ある企業が信頼できるかどうかを知りたい時、少し前までは、まずは企業名をブラウザで検索というのが当たり前でした。しかし現在では、LLM(大規模言語モデル)に他社と比較してもらったり、口コミやレビューサイトで評判を調べたり、AI検索エンジンでその企業が取り上げられているかを調べたりするのが一般的になりつつあります。

その結果、会社の公式サイトは、いくつもの接点を経た後にようやく訪れる場所になり、場合によっては一度も訪問されないことも。したがって、これからはこれまで築いてきた消費者からの信頼を維持しながら、AIにどのように引用・参照されるかを理解することが重要です。

サイト訪問前に企業への信頼を形成する5つの接点

以前は、企業への信頼が形成されるまでの流れは比較的シンプルでした。検索結果からサイトを訪れ、ランディングページを閲覧し、場合によっては問い合わせや資料のダウンロードに進む、といった流れが一般的でした。

今では、ユーザーはさまざまな情報源から企業について情報を得たうえで、公式サイトを訪れるようになり、サイトが入り口ではなく、最後の接点になることが多くなりました。

  • AIによる回答:ChatGPTの週間アクティブユーザー数は9億人を突破。GoogleのAI Overview(日本語では「AIによる概要」)も、現在では追跡対象となる検索クエリの約半数で表示されている。
  • コミュニティプラットフォーム:Redditのスレッドや専門フォーラム、LinkedInでの議論などは、AIが生成する回答にも直接影響を与えている。
  • レビュー・比較サイト:G2、Trustpilot、Capterra(国内のソフトウェアレビューサイトではITreview)などに蓄積された複数の評価やレビューは、AIが企業について判断する際の重要な情報源になる。
  • 第三者メディアによる情報:独立系メディアや業界サイトの情報は、プラットフォームによっては企業自身が発信する情報よりも重視されることがある。
  • 企業の公式サイト:今や入り口ではなく最後の接点になりつつある。ユーザーはすでにその企業についてある程度の印象を持った状態で、公式サイトを訪れることが多い。

さらに、AI Overviewの表示は58%増加しており、企業が直接コントロールしにくいチャネルが最も急速に成長していることになります。この変化はコンバージョンにも表れており、AI経由の訪問者が登録に至る割合は、従来の検索経由と比べて約11倍に上るというデータもあります。つまり、AIによる引用や紹介は、単なる言及というより、すでに関心を持った見込み顧客からの流入に近い意味を持つようになっています。

現在では、こうした複数のチャネルから得られる情報をもとに、AIプラットフォームがどの企業を引用・参照するかを判断しています。そのため、どれか一つのチャネルが弱ければ、他のチャネルにも影響を及ぼします。優れたコンテンツを発信していても、コミュニティでほとんど話題になっていなかったり、レビューが十分になかったりすれば、コンテンツそのものより、そうした情報の不足が評価を左右する可能性があります。

3つのAIプラットフォームで異なる引用元の選び方

AIでの可視性について語られる際、「AIに引用されること」が一つの共通した目標として扱われがちです。ChatGPT向けに最適化すれば、PerplexityやGoogleのAI Overviewにも同じように表示されやすくなると思われるかもしれません。しかし実際には、各プラットフォームが参照するインデックスや、重視する情報源の組み合わせは異なります。

そのため、まったく同じ検索内容でも、あるプラットフォームでは頻繁に引用される企業が、別のプラットフォームではまったく登場しないこともあります。それぞれ異なる仕組みで情報を探しているため、各プラットフォームがどのような情報を重視しているのかを理解することが重要です。

ChatGPTは複数の独立した情報源で一致する情報を重視

ChatGPTが引用する情報は、少数の情報源に集中する傾向があります。たとえば、引用数上位10サイトのうち、Wikipediaだけで全引用の半数近くを占めています。このことから、企業自身が発信する情報よりも、複数の情報源から裏付けられた客観的な情報が重視されていることがわかります。

Redditはそれに次ぐプラットフォームですが、その割合は同じ上位10サイトのうち約10%にとどまります。それでも、ユーザーから高く評価されているスレッドは、多くの企業が考える以上にChatGPTの引用に影響を与える可能性があります。

