キャッシュレス化が進む今日では、多くの人がクレジットカードで決済を行なっています。しかし時には、クレジットカードを使用しようとして、エラーが発生することも。
考えられる原因として、口座残高の不足や地域の利用規制、そして最悪の場合は不正利用が生じている可能性もあります。
今回は、誰でも遭遇し得るクレジットカードの承認エラーコードを一挙にご紹介し、その原因をご紹介します。
自分、あるいは顧客のクレジットカードにどのような問題が発生しているのか、なぜ決済処理に失敗したのか、正確に把握する方法を取り上げます。一般的なものからマイナーなものまで、包括的にご紹介します。
クレジットカード承認エラーコードについて動画の解説もご用意しています。
クレジットカードの承認エラーコードとは
クレジットカードの承認エラーコードは、取引や決済が承認されなかった場合にクレジットカードの端末機に表示されます。
店頭でカードの処理に失敗すると、顧客と店舗側の両方が原因を理解できるようなエラーが表示されます。
また、オンラインショッピングでも、以下のようなエラーコードが表示されることがあります。
販売者、銀行、またはカード会社により手続きが中断されたことを意味します。
何らかの問題が発生すると、1~3桁の数字(あるいは文字)の短いエラーメッセージが表示されるようになっています。
これらのエラーメッセージの意味さえ知っていれば、問題の原因を把握することができます。
まずは、最も一般的なものからエラーコードとその意味を見ていきましょう。最後に、すべての承認エラーコードを一挙ご紹介します。
一般的な承認エラーコードとその意味
クレジットカードでの決済時にエラーが生じる主な原因としては、決済システムがカードを処理できない、残高が不足している、銀行やクレジットカード会社のシステム障害など、シンプルな場合も多々あります。
主な承認エラーコードには、以下のようなものが挙げられます。
- クレジットカード認証エラー(エラーコードCV)─カードのマイクロチップや磁気のトラブルにより決済処理が行えない
- 残高不足(エラーコード51)─クレジットカードまたはデビットカードと紐付いた口座に十分な残高がない
- 限度額オーバー(エラーコード65)─口座に十分な残高はあるがカードの限度額を超えている場合、利用額を一度返済するまで使用できない
- 有効期限切れ(エラーコード54)─クレジットカードの有効期限が過ぎている
- 許可されない取引(エラーコード57)─許可されていない取引を行おうとしている(ブロックされているオンラインの取引や国際決済など)
- カード番号の誤り(エラーコード14、15)─カード番号の誤りには2通りあり、1桁目が誤っている場合、「発行元が存在しない」ことを意味するエラーコード15が表示される(1桁目は発行元を示す)。他の番号を誤って入力した場合は、「無効なカード番号の入力」を意味するエラーコード14が表示される。
- セキュリティコードの誤り(エラーコード63)─カードの裏に記載された3桁のCVVまたはCVCコード、もしくは表に記載された4桁のCIDコードが誤っている
上記に加えて、単に無効な取引であることを意味するエラーコード12、85もありますが、この2つのエラーについては、包括的なエラーメッセージとして表示されることが多く、原因の特定が難しい可能性があります。
クレジットカード番号、セキュリティコード、有効期限の入力ミスの場合もあれば、「払い戻しの払い戻し」など本質的に不可能な処理を行おうとしてエラーが発生することも。
上記に該当するエラーコードが見当たらない場合は、次のセクションをご覧ください。50種類以上の承認エラーコードを原因と対策とともにご紹介していきます。
クレジットカードの承認エラーコード一覧
すべての承認エラーコードとその意味(実際の問題)、そして対策をご紹介します。
コード | エラー名 | 問題 | 対策 |
---|---|---|---|
01 | 発行元への問い合わせ | 発行元(Mastercard、Visa、Discoveryなど)が特定の事由以外で取引を拒否。 | 発行元へ原因を問い合わせる。 |
02 | 発行元への問い合わせ(特定の事由) | 発行元が取引を拒否(01と似たエラー)。 | カードに記載された番号へ、原因について問い合わせる。 |
