ウェブサイトのURLについて考えると、おそらく〇〇.comが真っ先に頭に浮かぶはずです。また、.orgや.eduで終わるサイトにも間違いなく出くわしたことがあるでしょう。
それでは、.pizza(ピザ)で終わるドメインも登録できることをご存知でしょうか。
ウェブアドレスの末尾にあるこれらの文字はドメイン拡張子と呼ばれ、約1,500ものバリエーションがあります。特定の組織や人に限定されているものもありますが、ほとんどの拡張子は誰でもすぐに取得できます。
そのため、ウェブサイトのドメイン名選びは少し複雑になります。あなたのサイト.bingoにすべきか、あなたのサイト.fishにすべきか。魚を売るのであれば、後者の方が合っているかもしれません。
今回の記事では、ドメイン拡張子とは何なのか、どのような役割があるのか、どのようにドメイン拡張子を選ぶべきかといった内容をご紹介します。
ドメイン拡張子とは
ドメイン拡張子は、URLの最後のピリオドの後に続く文字です。一般的な拡張子には、.com、.org、.netなどがあります。
ドメイン拡張子は、トップレベルドメインとも呼ばれます。トップレベルとは上層を意味し、この部位がドメイン名の分類として機能しています。
ドメイン拡張子の中には、さらに大まかな分け方が存在します。
例えば、ドメイン拡張子.deを使うと、ドメインは「ドイツ」のカテゴリーに入ります。.govを使用すると、ドメインは「アメリカの政府機関」カテゴリーに属します。
ドメイン拡張子が常にこのように使われるわけではなくなりましたが、これが拡張子の本来の役割です。
その下の層に個別のドメインがあります。拡張子の直前の部分です。URLがどのウェブサイトに属するかを指定します。たとえばkinsta.comというURLでは、「kinsta」がそれにあたります。
サブドメインと呼ばれる別の層が介在することもあります。サブドメインは、ウェブサイトを別々の部位に整理するのに使えます。たとえば、下の画像はblog.example.comというURLです。
ここでは「blog」がサブドメインです。このドメインには、support.example.comやemail.example.comのような他のサブドメインも組み込まれている可能性があります。
ドメイン名を登録する際、ドメインとその拡張子の両方を選択する必要があります。サブドメインや、拡張子の後に来るものは、後から作成することができます。
ドメイン拡張子はなぜ存在するのか
ドメイン拡張子の本来の目的は、ウェブサイトをタイプ別に分類することでした。
例えば、.comで終わるアドレスのウェブサイトは、商用サイトであると想定されていました。
しかし、ご存知のように、あらゆる種類のウェブサイトが.comを使っています。インターネットが進化するにつれ、ドメイン拡張子は当初の目的とは異なる使われ方をしてきました。
例えば、.fmという拡張子は、ミクロネシアのウェブサイトを指定することになっています。しかし、現在は多くのラジオ局やオーディオストリーミングサイトで使われています。
.govのように、特定の組織に限定された拡張子もあります。しかし、他の多くの拡張子は誰でも使うことができます。
ウェブサイトの所有者であれば、ドメイン拡張子を選ぶ際には明確な目的を意識したいところです。賢く選ぶことで、どのようなサイトであるかをサイト訪問者に伝え、信頼を形成することができます。また、記憶に残るURLを選ぶのが理想です。
ドメイン拡張子は誰が管理しているのか
「Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)」という組織が、その部門である「Internet Assigned Numbers Authority(IANA)」を通じてドメイン拡張子を管理しています。
ICANNが指定したレジストリが各拡張の管理を担います。レジストリが、その拡張子を使用するすべてのドメイン名のデータベースを保持します。
たとえば、.com、.net、およびその他のさまざまな拡張子は、アメリカの企業であるVeriSignによって管理されています。独自のブランドに紐づいた拡張子は通常、登録した会社によって管理されます。例えば、.samsungレジストリはサムスンが運営しています。
政府機関や非営利団体が国コードに基づいた拡張子を管理する場合もあります。たとえば、.inのレジストリ運営者はインドのNational Internet Exchangeです。
これらのレジストリが、ICANN公認レジストラに拡張子を委託します。例えば、Google DomainsやCloudflareのようにドメイン名を登録できる会社がこれにあたります。
ドメイン拡張子の種類
