この記事では、ポートフォリオサイトについて、そしてどのような業種の人がポートフォリオサイトを持つべきかをご説明します。自分の作品を魅力的に紹介する、見栄えの良いサイトを作る方法とその重要性を見ていきます。今回ご紹介する内容を実践すれば、訪問者や潜在顧客の目に留まり、さらに仕事の依頼が舞い込んでくるかもしれません。

ポートフォリオサイトとは

ポートフォリオサイトは、他の人に向けて自分の作品を紹介する手段です。言い換えれば、過去のプロジェクトやサービスの事例、自分に関する情報を掲載したサイト。個性や経験、知識、スキルをアピールするのにうってつけです。

自分のサイトを持つことで、他の人がいつでも確認できる状態になります。さらに、興味を持った人は気軽に連絡を取ることができます。近年では、あらゆる活動において、オンラインプレゼンスの確立が欠かせません。ポートフォリオサイトは、写真家、デザイナー、開発者、アーティストなどが自分の作品をウェブ上で発表できる素晴らしい機会です。写真、グラフィックデザイン、スケッチなど、作品を通して自分のアイデンティティを表現することができます。

ポートフォリオサイトを持つべき理由

一言で言えば、ポートフォリオサイトは、作品の紹介に必要になります。個人であっても、2人のチームであっても、10人以上いる会社であっても、オンラインで表現の場を持つことは非常に重要です。ポートフォリオサイトを持つことで、ライバルに差をつけながら個性をアピールし、信頼を築き、潜在顧客の関心を引くことができます。

また、特にポートフォリオサイトが重要である業種もあり、以下のような分野では、本に言葉が必要なように、ポートフォリオサイトの存在は切り離せません。

  • ウェブデザイン
  • ウェブ制作(アウトソーシング、オンラインショップ)
  • グラフィックデザイン(ロゴデザイン、CI、チラシ、カタログ、パッケージ)
  • マーケティング(デジタルマーケティング、印刷物デザイン、SEO、PPC広告)
  • アート(イラスト、映像、音声、写真)

また、インテリアデザイナー、アーティスト、モデル、ライターなどにも同じことが言えます。つまり、何かを表現したり作品を作ったりするクリエイティブな人にとっては、作品を紹介するポートフォリオサイトは不可欠になります。

ポートフォリオサイトが必要になる事例

新しい製品、サービス、会社のロゴが必要になったとき、あなたならどうするでしょうか。まずはGoogleで検索してみるという方は多いはずです(または友人や仕事の関係者から提案を受ける場合も)。そのため、検索エンジンで見つかりやすいことが大切です。一度、クライアント側の立場に立って考えてみましょう。

普及率を考慮し、Googleを使用します。自社のロゴを制作してくれるデザイナーを探すために、検索バーに「ロゴデザイナーのポートフォリオ(logo designer portfolio)」と入力するとします。すると検索結果には、ロゴデザイナーの候補がずらりと並びます。いくつかサイトを覗いてみると、どのデザイナーもいい感じです。あとは、好みやテイスト、予算などの要素で候補を絞っていくだけ。

「logo designer portfolio」の検索結果1ページ目
「logo designer portfolio」の検索結果1ページ目

このように、検索結果がそのまま選択肢になります。個人のデザイナーからWeb制作会社まで、その選択肢は様々。ポートフォリオサイトがあれば、サービス内容や作品、デザイナー自身について、そして具体的なサービス事例を確認した上で、仕事を依頼するデザイナーを決めることができます。つまり、ポートフォリオサイトは、アイデンティティ、作品、提供しているサービスを伝える、言うなれば名刺代わりのような存在になります。

ポートフォリオサイトの重要性が分かったところで、次は、そのサイトに欠かせない構成要素を見ていきましょう。

ポートフォリオサイトに欠かせない構成要素

どんなポートフォリオサイトにも目的が必要です。目的がなければ、潜在顧客に自分の作品をアピールするのは難しいでしょう。

ポートフォリオサイトの基本構成要素には、ロゴ、キャッチフレーズ、代表的な作品、連絡先などが挙げられます。これだけでうまくいくこともありますが、不十分であることがほとんどです。さらにサイトの質を上げるため、ユーザー体験向上に寄与する他のコンテンツも取り入れることを強くお勧めします。サービス事例や顧客からのフィードバック、ブログ、現在取り組んでいるプロジェクトの概要などがその一例です。

ポートフォリオサイトのデザインに取り掛かる際には、潜在顧客が求めているものを想像してみてください。ポートフォリオサイトの目的とは。サービスを売り込むのか、それとも仕事を受注したいのか、はたまた職探しなのか。もしくは、単に自分のアイデンティティを発信したいのか。すべてのポートフォリオサイトに共通して大切なのは、訪問者の関心を引くことです。以下のような構成要素が役立ちます。

作品紹介

サイト上で人の関心を引くチャンスはほんの数秒しかないため、賢く使いたいものです。潜在顧客は、まずサイトの外観を目にして、気に入ればさらに詳しくコンテンツを閲覧してくれます。そのため、自分の作品を工夫して魅力的に見せることが肝心です。