04 | 「Pick Up」、カードの停止(不正利用以外の事由) | 利用者の銀行が取引を阻止しており、事業者にもカードを停止するよう指示している。不正利用に関連するものではなく、限度額を超えた使用や、有効期限切れによるもの。 | クレジットカード停止理由を銀行へ問い合わせる。 |
05 | 受付拒否 | 利用者の銀行が取引を中断し、事業者にカードを「承認しない」(決済を受け付けない)よう指示している。 | 銀行へ理由を問い合わせる。 |
06 | その他のエラー | 発行元の銀行が特定できない原因により取引が失敗。 | もう一度試し、同じエラーが続く場合銀行へ問い合わせる。 |
07 | 「Pick Up」、特定の事由(不正利用) | 銀行が、カードまたは銀行口座が不正であると判断したために取引を停止した。 | 利用者:問題解決のために即時銀行に問い合わせる。事業者:銀行と顧客により使用者の身元とカードの正当性の確認が取れるまで保留する。 |
10 | 部分的承認 | 発行元の銀行が支払いの一部だけ承認し、残りは拒否している。カード利用額の上限や口座残高不足などが原因のことが多い。 | 問題解決のために銀行に問い合わせる(カード上限によるものの場合は、決済額を清算する)。 |
12 | 無効な取引 | 取引が無効。払い戻しの払い戻しなど、誤った操作が実行された場合など。 | 銀行に問い合わせる前に、入力情報が正しいことを十分に確認した上で取引を一からやり直してみる。 |
13 | 無効な金額 | 入力された決済額が無効。金額として数字以外の文字(ドルマークなど)が入力された場合などに発生。 | 金額を入力する際、記号を入力しないように注意しつつ、取引を一からやり直してみる。 |
14 | 無効なカード番号 | カード番号が無効で、クレジットカード決済サービスがカードに紐付いた口座を見つけられない。 | カード番号を正しく入力するよう注意しつつ、取引を一からやり直してみる。同じエラーが続く場合は発行元の銀行に問い合わせる。 |
15 | 発行元が存在しない | カードの発行元を示す最初の一桁が誤っている。(クレジットカードの発行元には、それぞれ決められた数字が一桁目に割り当てられている。American Expressは3、Visaは4、Mastercardは5、Discoverは6) | 最初の一桁を間違えないよう注意してカード番号を再び入力する。 |
19 | 再度入力してください | 原因不明のエラーが発生。 | 入力情報が正しいことを十分に確認した上で取引を一からやり直してみる。同じエラーが続く場合は発行元に問い合わせる。 |
28 | 応答なし | 取引中に原因の特定できない問題が発生。 | 入力情報が正しいことを十分に確認した上で取引を一からやり直してみる。同じエラーが続く場合は発行元に問い合わせる。 |
41 | 紛失したカード、「Pick Up」 | カードの正当な保有者が紛失または盗難を報告しており、発行元が取引の承認を拒否した。 | カードの所有者である場合、即時銀行に問い合わせること。事業者は、カード利用者に、別のカードを使うか、銀行へ問い合わせるよう促す。 |
43 | 盗難されたカード、「Pick Up」(不正利用) | カードの正当な保有者がカードの盗難を報告しており、発行元が取引の承認を拒否した。 | カードの所有者である場合、カードの裏面に記載された番号へできるだけ早く電話する。事業者は、カード利用者に、別のカードを使うか、銀行へ問い合わせるよう促す。 |
51 | 残高不足 | カード利用上限額を超えている、または保留中の取引により超過してしまうため、カード発行会社が取引を停止している。 | カード裏面の番号へ連絡するか、オンラインバンキングを利用した入金で残高を増やすか、別のカードを使用する。 |
54 | 期限切れ | カードの有効期限を過ぎている。 | 有効なクレジットカードを使用する(有効期限が切れる前に新しいカードが送付されるはずなので、カードを一枚しか持っていない場合、銀行に問い合わせる)。 |
57 | 取引が許可されていないカード | 海外事業者の口座への送金など、許可されていない特定の取引に使用しようとした場合に表示される。 | 制限のない別のカードを使用するか、該当の取引が許可する方法への変更が可能かどうか発行元に問い合わせる。 |
