日頃から決まって利用するブラウザは決まっている人が大多数でしょう。各種ブラウザの主な機能は大体同じですが、すべてのブラウザがセキュリティとプライバシーを重視しているわけではありません。意識して安全なブラウザを選ぶことで、ネット上でのあらゆる操作を危険から守ることができます。
セキュリティに力を入れたブラウザは、データの安全な保持を助け情報の傍受を効果的に防いでくれます。人気ブラウザの多くにセキュリティやプライバシー関連の機能がありますが、すべてが使いやすいわけではありません。
この記事では、ニーズに応じた安全なブラウザ選びを解説していきます。ChromeからTorまで、今人気のブラウザを6つご紹介します。
「安全なブラウザ」の定義
ほとんどのブラウザは、デフォルトでは安全でプライバシーに配慮された環境を提供してくれません。ブラウザのプライバシーやセキュリティをどのように設定するかは、ユーザー側の判断に委ねられています。
デフォルトでは、ほぼすべてのブラウザがユーザーが訪れたサイトを記録し、Cookieを保存し、パスワードの保存を推奨します。また、サイトがユーザーの位置情報などの個人情報へアクセスしたり、ポップアップの表示やスクリプトの実行を許可する可能性もあります。

プライバシーを重視するブラウザには、情報を保護し、匿名性を確保するための様々な機能が用意されています。しかし、後で詳しく触れますが、プライバシーを重視すると、大体は利便性が低下します。
ブラウザセキュリティの基本
ブラウザのセキュリティにおいて重要なのは、データのプライバシーや総合的なブラウジングの安全性に関するベストプラクティスを実践することです。私たちの経験上、以下のような機能を備えたブラウザでは、安全にブラウジングすることができます。
- 「安全でない」と判断されたサイトやダウンロードの警告
- サイトに許可する操作をユーザーが制御可能
- 任意でCookieを無効にすることが可能
- 多くサイトでポップアップをデフォルトで無効化
- 多くのサイトでリダイレクトをデフォルトで無効化
- すべてのサイト、または特定のサイトでスクリプトを無効化
- 閲覧履歴やキャッシュの管理
- ブラウザの頻繁な更新
一部のブラウザには、より高度なプライバシーとセキュリティに関する機能が標準で搭載されていますが、新たにブラウザの設定をする際には、必ず手動で設定を行うことをおすすめします。これは、どのソフトウェアを使用するかにかかわらずです。
ブラウジング環境は、時を経て格段に安全になっています。主要ブラウザは、様々な機能でデータを搾取しようとしたり、安全でないファイルをダウンロードさせようとしたりする危険なサイトからユーザーを保護しています。そのため、最新のブラウザを使っていて、基本的な知識さえあれば、通常データの安全性は守られます。
おすすめの安全なブラウザ6選
ここからは、安全性の高い人気ブラウザを6種類ご紹介します。
なお、紹介順はセキュリティやプライバシー機能の高い順にはなっていません。すべての選択肢に目を通した上で、ニーズに適したものを使ってみてください。
1. Chrome

Google Chromeは、市場シェアでトップを誇る、世界で最も利用されているブラウザです。データの保護や匿名性を高めるための機能も数多く備わっています。
Google Chromeの主な機能は以下の通りです。
- サイトによる追跡を拒否
- ポップアップやスクリプトをブロック
- 部分的または全体的にCookieをブロック
- 危険なサイトへのアクセス時や安全でないファイルのダウンロード時に警告を表示
- 保存しているパスワードが漏えいした時に通知を受信
- サイトに付与される権限を制御
- 特定のサイトをブロック
また、セッションごとに履歴やCookieが保存されなくなる、シークレットモード(シークレットウィンドウ)も利用できます。ブラウザの更新が頻繁にあり、コードの一部はオープンソースです。
Google Chromeは、設定次第で非常に安全性の高いブラウザですが、プライバシーの面では懸念もあります。Googleアカウントへのログインが必要で、多くの個人データがGoogleによって収集されます(Googleは、こうしたデータを他のウェブサイトと共有していないとしているが)。
Googleは、シークレットモード使用時にもユーザーを追跡していた疑いで、訴訟の対象となったことがあります。
2. Safari

