KinstaのアドオンでWordPressのパフォーマンスを改善する方法

オンラインビジネスの成功の鍵を握るのは、ウェブサイトのパフォーマンスです。複数のWordPressサイトを管理する制作会社にとって、これはさらに重要になります。読み込みが遅ければ顧客を失い、検索順位が下がり、ブランドの評判を損なう可能性があります。

高速で信頼性に優れたサイトを提供できれば、クライアントを満足させ、競争率の高い業界でリーダーとしての地位を確立することができます。しかし、これには規模に応じたパフォーマンス管理が課題となります。

サイトパフォーマンスの改善に役立つプレミアムアドオンは、クライアントサイトの管理を簡素化してくれます。各顧客特有の要件に対応できる柔軟でスケーラブルなソリューションにより、課題の克服を後押しします。

画一的なアプローチではなく、各サイトがそれぞれに最高のパフォーマンスを発揮できるよう、ホスティングリソースを調整することができます。

今回は、KinstaのアドオンがどのようにWordPressサイトのパフォーマンスを改善するかを詳しくご紹介します。

WordPressのパフォーマンスを拡張するアドオンの役割

Kinstaのアドオンは機能の拡張だけでなく、代行業者が複数のクライアントサイトでWordPressのパフォーマンスを効果的に拡張する手段となります。これからご紹介するアドオンをKinstaのWordPress専用マネージドホスティングプランに追加することで、各サイトの特定の要件に基づいて、コントロールパネルのMyKinsta一箇所で簡単にパフォーマンスを微調整可能です。

多数のサイトを管理するWordPress制作会社を考慮し、サイト管理を効率化するための柔軟性とスケーラビリティをもたらすアドオンを提供しています。メディアを多く使用する顧客サイトにはディスク容量を増やす必要があったり、高トラフィックのWooCommerceストアにはRedisキャッシュを有効にしたりなど、柔軟な対応が可能です。

各アドオンは、インフラ全体を軽量かつ効率的に保ちながら、特定のパフォーマンス上の課題を解決します。MyKinstaを通じて、複数のクライアントサイトでこれらのリソースを簡単に監視および調整することができます。トラフィックの急増、リソースの需要、またはクライアント固有の要件に迅速に対応し、サイトのパフォーマンスを維持することが可能です。

Redisキャッシュ

Redisキャッシュアドオンは、動的なサイトのパフォーマンスを高速化するために設計されたインメモリデータ構造ストアです。WordPressの場合、Redisは、データベースクエリやPHPオブジェクトような頻繁にアクセスされるデータをメモリに保存することで機能します。これにより、データベースへの問い合わせ回数が減り、ページの読み込み時間が短縮され、サーバーへの負担が減り、スケーラビリティが向上します。

WordPress専用マネージドホスティングのデフォルトでは、ページキャッシュを使用しますが、すべてのサイトに適しているわけではありません。動的サイト（ECサイトや会員制サイトなど）では、パーソナライズされたコンテンツや頻繁に変更されるコンテンツを処理するために、より高度なキャッシュ戦略が求められます。Redisは、データベースリクエストをリアルタイムでキャッシュし、複雑なデータベースインタラクションを持つサイトにより高速なパフォーマンスを提供してくれます。

RedisキャッシュはMyKinstaで追加・管理可能です。有効化すると、Redis Object Cacheプラグインが自動的にインストールされ、複雑な設定なしで使い始めることができます。

使用例

このアドオンは以下のようなサイトに有用です。

• ECサイト：在庫、価格、ユーザーデータが常に変化し、データ量も多く、動的であることが多い。頻繁に更新されるため、従来のページキャッシュにはあまり効果がない。Redisは、頻繁にリクエストされる商品データやユーザーセッションをキャッシュすることでパフォーマンスを改善し、トラフィックの多い時間帯のデータベースへの負荷を軽減してくれる。
• 会員制サイト：パーソナライズされたコンテンツが提供される場合が多く、ユーザーごとに体験が異なる可能性がある。Redisは、ユーザー固有のクエリやインタラクションをキャッシュすることで、管理画面やパーソナライズされたフィードなどの動的要素の読み込みを高速化してくれる。
• フォーラムや掲示板サイト：活発なコメント欄やディスカッションスレッドを持つ高度にインタラクティブなサイトでは、データベースとのやり取りが頻繁に発生。Redisは、パフォーマンスの問題を引き起こさずに多数のユーザーを同時に処理するのに役立つ。

