ECサイトの運営をお考えなら、今以上に絶好のタイミングはありません。とはいえ、そのプラットフォーム選びは簡単ではありません。実際、多くの人が、MagentoかWooCommerceのどちらを使用するかで迷っているようです。
どちらもさまざまな機能が搭載された、人気のある強力なプラットフォームです。どちらが自分に適しているかを判断するには、それぞれの特徴や機能について詳しく調べることが不可欠です。
この記事では、MagentoとWooCommerceについて、そしてそれぞれの主な特徴についてご説明します。それから、セキュリティや価格などの大事な要素を取り上げて、2つのプラットフォームを比較していきます。
では、早速始めましょう!
MagentoとWooCommerceについての動画での解説もご覧ください。
MagentoとWooCommerceの概要
MagentoとWooCommerceは、最も人気のある、セルフホスティングのECサイト用プラットフォームです。どちらもサービスや機能が豊富で、それぞれにデメリットもあります。まずは、各プラットフォームについて、簡単にご説明します。
Magentoとは
Magentoは、ECサイト専用に設計されたコンテンツ管理システム(CMS)です。2018年にAdobeに買収されて以降、Adobe Commerceとも呼ばれています。Magentoは、基本的に開発者向けであり、操作がやや複雑です。初心者に最適な選択肢とは言えませんが、専門知識があり、大規模で洗練されたECサイトを構築しようとお考えであれば、堅牢なプラットフォームとなり得ます。
Magentoには、Magento Open Source(Magento Community)とMagento Commerce(Magento Enterprise)の2つのバージョンがあります。今回は、WooCommerceとの比較対象として、主にオープンソース版であるMagento Communityを取り上げます。
Magentoの主な機能には、以下のようなものがあります。
- 商品登録数が無制限
- 数百ある無料拡張機能
- API統合
- 独自のテーマ・レイアウト設定
Magentoは柔軟で直感的なプラットフォームですが、多少の操作方法の学習が求められることから、初心者向けというよりは、開発者などの上級者向けと言えます。
WooCommerceとは
2011年に発表されたWooCommerceは、世界で最も利用されているECサイトプラットフォームの1つです。これは、最も人気のあるCMSであるWordPressにインストールできる、オープンソースのプラグインです。
非常に操作性が高く、迅速かつ簡単なセットアップで、数分でオンラインストアを作成することが可能です。また、内蔵機能をさらに充実させる拡張機能も多数用意されています。
WooCommerceには、以下のような便利な機能があります。
- 商品登録数が無制限
- 豊富な拡張機能
- 無料テーマと有料テーマ
- 迅速で簡単なセットアップ
- 内臓セキュリティ機能
- 豊富な支払い方法
- 便利なマニュアル
WooCommerceのデメリットは、ほとんどありません。強いて言えば、WordPressユーザーではない場合、CMSの操作にある程度の慣れが必要になることが挙げられます。このプラットフォームを使用する場合は、WooCommerceとWordPress両方の操作方法を学ばなくてはいけません。
MagentoとWooCommerceの比較
各プラットフォームをご紹介したところで、ここからもう少し掘り下げてみましょう。MagentoとWooCommerceにさらに迫って、重要な要素を比較していきます。
決済方法
顧客の購買体験を向上させるには、便利な決済方法を複数用意することが不可欠です。これに関しては、最も一般的な支払代行サービスを選べば大丈夫です。
MagentoとWooCommerceのどちらにも、多くの選択肢が用意されています。WooCommerceには、PayPal、Stripe、小切手、オフライン、銀行振込、現金のサポートが搭載されています。また、拡張機能を使えば、Amazon Pay、Square、Google Pay、Alipayなど、その他の決済方法も適用できます。
Magentoは、PayPal、Authorize.net、Braintreeに対応しており、すぐに利用できます。
拡張機能で、Stripe、2Checkout、Skrill、Google Checkoutなどの決済方法を追加することができます。
この要素に関しては、どちらの方が優れているかの判断は難しいところです。どちらのプラットフォームでも、アドオンを追加すれば、十分な数の決済方法を用意することができます。
操作性
使いやすさは、特に初心者がECサイト用プラットフォームを検討する上で非常に重要です。これについては、WooCommerceに軍配が上がります。