つまりChatGPTは、企業と直接関係のない複数の情報源で、同じ情報が確認できることを重視しています。たとえば、以下のような情報です。

  • G2やCapterraのプロフィール:企業の公式サイトと同じような特徴や強みが記載されている
  • Redditのスレッドやフォーラムでの議論:マーケティング目的ではなく、ユーザーから自然に企業が推奨されている
  • 独立系メディアや業界サイトの記事:企業から依頼されたものではなく、同じ情報が第三者によって紹介されている

したがって、ChatGPTに引用されることを目指すなら、自社のホームページを改善するだけじゃ不十分です。重要なのは、自社が発信している情報を裏付ける第三者からの評価や情報を増やすことです。

Perplexityはコミュニティでの議論と新しいコンテンツを重視

Perplexityは、固定されたインデックスではなく、リアルタイムで情報を取得する仕組みを中心としているため、ChatGPTとは大きく異なる傾向が見られます。特に顕著なのが、以下の2点です。

  • コミュニティへの集中:引用元上位の約50%をRedditが占める。ChatGPTとは対照的で、他の情報源を大きく上回っている。
  • 情報の鮮度:過去30日以内に更新されたコンテンツが引用される割合は約82%だが、公開から1年以上経過したコンテンツではわずか37%。

このデータだけを見ても、PerplexityとChatGPTでは重視するポイントが異なることがわかります。Perplexityはほぼすべての質問に対してリアルタイムでウェブ検索を行うため、企業が重要なページを定期的に見直し、更新することで、その変化が数週間以内に反映される可能性があります。一方、AI Overviewでは、重要な情報源であっても反映されるまで数ヶ月かかることがあります。

Google AI Overviewはランキングシグナルを重視するが、以前ほど予測しやすくはない

AI Overviewは、E-E-A-TCore Web Vitalsなど、Googleの既存のランキングシステムを基盤として、その上にAIによる要約を加える仕組みです。

これまでは検索順位の高さがAI Overviewでの引用されやすさを予測する一つの目安になっていました。しかし、現在ではその関係も以前ほど明確ではありません。Google AI Overviewで引用されたページのうち、同じ検索クエリのオーガニック検索結果でも上位10位以内に入っているのはわずか38%。数ヶ月前の約76%から大幅に低下しています。つまり、検索上位に表示されることは依然として有利ではあるものの、それだけでAI Overviewに引用されるとは限りません。

さらに、プラットフォームごとの違いは、以下のデータからも明らかです。

  • 同じ検索クエリでChatGPTとPerplexityの両方に引用されるドメインは約11%
  • 引用される情報源の約71%は、ChatGPTまたはPerplexityのどちらか一方にしか登場しない

つまり、「AIでの可視性」を一つの目標として捉え、すべてのプラットフォームに対して同じ方法で最適化するのは現実的ではありません。一方で、自社サイトのパフォーマンスをしっかりと整えることは、それぞれのプラットフォームに向けた取り組みを後押しします。

サイトの表示が遅い、またはアクセスがブロックされていると、コンテンツが評価される前に引用候補から外れる

AIに引用されるための対策を行い、引用に値する質の高いコンテンツを制作していても、それだけでは十分ではありません。たとえば、AIクローラーがサイトにアクセスした際にタイムアウトしてしまえば、これまでどれだけ対策を行っていても、引用にはつながりません。

これはよくある問題の一つです。AIクローラーの動作は、多くの企業が想定する従来の検索エンジンクローラーとは異なります。

  • ページをリアルタイムで取得する:キャッシュされたインデックスから情報を取得するのではないため、サーバーの応答が遅いと、単に取得が遅れるのではなくアクセス自体が失敗する可能性があります。
  • Googlebotよりも短時間でタイムアウトする:人間であれば最終的に表示されるページでも、クローラーには読み込めない可能性があります。
  • エラーが発生すると情報源としての優先度が下がる:1回のリクエストエラーでも、その後クローラーが再びアクセスするかどうかに影響する可能性があります。

