ウェブサイトのバックアップは到底見過ごせるものではありません。WordPressサイトのバックアップを取っておけば、さまざまな状況で「頭痛の種」を減らすことができます。例えば、エラーでサイトが壊れたり、アップデートで機能に影響が出たりした時に、保存しておいたバージョンにロールバックできます。
WordPressサイトのバックアップを復元することで、トラブルシューティングにかかる時間を短縮できます。さらに、バックアップがあれば、サイトを複製したり、新しいサーバーに移動したりすることも楽になります。最新のバックアップをとっていない場合は、「やるべきことリスト」のトップに追加しておきましょう。
今回の記事では、その具体的な方法に迫ります。サイトのどの部分をバックアップする必要があるのか理解した上で、手動でバックアップを取る方法、プラグインを使用する方法、レンタルサーバーを介してこれを行う方法、ローカルサイトで行う方法など、4つの方法をご紹介します。早速、見てみましょう。
WordPressサイトにおけるバックアップの基本
WordPressサイトのバックアップは、複数ファイルの単純なコピー&ペーストでは済みません。例えば、こんな疑問があるとします。「WordPressサイトのバックアップでは、実際にどのファイルをコピーすべきなのか」─これに対する答えは、以下の2つです。
- WordPressルートディレクトリに存在するすべてのファイル
- WordPressデータベース
WordPress ルートディレクトリは、言うなれば、サイトを動かしWordPressを設定するフォルダです。このディレクトリにアクセスするには、FTP(File Transfer Protocol)またはSSH(Secure Shell Access)を使ってサーバーに接続し、「root」、「public」、または「public_html」という名前のフォルダを探します。
場合によっては、このディレクトリにサイトの名前が入っていることもあります。
ルートディレクトリには、テーマからプラグイン、メディアファイルまですべてがあります。この中には、ウェブサイトがサーバーとどのようにやり取りするかを規定するルールや、テーマやプラグインに追加した新しい機能なども保存されます。
つまり、このディレクトリには、WordPressを「動かす」全てのファイルが存在するということ。しかし、サイトのコンテンツ自体は、個別のデータベースに保存されます。以下の各テーブルには、WordPress サイトのデータが格納されています。
データベースをバックアップするには、これらのテーブルをすべて(通常は「SQL」形式で)エクスポートします。そして、そのファイルの内容をインポートすると、データベースソフトウェアが既存の値を上書きする仕組みです。
この段階であまり意味がわからなくても、大丈夫です。手動でWordPressサイトをバックアップする方法は、下のいずれかの項目でご紹介します。手動でデータベースをいじったり、ファイルをコピーしたりするのが億劫な方は、WordPressサイトのバックアップ用プラグインをご利用ください。
つまるところ、WordPress のバックアッププラグインは、サイトのファイルとデータベース両方のコピーを(まとめて、または別々に)作成します。そして、どのバックアップファイルを後から “復元”するか選択することができます。つまり、既存のファイルとデータベーステーブルを、バックアップファイル内のもので上書きすることになります。
セキュリティに重きを置くレンタルサーバーであれば、サイトの自動バックアップ機能が付帯しているはずです。この機能を使えば、手動でバックアップを作成したり、プラグインを使用したりする必要はありません。また、当然のことながら、バックアップが必要になったときのために、しばらくの間、バックアップデータを保存できることが重要です。
WordPressサイトをバックアップするタイミング
「いつバックアップを取るべきか」という問いに対する、一番確実な答えは「いつも」です。常に、最新のバックアップを取っておくのが理想です。サイトが一気に崩壊するエラーにいつ遭遇するかわかりません。もし、そんな時にトラブルシューティングの方法がわからなかったら、どうでしょうか?
目安として、1日(24時間)以内のバックアップであれば、おそらく問題ないでしょう。しかし、1週間前などとなると、サイトの最新の情報が網羅されていない可能性が高くなります。1ヶ月以上経過している場合はもっと厄介です。その間に行った重要な変更がごっそり抜けているかもしれません。
ちょっと考えてみてください。あなたのサイトで最近のデータが失われたら、どれくらいの被害が出るでしょうか?逆に、どの程度なら許容できるでしょうか?静的なサイトを運営している場合は、たまにバックアップを取る程度でも、おそらく問題ありません。しかし、フォーラムやオンラインストア、更新の激しいブログなど、そして、規模の大きなサイトでは、一貫したバックアップ機能が必要です。