先程も触れましたが、Magentoは専門知識を持つ開発者向けであり、一般ユーザーにとって使いやすいものではありません。Magentoを使用するには、基本的なコードや専門用語の知識がある程度必要になります。複雑なプラットフォームには、それ故に開発スキルが求められます。
一方で、WooCommerceは、特にWordPressに馴染みがあるユーザーであれば、驚くほど初心者に優しいプラットフォームです。
WordPressサイトへの追加方法は、「プラグイン」>「新規追加」に進みます。WooCommerceをインストールして有効化すると、設定ウィザードが表示されます。
Magentoもユーザーフレンドリーな管理画面と操作性の高いナビゲーションシステムを採用していますが、セットアップと設定は、やはり難易度が上がります。セットアップには開発の専門知識が必要になります。
例えば、コマンドラインを使用したインストール、Magentoの条件を満たすサーバーのセットアップなどが挙げられます。また、すでにWordPressを使用している場合には、別のプラットフォームの操作方法を一から学ぶことになります。
速度とパフォーマンス
ECサイトの速度とパフォーマンスは、ビジネスの成功に欠かせない要素です。ページの読み込みが遅かったり、決済に時間がかかったりすれば、顧客は離れてしまいます。
最も人気のあるECサイト用プラットフォームのパフォーマンスを比較したQuantaの研究調査では、Magentoの方がWooCommerceよりも読み込み速度が速いことが明らかになっています。とはいえ、MagentoとWooCommerceの速度とパフォーマンスの比較は、さまざまな要因が関係してくるため、一概にはできません。使用するホスティングプラン、インストールするプラグインや拡張機能の数、画像の最適化などによってサイトの速度は変動します。また、WooCommerceには、非常に高速なテーマもあります。
セキュリティ
ネットビジネスにおいて、ECサイトの安全性ほど重要な要素はありません。今日、セキュリティリスクはこれまでにないほど高まっています。必ず顧客データや支払情報などの個人情報を保護するプラットフォームを使用するようにしましょう。
MagentoとWooCommerceは、どちらもオープンソースのプラットフォームです。つまり、ECサイトのオーナーが、積極的かつ先を見据えたセキュリティ強化策を講じる必要があるということです。
Magentoは、WooCommerceよりも基本的に必要なプラグインが少なくなります。つまり、セキュリティ上の脆弱性が生じるリスクが少ないということです。また、Magentoが提供するセキュリティ機能拡張は、WooCommerceのものよりも充実している傾向があります。
加えて、Magentoは専用のセキュリティパッチを提供しています。ただし、この実装は複雑なため、プロの開発者への依頼が必要になる可能性があります。セキュリティ強化策への投資は惜しまないという場合には、Magentoの方が適しているかもしれません。
スケーラビリティ
スケーラビリティに関しては、Magentoが優勢です。ただし、これはCommunity(無料のオープンソース版)ではなく、Enterprise(有料)の場合であり、Communityには、制限があることもあります。
Magento Enterpriseでは、何千もの注文を問題なく処理することが可能です。これはWooCommerceも同様で、どちらも商品登録数は無制限です。
どちらのプラットフォームを選択するにせよ、予期せぬトラフィックの急増にも対応できる強力なサーバーを利用しましょう。Kinstaでは、高パフォーマンスのWooCommerceホスティングプランを提供しています。Magento Communityはセルフホスティングですが、Enterpriseにはウェブサーバーが搭載されています。
拡張性
Magentoは、最初から非常に多くの機能が搭載されており、多言語表示対応、複数店舗の設定、商品の詳細設定などがあります。
WooCommerceは、デフォルトではそれほど多くの機能があるわけではありませんが、どちらのプラットフォームもプラグイン、テーマ、アドオンを使用すれば十分な拡張性があります。
WC Marketplaceには、無料と有料のものを合わせて数千種類の拡張機能があります。
また、WordPressのプラグインディレクトリにも、ECサイト用の機能が豊富に用意されています。Magentoにも同様に、無料と有料の機能を合わせて何千もの拡張機能があります。
MagentoとWooCommerceの拡張性の比較において、有料アドオンの価格帯は注目に値します。WooCommerceのアドオンは、全体的にMagentoのものよりも手頃な価格で提供されています。一方で、Magentoのアドオンは比較的複雑であり、高性能な傾向があります。
プラグインに関しても、MagentoよりもWooCommerceの方がインストールが簡単です。Magentoが複雑なプラットフォームであることから、拡張機能の設定や構成には、基本的にウェブ開発のスキルが必要です。
