ウェブサイトにアクセスすると、ブラウザはそのコンテンツを取得するために複数のサーバーにリクエストを送信します。しかし、中間サーバーの問題によって、時折このリクエストが処理されないことがあります。その際に遭遇することになるのが、「ERR_TUNNEL_CONNECTION_FAILED」エラーです。
これは、Google Chromeのみで見られるもので、トラブルシューティングとして、システム設定を詳しく調べなければならない可能性もありますが、手順はシンプルです。また、インターネット接続に関連するその他のエラーの解決にも役立ちます。
今回は、「ERR_TUNNEL_CONNECTION_FAILED」エラーの概要と原因、そして解決方法を詳しく見ていきます。
「ERR_TUNNEL_CONNECTION_FAILED」エラーについて動画での解説もご用意しています。
「ERR_TUNNEL_CONNECTION_FAILED」エラーとは
「TUNNEL」とは、ネットワーク上でデータを安全に転送するための接続の一種を意味し、「ERR_TUNNEL_CONNECTION_FAILED」エラーは、通常、プロキシまたはドメインネームシステム(DNS)のいずれかに問題があると発生します。
このエラーは、インターネット接続自体に問題があるわけではないため、他のURLにアクセスしたり、オンラインアプリを使用したりすることはできることも。簡単に言えば、使用しているDNSまたはプロキシが、アクセスしようとしているドメイン名をIPアドレスに変換(名前解決)できていない可能性があります。
なお、Chrome以外のブラウザでも、サイトが表示されないエラーが発生する可能性がありますが、「ERR_TUNNEL_CONNECTION_FAILED」というエラーメッセージは、Chrome特有です。
これは、ブラウザに表示されるエラーメッセージが根本的な問題とは関係のない稀なパターンで、Chromeによれば、サイトのダウンや別のアドレスへの移動を示唆していることも考えられます。あくまで表面的なエラーメッセージであり、その背後にある問題は反映されません。
「ERR_TUNNEL_CONNECTION_FAILED」エラーを解決するには(4つの方法)
ブラウザによっては、プロキシサーバーやDNSを設定することができますが、Chromeの場合は、オペレーティングシステム(OS)を通じて設定します。以下、WindowsとmacOSで、プロキシとDNSの潜在的な問題をトラブルシューティングする方法をそれぞれご紹介します。なお、トラブルシューティングを始める前に、ブラウザキャッシュはクリアしておきましょう。
1. プロキシの設定を確認する(必要に応じて無効化)
プロキシサーバーの問題は、「ERR_TUNNEL_CONNECTION_FAILED」エラーの主な原因の1つ。これは、OSがプロキシ設定を自動的に検出するように設定するか、特定のサーバーを使用するように設定することで解決することができます。
Windowsでは、コマンドプロンプトを開き、「inetpl.cpl」と入力します。すると、「インターネットのプロパティ」の設定ウィンドウが表示されます。「接続」>「LANの設定」に移動しましょう。
次の画面で、特定のプロキシサーバーを使用しているかを確認します。使用している場合は、「プロキシサーバー」にサーバー情報が表示されます。
デフォルトでは、プロキシ設定を自動的に検出するように設定されています。無効になっている場合は、一時的に有効にしてみてください。
自動設定を有効にしたら、「ERR_TUNNEL_CONNECTION_FAILED」エラーが消えているかどうかを確認しましょう。まだ表示される場合は、プロキシの自動設定と手動設定の両方を無効にしてみてください。これで、プロキシを使用しない状態になります。
macOSの場合は、アップルメニューで「システム環境設定」>「ネットワーク」に移動します。右側のメニューでネットワークサービスを選択し、「詳細」>「プロキシ」タブに移動します。
この画面で、プロキシ設定の手動と自動のどちらかを選択し、いずれかの設定を無効にします。
プロキシを無効にしたら、エラーが解消されているかどうかを確認しましょう。まだエラーが出ている場合は、次の解決策に移ります。
2. インターネットの設定をリセットする
インターネットの設定を「リセット」するというのは、コンピュータのIPアドレスを更新し、ローカルのDNSキャッシュをクリアすることを意味します。キャッシュの仕組みについてはこちらをご覧ください。
Windowsでインターネット設定をリセットするには、管理者モードでコマンドプロンプトを開き、以下のコマンドを1つずつ貼り付け、それぞれEnterキーで実行してください。
IPCONFIG /FLUSHDNS
NBTSTAT –R
NETSH INT IP RESET