写真のスライドショー、動画のプレゼンテーション、サムネイルを使った作品の一覧表示など、さまざまな方法が考えられます。また、例えばロゴデザイナーであれば、自分のデザインの幅を見てもらえるよう、様々な種類のロゴを高画質で掲載することを心がけてください。また、商品や名刺にロゴを入れて、様々な配色で見せることで、さらに自分のスキルをアピールすることもできます。

このポートフォリオサイトを見てみましょう。ロンドンを拠点とするデザイナー兼作家のTim Smith氏のウェブサイトです。トップページにサムネイルギャラリーを配し、自分の作品を印象的に紹介しています。

作品のサムネイルを並べたポートフォリオサイト
作品のサムネイルを並べたポートフォリオサイト

自己紹介

自己紹介(企業の場合は会社概要)ページは、作品の背後に誰がいるのか、どのような人物なのか、一緒に仕事をしたいと思える人物なのかを一目で確認できるものにしましょう。では、何から始めればいいのでしょうか。まずは、1番大切な自分自身について紹介しましょう。以下、自己紹介ページに欠かせない要素をご紹介します。

名前

当然のように思えますが、実は名前が記載されていないポートフォリオサイトは数多く存在します。例えば、誰かがLinkedInなどの外部サイトから自分のサイトにアクセスした状況を想定して、まずはしっかりと名前を提示してから、自分について語っていくのが筋でしょう。

写真

写真は、個人的な印象を他者に伝えることができるもの。自分のアーティスト写真や、現在取り組んでいるプロジェクトに関連したオフショットなど、シンプルで魅力的な写真を選んで、自分がどんな人であるか伝えましょう。

経歴などの情報

仕事とプライベートの経験を語って、個性を表現しましょう。学歴や学んできたこと、特にお気に入りのプロジェクト、受賞歴、顧客からの評価など。また、自分のスキルや価値観、仕事への情熱も伝えましょう。簡潔でポジティブなトーンを心掛けてください。

アートディレクター、Marcin Dmoch氏の自己紹介ページを見てみましょう。明るい色味でデザインされたページで、プロとしての経歴や代表的なプロジェクトをちょっとした説明文とともに紹介しています。また、ダウンロード可能な履歴書も公開しており、印刷したり、他の人へ送信したりすることができるようになっています。全体的にすっきりとしたデザインで、必要な要素がすべて盛り込まれた良いページ例です。

自己紹介ページ例
自己紹介ページ例

サービス事例

サービス事例やプレゼンテーションは、プロジェクトの全容を紹介するのに最適です。各プロジェクトについて、始まりから最終結果まで、すべての工程をそれぞれ具体的に紹介しましょう。写真やメモを多用して、プロジェクトの背景を明らかにすることも大切です。

サービス事例を用意しておくことで、潜在顧客がプロジェクトについて、そして計画から完成までどのような流れになるのか、事前にイメージを掴むことができます。以下のような要素を盛り込みましょう。

  • プロジェクトの目的(なぜそのプロジェクトを始めたのか)
  • 目標(何を達成したか)
  • アプローチ(どのように進めたか)
  • プロジェクトの期間(どのくらい時間がかかったか)
  • 自分の役割(チームやプロジェクトにどのように貢献したか)
  • 完成した作品の概要(写真、動画、リンクなど)

ウェブデザイナーであり、ブランディングコンサルタントでもある、Darian Rosebrook氏のサービス事例を見てみましょう。彼のポートフォリオサイトでは、記事を通して、各プロジェクトの本質に迫りながら、これまでの仕事が紹介されています。

サービス事例のページ例
サービス事例のページ例

もう一つの例は、Kinstaのウェブサイトです。ポートフォリオサイトはありませんが、導入事例ページは、潜在的なクライアントに向けて、これまでの実績をアピールすることを意図したデザインになっています。

Kinstaの導入事例ページ
Kinstaの導入事例ページ

サービス事例ページの制作には時間がかかりますが、ポートフォリオサイトには欠かせない構成要素です。

お客様の声

サイトを訪れたユーザーにとって、同じ立場であるクライアントの言葉は貴重なものです。自分のスキルを自ら列挙し、自分の素晴らしさをアピールするのも良いですが、他の人の言葉にはより説得力があります。過去に仕事をした顧客に連絡を取って、サイト掲載用にフィードバックをもらいましょう。自分の仕事に満足してくれた人であれば、喜んでポジティブな意見を共有してくれるはずです。

グラフィックデザイナーのFrancesca McWhirter氏のサイトでは、お客様の声ページをポップで明るい印象にするために、インパクトのあるヒーロー画像を1番上に配置し、その下に顧客からのフィードバックを掲載しています。

お客様の声ページの例
お客様の声ページの例

CTA

CTA(行動喚起)は、ポートフォリオの目的を補完してくれる要素です。CTAを作成する際には、ポートフォリオサイトの目的を思い出してみてください。自分にとって理想となる訪問者の行動はどのようなものでしょうか。また、サイトには興味を持った人のために連絡手段を複数用意するようにしましょう。お問い合わせフォームを設置するにしても、仕事用のメールアドレスは別途、記載しておきましょう。