マーケティングとSEO
検索エンジン最適化(SEO)とオンラインマーケティングは、ECサイトへのトラフィックの促進、ひいては売上を伸ばす大事な要素です。プラットフォームを選ぶ際には、マーケティングやSEOに役立つ機能が利用できるかどうかを確認するのも大切なポイントです。
WooCommerceは、当初ブログのために作られたCMSにインストールして使用するため、記事の公開やその他のコンテンツマーケティングに必要な機能や特長がすでに数多くあります。コンテンツをさらに最適化する、Yoast SEOのようなマーケティング・SEOプラグインと組み合わせることも可能です。
一方、Magentoは、デフォルトではブログ機能を搭載していないため、拡張機能の追加が必要です。WooCommerceと同様に、サイトの最適化や、Google Analyticsなどのマーケティングツール統合に使用できるアドオンが数多く用意されています。
Magentoは、高度なマーケティング機能を提供していますが、Enterpriseのみのサービスであり、Communityでは利用できません。
サポート
MagentoとWooCommerceはどちらも広く利用されており、大きなコミュニティがあります。そのため、オンラインでリソースや質問に対する回答を探すのは比較的簡単です。
WooCommerceは、役立つチュートリアルや解説が数多く掲載された知識ベースを公開しています。
それ以上のサポートは、有料の拡張機能にのみ対応しています。Magento Communityでは、オンラインでヘルプを確認できます。
Magento Enterpriseでは、メール、電話、チケットシステムの専用または直接のサポートが受けられます。複雑な問題には、開発者への依頼が必要になる場合もあります。
価格
プラットフォーム選びにおいて、もちろん費用も重要な要素です。MagentoとWooCommerceはオープンソースであるため、どちらも無料でダウンロードして使用できます。
ですが、これにはカスタマイズや長期的な費用は考慮されていません。テーマやプラグインを使用して、ECサイトの外観や機能を拡張することをお考えであれば、デフォルトの内容にこだわる必要はそれほどありません。
プラットフォームの費用は、どのような有料拡張機能を購入するかによって大きく変動します。前述した通り、WooCommerceの有料拡張機能は、Magentoのものよりも比較的安価です。
Magento Enterpriseは、公式ウェブサイトに価格が記載されていませんが、月2000ドル程度かかります。
Magento CommunityとWooCommerceの場合は、ドメインやホスティングプランの購入費用も算入するべきですが、それでもWooCommerceの方が安価になる場合が多いです。
MagentoとWooCommerceの比較を振り返る
さて、MagentoとWooCommerceの具体的な違いについて、理解していただけたことと思います。最後に、比較すべき主要な要素をまとめます。
Magento | WooCommerce | |
決済方法 | デフォルトの決済方法と拡張機能の利用(PayPal Authorize.net、Braintreeなど) | デフォルトの決済方法と拡張機能の利用(PayPal、Stripeなど) |
操作性 | 開発者向け | 初心者向け |
速度とパフォーマンス | 条件により変動 | 条件により変動 |
セキュリティ | セキュリティ拡張とパッチ(要開発者) | 定期アップデート、内蔵セキュリティ機能、セキュリティ拡張機能多数(無料・有料) |
スケーラビリティ | 商品登録数が無制限 | 商品数登録数が無制限 |
拡張性 | 数千種類の拡張機能があり拡張性が高いが、高価な傾向 | 数千種類の無料・有料拡張機能 |
マーケティングとSEO | 拡張機能が利用可能 | 内蔵ブログ機能、SEOプラグインが利用可能 |
サポート | オンラインのサポートフォーラム、Enterpriseでは専用サポートが利用可能 | 知識ベース、有料拡張機能には専用サポートが利用可能 |
価格 | 無料(Enterpriseは有料) | 無料 |
まとめ
ECサイトのプラットフォーム選びは、簡単ではありません。特に、MagentoとWooCommerceのどちらかに決めようとしている場合には、考慮すべき点が多数あります。両者とも堅牢なソリューションで、多くの優れた機能が搭載されています。
ビジネスが小規模で、あまり開発経験がない場合は、WooCommerceが最適です。専門知識をお持ちで、高度なプラットフォームをお探しなら、Magentoを選ぶのが賢明でしょう。
WooCommerceとMagentoについて、何かご不明点はございますか?下のコメント欄でぜひお聞かせください!
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