WordPressのキャッシュをクリアすることは、古いコンテンツ、壊れたスタイル、サイトに表示されない変更などの問題が発生した際に実践する最も一般的なトラブルシューティングの1つ。ブログやオンラインストア、またはアクセスの多い企業サイトなどその種類を問わず、サイトを運営していれば、キャッシュの仕組みとクリア方法を理解することは、訪問者に高速で信頼性の高いエクスペリエンスを提供するために不可欠です。

この記事では、問題のトラブルシューティングを行う初心者から、複雑なサイト設定を管理する開発者まで、あらゆる経験値のWordPressユーザーを対象に、キャッシュのクリア方法についてご説明していきます。「サイトに最新の変更内容が表示されない」という状況では、キャッシュに原因があることがよくあります。

今回は、WordPressキャッシュのクリア方法─キャッシュプラグインを使用する方法、サーバーコントロールパネル(Kinstaのお客様はMyKinsta)から実行する方法、ブラウザから実行する方法、またCDNサービスから実行する方法を包括的にご紹介します。

WordPressキャッシュのクリア方法に関して動画での解説もご用意しています

そもそもキャッシュとは?

簡単に言うと、キャッシュはウェブページを表示するために必要な負荷を最小限に抑える役割を果たします。

WordPressのキャッシュは、ウェブページの静的バージョンを保存することで、より効率的な環境を実現します。このWebページのコピーは、キャッシュの有効期限が切れるか、コンテンツが変更されるか、キャッシュがクリアされるまで、WordPressまたはウェブサイトのキャッシュに保持されます。

キャッシュは、ウェブサイトの履歴のスナップショットを保存する場所だと考えるとわかりやすいかもしれません。訪問者がウェブページにアクセスするたびに、サーバーがすべてのサイトファイルをコンパイルして配信する代わりに、このスナップショットを配信します。

WordPressキャッシュのクリアが必要な時

キャッシュはサイトの速度とパフォーマンスを改善しますが、直近の変更が本番サイトに表示されないなど、キャッシュが問題を引き起こすこともあります。その場合は、WordPressのキャッシュをクリアして、ブラウザやサーバーに最新バージョンを読み込ませなければなりません。具体的には、以下のような状況でクリアすることになります。

  • プラグインやテーマの更新後
  • コンテンツを追加または変更したが、古いバージョンがまだ表示されている
  • デザインの変更(ボタンの設置やレイアウトの調整など)が反映されていない
  • 以前に作成した固定ページや投稿を更新した
  • CSSやスクリプトのキャッシュが原因で編集後にサイトの外観が崩れている

他にもWordPressのキャッシュファイルをクリアする状況は多数ありますが、いずれにしても、キャッシュと新たなコンテンツのバランスを保つことが鍵となります。

以下、キャッシュプラグイン、サーバー、CDN、ブラウザ別にWordPressキャッシュをクリアする方法をご紹介します。

方法1. WordPressキャッシュプラグインを使ってキャッシュをクリア

キャッシュプラグインを使用した方法は、WordPressキャッシュ管理の最も一般的な方法の1つです。今回は特に人気の高いプラグイン、WP Rocket、W3 Total Cache、WP Super Cacheの3つを使ってキャッシュをクリアする方法をご紹介します。

別のキャッシュプラグインを使用していてもOKです。いずれのキャッシュプラグインの設定ページにも「キャッシュをクリア」や「キャッシュをパージ」などのボタンや設定があります。

WP RocketでWordPressキャッシュをクリアする方法

WP Rocketは、WordPress管理画面の上部バーからキャッシュをクリアすることができる有料プラグインです。

プラグインをインストールして有効化すると、管理画面上部に「WP Rocket」が出現します。これを選択するとドロップダウンが表示され、「Clear and reload cache(キャッシュのクリアと再読み込み)」をクリックします。

WP RocketでWordPressキャッシュをクリア
WP RocketでWordPressキャッシュをクリア

なお、管理画面が更新される可能性があるため、キャッシュをクリアする前に変更は保存しておくことをおすすめします。

より細かな設定を行うには、設定ページに移動します。WordPress管理画面の左サイドメニューから「設定」>「WP Rocket」を開きます。この画面では、キャッシュをクリアしたり、更新後にキャッシュクリアの自動化を設定したりすることができます。

