どんなにベテランの上級WordPressユーザーにも、不具合は起きてしまうものです。原因はユーザーのミスということもあれば、プラグインの脆弱性のせいでハッキングされてしまうこともあるでしょう。解決方法がわからない、あるいは時間がかかってしまうなら、バックアップからWordPressを復元するのが、1番早く簡単に問題を解決する方法です。バックアップは、このような状況で重宝します。この記事では、6つの異なる方法でWordPressをバックアップから復元する方法を解説します。どの方法を選ぶかにもよりますが、バックアップと復元はほんの数分でできてしまいます。
WordPressバックアップの仕組みを理解する
バックアップからWordPressを復元する方法を説明する前に、まずはバックアップの仕組みを理解しておきましょう。WordPressバックアップには、サイトファイルとMySQLデータベースが含まれることが一般的ですが、実際の内容はバックアップ方法によって異なります。
WordPressバックアッププラグイン
WordPressのバックアッププラグインを使用している場合、設定によって、バックアップ対象を/wp-content/uploads/
とデータベースだけにできるようになっていることが一般的です(テーマとプラグインフォルダを含むこともある)。これはディスク容量を節約するためです。データベースにはすべてのサイト情報が保存されており、「uploads」フォルダにはメディアライブラリの画像など、復元不可能で重要なファイルが保存されています。一般的に、テーマとプラグインは簡単に再インストールできますが、ほとんどのバックアッププラグインでは、テーマとプラグインをすべてバックアップするか、または容量を減らすために選択式になっています。おすすめは、増分バックアップに対応しているバックアッププラグインです。増分バックアップでは、初回バックアップ時にサイト全体をバックアップしたら、その後はサイトの変更のみを保存します。ディスク使用量が劇的に削減されるうえ、毎回サーバーに集中的な負荷をかける必要がなくなるため、パフォーマンスも向上します。
ホスティングが提供するワンクリックのWordPress復元ポイント
ご利用中のホスティングプロバイダーが、WordPressのバックアップ機能を用意していることがあります。この場合のバックアップは、例えばMacのTime Machineのように、サイトのスナップショットのような機能であることが多いです。ほとんどのマネージドWordPressホスティングでは、特定の日時のサイトの状態にワンクリックで復元する機能が用意されているため、これを利用するのが最も手軽で便利です。Kinstaユーザーなら、業界最高水準のWordPressバックアップ機能が利用可能です。Kinstaは、データの保全と保管を非常に重要視しており、6種類のバックアップを用意しています。
- 自動バックアップ:24時間ごとのバックアップを14日間保存。
- 手動バックアップ:復元ポイントを好きなタイミングで作成可能。
- システム生成バックアップ:Kinsta環境で重要なタスクを実行すると自動的に作成される。
- ダウンロード可能なバックアップ:WordPressサイト全体を網羅した、.zip形式のアーカイブファイル。ウェブサイト全体のファイルとデータベースの内容を反映したSQLファイルが含まれる。
- 外部バックアップ:外部サービスであるAmazon S3またはGoogle Cloud Storageバケットへの自動バックアップを設定可能。
- 6時間に1回のバックアップ(1サイトあたり月額50ドルの追加機能):6時間ごとにバックアップを作成し、過去24時間分が利用可能。頻繁に変更されるウェブサイト向け。
- 1時間に1回のバックアップ(1サイトあたり月額100ドルの追加機能):1時間ごとにバックアップを作成し、過去24時間分が利用可能。ECサイト、会員制サイト、頻繁に更新されるサイト向け。
これだけではありません。Kinstaでは、インフラストラクチャ内の各マシンの永続的なディスクスナップショット(バックアップを含む)を4時間ごとに作成し、その後2週間は24時間ごとに保存します。その後、Google Cloud Platformが自動的に各スナップショットの複数のコピーを複数の場所に冗長的に保存し、自動チェックサムによりデータの完全性を保証。つまり、スナップショットは最初に作成された場所とは異なるデータセンターに保存されます。サイトを運営するには、このような優れたバックアップ機能を提供する、Kinstaのような高性能ホスティングを利用するのが得策です。安価なホスティングとプラグインを組み合わせるよりも、ホスティング自体の高性能なバックアップとインフラストラクチャを利用したほうが、結果的に元が取れる価値があります。なお、Kinstaはディスク使用量算出の際にバックアップを考慮しませんのでご安心ください。