58 | 取引が許可されていないカード端末 | 事業者が接続している端末や決済システムが正しく設定されていない時に表示される。 | 事業者は銀行へ問い合わせ問題を解決すること。カード利用者の場合、現金や小切手など別の支払い方法を利用する。 |
62 | 無効なサービスコード、制限されたカード | 無効なサービスコードのエラーには2つの原因が考えられる。1.American ExpressまたはDiscoverのカードを利用しており、システムがそれらのカードに対応していない場合。
2. オンライン決済に対応していないカードでオンライン決済をしようとした場合。 |
Visaなど別の会社のカードを試してみる。事業者が該当のカード会社に対応しているにも関わらずエラーが発生する場合、オンライン決済の設定についてカード会社に問い合わせる。 |
63 | セキュリティ違反 | 3桁のCVV2、CVCコードまたは4桁のCIDセキュリティコードが誤っているか、正しく読み込まれなかった。 | セキュリティコードの入力に誤りがないよう注意しながら取引を一からやり直してみる。 |
65 | 限度額オーバー | カード利用限度額を超過している(もしくは処理中の取引で超過してしまう)。 | 別のクレジットカードを利用する。カードが一枚しかない場合は、オンラインバンキングまたは電話による手続きで決済額を清算してから再度試す。 |
85 or 00 | 発行元のシステムエラー | 事業者と発行元の間に一時的な通信エラーが発生している場合に表示されるコード。 | しばらく時間をおいてから再度取引を一からやり直す。 |
85 | 拒否理由不明 | 発行銀行が特定できない原因により取引が正常に完了しなかった。 | 取引を一からやり直してみる。エラーが続く場合、発行元に問い合わせる。その事業者特有の問題かどうか確認するために別のカードを試してみる。 |
91 | 発行元との接続エラー | 端末もしくは決済システムが決済の認証を正常に完了できなかった。 | 取引を一からやり直してみる。エラーが続く場合、発行元に問い合わせる。 |
92 | 取引のルーティングエラー | 端末が発行元へ接続できず、取引を処理できなかった。 | 数分間おいてから再度試してみる。エラーが続く場合、発行元に問い合わせる。 |
93 | 違反、取引不可 | 発行銀行がカード利用者の法令違反を認識し(もしくは指摘され)、資金が凍結された場合。 | 身に覚えがない場合、問題解決のため即時、発行銀行に問い合わせる。 |
96 | システムエラー | 決済システムに一時的な問題が発生している。 | 取引を一から再開してみる。エラーが続く場合、別のクレジットカードを利用する。それでも解消しない場合は、事業者の決済システムが原因の可能性が高い。 |
ROまたはR1 | 顧客からの定期支払いの停止申請 | 処理しようとしている定期支払いの停止申請が利用者からあった。 | まず、支払い取り消しや関連費用の発生を防ぐために今後の全ての支払いをキャンセルする。カード利用者の契約違反があった場合、直接連絡をとり、問題の解決にあたる。 |
CV | カード認証エラー | クレジットカード端末がカードの認証に失敗した時に発生。マイクロチップまたは磁気に問題がある可能性がある。 | クレジットカードをシャツで拭くという昔ながらの方法を試し、もう一度端末に通してみる。エラーが解消しない場合、カード番号を手動で入力するか、発行元に問い合わせる。 |
W1, W2, W9 | 銀行への接続エラー | 停電やサービス停止などの理由により発生。 | 停電が解消するのを待つか、影響を及ぼしている可能性のある地域の停電情報を確認する。原因が不明である場合、発行元に問い合わせる。 |
不正利用のエラーコード
事業者にとっても、カード利用者にとっても、最悪なエラーコードはクレジットカードの不正利用に関するものでしょう。
販売者は、支払い取り消しやそれに伴う費用、損害賠償はなんとしても避けたいはず。そしてカード利用者にとっても、自分のカードを他人に利用されるのはもってのほか。
クレジットカードの不正利用は、想像以上に発生しています。たとえば2019年には、アメリカ国内だけでも27万1,823件の不正利用がありました。
毎年何十万件も発生しており、双方注意が必要です。