WP Rocketの設定ページでWordPressのキャッシュをクリア
WP Rocketの設定ページでWordPressのキャッシュをクリア

また、各投稿と固定ページにも「Clear cache(キャッシュをクリア)」オプションが出現するようになります。

W3 Total CacheでWordPressキャッシュをクリアする

W3 Total Cacheは、無料で使用でき、専用サーバー、モバイル環境、CDNをサポートしています。

プラグインのインストール・有効化後、管理画面上部に表示される「パフォーマンス」をクリックし、「すべてのキャッシュを消去」をクリックするだけで、キャッシュをクリアできます。

W3 Total CacheでWordPressのキャッシュをクリア
W3 Total CacheでWordPressのキャッシュをクリア

同じドロップダウンから「一般設定」に移動することもできます。

W3 Total Cacheの一般設定
W3 Total Cacheの一般設定

一般設定」ページでも「すべてのキャッシュを空にする」をクリックして同じ操作を行うことができます。プラグインの「ダッシュボード」からも実行可能です。

一般設定ページでキャッシュをクリア
一般設定ページでキャッシュをクリア

WP Super CacheでWordPressのキャッシュをクリアする方法

Automattic開発のWP Super Cacheは、シンプルかつ高性能なキャッシュプラグインで、WordPress初心者にもおすすめの選択肢です。

WordPress管理画面上部にある「キャッシュを削除」をクリックします。

WP Super CacheでWordPressのキャッシュをクリア
WP Super CacheでWordPressのキャッシュをクリア

WP Super Cacheの場合は、他のキャッシュプラグインとは異なり、ワンクリックでクリアできません。設定ページに移動して、再度「キャッシュを削除」をクリックします。

WP Super Cacheの設定
WP Super Cacheの設定

方法2. サーバーコントロールパネルでキャッシュをクリア

WordPress専用のサーバーを使用している場合は、キャッシュプラグインが不要な場合がよくあります。たとえばKinstaでは、WordPressのキャッシュファイルを手動/自動でクリアする機能を含むサーバーレベルのキャッシュを組み込みで提供しています。

Kinstaのキャッシュ機能の詳細はこちらでご紹介しています。

MyKinstaでWordPressのキャッシュをクリアする方法

Kinstaは、バイトコードキャッシュオブジェクトキャッシュサーバーキャッシュ(別名ページキャッシュ)、CDNキャッシュ4種類のキャッシュをサポートしているため、手間なくサイトのパフォーマンスを向上させることができます。

WordPressキャッシュのクリアもとても簡単です。すべてのキャッシュをクリアするには、MyKinstaで該当のサイトを選択し、「キャッシュ」画面に移動して、「全てのキャッシュをクリア」をクリックします。キャッシュの設定はすべてこの画面で調整することができます。

MyKinstaですべてのキャッシュをクリア
MyKinstaですべてのキャッシュをクリア

特定のキャッシュを個別にクリアすることもでき、例えば、静的コンテンツのキャッシュのみを削除するには、「サーバーキャッシュ」タブを開いて、「キャッシュをクリア」をクリックします。

MyKinstaでサーバーキャッシュをクリア
MyKinstaでサーバーキャッシュをクリア

頻度を設定して、WordPressキャッシュのクリアを自動化することもできます。「キャッシュの有効期限を変更する」をクリックし、頻度を1時間〜7日から選択して設定します。

WordPressキャッシュの有効期限を設定
WordPressキャッシュの有効期限を設定

サイトを頻繁に更新する場合は、有効期限を短くするのが理想的です。静的サイトの場合は、有効期限を7日間など長めに設定することで、パフォーマンスを改善することができます。

WordPress管理画面でWordPressのキャッシュをクリアする方法

多くのサーバーは、キャッシュ機能をWordPressに拡張し、管理画面から直接キャッシュのクリアなどの操作を実行できるようにしています。

KinstaでWordPressサイトを運営する場合は、Kinsta MUプラグインが自動的にインストール・有効化されます。このプラグインにより、WordPress管理画面のツールバーに「Clear Caches」メニューが表示されます。これをクリックすると、すべてのキャッシュがクリアされます。