MyKinstaから、WordPressバックアップをワンクリックで復元
MyKinstaを使用すれば、WordPressサイトを簡単に復元できます。MyKinstaでは「自動」「手動」「システム生成」のバックアップが利用可能です。各バックアップは、作成時点の環境ファイル、データベース、リダイレクト、Nginx設定の全体スナップショットと言えます。バックアップを復元すると、サイトファイル、データベース、リダイレクト、Nginx設定のすべての変更点が、バックアップ作成時点の状態に巻き戻されます。
手順1
まず、MyKinstaにログインします。左側のメニューで「WordPressサイト」をクリックし、バックアップを復元するサイトをクリックします。
手順2
左メニューの「バックアップ」に移動すると、利用可能なバックアップ一覧が表示されます。画面上部から「毎日」「毎時」「手動」「システム生成」「外部」「ダウンロード」を切り替えることができます。今回は「毎日」の自動バックアップを使用します。バックアップを復元するには、対象のバックアップの横にある「復元先を選択」ボタンをクリックします。「Live」を選択すると、本番サイトを上書きします。
手順3
バックアップの復元を実行し、本番環境の上書きを実行するには、確認のためサイト名の入力が必要です。入力が完了したら、「バックアップの復元」をクリックします。
サイトの規模にもよりますが、数分かかる場合があります。復元の進行中は、WordPressの管理画面にアクセスできません。復元が完了するとすぐに通知されるため、進行中にMyKinstaを開いたままにしておく必要はありません。
復元が完了すると、WordPressの管理画面にアクセスできるようになります。バックアップを復元すると、その都度、直前のサイトバックアップが新たに生成されます。復元を取り消す必要がある場合に便利です。
ワンクリックでバックアップからステージングにWordPressを復元する
Kinstaをご利用中なら、WordPressをバックアップから復元し、本番環境ではなくステージング環境にプッシュすることもできます。以下のような使い方ができる、便利な機能です。
- 開発をよりスムーズかつ柔軟に行う。
- 本番サイトに触れずに、過去の挙動を確認。
- 本番サイトに手を加えず、過去のバックアップデータを修復または取り出す。
手順1
手順は、WordPressバックアップを本番サイトに復元する方法と基本的には同じです。「バックアップ」に移動し、復元したいバックアップの横にある「復元先を選択」ボタンをクリックします。ここで、「Staging」を選択すれば、バックアップがステージングにプッシュされます。
手順2
サイト名を入力して、バックアップの復元を確認し、「バックアップの復元」をクリックします。ステージング環境がまだない場合は新規作成されますが、すでにステージング環境がある場合は、現在のステージング環境が上書きされます。
サイトの規模にもよりますが、数分かかります。完了すると、本番サイトからは完全に独立した、独自環境のステージングサイトが利用可能になります。ステージングサイトはバックアップと同じ扱いになり、ホスティングプランのディスク容量にカウントされません。👍
プラグインを使ってバックアップからWordPressを復元する
続いて、プラグインを使用してバックアップからWordPressを復元する方法をご紹介します。プラグイン選びの際には「増分バックアップ」に対応したものをおすすめします。増分バックアップとは、サイトのファイルや、データベーステーブルが変更された場合にのみ、バックアップを作成することです。増分バックアップなら、サイトのパフォーマンスを向上させ、サーバー上に不必要なバックアップファイルをいくつも生成するのを避けられます。バックアップ時には、プラグインが都度、最新ファイルをスキャンし、何も変更がなければその時間のバックアップは行いません。今回は4つのバックアッププラグインをおすすめします。
この記事では「WP Time Capsule」を使用した方法を解説します。WP Time Capsuleは有料プラグインですが、30日間無料で完全版が使用できます。本格的に使用し始める前に試すことができて便利です。