不正利用に関連する承認エラーコードは以下のとおり。
- エラーコード7 |「Pick Up」、特定の事由(不正利用)─カードまたは銀行口座が不正であると銀行が判断し取引を停止
- エラーコード41|紛失したカード、「Pick Up」(不正利用)─カード保有者が紛失を報告しており、発行元が取引の承認を拒否
- エラーコード43|盗難されたカード、「Pick Up」(不正利用)─カード保有者がカードの盗難を報告しており、発行元が取引の承認を拒否
- エラーコード215|紛失/盗難カード─カード保有者が紛失または盗難を報告しており、発行元が取引の承認を拒否
- エラーコード534|受付拒否、不正利用の可能性大─PayPalまたはGoogle Checkoutのリスクモデリングが取引を拒否
- エラーコード596|不正利用の疑い─カード発行元が不正利用の疑いを検出し取引を停止
なお、オンライン決済を受け付けていて、不正利用や支払い取り消しに懸念がある場合はこちらをご覧ください。
クレジットカードが承認されない場合の対処法
クレジットカードが承認されなかった場合は、まずはエラーコードを確認します(自身が決済システムの利用者である場合はメモしておくこと)。
続いて、クレジットカードや口座に問題があるのか、それとも事業者の端末機に問題があるかを判断します。
そしてエラーを解決するのに必要な対応を行なってください。例えば、イチから取引をやり直す、情報に誤りがないよう慎重にカード情報を入力する、銀行に問い合わせる、別のカードを使用してみるなど。
対処法の手順は、以下3つのステップにまとめられます。
- 承認エラーコードを確認する
- コードの意味を調べる
- 必要な対応を行う(大抵の場合はカードの発行元である銀行に問い合わせるか、別のカードを使用する)
口座の残高が十分で、カードの限度額にも達していない場合も、銀行に問い合わせるのは間違いのない策です。
カードを複数枚所持している人は多く、すべての利用状況を把握するのは簡単ではありません。アメリカだけで見ても、10億枚以上のクレジットカードが使用されています。
したがって、エラーコードが表示されたら、すぐに別のクレジットカードを試す前に、銀行に連絡して状況を確認することをお勧めします。
口座残高を超過した支払いや支払い遅延手数料の支払い、そして不正利用などによって、後々身に覚えのない請求がくるのは回避したいところです。
クレジットカードの承認エラーコードに関するよくある質問
最後に、承認エラーコードにまつわるよくある質問とその回答をご紹介します。
残高は十分あるのにクレジットカードが承認されません。
口座に十分な残高があるにもかかわらず、クレジットカードが承認されない場合は、以下のような原因が考えられます。
- カードの限度額を超えている。自動支払いを設定していない限り、利用額を一度清算するまで、カードは使用できなくなります。
- オンライン決済や海外での支払いなど、許可されていない取引を行おうとしている。
- クレジットカードの不正利用を疑われている。
- クレジットカード番号、CVV2コード、または暗証番号を誤って入力している。
- 店舗の端末機に問題があり、クレジットカード自体には問題がない。
承認エラーコード51はどのような意味ですか?
エラーコード51は、限度額の超過(クレジットカードの場合)、または残高不足(デビットカードの場合)を意味します。
オンラインショッピングの決済でカードが承認されないのはなぜですか?
これには、以下のような原因が考えられます。
- クレジットカードがオンライン決済向けに設定されていない(銀行に問い合わせてみてください)。
- クレジットカード番号、CVV2、CVC、CID、暗証番号、または名前の入力に誤りがある。
- 口座の残高が不足しているか、限度額を超えている。
まとめ
自分がカード利用者であれ、カード決済を受け付ける事業者であれ、クレジットカードが承認されなかった原因を的確に把握することは重要です。
原因がわからなければ、別のカードを使用して問題を放置してしまう可能性があります。なりすましから身を守るためにも、自分のカードの使用状況を定期的に確認し、警戒するようにしましょう。
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