WordPressで高機能なECストアを作成するために、WooCommerceを利用するのが一般的です。アセット、商品、コンテンツを両プラットフォームを使いながら構築していくのが典型的な流れになりますが、時にWooCommerceから商品をエクスポートする必要性も生じます。
この作業を行う事例にはさまざまなものが考えられますが、大抵は商品データを一括で修正するなどの管理作業が必要な場合です。ですが、ウェブサーバーを移行する場合にもこの作業を行うことになるでしょう。
いずれにせよ、商品をエクスポートする方法とその手順を知っておいて損はありません。
この記事では、WooCommerceから商品データをエクスポートする方法をご紹介します。また、便利なプラグインも取り上げながら、その手順を順番にご説明していきます。
まずは、エクスポートの実行用途とインポート処理について、簡単にご説明します。
WooCommerceの商品エクスポートが役立つ事例
すべての商品在庫データは、WordPress、正確に言えば、WooCommerce内に保管されています。これをエクスポートすると、ストアのソフトウェアとは別のプログラムでデータを処理するためのリストが生成されます。
このリストは、CSV(カンマ区切り値)ファイル、Excelファイル、プレーンテキストファイルなど、表計算の形式でエクスポートされるのが通例です。
頻繁に行う作業でないように思えるかもしれませんが、実は意外と、日常的にこの作業を行う機会があります。
- 作業の効率化─WooCommerceのインターフェースよりも、表計算ソフトを使って在庫を一括編集する方がわかりやすく、行いやすい。ソフトの専用機能を利用することで、時間と労力も節約できる。
- グローバルなエラーの修正─在庫管理単位(SKU)の値に誤りがあるなど、商品リスト全体の修正が必要になる場合が。これに対しては、WooCommerceの商品をエクスポートして、問題を修正し、再インポートするのが効率的。
- 移行の効率化─堅牢で高機能なサーバーに移行する場合。商品データの移行は、エクスポートしたWooCommerceの商品リストを新しく利用するソフトウェア、または移行先のサーバーにリストをインポートするだけでOKに。
商品のエクスポート作業に入る前に、インポート処理についても知っておくと便利です。(少なくともWooCommerceにおいて)エントリが「内側」と「外側」でどのように結びついているかが理解しやすくなります。
WooCommerceの商品と注文をインポートする方法
WooCommerceの商品と注文のインポート処理は、一見シンプルですが、実際にはさまざまな要素で成り立っています。
以下、その中でも知っておくべき要素を取り上げ、WooCommerceに商品をインポートする詳細な手順をご説明していきます。
CSVファイルの概要
CSVファイルとは、ファイルの種類ではなく、形式の1つです。CSVファイルには、.csvという拡張子がつきます。
CSVは、テキストを分析し表示することができるアプリであれば大体開くことができます。多くの人は、CSV内の値を操作する関連機能がある表計算アプリを使ってCSVを開きますが、技術的には、テキストエディタや他のツールを使っても問題ありません。
CSVファイルの重要な特徴は、デリミタを使用することです。わかりやすく言えば、これは区切り文字で、カンマ(,)が使用されます。そのため、形式は「comma-separated values(カンマ区切り値)」になります。CSV形式を使用すると、ソフトフェア(今回の場合は、WooCommerceと表計算アプリ)は、カンマで区切られた情報をそれぞれ個別のデータとして認識します。
カンマの区切りがない場合は、1つのセルにまとまったデータが表示されます。
CSV形式の優れた点は、データを読み込むプログラムだけでなく、インポート先のソフトウェアにも依存しないことです。CSV形式のデータに対応するアプリケーションであり、データをインポートするソフトに正しく関連付けることができれば、ほとんどどこにでもデータを移動することができます。
WooCommerceにおけるCSVファイル使用方法
WooCommerceも、他のソフトウェアと同様にCSVファイルに対応しています。WooCommerceには、商品の値を指定するフィールドが複数あります。
CSVファイルを使って商品をインポートする場合、各値はSKU、商品名、変数値などの対応するヘッダーの下に並びます。このヘッダーは、WooCommerce内の適切な値に対応する必要があります。
つまり、WooCommerceの商品リストで使用されていないヘッダーがあれば、そのヘッダーのデータはインポートすることができません。一般的なインポート処理と関連して、これについて掘り下げてみましょう。
CSVファイルでWooCommerceの商品と注文をインポート
これまでのお話から、複雑な作業を想定されるかもしれませんが、WordPressの操作性の高いインターフェースの恩恵で、WooCommerceの商品と注文のインポート手順は簡単です。
この手順には本来CSVファイルが必要ですが、今回はWooCommerceのサンプルデータを使用します。WordPress.orgからWooCommerceのプラグインファイルをダウンロードすれば、無料で使用できます。ファイルの中からsample-dataフォルダを見つけてください。
WooCommerceに商品をインポートするには、いくつかの方法があります。ソフトウェアをインストールして、オンボーディング(操作手順ガイド)ウィザードを実行する場合は、その流れでCSVファイルをインポートします。