iPhoneやMacbookなどのApple製品を利用している場合は、Safariを使っているかもしれません。Safariは、Chromeに続く市場シェアを誇りその比率は成長を続けています。
セキュリティに関して言えば、Safariには次のような機能があります。
- 危険なサイトの読み込み防止
- インテリジェンスを駆使したトラッキング防止機能(ITP)
- すべてのCookieのブロック
- ウェブサイトによるブラウザキャッシュ利用のブロック
- デフォルトでポップアップをブロックする機能
- サイトの権限を制御
- プライバシーレポートの利用(ウェブ上で遭遇したトラッカーがわかります)
Appleはプライバシー保護に力を入れており、例えば2021年のアップデートではアプリによるユーザーの追跡を防ぐ機能が実装されています。
2020年、Googleの研究者がSafairのセキュリティに関する複数の欠陥を指摘しました。その中には、ITP機能によってユーザーデータが流出したという指摘がありましたが、Appleはこの問題を修正したと主張しています。しかし、Safariはオープンソースではないため、自分のデータに何が起こっているのかを把握することは困難です。
Safariでもプライバシーは保護され第三者に共有されませんが、オープンソースではないため、情報はAppleが掌握します。これは、アプリやプラットフォームに密接につながったブラウザに見られる典型的な問題です(Chromeも然り)。
3. Firefox

Mozilla Firefoxは世界でも有数の有名ブラウザです。しかし、ここ十年ほどでChromeやSafariとは異なり、人気が低下しています。2010年には、Firefoxの世界的ブラウザ市場シェアは約31%でしたが、11年後には11.4%にまで下がっています。
Firefoxは一時期人気が低迷したものの、その後さまざまな改善が行われました。現在も、安全性に優れたブラウザの1つとして、以下のような機能を備えています。
- 複数の保護レベルから選べるトラッカー防止機能
- トラッキングを試みているウェブサイトをカテゴリ別に確認できるレポート機能
- データ侵害が発生した際に通知を受け取れるアラート機能
- Firefoxによるデータ収集を無効にする設定
- ウェブサイトごとの権限を管理する機能
- ポップアップのデフォルトブロック
- 悪意のあるダウンロードのブロック
- すべての接続でHTTPSを使用するよう強制する機能
また、Firefoxはオープンソースプロジェクトである点も見逃せません。つまり、必要な知識を持つ人であれば誰でもソースコードを確認し、不適切なデータ収集が行われていないかを検証できます。さらに、アップデートも定期的に提供されています。
Firefoxは、高いセキュリティ機能とプライバシー保護を兼ね備えたブラウザです。Mozillaはプライバシー保護にも力を入れており、それをFirefoxの大きな特徴の1つとして打ち出すことで、ChromeやSafari、Edgeといった主要ブラウザとの差別化を図っています。
4. Edge

Microsoft Edgeは、Internet Explorerの後継ブラウザですが、Internet Explorerとは一線を画します。2020年1月にはChromiumベースへ移行し、一部がオープンソース化されました。また、セキュリティアップデートも頻繁に提供されており、Chromeと同じくらいのペースで新しいバージョンがリリースされています。
市場シェアではFirefoxをやや上回る一方、ChromeやSafariには及びません。セキュリティ機能についてもChromeと同様に充実しており、以下のような機能を利用できます。
- 複数のレベルから選べるトラッキング防止機能
- ウェブ上でブロックしたトラッカーを確認できるレポート機能
- プライベートブラウズ時のトラッキング防止レベルを設定する機能
- 保存済みの支払い情報の有無をウェブサイトから判別されないようにする機能
- 悪意のあるウェブサイトやファイルのダウンロードを自動的にブロックする機能
- Microsoftによるデータ収集を無効にする設定
一方で、EdgeもChromeやSafariと同様に、ユーザーに関するデータを収集しています。また、一部の調査では、ハードウェア識別子を第三者と共有していることから、他のブラウザと比べてプライバシー保護の面で課題があると指摘されています。
Edgeは、Microsoftの従来のブラウザと比べて、ユーザー体験を大きく向上させました。しかし、プライバシーを重視するユーザーにとっては最適な選択肢とは言えません。一方で、機能の充実や市場シェアの拡大が進んでおり、今後の動向にも注目したいブラウザです。
5. Brave

Braveはブラウザ業界の新参者です。2019年にローンチされ、いまだに人気ブラウザほどの市場シェアはありません。2021年の市場データを確認してみるとわかるとおり、Braveのシェアは0.05%で最下位となっています。