Kinstaを利用するMekariも、この関係性を十分に把握する前に同様の問題に直面していました。同社のチームがGoogle Search Consoleを調査したところ、検索での可視性が低い背景に、クロールリクエストの少なさとサーバー応答時間の長さがあることがわかりました。「取引を目的とした検索キーワードで競合他社と競い合っています。サーバーの応答時間やページの読み込み時間が遅く、Googlebotがサイトをスムーズにクロールできなければ、ターゲットユーザーの検索結果に表示されなくなってしまいます」

Kinstaへの移行後、同社ではサーバーの応答時間が約半分に短縮され、クロールリクエストは約3倍、検索トラフィックは約3分の1増加しました。これはコンテンツを変更した結果ではなく、クローラーの動作を踏まえてサイトのパフォーマンスを改善したことで得られた成果です。

また、セキュリティ設定によって同じようにAIからサイトが見えなくなることもあります。たとえば、帯域幅の削減やセキュリティ上の理由からAIクローラーをブロックすると、AIによる引用の候補からも外れることになります。状況によってはブロックすることが適切な場合もありますが、こうした影響を理解したうえで意図的に判断することが重要です。

MyKinstaでAIに引用されやすい状態かを確認する方法

MyKinstaでは、サイトの稼働状況、ページのパフォーマンス、クローラーからのアクセスを一つのコントロールパネルで確認できます。ここからは、AIによる引用を妨げる問題を特定するために、それぞれの機能をどのように活用できるかをご紹介します。

まずは稼働状況とエラーを確認

AIに引用されるかどうかは、サイトの平均的な状態ではなく、クローラーがアクセスしたその瞬間にサイトが正常に応答できるかどうかに左右されます。そのため、人間によるアクセス以上に、短い間隔でサイトの状態を確認することが重要です。MyKinstaでは、すべてのプランで各サイトの稼働状況を3分ごと(1日480回)監視しています。

サイト監視の通知設定は、MyKinstaのユーザー設定の「通知」画面で切り替え可能
サイト監視の通知設定は、MyKinstaのユーザー設定の「通知」画面で切り替え可能

ユーザー設定」>「通知」に移動し、「WordPressサイトの監視」をオンにしてください。3回連続でチェックに失敗し、監視システムが問題を検知すると、メールが届きます。

アラートが発生した場合は、まず「分析」画面の「レスポンス」タブを確認してください。レスポンスコードの内訳から、500番台のサーバーエラーなのか、400番台のリソースの問題なのかがわかります。この区別により、何かを変更する前にどこを調査すべきかが明確になります。

表示が遅いページの原因を特定する

ページの表示が遅い場合も、サイトが停止している場合と同じようにAIからの引用機会を逃す可能性があります。ただし、エラーが発生するわけではないため、問題に気づきにくいのが厄介なところです。同じ質問に答える別の情報源の方が速く表示されれば、そちらが優先される可能性があります。

KinstaのAPMツールでは、2〜24時間の範囲でサイトのパフォーマンスを監視できます。監視中に表示の遅いページへのリクエストを再現すると、以下の4つのタブから原因を詳しく確認できます。

  • トランザクション:サイト全体の平均値ではなく、具体的にどのページやエンドポイントで処理が遅くなっているかを表示
  • WordPress:プラグインやテーマごとに処理時間を確認し、遅延の原因となっているものを表示
  • データベース:プラグインの競合や肥大化したoptionsテーブルなど、処理の遅いクエリや繰り返し実行されているクエリを表示
  • 外部:外部APIやサービスへのリクエストを表示(一見問題のないページでも、外部サービスとの通信がボトルネックになっていることがある)
APMで確認できる最も遅いデータベースクエリ一覧
APMで確認できる最も遅いデータベースクエリ一覧

ここで最も重要なのは、遅延の原因を特定することです。キャッシュで解決できる問題と、コードの修正が必要な問題は異なります。原因を見誤って対処してしまえば、かえって余計な時間がかかってしまいます。

AIクローラーがサイトにアクセスできるかを確認

「ボット対策」画面では対策レベルの選択やAIクローラーのブロックなどの設定が可能
「ボット対策」画面では対策レベルの選択やAIクローラーのブロックなどの設定が可能

Kinstaのボット対策機能では、GooglebotやBingbotなどの検証済み検索エンジンクローラーからのアクセスは常に許可されます。一方、AIクローラーは自動的に許可されるわけではないため、実際の設定を確認する必要があります。

