WordPressサイトを運営している方は、おそらく管理画面の左サイドバーの「プラグイン」や「テーマ」の横に赤い丸で数字が表示されるのを見たことがあるでしょう。これは更新可能なプラグインまたはテーマがあることを知らせる通知ですが、プラグインやテーマをその都度更新しても、次に管理画面にログインする頃にはまた通知が表示されている、ということも珍しくありません。プラグインとテーマの更新は頻繁に発生する作業です。

WordPressでは、プラグインやテーマの自動更新機能を提供していますが、ウェブサイトがビジネスの中核となるミッションクリティカルなサイトでは、WordPressの標準機能に更新作業を一任するのは不安が残ります。

Kinstaでは、WordPress管理画面にログインすることなく、専用コントロールパネルのMyKinsta上ですべてのウェブサイトのプラグインとテーマ更新を管理できます。また最近では、日時を指定して自動更新を設定し、更新による問題が生じた場合には自動で更新前の状態にサイトをロールバックすることができる有料アドオン、Kinsta自動アップデートもリリースしました。

今回は、新機能であるKinsta自動アップデートアドオンを詳しくご紹介します。このアドオンを活用して、プラグインテーマをいかに手間なく安全に管理できるかを見ていきます。

Kinsta自動アップデートとは

Kinsta自動アップデートは、以下3つの機能が中核となります。

  1. 更新日時の指定:時間枠と曜日を指定して自動更新をスケジュールすることができます。これにより、日々のメンテナンスの負担が軽減されます。
  2. ビジュアルリグレッションテスト:更新の実行前後にサイトページのスクリーンショットを生成して比較することで、更新の失敗を検出します。
  3. ロールバック:更新に失敗した場合は、更新前に生成されたバックアップでサイトを自動的に復元し、予期せぬサイトの停止を防ぎます。

また、更新状況のログを確認したり、メールで更新状況の通知を受け取ったりすることもできます。MyKinstaとシームレスに統合されているため、特定のサイトまたは複数のサイトのすべてのプラグインとテーマの状況を簡単に把握できます。

脆弱性のあるプラグインは「インストール済みプラグイン」セクションで赤色で警告が表示される
脆弱性のあるプラグインは「インストール済みプラグイン」セクションで赤色で警告が表示される

ついつい先延ばしになりがちな脆弱性のあるプラグインやテーマの更新を手間なく行えるため、サイトのセキュリティ強化にもつながります。

WordPress標準の自動更新機能とも連携しているため、重要度に欠けるサイトのステージング環境ではWordPressの自動更新機能を使用して、本番サイトでKinsta自動アップデートを使用するということも可能です。

このアドオンは、環境(本番、ステージング)ごとに月額3ドルでご利用いただけます。環境内で管理するプラグインやテーマの数に制限はありません。

Kinsta自動アップデートの利用方法

Kinsta自動アップデートは、特定の環境の1つのプラグインに使用したり、数百の環境の全プラグインとテーマに使用したりすることができます。

以下、さまざまなシナリオに応じてKinsta自動アップデートアドオンを利用する方法をご紹介します。

特定の環境内のすべてのプラグインとテーマに使用する

1つの環境にKinsta自動アップデートを使用する場合は、「WordPressサイト」>(サイト名)>「プラグインとテーマ」画面に移動し、「自動更新」セクションの「変更」をクリックします。

WordPress環境の自動更新設定を変更
WordPress環境の自動更新設定を変更

次の画面で、以下3つのいずれかを選択します。

  • 手動更新(自動更新なし)
  • WordPressの自動更新
  • Kinsta自動アップデート
自動更新の種類を選択
自動更新の種類を選択

いずれかを選択し、「続行」をクリックします。Kinsta自動アップデートを選択した場合の次の手順はこの記事の後半でご紹介します。

1つの環境内の特定のプラグインまたはテーマに使用する

1つのプラグインまたはテーマに対して自動更新設定を行うことも可能です。「プラグインとテーマ」画面の一覧にある該当のプラグインまたはテーマの3つの点をクリックし、「自動更新の変更」を選択してください。

特定のプラグインの自動更新設定を変更
特定のプラグインの自動更新設定を変更

すると、先ほどと同様のウィンドウが表示されます。

特定のプラグインに対して自動更新を設定
特定のプラグインに対して自動更新を設定

複数の環境にインストールされているプラグインとテーマに使用する

複数のサイトを管理している場合は、複数の環境で使用しているプラグインやテーマに一括で自動更新設定を行いたいかもしれません。

その場合は、「WordPressサイト」画面で一括操作機能を使って実行可能です。

左側にあるチェックボックスを使って任意の環境を選択し、右上に表示される「操作」ドロップダウンから「自動更新の変更」を選択します。

複数の環境で自動更新設定を一括変更
複数の環境で自動更新設定を一括変更

すると、上記シナリオと同じウィンドウが表示されます。以下のスクリーンショットでは、選択した2つの環境の自動更新設定を行うウィンドウです。

複数の環境を選択した場合の自動更新設定の変更
複数の環境を選択した場合の自動更新設定の変更

複数の環境にインストールされているプラグインのみ、またはテーマのみに使用する

複数の環境にインストールされているプラグイン、またはテーマのみに自動更新を設定したい場合は、「WordPressサイト」画面の「プラグイン」または「テーマ」タブを開きます。