プレミアムステージング環境

プレミアムステージング環境アドオンを利用すると、変更や更新、または新機能を本番サイトに反映する前に徹底的にテストするのに有用です。プレミアムステージング環境はクライアントサイトごとに最大5つ作成でき、中断のリスクを回避しながら、より堅牢なテストを実施することができます。

複雑なプロジェクトやリソースの多いプロジェクトを抱えている場合にも便利です。プレミアムステージング環境は、サーバーリソースを含め、本番サイトの状況を忠実に模倣したものになります。これにより、正確なパフォーマンステストを行うことができます。

各プレミアムステージング環境には、本番サイトのワーカープロセス数、12 CPUと8 GBのメモリが搭載されています。本番サイトに限りなく近い環境を利用することにより、安全に変更をデプロイ可能です。

使用例

このアドオンは特に以下のような状況に有用です。

1. サイトの大規模な再設計：複雑なデザインを持つ大規模なウェブサイトを管理する制作会社にとって、テーマの切り替えや要素の再構築を本番サイトで行うことにはリスクが伴う。プレミアムステージング環境は、新たなデザインをテストするための制御された設定を提供するため、本番前に互換性とパフォーマンスを確認できる。
2. リソース集約型の開発：カスタム開発やサードパーティとの統合が多いウェブサイト（多数のプラグインを使用するECサイトなど）では、リソースを大量に使用できるステージング環境が有効。サイトのクラッシュやダウンを回避しながら、現実的な条件下でサイトのパフォーマンステストを実施できる。
3. 重要な更新のテスト：WordPressのメジャーアップデートがある場合は、本番サイトでなくステージング環境でテストするのが賢明。プラグインや使用しているテーマとの干渉が発生しても、本番サイトに影響を与えることなく、問題を解決することができる。

PHPメモリ

PHPメモリアドオンは、WordPressサイトに割り当てられるデフォルトのPHPメモリ上限を256MBから512MBに増やすことができます。リソースの多いテーマや複雑なプラグインを実行しているサイト、または大量のデータを処理しているサイトで重宝されています。

なお、AgencyプランのPHPメモリ上限は、デフォルトで512MBになっています。

使用例

WordPress制作会社は、以下のようなサイトでメモリ制限を引き上げることができます。

1. ECサイト：大規模な在庫と複雑な決済プロセスを持つWooCommerceストアは、効率的な実行に多くのメモリを必要とすることがよくある。PHPのメモリ制限を増やすことで、パフォーマンスを低下させることなく、大量のトラフィックや大規模な製品カタログを処理できるように。
2. コンテンツが多いサイト：リッチメディア、多数のプラグイン、または高度な機能を持つブログやサイトにも有効。特に大きな画像や動画など、データ量の多いコンテンツを定期的にアップロードしているサイトには、導入を検討する価値あり。
3. 高度にカスタマイズされたWordPressサイト：カスタムコードを使用しているサイトや、サードパーティのサービスと複雑な統合を行っているサイトでは、追加の処理をスムーズに処理するために、多くのメモリが必要になる。PHPメモリアドオンによって、タイムアウトやエラーを避けてスムーズに動作するために必要なリソースを確保できる。

ディスク容量

時には、サイトに割り当てられたディスク容量を超えてしまうことも。そんなときには、上位プランにアップグレードする前に、ディスク容量アドオンを使用することができます。代行業者向けの柔軟なストレージソリューションで、利用可能なSSDストレージを20GB単位で適宜追加可能です。

より多くのストレージが必要だが、追加機能は不要なクライアントサイトを抱えているという場合には、良い選択肢になります。MyKinstaから複数のクライアントサイトに簡単に追加可能です。

このスケーラブルなストレージ容量アドオンは、クライアントがストレージの上限を超えた場合に発生する可能性のある超過料金を回避するのに役立ちます。また、高解像度の画像や動画などの大容量メディアファイルの増加といった、リソースの需要の増大にも対応できるようになります。