ただし、これはまだ商品がなく、新たにECストアを開設する場合に限ります。次に、WooCommerceの商品データを更新する方法をみていきましょう。この場合は、CSVファイルを使用したインポート処理も行います。
CSVファイルで既存の注文と商品を更新
WooCommerceの商品データのインポートは、WordPress内の「商品」>「すべての商品」画面で実行するのが推奨されています。「インポート」をクリックすると、CSVファイルを選択する画面が表示されます。
「高度なオプションを表示」をクリックすると、CSVファイルのパスに関する設定と、以前のマッピング設定を使用するオプションが表示されます。重要なのは、ファイルの区切り文字を選択する項目で、ファイルでカンマが使用されていない場合に役立ちます。
基本的にこの設定はシンプルで、コンピュータからCSVファイルを選択して、「次へ」をクリックするという手順になります。
次へ進む前に、商品の更新には、最後のチェックボックスにチェックを入れましょう。
ツールチップ(カーソルを当てると注釈などが表示される要素)でも確認できますが、IDやSKUが一致する商品を照らし合わせ、CSVファイルの内容通りに更新されます。既存商品と一致しないファイル内の行、つまり新たに追加されている商品はインポートされません。つまり、チェックボックス1つで、必要なデータでファイルを更新し、それをインポートすることで在庫を反映することができるということです。
商品データのマッピング
「カラムマッピング」画面で、CSVファイル内の列とWooCommerceの商品見出しを関連付ける設定を行います。この処理は、WooCommerceの高度な予測によって実行されますが、サンプルデータの使用、もしくはエクスポートで生成されたファイルをインポートすることで、正確な(あるいは十分な)マッピングが行われます。
各列名を確認し、正確なマッピングに必要な変更を加えたら、下にスクロールして「インポーターの実行」ボタンをクリックします。CSVファイルのサイズによっては処理に時間がかかる場合があります。
処理が完了すると、成功画面が表示されます。
このように、内蔵機能だけで商品をインポートすることができます。次は、WooCommerceのエクスポート機能もみていきましょう。
WooCommerceを使って商品をエクスポートする方法
WooCommerceからエクスポートするには、「商品」>「すべての商品」画面に移動します。商品があれば、「エクスポート」ボタンが表示されるようになります。
商品を選択せずにこのボタンをクリックしても、何もエクスポートされません。まずは、商品一覧のチェックボックスを使ってエクスポートしたい商品を選択し、「エクスポート」をクリックしてください。
すると「商品をエクスポート」画面が表示されます。ここでは、ほとんど入力は不要です。
ここで、それぞれの項目をドロップダウンメニューから選択します。完了したら、「CSVを生成」をクリックすると処理が開始され、生成されたCSVファイルはコンピュータに保存されます。
お好きなソフトウェアを使って、CSVファイルを確認してください。一般的には、ExcelやGoogle スプレッドシートが人気です。
WooCommerceの内蔵機能を使ったこの方法は、迅速でシンプルですが、最も柔軟で効果的な方法とは言えません。次の章で詳しくみていきましょう。
WooCommerce内蔵機能の制限
基本的に、普段の日常的な用途では、WooCommerceに組み込まれたエクスポート・インポート機能は問題なく使用できるはずです。
この機能は、言うなれば諸刃の剣です。多くの場面で、必要なことをほぼすべて実行することができます。
しかしその一方で、実際に使ってみるまでわからない制限もいくつかあります。例えば、特定の種類の独自データや、複雑な設定の商品をスムーズにインポートできないことがあります。
そこで頼りになるのがプラグインです。プラグインを使えば、WooCommerceのエクスポート機能と必要な作業の間にある溝を埋めることができます。Automattic社はこの隙間に注目し、WooCommerce拡張機能、Product CSV Import Suiteを発表しました。
Product CSV Import Suiteには、基本的なWooCommerceの機能を超える様々な特徴があります。
- WooCommerce Photography、WooCommerce Bookings、Google Product Feedなど、他のWooCommerce拡張機能に対するサポートが充実。
- 複雑なデータをインポート、エクスポート、更新する方法がある。商品をベンダーに割り当てたり、商品にブランド名を追加したり、CSVファイル内でデータを自由に操作することが可能。
また、WooCommerce拡張機能以外にも、さまざまな選択肢があり、サードパーティ製プラグインを使用して、WooCommerce商品をエクスポートすることもできます。プラグインを使ったエクスポート方法については、最後の章でご紹介します。
プラグインを使用してWooCommerceの商品と注文をエクスポートする方法
プラグインがWooCommerce商品のエクスポートに役立つとなれば、当然さまざまなプラグインが存在しています。ここからは、どのようにプラグインが機能するのかを知ってもらうために、いくつかのプラグインをご紹介します。
その後、プラグインを使ってWooCommerce商品をエクスポートする方法について、WooCommerceの内蔵機能と比較しながらみていきます。
WooCommerce商品のエクスポート用プラグイン
WooCommerce商品のエクスポートに便利なプラグインは、さまざまな価格帯で数えきれないほど存在しています。そしてこれだけの数のプラグインがあるにもかかわらず、そのうちの一群は他のものとは異なります。