WP Time Capsuleでは増分バックアップと復元が利用可能です。バックアップ時に余計なファイルをコピーせず、復元に必要なファイルだけを選択することで、サイトのパフォーマンスを向上させ、復元を簡略化できるようになっています。以下の解説では、すでにバックアップが取られている想定ですが、もしインストールから行う場合は、WP Time Capsuleのスタートガイドをご覧ください。すでにプラグインをお使いであれば、以下の手順でWP Time CapsuleのバックアップからWordPressを復元していきましょう。
手順1
WordPress管理画面にログインし、「WP Time Capsule」>「Backups」を開きます。カレンダーから復元ポイントを選択します。
注意)管理画面にアクセスできなくなってしまったWordPressサイトもWP Time Capsuleを使用すれば復元可能です。
手順2
次に、「Restore site to this point」をクリックします。または、プラグインが用意するステージングに復元する機能も利用できます。
これで完了です。このように手順はとてもシンプルです。
phpMyAdminでWordPressデータベースのバックアップを復元する
データベースを手動で復元しなければならない場面もあるかもしれません。ここからは、phpMyAdminを使用してMySQLデータベースを復元する方法を解説します。phpMyAdminは、MySQLやMariaDBの管理に使用される、ブラウザから利用可能な無料のオープンソースツールです。データベースの移行、テーブルやインデックスの管理、SQL文の実行など、さまざまな操作に使用できます。
注意)以下の解説では、インポート用のバックアップ、またはエクスポート済みの*.sql
ファイルがすでにあることを前提としています。まだバックアップがない場合、phpMyAdminでMySQLデータベースのバックアップする方法をご覧ください。
手順1
まず、phpMyAdminへのログインが必要です。Kinstaを使用している場合、MyKinsta内にあるphpMyAdminへのリンクから簡単にアクセスできます。サイトページ内メニューの「情報」>「データベースへのアクセス」セクション内にリンクがあります。
注意)Kinsta以外のホスティングプロバイダーを使用している場合、phpMyAdminの設置場所は異なります。ホスティングプロバイダーの用意している公式ドキュメントを確認するか、カスタマーサポートへphpMyAdminの場所を問い合わせてください。cPanelを使用している場合は、「データベース」セクションからアクセス可能です。
手順2
WordPress用のデータベースをクリックします。通常、サイト名がデータベース名として命名されています。
手順3
「インポート」タブに移動し、「ファイルを選択」をクリックして、バックアップ用にエクスポートした*.sql
ファイルを選択します。選択後、「実行」をクリックします。
重要)*.sql
ファイルをインポートすると、現在のデータベースが上書きされます。念のためバックアップを取っておいてください。この作業に不安がある場合、先に開発者に確認してください。
もし、WordPressサイトのハッキングが疑われるためにデータベースを復元する場合、以下にご紹介する追加処置をおすすめします。Kinstaでは、お客様のハッキング被害に無料で対処しています。WordPressサイトのエクスポート方法もぜひご覧ください。
データベースのパスワードを変更する
WordPressサイトがハッキングされてしまった場合、MySQLデータベースのパスワードリセットが必要です。MyKinstaの「データベースへのアクセス」内に、「新しいデータベースパスワードを生成」というボタンがあります。ここからパスワードを変更すると、wp-config.php
ファイル内のパスワード情報が自動的に更新されます。ただし、デフォルトのまま、サイトルートに設置されている場合に限ります。ルート以外に設置している場合、手動でwp-config.phpファイルを編集する必要があります。
WordPress本体と、無効化されたプラグインとテーマの再インストール
さらに、WordPress本体の再インストールをおすすめします。再インストールしても、データベースに保存したデータやカスタマイズには影響しません。