NETSH WINSOCK RESET
最後のコマンドを実行したら、Chromeを再起動して、エラーが消えているかを確認します。解決していない場合は、DNSの設定に問題がある可能性が高いです。macOSの場合、ネットワーク接続をリセットする機能がないため、Wi-Fiネットワークや有線接続を削除して再接続することで、同じことを再現できます。
3. DNSサーバーを変更する
お使いのOSは、デフォルトでインターネットサービスプロバイダ(ISP)が提供するDNSサーバーを使用していますが、別のDNSを設定することも可能です。DNS設定もまた、「ERR_TUNNEL_CONNECTION_FAILED」エラーの主な原因になります。Windowsでこの設定を確認するには、「ネットワークの状態」を開き、「ネットワークの詳細設定」>「アダプターのオプションを変更する」に移動します。
次の画面で、アクティブなネットワーク接続を見つけて右クリックし、「プロパティ」を選択。ポップアップ画面で「インターネットプロトコルバージョン4(TCP/IPv4)」を選択して、右下の「プロパティ」をクリックします。
次に表示されるウィンドウで、インターネット接続用のIPとDNSの設定を行うことができます。デフォルトでは、IPアドレスとDNSサーバーの両方を自動的に取得するようになっています。
以下は、ISPのDNSではなく、Google Public DNSを設定した例です。
DNSサーバーを自動的に取得するように設定されている場合は、パブリックDNSサーバーを使用することをおすすめします。Cisco OpenDNS、Cloudflare、Google Public DNSなど、さまざまな選択肢があり、パブリックDNSを使用することで、ページの表示速度が改善される可能性があります。
必須ではありませんが、パブリックDNSを利用する際は、優先DNSに加えて、代替DNSも設定することが推奨されます。すでにカスタムDNSをお使いの場合は、DNSサーバーを自動的に取得するように設定してください。
設定を行ったら、ブラウザを再読み込みし、エラーが消えているかどうかを確認します。これで解決される場合は、カスタムDNSに一時的な問題がある可能性があります。
4. Chromeの設定を初期化する
Chromeには、再インストールせずにブラウザをデフォルト設定に初期化する機能があります。これが、プロキシやDNSの設定を変更してもエラーが解決しない場合の最後の解決策。
Chromeの設定画面に移動し、「リセットとクリーンアップ」>「設定を元の既定値に戻す」を選択します。
この操作によって、拡張機能が無効になり、一時データ(ブックマークを除く)が削除されます。確認画面の内容に同意の上、「設定のリセット」をクリックしてください。
それからしばらく待ち、Chromeが再起動したら、エラーが消えているかどうかを確認します。
まだエラーが解消されない場合は、Mozillaなど他のブラウザでも同様に接続エラーが発生するかを確認してみてください。その場合、ブラウザではなく、プロキシやDNSの設定に問題がある可能性が高いです。先ほどの手順に戻って、適切に設定されているかどうかを再度確かめてください。
Chrome以外でのエラーの発生場所
「ERR_TUNNEL_CONNECTION_FAILED」は、Google Chrome特有のエラー。しかし、他のブラウザでもプロキシやDNSサーバー関連のエラーが発生することがあります。例えば、「DNSサーバーは応答していません」エラーは、Chrome、Safari、Firefox、Edgeなどのブラウザで見られます。また「407 Proxy Authentication Required」エラーは、プロキシに関連するもので、使用しているプロキシ認証が機能していない、または適切に設定されていないことを意味します。 このようなエラーに遭遇したら、今回ご紹介した方法で解決可能です。大体の場合は、DNSやプロキシの設定を変更するか、仮想プライベートネットワーク(VPN)を使用することでエラーが解消されます。
まとめ
Chromeで見られる「ERR_TUNNEL_CONNECTION_FAILED」エラーは、サイトのダウンや移行と関係がある可能性を示唆しているため、混乱をまねくことも。しかし、このエラーはプロキシまたはDNSサーバーの設定が原因になっていることが多いです。
トラブルシューティング方法は、すべてのOSに共通します。Googleのキャッシュをクリアしたら、今回ご紹介した解決策を実践してみてください。
Kinstaをご利用で、「ERR_TUNNEL_CONNECTION_FAILED」エラーに遭遇した場合は、いつでもカスタマーサポートにご連絡ください。Kinstaのホスティングプランでは、あらゆる問題のトラブルシューティングをサポートする、業界トップクラスのサポートをご提供しています。