市場シェアこそ小さいものの、Braveはここ数年で誕生したブラウザの中で群を抜いて興味深い選択肢です。密接に連動した広告プラットフォームや仮想通貨など、他のブラウザにはない革新的な機能を数多く誇ります。
Braveは他のブラウザよりも積極的にセキュリティ強化に取り組んでいます。以下はその一部です。
- サードパーティ広告のデフォルトブロック
- トラッキングのデフォルトブロック
- パスワードマネージャーを標準搭載
- Cookieやスクリプトをブロックする機能
- Torブラウザ(後ほど紹介)と同様のプライベートブラウジング機能
- すべての接続でHTTPSを使用する機能
BraveはChromiumベースで開発されている点にも注意が必要です。そのため、豊富なプライバシー保護機能を備えている一方で、一部のデータがGoogleのサーバーとやり取りされる可能性があることを懸念する声もあります。
また、Braveはデフォルトで広告をブロックしますが、独自の広告配信機能も備えています。そのため、ユーザーの行動が追跡される仕組みになっています。Braveの広告やリワード機能は無効にできますが、この仕組みはBraveが掲げるプライバシー重視の方針と矛盾しているという指摘もあります。
6. Tor

プライバシー重視のブラウザを語るうえで、Tor Project(通称Tor) は欠かせません。TorはFirefoxをベースに開発されたブラウザで、Torネットワークを利用するために特化した設計になっています。
Torは、現在利用できるブラウザの中でも特に高いセキュリティを備えており、プライバシー保護にも徹底的に配慮されています。その一方で、その高い安全性と引き換えに、使いやすさはあまり重視されていません。これは意図的な設計です。
Torがどれほどプライバシー保護を重視しているかは、以下のような機能からもわかります。
- ボランティアが運営するリレーサーバーを経由して通信を中継し、追跡を極めて困難にする
- トラッキングをデフォルトで無効化
- すべてのウェブサイトでスクリプトをデフォルトで無効化
- 閲覧履歴を保存しない
- すべてのウェブサイトでHTTPS接続を強制
- セッション終了時にCookieを自動的に削除
一方で、こうした特徴があるため、Torは日常的に利用するブラウザとしてはあまり適していません。例えば、一部のサイトではTorの出口ノードからのアクセスをブロックしているため、アカウントにログインできない場合があります。また、スクリプトがデフォルトで無効になっているため、正常に表示されないウェブサイトもあります。
さらに、インターネット回線が高速であっても、Torでは通信速度が遅く感じられることがあります。これは、通信を複数のリレーサーバー経由で中継する仕組みによるものです。この仕組みによって匿名性は高まりますが、その分ページの表示や通信に時間がかかります。
とはいえ、セキュリティとプライバシーを最優先するのであれば、Torは有力な選択肢です。Freedom of the Press Foundationが提供する内部告発プラットフォーム「SecureDrop」をはじめ、多くの内部告発支援サービスでもTorの利用が推奨されています。
結局のところ、どのブラウザが最も安全なのか
セキュリティとプライバシーを最優先するのであれば、Torに勝るブラウザはありません。優れたプライバシー保護機能を備え、ユーザーデータを保護するための対策も徹底しています。一方で、Torは日常的な利用を想定して設計されておらず、使い勝手の面では他のブラウザに劣る部分があります。
セキュリティ、プライバシー、使いやすさのバランスを重視するのであれば、FirefoxとBraveがおすすめです。どちらもプライバシーを重視するユーザーに適したブラウザですが、さらに安全性を高めたい場合は、プライバシー保護に役立つ拡張機能を追加するとよいでしょう。
おすすめの拡張機能には、以下のようなものがあります。
- パスワードマネージャー:Braveには標準で搭載されています。ただし、サードパーティーのものを使えばより安全です。
- スクリプトブロッカー:Firefoxもbraveもスクリプトブロック機能を備えています。しかし、一部の拡張機能ではサイトごとではなく、各ページ内で特定のスクリプトをブロックすることができます。
- 広告ブロッカー:広告を無効にすることでウェブブラウジングがより快適になります。Braveはデフォルトで広告を無効にしますが独自の広告ネットワークへの参加が呼びかけられます。
Firefoxは豊富なアドオンを提供しており、BraveはChromiumベースのためChrome向け拡張機能を利用できます。ブラウザと拡張機能を常に最新の状態に保ち、プライバシー設定を適切に管理していれば、より安全にウェブを利用できるでしょう。どちらも主要なOSに対応しています。
まとめ
最も安全なブラウザを選ぶのは、それほど難しいことではありません。一般的に、ChromeやEdge、Safariのように大手企業のエコシステムに組み込まれたブラウザでは、プライバシーを100%確保することはできません。もちろん、これらはいずれも優れたブラウザですが、プライバシー保護を最優先に設計されているわけではありません。
セキュリティとプライバシーを重視するのであれば、Tor、Firefox、Braveがおすすめです。ただし、Torは日常的な利用にはあまり向いていません。そのため、現実的な選択肢はFirefoxかBraveになるでしょう。あとは、Chromiumベースのブラウザを使いたいか、それとも別の選択肢を選びたいかによって決まります。どちらを選んでも、安心して利用できます。