- 既存のコンテンツを保持したまま、WordPress管理画面からWordPressを再インストールする方法
- 既存のコンテンツを保持したまま、FTP経由でWordPressを手動再インストールする方法
- 既存のコンテンツを保持したまま、WP-CLI経由でWordPressを手動再インストールする方法
WordPressのプラグインやテーマが無効化されてしまうことがあります。その場合、開発元から正規版を入手し、再インストールしてください。
cPanelでWordPressデータベースのバックアップを復元する
cPanelを使用しているホスティングプロバイダーでも、似たようなやり方でWordPressデータベースを復元できます。以下の手順に従ってください。
手順1
cPanelアカウントにログインし、ファイルセクション内のバックアップをクリックします。
手順2
「MySQLデータベースのバックアップを復元」までスクロールします。Choose Fileをクリックし、*.sql
ファイルを選択したら、アップロードをクリックします。
管理画面またはSFTPを使用してWordPressファイルを手動で復元する
WordPressファイルを手動で復元する必要がある場合、以下の2つの方法があります。
管理画面からWordPressファイルを復元
管理画面へアクセス可能な場合は、まずはこの方法が手軽でおすすめです。WordPressの管理画面で、サイドバーの「ダッシュボード」>「更新」に進みます。そして「今すぐ再インストール」ボタンをクリックします。
ボタンをクリックすると、WordPressが最新版のWordPressをダウンロードし、再インストールします。こうすれば、WordPress最新版へ更新するときと同じ処理を、手動で再実行することができます。数秒後、再インストールの進行がすべて完了すると、新しいWordPressがインストールされているはずです。
SFTPを使ってWordPressのファイルを復元
不具合でWordPressの管理画面にアクセスできない場合(またはSFTPで作業するほうがお好みの場合)、SFTPで同様の作業を行うことができます。先ほどの解説で、WordPressが自動で行っていた内容を、手動で再現します。手順はたったの3ステップです。
- 最新版のWordPressをダウンロード
.zip
ファイルを解凍/wp-content/
フォルダを除くすべてのファイルをアップロード
手順1
WordPress .orgにアクセスし、最新版のWordPressをダウンロードします。
手順2
ダウンロードが完了したら、.zip
ファイルを解凍します。続いて、wp-content
フォルダを削除します。
手順3
アップロードするファイルの準備が整ったら、サーバーにSFTP接続し、WordPressをインストールしたフォルダに残りのファイルをアップロードします。通常はpublic
またはpublic_html
のような名前のルートフォルダです。ファイルのアップロードを開始すると、SFTPクライアントが「対象ファイルはすでに存在します」とメッセージが表示されるはずなので、上書きを選択し続行します。
あらかじめwp-content
フォルダを削除しておいたため、テーマやプラグインに影響を与えることなく、WordPress本体のファイルがすべて上書きされます。アップロードが完了すると、WordPress本体のファイルが新しくインストールされ、問題なく動作します。
まとめ
WordPressサイトの復元は、バックアップファイルがあればとても簡単にできますが、不具合が発生してしまう場合もあります。復元後に発生しやすい不具合とその解決方法については、以下を参考にしてみてください。
- データベース接続の確立エラー
- 内部サーバーエラー
- 死の真っ白画面
- 「ERR_CONNECTION_TIMED_OUT」エラー
- 「ERR_TOO_MANY_REDIRECTS」エラー
- ユーザーのインポートとエクスポート
Kinstaを利用していれば、心配ご無用です。6通りのバックアップ方法があり、ワンクリックでいつでもサイトを復元できますし、万が一サイトがハッキングされても、WordPressに精通したスタッフが無料で対処いたします。もし、この他にもWordPressをバックアップから復元する際に遭遇したことやヒントがありましたら、ぜひ以下のコメント欄からお知らせください。
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