ドメイン拡張子には、大きく分けて汎用TLD、スポンサー付きTLD、国別コードTLDの3種類があります。
汎用TLD
汎用TLDカテゴリーには、私たちがよく知る拡張子が含まれます。
- .com
- .org
- .net
歴史あるドメイン拡張子であり、国別コード拡張子とは対照的に「汎用」とされています。
2011年、ICANNは他の組織による独自の汎用ドメイン拡張子の登録を許可し始めました。それがブランドに紐づいた拡張子やその他多くの種類の拡張子の誕生につながりました。例えば以下の通りです。
- .pharmacy
- .baseball
- .istanbul
- .toyota
sTLD(スポンサー付きTLD)
スポンサー付きTLDは、特定の主体により使用される拡張子です。企業、政府機関などがあります。例えば、最も一般的なsTLDには以下のようなものがあります。
- .gov(米国政府)
- .edu(認定された米国の高等教育機関)
- .mil(米軍)
あまり知られていないsTLDもいくつかあります。
- .museum(博物館)
- .cat(カタロニア語のウェブサイト)
- .jobs(求人情報サイト)
ccTLD(国別コードTLD)
国別コードTLDは、日本の.jpのように特定の国を表します。それぞれの国別コードドメインの拡張子には独自のルールがあります。その国の組織に限定されているものもあれば、誰でも利用できるものもあります。
一般的なccTLDには次のようなものがあります。
- .ru(ロシア)
- .cn(中国)
- .de(ドイツ)
- .ca(カナダ)
最も一般的なドメイン拡張子
1,000を超えるドメイン拡張子が利用可能ですが、その中でも最も一般的なものをいくつか見てみましょう。
.com
一番よく目にするであろうドメイン拡張子です。驚くことではありませんが、ウェブサイトのほぼ50%が.comドメイン拡張子を使用しています。
かつては商用サイトを指定していましたが、今日ではデフォルトのドメイン拡張子と考えていいでしょう。
.net
.comと同様、.netも最も初期から存在するドメイン拡張子のひとつです。ネットワーキング技術に携わる組織が使用するために作られました。
最近では、.netはよく.comの代替として使用されています。希望する.comドメインを取得できない時に.netを選択するといった具合です。
.org
.orgは非営利団体が使用するために作成されました。現在でもそのような団体が一般的に選択するドメイン拡張子です。
.orgは実際には誰でも使用できます。しかし、.orgドメインを選択すると、ほとんどの人があなたのサイトが「非商用」だと感じるはずです。
.edu
ドメイン拡張子の黎明期には、.eduは教育に特化したあらゆる組織が使用できました。
2001年以降、この拡張子は特定のリストに掲載された機関から認定を受けた中等教育機関に限定されています。つまり、米国外の教育機関が.eduを使用することはあまりありません。
.gov
.govは米国政府機関のみが使用できる拡張子です。当初は連邦政府のサイトのみが対象でしたが、2003年に州政府、地方政府、部族の主権にも開放されました。
米国郵政公社はusps.comを使用しています。
.mil
.milは米軍の部局、サービス、機関に限定されています。軍事用のドメイン拡張子を持つ国はアメリカだけです。
.ru、.cn、.ukなど
特定の国に特化したウェブサイトでは、今でも多くの国別コードが一般的に使われています。例えば、.jpのサイトは高い確率で「日本のサイト」だと思ってよいでしょう。
このような説明をしたのには理由があります。というのも、実際にはいくつかの国別コードであるはずのドメイン拡張子が、他の目的のために広く利用されています。
.io
.ioを使ったウェブサイトについてご存知でしょうか。ハイテク企業で広く採用されています。近年、.ioは、一般的な技術専門用語である I/O(Input/Output)を連想させることから、技術系新興企業の間で人気が高まっています。
企業が.ioを選ぶ理由として、自社のウェブサイトがテクノロジーに関連していることを示す狙いがあります。また、.ioドメインは、.comドメインが取得されたときに利用できることが多いため人気があります。
しかし、.ioはインド洋の略でもあります。このドメイン拡張子の本来の目的は、イギリス領インド洋地域のウェブサイトを指定することでした。
.int
.intは「international」の略で、最も要件が厳しいドメイン拡張子のひとつです。国際条約によって承認された組織やプログラムのみが使用できます。例えば、欧州宇宙機関のウェブサイトはesa.intです。