レンタルサーバー探しをしてみると、「毎日のバックアップ」を重要なセールスポイントとして掲げる業者が多いことに気づくはず。WordPressのマネージドホスティングを選択した場合、最低でも毎日のバックアップは欲しいところです。
過剰な機能のように思えるかもしれません。しかし、重要なデータを一度でも失わずに済むのであれば、追加料金を払う価値は十分にあります(とは言え、バックアップにかかる料金は、通常ごくわずかです)。また、多くのWordPressプラグインでは、バックアップのスケジュールを設定できます。これは、バックアップ機能が含まれていない格安の共用サーバーを使用する際に便利です。
ここで、手動でのWordPressサイトバックアップについての深刻な欠点にも触れておきましょう。「自動化機能がない」ことが大きな弱点になります。バックアップを取り忘れたり、誤って大事なファイルを削除してしまったりする可能性を最小限に抑えるため、合理的なアプローチを取ることをお勧めします。
最後の注意点として、サイトに大きな変更を加えたり、新しいサーバーに移行したり、サイトのドメインを変更したりする前には、必ずサイト全体のバックアップを取りましょう。ともすると、「アップデートの前にWordPressサイトのバックアップをどのように取ったらいいのか」と疑問に思ったこともあるかもしれません。詳しくは、以下へとお進みください。
WordPressのサイトをバックアップする方法(4つのやり方)
サイトのバックアップを取ることの重要性については、ここまででご説明したとおりです。次は具体的な方法です。それでは、WordPressサイトをバックアップする4つの方法をご紹介します。
1. WordPressサイトを手動でバックアップする方法
前述のとおり、WordPressサイトのバックアップには、すべてのファイルのコピーとデータベースの中身のエクスポートが必要です。この2つの作業のうち、最初の作業はFileZillaなどのファイル転送プロトコル(FTP)クライアントを使って行うことができます。
まずは、お使いのレンタルサーバーから、FTP(※今回はSFTP)を利用してウェブサイトに接続するためのログイン(認証)情報をご確認ください。

認証情報を使って、サーバーに接続し、WordPressのルートディレクトリを見つけます。多くの場合、このディレクトリは「public」という名前になっています。まずは、このフォルダを丸ごとコピーまたはダウンロードしてください。
ほとんどのWordPressサイトには数百から数千のファイルが含まれているため、ダウンロードには時間がかかる場合があります。これが終了したら、フォルダの名前をバックアップの日付に変更してから、安全な場所に保管することをお勧めします。これにより、WordPressサイト全体(すべてのメディアを含む)をPCやクラウドストレージに保存することができます。
このようにして、FTPでWordPressサイトのバックアップを取ることができます。残りはデータベースです。最も簡単なのは、レンタルサーバーのコントロールパネルからデータベース管理ソフトウェアを利用することでしょう。
Kinstaをご利用であれば、アカウントのダッシュボード(つまり、MyKinsta)にログイン、該当するウェブサイトを選択し、「情報」タブから、データベースにアクセスできます。

「phpMyAdminを開く」をクリックすると、データベースマネージャーが起動します。左側のメニューからサイトのデータベースを選択すると、このようなテーブルの一覧が表示されます。
次に、画面上部のメニューから「Export」を選択します。phpMyAdminでのエクスポート方法が尋ねられるので「Quick」を選択。すると、サイトのすべてのテーブルが自動的にSQLファイルに含まれます。
フォーマットが「SQL」になっていることを確認して、「Go」をクリックします。
これで、データベースファイルがダウンロードされます。以上で完了です。
この段階で、WordPressルートディレクトリとそのデータベースのコピー(バックアップ)ができました。サイトディレクトリとデータベースのSQLファイルを一緒に圧縮して、何かあった時のために保存しておくことができます。
手動バックアップの復元
続いては、手動で作成したバックアップの復元です。バックアップのルートフォルダを別の名前で(現在のものと同じ階層にて)サーバーにアップロードするのが最も簡単です。アップロードしたら、古いルートフォルダを削除して、バックアップ(新しくアップロードした方)の名前を元のものにあわせて変更します。
そして、データベースのバックアップを復元する必要もあります。これを行うには、phpMyAdminに戻り、サイトのデータベースを探します。今回は、画面上部の「Import」を選択します。
すると、インポートするファイルを選択し、そのフォーマットを指定するよう求められます。
インポートしたいデータベースのバックアップファイルを選択し、画面下部にある「Go」をクリックします。処理が終わると、完了メッセージが表示されます。
この段階で、ウェブサイトにアクセスすると、すでにバックアップデータが反映(復元)されているはずです。サイトの問題を修正するためにバックアップを復元したのであれば、問題発生前の状態に戻っていることでしょう。
2. WordPressバックアッププラグインの使い方
WordPressのバックアッププラグインは無数に存在します。しかし、全てを大きく2つの種類に分けることができます。
- フルサイトバックアップを行うプラグイン:このタイプのプラグインでは、ウェブサイト全体のコピーを生成し、後から丸ごと復元できます。
- 増分バックアップを行うプラグイン:こちらのタイプでは、ウェブサイトに変更を加えたときにのみバックアップが生成されるので、サーバーの容量を大きく消耗してしまう心配がありません。
この2種類のプラグインのもう一つの違いとして、増分バックアップツールの利用には費用がかかる傾向にあります。一方で、無料で使えるフルサイトバックアップツールはいくらでも見つかります。
増分バックアッププラグインに興味をお持ちの方は、以前のブログ記事でお勧めの選択肢をまとめていますのでご覧ください。ここでは、人気かつ無料で利用できるUpdraftPlusの使い方をご紹介します。
ほとんどのWordPressバックアッププラグインは似たような仕組みです。どれか1つの使い方を知っていれば、同じタイプの他のプラグインを使いこなすことができるはずです。UpdraftPlusも例外ではなく、たった数分でサイトの完全なバックアップを作成することができます。
まず、プラグインをインストール、有効化し、WordPressダッシュボードから「設定」>「UpdraftPlus Backups」へと進みます。次に、「今すぐバックアップ」ボタンをクリックします。
ご覧の通り、UpdraftPlusには増分バックアップ機能があります。しかし、有料版でしか利用できませんので、今回は割愛します。
次に、ウェブサイトのどの部分をバックアップするか選択します。デフォルトでは、サイトのファイルとデータベースの両方が対象になっています。
ウィンドウの下部にある「今すぐバックアップ」ボタンを押して、バックアップファイルの生成を待ちます。ここで、「バックアップ済み」セクションにスクロールすると、最新のバックアップが表示されます(現在は1つしかないはずです)。
UpdraftPlusでは、プラグイン、テーマ、アップロードファイル、データベースなど、バックアップファイルのコンポーネントを個別にダウンロードすることができます。また、対応するボタンをクリックすることで、バックアップを削除したり、復元したりすることも可能です。
UpdraftPlusでバックアップを復元する
UpdraftPlusでのバックアップ復元は簡単です。復元する要素を指定する画面で、すべてを選択します。
そして、バックアップ復元の実行を確定します。すると、プラグインにより復元処理が始まります。これが完了すると、サイトが以前の状態に戻ります。
ほとんどのWordPressバックアッププラグインがこのように機能します。しかし、多くの無料プラグインには、WordPressサイトのバックアップ作成をスケジューリングする(時間を指定して自動で実行する)機能がありません。
3. サーバーレベルでWordPressサイトをバックアップする方法
レンタルサーバーの中には機能の充実したものがあり、自動バックアップが導入されていることもあります。ただし、バックアップの頻度はまちまちです。例えば、Kinstaでは、毎日または毎時の自動バックアップ機能をご利用いただけます。ダッシュボードにログインするだけで操作が行えます。
Kinstaでは、この他にもバックアップの選択肢をご用意しています。以下では、自動バックアップを利用する方法と、DevKinstaを使ってローカル環境でウェブサイトのバックアップ(コピー)を作成する方法をご紹介します。
Kinstaをご利用されていない場合には、バックアップ機能についてご利用中のレンタルサーバーにご相談ください。バックアップの処理を代わりに実行してくれたり、手動で行う方法を教えてくれたりするかもしれません。
Kinstaの自動バックアップ機能で新しいバックアップを作成する方法
Kinstaの管理ダッシュボードであるMyKinstaにログインします。既存のバックアップを確認するには、サイトを選択し、「バックアップ」タブに移動します。