Kinsta MUプラグインの「Clear Caches」ボタン
Kinsta MUプラグインの「Clear Caches」ボタン

左サイドバーから「Kinsta Cache」をクリックすると、設定ページに移動して個別にキャッシュをクリアしたり、更新時にパージするURLを追加したりすることができます。

Kinsta MUプラグインの設定ページ
Kinsta MUプラグインの設定ページ

方法3. ブラウザでキャッシュをクリア

サーバーサイドのキャッシュの他に、Chrome、Safari、Edge、Firefoxなどのウェブブラウザもサイトのキャッシュバージョンを保存します。WordPressのキャッシュをクリアしても変更が表示されない場合は、ブラウザキャッシュもクリアしてみることをおすすめします。

以下、主要なブラウザでキャッシュをクリアする手順をご紹介します。

Google Chromeでキャッシュをクリアする方法

Google Chromeでは、ブラウザの右上にある3つの点()をクリックし、「閲覧履歴データを削除」をクリックします。

デフォルトの「基本設定」タブでもOKですが、その横にある「詳細設定」タブを開くことをおすすめします。

Googleには「キャッシュ」をクリアする項目はなく、「閲覧履歴」「ダウンロード履歴」「Cookieとその他のサイトデータ」「キャッシュされた画像とファイル」などを選択して削除します。

Chromeで閲覧履歴データを削除
Chromeで閲覧履歴データを削除

なお、「パスワードとその他のログインデータ」を選択すると、すべてのパスワードが削除されてしまうため、このチェックは外しておくことをおすすめします。

期間」が「全期間」に設定されていることを確認し(またはキャッシュをクリアしたい期間まで遡る)、「データを削除」をクリックすれば完了です。

Microsoft Edgeでキャッシュをクリアする方法

Microsoft Edgeにも、Chromeと同様にサイトの履歴とブラウザのキャッシュをクリアする設定があります。Microsoft Edgeを開き、ブラウザの右上にある3つの点をクリックします。

設定」>「プライバシー、検索、そしてサービス」に移動し、「閲覧データをクリア」セクションで「クリアするデータの選択」をクリックします。

Edgeの「閲覧データをクリア」ウィンドウ
Edgeの「閲覧データをクリア」ウィンドウ

閲覧履歴」「ダウンロードの履歴」「Cookieおよびその他のサイトデータ」「キャッシュされた画像やファイル」を選択することをおすすめします。「時間の範囲」を「すべての期間」に設定し、「今すぐクリア」をクリックして完了です。

また、Microsoft Edgeならではの機能として、ブラウザを閉じるたびにキャッシュがクリアされるように設定することもできます。

これを行うには、「設定」ページに戻り、「ブラウザーを閉じるたびにクリアするデータを選択する」をクリックします。

「閲覧データをクリア」の詳細設定
「閲覧データをクリア」の詳細設定

ブラウザキャッシュのクリアと同様、いくつかの項目からクリアするものを選択できます。

ブラウザの閲覧履歴は削除したくないと言う場合でも、Cookieおよびキャッシュされた画像やファイルはクリア対象にすることをおすすめします。

ブラウザを閉じるたびにクリアするものを選択
ブラウザを閉じるたびにクリアするものを選択

Safariでキャッシュをクリアする方法

多くのmacOSユーザーが使用するSafariでは、上部メニューバーから「履歴」>「履歴を消去」をクリックします。

表示されるウィンドウで、「消去の対象」タブから期間を選択します。時間枠を選択したら、「履歴を消去」をクリックして完了です。

Safariの「履歴を消去」ウィンドウ
Safariの「履歴を消去」ウィンドウ

これにより、過去の閲覧履歴だけでなく、すべてのCookieとキャッシュがクリアされます。

キャッシュのみをクリアしたい場合は、SafariのWebデベロッパ機能を使用します。開発メニューを使用します。Webインスペクターを使用するブラウザの「開発」だけを消去するもうひとつの方法は、ブラウザの「開発」メニューを開くことです。そこにキャッシュを空にするオプションがあります。