ただし、ymca.intのように要件を満たさない古い.intドメインも残されています。
.mobi
.mobi TLDは、サイトがモバイルデバイス用に最適化されていることを示します。.mobiを使用するサイトは、レジストリが設定する要件に準拠する必要があります。
最近では、ほとんどすべてのサイトがモバイルフレンドリーであるため、個別の.mobiサイトを指定する価値はかつてほどではありません。
ドメイン拡張子はウェブサイトにとって何を意味するのか
ウェブサイトにどの拡張子を選ぶかがどれだけ重要なのか。これについて疑問に思う人もいるかもしれません。実際、ドメイン拡張子はあなたのサイトにとってどのような意味があるのでしょうか。
まず、訪問者にウェブサイトの第一印象を与えます。リンクをクリックしてデザインやコンテンツを見る前に、あなたのサイトが.comであるか.orgであるか(または.ninjaであるか)無意識のうちに知覚されます。
第二に、ドメイン拡張子によっては登録にかかる費用が他のものより高いものがあります。例えば、. comで終わるドメイン名よりも.ioで終わるドメイン名の方が高くつく傾向にあります。
しかし、ドメイン拡張子は純粋に値段だけで選ぶべきものではありません。同じサイトを.bizのドメイン名で登録するよりも、信頼できる.comサイトにする方が、より多くの信頼(ひいては収益)を獲得できる可能性が高まります。
ドメイン拡張子は検索エンジン最適化には(少なくとも直接的には)影響しません。
新たにgTLDが誕生した直後、Googleのマット・カッツ氏はSEOにどのような影響があるのかと質問されました。
彼は、サイトがどのTLDを使用していても、Googleは常にクエリに対して最良の結果を返すことに注力する、と回答しています。
しかし、ドメインの拡張子は間接的にページランクに影響を与える可能性があるのも事実です。
印象的で信頼できるドメイン名を持つことは、他の人がクリックしたりリンクを張ったりする可能性が高くなるため、そのような意味ではサイトのSEOに有利に働きます。
ドメイン拡張子の選び方
ドメイン名(拡張子を含む)の選択は大きな決断です。
なんといっても、あなたのウェブサイトがこれから「生きていく場所」なのですから慎重に検討したいものです。以下のベストプラクティスに従って、ドメイン拡張子を選んでいきましょう。
迷ったら.com
ほとんどのウェブサイトでは、古くから信頼されている.comが間違いのない選択肢です。.comには一定の認識と信頼があります。ウェブサイトの推測がされる場合にも、おそらくあなたのブランドやサイト名.comがまず想起されるはずです。
別の拡張子ももちろん検討に値します。
あなたの組織が、よく知られている指定ドメイン拡張子があるカテゴリーに属している場合には、それを使うことができます。例えば、非営利団体は.orgを、アメリカの大学は.eduを使うべきです。
所在地を強調したい企業もあるでしょう。カナダであれば、.caを選ぶかもしれません(ただし、グローバルに事業を展開するのであれば、.comの方が無難です)。
.comは堅実なドメイン拡張子ですが、ブランド名も重要です。
では、あなたのブランドやサイト名.comが取られてしまっていたら、どうすればいいのでしょうか。
別の拡張子を選ぶというのが妥当な選択肢です。ほとんどの場合、.netのような、十分に親しまれているものを選ぶのが賢明です。
記憶に残るものにする
ウェブサイトへのリンクをたどるだけであれば、URLはそれほど重要ではありません。
しかし、サイトを以前訪れたことがあり、再び閲覧したい場合はどうでしょうか。あるいは、友人からウェブサイトのことを聞いた時も同様です。
その場合、ドメイン名を覚える作業が重要になります。
覚えやすさに関しては、.comが圧勝です。.comを使ったドメインは、他のトップレベルドメインを使ったURLよりも33%以上記憶に残りやすいとされています。ドメインを忘れたときに、それが.comだったはずだと思い込む確率は、他のものよりも3.8倍高いようです。
しかし、新しいTLD拡張子の中には、記憶に残りやすく、よりクリエイティブなドメインを作成できるものもあります。例えば、あなたのビジネスが「Pasta Guru」であれば、「pasta.guru」 といった構造で登録することができます(すでに誰かがこのドメインを取得済みです)。
サイトの目的を明確にする
ドメイン拡張子は当初、サイトの目的やタイプによって分類することを目的としていました。
最近ではより柔軟になりましたが、それでもドメイン名は訪問者にあなたのサイトが何についてのものかを示す手がかりとなります。