Kinstaで生成された自動バックアップは2週間(Kinstaエージェンジーパートナープログラムをご利用のお客様は30日)保持されます。さらに、本番環境、ステージング環境のどちらにもバックアップを復元できます。ステージング環境への復元は、サイトの以前の状態を再現しテストを実行する際に便利です。
また、「手動」タブから「今すぐバックアップ」を押して、好みのタイミングでバックアップを取ることもできます。

最大5つの手動バックアップを作成し、14日間保持できます。この機能は、ウェブサイトに大きな変更を加える直前に使用するのが便利です。
4. DevKinstaを使ってローカル環境でWordPressサイトをバックアップする方法
DevKinstaは、誰でも使える無料のローカルWordPressサイト開発ツールです。ローカル環境で、新しいプロジェクトをテストしたい、プラグインやテーマの開発に取り組みたい…などの場合に最適です。
Kinstaのお客様であれば、DevKinstaをホスティングアカウントに接続して、ローカルホストのWordPressサイトをバックアップに使用することができます。これを行うには、DevKinstaを開き、「サイトを追加」>「Kinstaからインポート」を選択します。
まだの場合は、ホスティングアカウントへのログインが必要になります。その後、ステージング環境を含む、Kinsta上で管理する全てのサイトが表示されます。
ウェブサイトを選択すれば、DevKinstaにより自動でサイトがインポートされます。処理には、サイトの大きさによって時間がかかることもあります。このコピーはローカル環境におけるバックアップとして機能します。
バックアップを復元したい時には、DevKinstaからステージング環境への移行が行えます。バックアップがKinstaサーバー上のステージング環境にあれば、今度はそれを(MyKinstaでの操作で簡単に)本番環境に移行できます。
まとめ
WordPressサイトでバックアップを取るのは、多くの方の想像以上に簡単です。手動で行うことも、プラグインを使うことも、あるいはレンタルサーバーにすべての処理を任せることもできます。
WordPressサイトでバックアップを作成する最も簡単で安全な方法は、サーバーの用意する自動バックアップ機能を利用すること。Kinstaでは、すべてのプランで自動バックアップ(毎日実行)機能をご利用いただけます。これにとどまらず、適宜、手動バックアップを作成したり、DevKinstaを使用してローカル環境でウェブサイトのコピーを作成することもできます。
WordPressサイトをバックアップする方法について、何かご質問がありますか?以下のコメント欄でお寄せください。
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