  • AIクローラーのブロック:オンにするだけで、AIクローラーからのアクセスをまとめてブロック
  • 過剰アクセスAIクローラー:異常に大量のリクエストを生成する検証済みボットがこのカテゴリに分類され、より厳しい対策レベルでは検証の対象になる
  • 分析画面の「ボットアクセス」タブ:サイトへのトラフィックを、検証済みボット、AIクローラー、自動トラフィック、人間の可能性が高いアクセスなどをカテゴリ別に表示

意図せずAIクローラーがブロックされている場合は、「リクエストの内訳」で確認できます。対策レベルを変更するか、「AIクローラーのブロック」をオフにしたうえで、24時間後にもう一度確認し、アクセスが発生しているかを確認してください。

一方、クローラーからの大量のアクセスによってサーバーリソースに大きな負荷がかかっている場合は、ブロックを継続する方が適切なこともあります。ただし、判断する前にボットアクセス分析を確認し、実際にどのようなアクセスをブロックしているのかを把握しておくことが重要です。

この3つを確認することで、AIに引用されるための技術的な環境が整っているかを判断できます。ここで問題が見つかった場合、原因はコンテンツではなくインフラにあります。また、MyKinstaで確認できるデータは、単に説明するだけでなく、根拠としてクライアントに直接提示することもできます。

トラフィックが伸びない理由を聞かれた際に制作会社が伝えるべきこと

コンテンツを継続的に公開しているのに、なかなかトラフィックが伸びない。制作会社であれば、クライアントからこのような相談を受けることがあると思います。その背景には、ユーザーが企業サイトを訪れるまでの情報収集のあり方が変化していることがあります。現在では、企業への信頼はサイトを訪問してからではなく、その前の段階から形成され始めています。

ユーザーがサイトを訪れるまでに、どこで、どのようにその企業の情報に触れているか、そしてサイトを訪れたときに何を求めているのかを考えてみてください。自社(またはクライアント)のサイトの表示が遅かったり、安定して利用できなかったりすれば、それまでに築いてきた信頼を損なう可能性があります。

そのため、クライアントとの打ち合わせでは、単にアクセス数などのデータを提示するだけでなく、次の3つの点を確認することが重要です。

  • 現在、どのプラットフォームで企業が引用・紹介されているか
  • どのプラットフォームで企業が取り上げられておらず、それによってどのような機会を逃しているか
  • その差を埋めるために、インフラに何が必要か

50以上のクライアントサイトを管理するデジタルマーケティングエージェンシーのAdapting Socialは、こうした視点をクライアントとのやり取りに取り入れています。より高速で信頼性の高いサーバー環境に統一した後、多くのクライアントで検索トラフィックの増加が見られました。コンテンツだけでなく、それを支える技術面の改善もトラフィックの向上に大きく影響することを示す事例です。

企業への信頼はサイトの外で築かれ、インフラの問題で失われる

現在、企業への信頼は、ユーザーがサイトを訪れる前から形成されています。サイトの役割も、信頼を築く場所から、それまでに築かれた信頼を確かめる場所へと変わりつつあります。

サイトの表示が遅い、断続的にアクセスできない、あるいは意図せずAIクローラーをブロックしていると、せっかく築いた信頼を損なう可能性があります。コンテンツ戦略を見直す前に、稼働監視が有効になっているか、ページの表示速度がAIからの引用機会を逃す原因になっていないか、ボット対策機能が意図した設定になっているかを確認してみてください。MyKinstaでは、この3点を5分以内に確認できます。

KinstaのWordPress専用マネージドクラウドサーバーなら、稼働監視、サイトパフォーマンスを支えるインフラ、クローラーからのアクセスを個別に管理する必要はなく、一つの環境でまとめて対応できます。ご利用でない方は、ぜひ一度その性能をお試しください。無料サイト移行と初月無料プランを組み合わせて、リスクなしでご利用いただけます。

Joel Olawanle Kinsta

Kinstaでテクニカルエディターとして働くフロントエンド開発者。オープンソースをこよなく愛する講師でもあり、JavaScriptとそのフレームワークを中心に200件以上の技術記事を執筆している。