使用例

ディスク容量アドオンは、以下をはじめとする様々なサイトに有用です。

1. 写真家や映像作家のウェブサイト：クリエティブ系のポートフォリオサイトでは、高解像度の画像や動画ファイルを大量に保存する必要がある。このアドオンを利用することで、パフォーマンスに影響を与えたり、ホスティングプランをアップグレードしたりすることなく、大容量ファイルを処理することができる。
2. 大量のメディアを扱うECサイト：多数の商品画像、動画、その他のメディアファイルを扱うECサイトでは、すぐにストレージ容量を消耗してしまう。ストレージを追加することで、スムーズにメディアライブラリを拡張し続けることができる。

外部バックアップ

外部バックアップアドオンを利用すると、Google Cloud StorageまたはAmazon S3のクラウドストレージサービスにバックアップをオフロードすることができます。Kinstaの組み込みのバックアップ機能を拡張する追加のセキュリティレイヤーとなるため、データ損失が深刻な結果をもたらす可能性のある業界の顧客を抱える代行業者にとって特に価値があります。金融、ヘルスケア、または法律サービスなどがこれに当たります。

デフォルトで付帯する毎日の自動バックアップに加えて、サイトデータの安全なコピーを外部に維持することができます。バックアップ戦略において冗長性を必要とする、コンプライアンス重視の業界の要件を満たし、一般的なデータセキュリティを提供します。

使用例

これは多くのサイトに有益ですが、特に以下のようなサイトでは重要になります。

1. 金融、医療業界：高度に規制された業界の顧客サイトを扱う場合は、厳格なデータセキュリティおよび冗長性要件へのコンプライアンスを確保しなければならない。
2. 大規模な企業サイト：大量のデータを扱う大規模なウェブサイトを管理している場合、バックアップを外部に保存することで、データ損失のリスクを軽減するのに役立つ。
3. 機密情報を扱うサイト：顧客記録や法的文書など、機密情報を扱うその他のサイトは、複数のバックアップを手元に置いておくと便利。

時間単位のバックアップ

時間単位のバックアップアドオンは、バックアップ機能を拡張するもう1つのソリューションです。トラフィックの多いサイトやミッションクリティカルなサイトでは、より頻繁な更新や迅速なコンテンツ変更が必要になることがよくあります。

標準の毎日の自動バックアップを超えて、1時間ごとまたは6時間ごとのバックアップを作成することができます。

このアドオンは、コンテンツやトランザクションが頻繁に変更されるオンラインストアやニュースサイトのように、サイトのダウンやデータ損失を許容できないサイトに特に便利です。

使用例

このアドオンは、以下のようなサイトにおすすめです。

1. オンラインストア：特に大量のトランザクションがあるサイトでは、注文情報、顧客情報、在庫の更新を確実に保護するために、より頻繁なバックアップが必要になる。
2. ニュースサイト：毎日更新されるニュースやブログなど、頻繁にコンテンツを公開するサイトでは、新しいコンテンツが安全に保存され、必要に応じて迅速に復元できるよう、より頻繁にバックアップを取ると安心。
3. ミッションクリティカルな企業サイト：予約システム、カスタマーポータル、リアルタイムコミュニケーションプラットフォームなど、ビジネスに不可欠な業務をサイトに依存している場合、時間単位のバックアップを利用することで、常に最新の情報を保存することができる。

リバースプロキシ

リバースプロキシアドオンは、単一のホスト名で複数のサイトを管理する制作会社の強い味方になるかもしれません。高度に複雑な設定を持つクライアントサイトを管理している場合に有用です。

リバースプロキシは、複数のウェブサイト（サブドメインや全く別のサイトなど）を1つのメインドメインを通じて提供することを可能にします。この一元化により、サイト管理が簡素化され、複数のサイトを効率的に処理しながら、すべてのサイトで高いパフォーマンスを維持することができます。

MyKinstaでこのアドオンを選択し、「チャットを開く」をクリックすると、Kinstaのサポートスタッフがアドオンの設定手続きを行います。メインとなるサイトと、地域または言語別のバージョンを同時に運営しているクライアントサイトに特におすすめです。