デフォルトは.comで、ほとんど何にでも使えます。しかし、他の拡張子を選択する際には、訪問者にあなたのウェブサイトが何であるかを正しく印象づけることができることを意識してください。
怪しげなドメインは避ける
buywidgets.comとbuywidgets.zipのどちらでクレジットカード情報を入力する可能性があるでしょうか。
多くの人が前者を選ぶはずです。
特定のドメイン拡張子が警戒される傾向がありますが、それには正当な理由があります。スパムサイトがほとんど独占状態の拡張子があります。
では、どうすれば怪しげなドメイン名を避けることができるのでしょうか。
.govや.milのようなものに適格でない限り、最善の策は(ご想像のとおり).comを選ぶことです。
独自のドメイン拡張子を作成できるのか
URLの末尾にこれだけおかしな言葉が並んでいるのだから、自分で作れるはず。そう考えた人もいるはずです。
技術的には可能です。全く新しい汎用ドメイン拡張子(gTLD)の登録を申請することができます。しかし、ほとんどの個人や中小企業にとって、正直なところ現実的な選択肢ではありません。
まず、いつでも申請できるわけではなく、ICANNが申請受付を開始するのを待たなければなりません。それがいつになるかは誰にもわかりません。
待つことは実際、可能でしょう。次に、申請料を支払う必要があります。以前の登録の際、その手数料は18万5,000ドルでした。
ブランドの独自ドメイン拡張子を確保するための投資に値するのであれば、申請書の記入を始めてはいかがでしょうか。ICANNには、ドメイン拡張子が満たすべき要件の一覧があります。例えば、他のTLDと「紛らわしいほど似ている」ことはできません。
また、この拡張子を使用するすべてのサイトのレジストリとして機能するための技術的能力も必要です。
結論としてはやはり、通常であれば、あなたのブランドやサイト名.comで十分です。
ドメイン拡張子の選択方法
ドメイン名取得の際にドメイン拡張子を選択することができます。
すべてのドメイン拡張子がすべてのドメインレジストラで利用できるわけではありません。しかし、Google Domains、GoDaddy、Namecheapなどの大手レジストラでは数多くのTLDが用意されています。
特定の拡張子は他よりも高価になり得ます。利用可能であることが分かっているドメイン名と拡張子を選択した上で、いくつかのレジストラを回って、価格を比較してみることができます。
あまり一般的でないドメイン拡張子は、特定のレジストラでのみ提供されています。希望の拡張子が見つからない場合には、こちらのTLD一覧で管理元をチェックしてみることをおすすめします。ご希望の拡張子をクリックし、「Registry Information(レジストリ情報)」までスクロールします。
その拡張子を登録した組織のリンクが表示されるはずです。場合によっては、あなたが利用できるドメイン名レジストラかもしれません。
もしくは、そのgTLDが、その拡張子を独占しようとしているブランドや組織に属している可能性もあります。
ドメイン拡張子は変更できるのか
ウェブサイト作成と公開後に「別のドメイン拡張子を選んでおけばよかった」と後悔した経験はお持ちでしょうか。
301リダイレクトを設定することで変更できます。301リダイレクトは、検索エンジンにページの移転を知らせる役割を果たします。
手順としては新しいドメイン名を取得し、それを使用してサイトの複製を作成します。そして、すべてのURLを最新バージョンにリダイレクトします。
WordPressサイトを別のドメインにリダイレクトする説明はこちらをご覧ください。
ドメイン名を変更すると、一時的にSEOに影響が出ることがあります。しかし、正しく行えば、順位はすぐに元に戻るはずです。
まとめ
ドメイン名の末尾にあるほんの短い文字かもしれませんが、ドメイン拡張子はウェブサイトの重要な要素です。
サイトのURLは意識次第で、信頼でき記憶に残るものになりますし、その逆もしかりです。また、ウェブサイトの作成と維持にかかるコストにも違いが出ます。また、訪問者にウェブサイトに関する情報を提供することもできます。
ドメイン拡張子の使用方法は時代とともに変化しており、今後も変化し続けるでしょう。
将来的には、新しいTLDが古い標準を追い越す時が来るかもしれません。例えば、.ioがすべてのハイテク企業のための典型的な拡張子になる可能性があります。しかし、今日でもいまだに、.comや.orgのようなTLDが最良の選択肢です。
新しいドメイン名を取得したら、次は公開を行いましょう。Kinstaのサイト一覧画面に簡単に追加することができます。
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