以下は、テーマのみの自動更新設定を行う例です。

テーマを選択して自動更新設定を一括変更
テーマを選択して自動更新設定を一括変更

複数のテーマを選択し、「操作」ドロップダウンから「自動更新の変更」を選択します。

Kinsta自動アップデートの設定方法

上記いずれかの手順で「Kinsta自動アップデート」を選択し、「続行」をクリックすると、以下の設定ダイアログが表示されます。

Kinsta自動アップデートの設定を編集
Kinsta自動アップデートの設定を編集

以下、各設定を詳しくご紹介します。

テストの頻度

Kinsta自動アップデートがプラグインとテーマのリリースをチェックし、更新を行う曜日を選択します。

更新のリリース日は開発者によって異なりますが、たとえば週末に更新メッセージをフォローアップすることができない場合は、土曜日や日曜日は選択しない方が得策かもしれません。

)Kinsta自動アップデートが初めて更新を行う際に更新が多い場合は、1回の時間枠ですべての更新が完了しない可能性があります。この場合、更新できなかった残りの分は指定した次の時間枠で実行されます。

テストの時間枠

更新を実行する時間枠を選択します。タイムゾーンはブラウザで検出された時間に基づいたものになります。

検出基準

ビジュアルリグレッションテストは、更新の前後でキャプチャしたスクリーンショットのピクセルを比較します。検出基準はこのテストの厳しさを指定するもので、値を高くすると、より細かな変化を検出できますが、誤検出が多くなる可能性もあります。

テストするURLの指定

ビジュアルリグレッションテストに使用するサイトのページを最大5つまで指定できます。このフィールドを空欄のままにすると、サイトのホームページとランダムに選ばれた4つページがテストに使用されます。

なお、1つ以上のURLを指定すると、5つに満たない場合でも指定したURLのみがテスト対象となります。

セレクタの非表示

動的コンテンツは、ビジュアルリグレッションテストに失敗する可能性があります。例えば、画像をランダムに表示するカルーセルがあるページでは、ページが最初に読み込まれた際にどの画像が表示されるかを確認できないため、更新前と更新後のスクリーンショットが一致しない可能性が高くなります、

この場合は通常、動的コンテンツを囲む要素のCSSセレクタを非表示にすることで解決します。例えば、div#rotatorと指定すると、スクリーンショットソフトウェアがrotatorというIDを持つdivdisplayプロパティをnone !importantに設定します。

WordPressメンテナンスモードの有効化

更新が実行されている間にメンテナンスページを表示したい場合には、このオプションを選択します。メンテナンスページは、更新が完了する間のみ表示され、テストの時間枠全体で表示されるわけではありません。

Kinsta自動アップデート設定の適用方法

上記の設定は、個別のWordPress環境単位、または個別のプラグインやテーマのみに適用されます。

複数のWordPress環境に適用する設定では、テストするURLの指定やCSSセレクタの選択はできません。したがって、設定ダイアログは以下のようになります。

複数の環境でプラグインとテーマの自動更新設定を編集
複数の環境でプラグインとテーマの自動更新設定を編集

この方法でKinsta自動アップデートを有効にした後、テストするURLの指定や非表示にするCSSセレクタを選択したい場合は、個別のWordPress環境に移動して設定を行ってください(「WordPressサイト」>(サイト名)>「プラグインとテーマ」)。

メール通知の設定

Kinsta自動アップデートに関するメール通知の受け取り設定は、MyKinsta画面右上のユーザー名から「ユーザー設定」>「通知」に移動します。更新が完了した場合、更新が失敗した場合にメール通知を受け取ることができます。

Kinsta自動アップデートの完了または失敗時のメール通知受け取り設定
Kinsta自動アップデートの完了または失敗時のメール通知受け取り設定

Kinsta自動アップデートのログ

Kinsta自動アップデートのログは、「プラグインとテーマ」画面下部にある「Kinsta自動アップデート」セクションで確認できます。

Kinsta自動アップデートの状況を確認
Kinsta自動アップデートの状況を確認

詳細情報」をクリックすると、プラグインまたはテーマの更新に関する詳細が表示されます。プラグインまたはテーマ名を選択すると、ビジュアルリグレッションテストに使用されたスクリーンショットも確認できます。

ビジュアルレグレッションテストで使用されたスクリーンショットと更新の詳細
ビジュアルレグレッションテストで使用されたスクリーンショットと更新の詳細

まとめ

Kinsta自動アップデートは、WordPressサイトのメンテナンスの大きな課題であるサイトを破壊する更新のリスク、手動更新による作業時間の消耗、古くなったプラグインによるセキュリティの脆弱性を解消します。利用することで、日々の作業時間を大幅に削減することができます。

Kinstaをご利用でない方は、この機会にWordPress専用マネージドクラウドサーバーをぜひご利用ください。一部プランは初月分が無料、さらに無料のサイト移行サービスと30日間の返金保証でリスクなしでお試しいただけます。

Steve Bonisteel Kinsta

Kinstaのテクニカルエディター。救急車や消防車を追いかける記者としてキャリアをスタート。1990年代後半からインターネット関連の技術情報を担当している。