Webデベロッパ機能を表示するには(まだ表示されていない場合)、上部バーから「Safari」>「設定」を開き、「詳細」タブの一番下にある「Webデベロッパ機能を表示」にチェックを入れます。

Mozilla Firefoxでキャッシュをクリアする方法

Mozilla Firefoxの場合は、右上にある縦3本線のマークをクリックし、ドロップダウンから「設定」を選択します。

Firefoxでキャッシュをクリア
Firefoxでキャッシュをクリア

続いて、「プライバシーとセキュリティ」タブを開きます。

Firefoxの「プライバシーとセキュリティ」画面
Firefoxの「プライバシーとセキュリティ」画面

このページには、トラッキングをブロックする機能からキャッシュのクリアまで、多くのセキュリティとプライバシー設定を行うことができます。

Cookieとサイトデータ」セクションまで下にスクロールし、「データを消去」をクリックします。

FirefoxでCookieとサイトデータを消去
FirefoxでCookieとサイトデータを消去

デフォルトでは、「Cookieとサイトデータ」と「一時的にキャッシュされたファイルとページ」が選択されています。この2項目を選択していることを確認した上で、「消去」をクリックします。

Cookieとサイトデータと一時的にキャッシュされたファイルとページを消去
Cookieとサイトデータと一時的にキャッシュされたファイルとページを消去

方法4. CDNキャッシュをクリア(Kinsta CDN、Cloudflare)

KinstaのCDNCloudflareのようなCDN(コンテンツデリバリネットワーク)サービスを利用している場合、サイトの静的アセット(画像、CSS、JavaScriptなど)は世界中のユーザーに高速配信するために世界各地のサーバーにキャッシュされます。

これによりパフォーマンスが改善しますが、WordPressサイトに加えた変更がすぐに反映されない可能性もあります。更新されたコンテンツを確実に反映するには、CDNキャッシュをクリアする必要があります。

Kinstaをご利用で、KinstaのCDNを使用している場合は、WordPressキャッシュ同様、簡単にクリアすることができます。MyKinstaで該当のサイトを開き、「キャッシュ」画面を開きます。「CDN」タブを選択して、「CDNキャッシュをクリア」をクリックすればOKです。

MyKinstaでCDNキャッシュをクリア
MyKinstaでCDNキャッシュをクリア

少し待つと、CDNキャッシュがクリアされたことを伝えるメッセージが表示されます。

Cloudflareのような他のCDNサービスを使用している場合は、CDNサービスのコントロールパネルにログインし、キャッシュをクリアします。すべてをクリアするか、特定のファイル/ページを選択してクリアしてください。

詳しい手順は各CDNサービスによって異なるため、各サービスのドキュメントを参照してください。

まとめ

WordPressのキャッシュをクリアすることは、最新の変更や更新が適切に表示されるようにするために欠かせません。

WordPress管理画面(プラグイン)やサーバーコントロールパネルでキャッシュをクリアする方法、またCDNおよびブラウザキャッシュをクリアする方法をご紹介しました。キャッシュファイルをクリアするタイミングと方法を把握しておくことで、より高速で信頼性の高いサイトを維持することができます。

Kinstaでは、キャッシュ機能がプラットフォームに完全統合されており、サーバーサイド、ページ、オブジェクト、CDNキャッシュが組み合わされているため、余分なメンテナンスを行うことなく、パフォーマンス改善の恩恵を受けることができます。WordPressのキャッシュの手動クリアや自動化も簡単です。

強力なキャッシュ機能とサイト管理の技術的な負担が軽減されるWordPress専用サーバーをお探しなら、KinstaのWordPress専用マネージドクラウドサーバーをぜひお試しください。

Salman Ravoof

独学のウェブ開発者、ライター、クリエイターでもあり、大の無料オープンソースソフトウェア(FOSS)好き。その他の好きなものは、科学、哲学、写真、芸術、猫、そして食。詳しい仕事情報はウェブサイトおよびXアカウントで公開している。