広告制作会社のLounge Lizardは、以下のようにサイトに様々な連絡手段を掲載しています。メールアドレス宛に連絡することもできますが、右下の「REQUEST A PROPOSAL(提案依頼)」から直接仕事を依頼することも可能です。

CTAと連絡先の掲載例
CTAと連絡先の掲載例

ブログとコンテンツシンジケーション

ブログは、特にこれから一緒を仕事する可能性があるクライアントに自分の考えや価値観を共有するのに適した手段です。定期的に記事を投稿すれば、ユーザーがサイトに再訪する可能性が高くなります。また、定期的な投稿はSEOの面でも効果的で、質の高いコンテンツはGoogleにも好まれます。

ブログだけではなく、SNSも作品をアピールするには格好の場です。例えば、現在10億人のユーザーを抱えるInstagramは、作品やスタイル、自分の個性を表現するのに適しており、信頼関係を築いて、オーディエンスを増やすのに有用です。他にも、コンテンツマーケティングのコンテンツとしては、YouTubeチャンネルポッドキャスト、ウェビナーなども挙げられます。好きなプラットフォームを選んで、活用してみてください。アーティストのElsa Muse氏などは良い例で、ブログを書き、Instagramの投稿に精を出しています。

ブログの例
ブログの例

また、コンテンツシンジケーションもお忘れなくBehanceDribbbleのようなプラットフォームに自分の作品をアップロードすることで、さらに多くのユーザーの目に触れるようになります。質の高いポートフォリオサイトを既にお持ちでも、このようなネットワークを活用すれば、追加投資なしでさらにトラフィックを増やすことができます。

Behance(例: <a href="https://www.behance.net/szmaja" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Maja Szakadát</a>氏のプロフィールページ)
Behance(例:Maja Szakadát氏のプロフィールページ)

ポートフォリオサイトをさらに充実させる要素

基本的に、ポートフォリオサイトに掲載しない方がいいものはありません。主要な構成要素とは別に、動作するプロトタイプの体験版やアイコンセットの無料サンプル、フリーソフト、無料のテーマやプラグインなどを盛り込めば、さらにポートフォリオサイトを際立たせることができます。

また、ブログ、ポッドキャスト、印刷物、テレビなどの番組に出演・掲載された経験があれば、必ず言及すること。興味を持ってくれた人には、インタビュー記事などは有用なリソースになります。そして、受賞歴があれば、謙遜せずにしっかり記載しましょう。

ポートフォリオサイトを構築するために必要なもの

ウェブサイトを構築する際には、効果的で機能的、かつメンテナンスが簡単なものにすることが重要です。そして、プロフェッショナルなポートフォリオサイト作りには、適切なツールを利用しましょう。人気のサイト構築プラットフォームであるWordPressは、フリーランスにお勧めです。WordPressは数多くのテーマプラグインが揃った機能的なプラットフォームで、すぐにサイトを構築・開設することができます。

WordPressのテーマは、デザイン、色、レイアウトなど、サイトの視覚的な要素を担います。プラグインは、WordPressの内蔵機能を拡張したり削除したりしてくれるツールです。

お問い合わせフォーム、写真のスライドショー、マーケティング用ポップアップバーなどのページ要素は、プラグインを使って作成するのが一般的です。ただし、過剰にプラグインを実装すると、サイトが重くなったり遅くなったりする可能性があることはお忘れなく(必ずそうなるわけではありませんが)。代わりに、ウェブサイトビルダーと数点の必須プラグインを使用してWordPressサイトを構築することをお勧めします。手間をかけることなく、すぐにポートフォリオサイトを立ち上げることができます(作品づくりで忙しいアーティストに、サイト制作に割く時間はないはず)。

プラットフォームを選んだら、次はドメインとサーバーです。フリーランスのデザイナーであれば、ドメイン名に自分の名前を使うことでパーソナルブランディングにつながります。

Kinstaのような高機能WordPressサーバーを利用すると、サイトの稼働率が保証される上に、サイト速度も上がるため、潜在顧客がいつでもサイトにアクセスできる状態を保つことができます。また、CDNのような機能を使えば、高画質の作品データも世界中のユーザーに高速で配信可能です(さらに画像は最適化しておきましょう!)。

まとめ

ポートフォリオサイトは、潜在顧客に感動を届ける場。そして、自分の作品を一挙に紹介することができるチャンス。顧客に好印象を与えるだけでなく、次のプロジェクトのインスピレーションにもつながります。

世界に向けて、自分のスキルや個性を表現しましょう。サービス事例を掲載して、他の人にはない自分の強みをアピールしましょう。検索エンジンで見つけられやすく、ライバルと差がつくサイトを構築してみてください。ユーザーの心を掴み、自分の印象を残すことができれば、さまざまな仕事の機会に恵まれるはずです。

Linda Ragaine

Visual Composerのマーケティングマネージャー。創造と技術の融合を愛する。Xアカウントはこちら。