WP All Importは、万能のエクスポータープラグインです。注目の機能は、ドラッグ&ドロップエディタ。ページビルダーのようなインターフェースで、複雑な商品を扱うことができるようになります。さらに、XMLをドラッグ&ドロップでデザインすることもでき、テキストエディタを使うのが不安な方には画期的なプラグインです。
Product Import ExportもCSVやXML形式に対応し、サードパーティ製プラグインやWooCommerce拡張機能との親和性が高いプラグインです。そして、優れた機能が1つあります。
このプラグインを使うと、インポートとエクスポートを行うために複数のSFTPチャネルをセットアップすることができます。これには2つのメリットがあります。まず、SFTPを通じて効率的にデータを転送することができること。そして自動で行われることで、人的エラーを減らして効率を上げることです。
この2つのプラグインはどちらも有料ですが、出費を抑えたい人もいるでしょう。WooCommerce Store Exporterは、最低限の機能を搭載した無料で使用できるプラグインです。
POSTを使用するだけでなく、外部のSFTP形式へのエクスポートも可能です。これは開発者向けの機能で、特殊な方法でのエクスポートが必要な場合に有用です。単純なエクスポートツールとしてプラグインを使用したい場合にも、データを含むスプレッドシートをエクスポートするワンクリック機能があります。
最後にご紹介するプラグインは、次の章で例として使用していきます。Advanced Order Export for WooCommerceは、WooCommerce Store Exporter同様、使いやすく、エクスポート設定の自由度が高いプラグインです。
豊富なエクスポート設定があり、用途に応じて使い分けが可能です。CSV、XML、XLSなどの一般的な形式はもちろん、PDFやHTMLといった形式も使用できます。
また、タブ区切り値(TSV)ファイルにも対応。区切り文字を設定する機能ほど柔軟ではありませんが、TSV形式を使用したい場合には、良い選択肢になるでしょう。
WooCommerceの商品をエクスポートする手順
WooCommerce商品のエクスポートの手順は、当然使用するプラグインによって異なります。今回は、Advanced Order Export for WooCommerceを使って、一般的な手順をご紹介します。
プラグインをインストールして有効化したあとは、プロファイルの設定に進みましょう。大抵のプラグインでは、専用のエクスポートプロファイルを作成することができ、再度使用する時のために設定を保存しておくことが可能です。
Advanced Order Export for WooCommerceの場合は、「WooCommerce」>「Export Orders」>「Profiles」画面に表示されます。
「Copied from “Export Now”」のフィールドから取りかかりましょう。クリックすると、詳細項目が表示され、好みに合わせてエクスポート設定を行えます。
以下のように設定を変更してください。
- Date range(日付の範囲): エクスポートしたいデータと一致する日付範囲を選択します。
- Output format(出力形式): 適切な出力形式を選択します。ほとんどのアプリケーションではCSVがデフォルトだが、XMLでのコピーが必要な場合も。
- Columns(列): フィルターでエクスポートする列を慎重に選択してください。
Advanced Order Export for WooCommerceには、出力データの正確な範囲を選択するためのフィルタが複数用意されています。商品の重量、カスタムフィールドの値で商品がバックオーダー(入荷待ちの状態)であるかどうか、変数属性などがその一例です。
ただし、これはスプレッドシートに表示される列の数を制限するものではありません。このプラグインの場合は、「Set up fields to export」メニューを使用します。
設定が完了したら、今後も使用するために変更内容とプロファイルを保存しておくのがお勧めです。それから、エクスポートを実行しましょう。
このプラグインでエクスポートを素早く行うには、「WooCommerce」>「Export Orders」>「Export Now」画面に進みます。特定のエクスポートが必要な場合は、プロファイルの一番下にある「Export」ボタンをクリックします。
これで、エクスポートしたデータのCSVファイルがコンピュータに保存されます。
変更を加えたらファイルを保存して、WooCommerceと WordPressにインポートすれば完了です。
まとめ
WooCommerceのデータのエクスポート・インポートは、基本的かつ不可欠な作業です。そのため、WooCommerceにはこの機能が組み込まれています。簡単かつ直感的に実行でき、比較的エラーが発生することも少ないのですが、内蔵のエクスポート機能が必ずしも最適な手段とは限りません。
今回の記事では、プラグインを使ってWooCommerceの商品をエクスポートする方法をご紹介しました。幸い、利用可能なツールはたくさん存在しています。ダウンロードしたCSVファイルは、Google スプレッドシートやExcel、そしてテキストエディタでも開くことができます。必要な変更や修正を加えたら、WooCommerceにファイルをインポートして、商品を更新しましょう。
WooCommerceの商品をエクスポートすることはありますか?どのような方法でエクスポートしていますか?下のコメント欄でぜひお聞かせください!
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