使用例

1. 地域別バージョンを持つ企業サイト：リバースプロキシは、メインの企業ドメインを通してすべての地域のサイトにサービスを提供できるため、管理が簡素化され、異なる地域間で一貫したブランディングを維持できる。例えば、example.comというメインサイトと、europe.example.com（ヨーロッパ向け）や asia.example.com（アジア向け）のような地域サイトを持つなど。
2. 多言語対応サイト：多言語対応WordPressサイトを抱える代行業者は、example.com/en（英語）や example.com/jp（日本語）のように、サイトのすべての言語バージョンからのトラフィックを一元化することで、リバースプロキシの恩恵を受けることができる。バージョンごとに個別のインフラを用意することなくパフォーマンスの最適化が可能。
3. WordPressのマルチサイト：WordPressマルチサイトでは、リバースプロキシを使って、ネットワーク下のすべてのサイトが1つのドメインで効率的に配信されるようにできる。コンテンツ配信が一元化されることで、管理負担も軽減される。

WordPressサイト

WordPressサイトアドオンも注目に値します。上位プランにアップグレードすることなく、ホスティングプラン内で利用可能なWordPressコア数を増やすことができます。現在のプランのサイト上限数は達しているが、数件サイトを追加したい、という場合、プランのアップグレードよりも費用対効果の高いソリューションとなります。

使用例

1. サイト数が上限に達している：プランで追加可能なサイトが数が上限に達しているが、サイトの追加が必要な場合、プランのアップグレードなしでサイト数を柔軟に増やすことができる。
2. プロジェクトの要件が拡大している：クライアントがキャンペーンやイベントのために追加のマイクロサイトや一時的なサイトを必要とする場合、プランに恒久的な変更を加えることなく、簡単にサイトを追加できる。
3. 複数のサイトを持つプロジェクトの拡大：新しい拠点の開設や、複数のデジタルキャンペーンを展開するブランドなど、小規模なプロジェクトでも時間の経過とともに拡大していくプロジェクトを管理する場合は、大規模なプランに投資することなく、サイト数だけを増やすことができる。

専用サーバー

専用サーバーアドオンは、ハイパフォーマンスで独立したホスティング環境を提供します。エンタープライズレベルのウェブサイトを運営している場合や、大量のトラフィックに対応している場合など、専用のリソースが必要になる状況に適しています。

専用サーバーでは、CPU、メモリ、帯域幅など、他のサイトと共有されないリソースの確保が保証されます。その結果、サイトの安定性が向上し、ホスティング環境の制御が強化され、特にトラフィックの多い時期には信頼性が高まります。

年末年始のセールイベントや、顧客の製品やコンテンツが大手メディアで紹介される際など、短期的でインパクトの強いキャンペーンにこのアドオンが使用されることがよくあります。

使用例

専用サーバーアドオンは通常、以下のような大規模なサイト向けです。

1. トラフィックの多いECサイト：買い物客が集中する時期（セール開催時など）には、専用サーバーのリソースがスローダウンやクラッシュを回避。パフォーマンスやUXに影響を与えることなく、大量の訪問者を処理するのに役立つ。
2. エンタープライズレベルのウェブサイト：多数のアプリケーションや統合機能を備えた複雑なサイトを運営する大企業も、専用サーバーのメリットを享受できる。
3. キャンペーン主体のウェブサイト：メディアへの露出やマーケティングキャンペーンにより、サイトのトラフィック急増が予想される場合、専用リソースが必要な帯域幅と安定性を提供し、負荷の増加に対応。

まとめ

パフォーマンスを向上するKinstaのアドオンは、WordPressサイトを即座に最適化する柔軟性とパワーを制作会社に提供します。速度の向上、ストレージの増加、スムーズな移行など、複雑化を回避しながら、より高速で信頼性の高いウェブサイトを提供するのに役立ちます。各アドオンはそれぞれ特定の課題に対処するように設計されているため、トップクラスのパフォーマンスを実現しながら、代行業の業務を拡張することができます。

アドオンがクライアントサイトにどのように役立つかを確認するには、MyKinstaにログインし、要件に応じたソリューションを利用してみてください。Kinstaの代行業向けWordPress専用マネージドホスティングをご利用でない方は、ぜひ一度お試しください。