MySQL Shellが必要です。これは通常、MySQLと一緒にインストールされています。
MySQL Shellを使用すると、ターミナルからデータベースに接続できるようになります。これを行うには、次のコマンドを使用します。
mysql -u -p
「-u」と「-p」は、データベースのユーザー名とパスワードを表します。実際には、コマンドは次のようなものになります。
$ mysql -u username1 -p
ユーザー名を入力すると、MySQL Shellでパスワードの入力が求められます。成功すると、MySQLコマンドプロンプトが表示されます。
そこから、好きなMySQLコマンドを使用することができます。データベースを修復するコマンドは、以下の通りです。
REPAIR TABLE table_name;
実際には「table_name」プレースホルダーを修復したいテーブルの名前に置き換えてください。MySQLによりテーブルの修復が試みられ、修復プロセスの結果を示すステータスメッセージが表示されます。
ほとんどの状況で、phpMyAdminなどのグラフィカルユーザーインターフェースまたはデータベース管理ツールを使用することをお勧めします。しかし、コマンドラインの使用に慣れていて、 修復したいテーブルの名前がわかっている場合は、このアプローチでも問題ありません。
3. バックアップからデータベースを復元する
データベースの最近のバックアップがあれば、それを復元してテーブルの破損から回復することができます。この方法は、深刻な破損の問題に対処するのに有用で、素早く実行できるのもメリットです。
一部のウェブホストでは、データベースを含む自動フルサイトバックアップが提供されています。Kinstaでは、サイトのバックアップが毎日作成され、MyKinstaからいつでもワンクリックで復元することができます。
また、Kinstaでは、データベースホスティングサービスもご用意しています。完全なウェブサイトのホストが必要ない場合におすすめの選択肢です。データベースホスティング環境は、ハードウェア障害によるデータの破損からお客様のデータベースを保護する設計です。さらに、データベースのバックアップが自動で作成され、いつでも以前の状態を復元することができます。
実際には、すべてのウェブサーバーが自動バックアップ機能を提供しているわけではありません。ご利用のサーバーにこれが搭載されていない場合には、ウェブサイトとデータベースを手動でバックアップする必要があります。また、WordPressサイトでは、バックアッププラグインを使用する手もあります。
4. サードパーティ製データベース修復ツールを使用する
Stellar Repair for MySQLやSysTools SQL Recoveryなど、MySQLテーブルの修復に使えるツールはいくつもあります。これを使用すると、破損したテーブルからデータを復元したり、内蔵のMySQLユーティリティを使用して(手動で解決するのが困難な)問題の修復にあたることができます。
どのツールを使用するかにもよりますが、破損したデータベースを.xml ファイルでエクスポートし(phpMyAdmin を使用して行うことができます)、修復ソフトウェアを使用して分析する、といった簡単な手順になり得ます。
ソフトウェアでは多くの場合、データ破損の問題を検出し、自動で修復することができます。修復が完了したら、phpMyAdmin(または使用しているデータベース管理ツール)のインポート機能で、情報を上書き可能です。
どのツールを使用するかによって、具体的な修復方法は異なります。SysTools SQL Recoveryのようなデータベース修復ソフトウェアでは、ライセンスの購入が必要です。データベースを修復するために高価なソフトウェアを購入するかどうかですが、対象とするデータが重要であり、他のすべての修復方法がうまくいかなかった場合に検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
データベースの破損は、一見すると、解決の難しい問題のように思えるかもしれません。しかし、多くの場合、苦労することなく修復することができます。MySQLの人気の高さを考えると、MySQLデータベースの修復方法が豊富である事実は、驚くべきことではありません。さらに、データベースの修復には、深い知識が求められないことがほとんどです。
phpMyAdminを使って、簡単にデータベーステーブルのエラーをチェック、修復することができます。また、システムに慣れていれば、コマンドラインからMySQLに任意のテーブルの修復を指示することもできます。しかし、多くのケースで、データベースのバックアップを利用するのが優先事項です。この方法で、破損したテーブルを簡単に素早く復元することができます。
MySQLを使ってテーブルを修復する方法について、他に疑問点がございますか?以下のコメント欄でお聞かせください。