Google アナリティクス 4(GA4)のリリースからしばらく経ちますが、その後定期的に新たな機能が追加されているにもかかわらず、特定の分野においてまだ機能が充実していないと感じる、もしくはその新しいインターフェースの操作を習得する時間が取れていない、という方が多いようです。
Googleのユニバーサルアナリティクス(UA)のプライバシーに関する懸念は日々増しており、GoogleはUAの停止日を明らかにしています(2023年7月)。このような理由から、GA4の使用を開始する絶好の機会だと言えるでしょう。
GA4への移行について知っておきたい情報をまとめてご紹介します。
アナリティクスにログインすると、Googleがこの移行の実現に力を入れていることがわかります。GA4への移行を促す警告が1つだけでなく、2つも出ています。
Googleは、期限までに移行を終えるように、いくつものメールも送信しています。その中には、アカウントの移行を支援するために、Googleのエキスパートとの通話を予約するよう促すメールもあります。
さらにGoogleは、まだ移行していないUAプロパティについては、GA4アカウントが自動的に作成されることを通知しました。
GA4とは
GA4は、Google アナリティクスの次世代版で、ウェブサイトやアプリでユーザーを追跡する上で、よりプライバシーに配慮したアプローチを採用しています。プライバシー規制の今後の進展に対応するためにファーストパーティCookieへの依存度を下げています。
Googleは、機械学習を強化。ユーザーがCookieの受け入れを拒否した場合に、モデリングによって「ギャップを埋める」ことでこれを可能にし、データを匿名化したままユーザーエンゲージメントに関する洞察を表示します。
現在もユニバーサルアナリティクスをインストールすることは可能ですが、GA4は現在、すべての新しいGAプロパティのデフォルトバージョンとなっています。
GA4はいつリリースされたのか
GoogleがGA4のリリースを発表したのは、2019年7月のことでした(当時はベータ版として利用可能)。その後、2020年10月に公式ローンチされ、すべての新しいプロパティのデフォルトプラットフォームとなりました。
GA4は、あまり多くのマーケターに採用されていませんが、企業のプライバシーに対する意識は高まっており、ユニバーサルアナリティクスのプライバシーへの対処にも疑問の声が上がっています。
GoogleがUAをGA4に更新した理由
多くの企業は、10年以上にわたってGoogle アナリティクスのデータに依存し、ユーザーエンゲージメントを測定してオンラインパフォーマンスを把握し、それに基づいて意思決定を行ってきました。
GA4でも同様のデータを取得できますが、Googleは、ユニバーサルアナリティクスとその上に構築されたデータモデルを完全に見直しています。その結果、ユニバーサルアナリティクスからGAへのデータ移行は不可能になりました。
多くのサイト所有者は、長年にわたってデータを収集し、時期ごとのトレンドを追ってきたことから、このニュースはデジタルマーケティング業界に衝撃を与えました。ゼロからのデータ収集は、理想とは程遠いものがあります。
EU一般データ保護規則(GDPR)
2018年にEU一般データ保護規則(GDPR)が導入されたことで、企業の間でプライバシーを配慮する動きが強くなり、ユーザーデータの扱い方をあらためて見直すことが余儀なくされました。
Googleのユニバーサルアナリティクスは、ユーザーデータを収集する分析ツールの代表例です。そのため、UAを利用するサイトはGDPRの規定を破っていることになるのではないか、という懸念が高まり、近年では大きな注目を集めています。
GA4とアナリティクスの未来
GA4は、Cookieのない未来を想定したGoogleの答えであり、ユーザーがトラッキングを許可しなくても、企業はAIと機械学習を駆使すれば、ユーザーエンゲージメントを追跡し続けることができるとしています。
Google アナリティクス利用者にとってこれが何を意味するのか
Googleは、2023年7月1日にユニバーサルアナリティクスのサービス終了を発表しました。Googleによると、一部のプロパティではこの日以降も新しいデータが処理される可能性がありますが、それは短期間に限られます。
Googleは当初、この日から6ヶ月後にすべてのUAプロパティへのアクセスを削除することを示唆していましたが、現在は、2024年7月1日まで過去のデータを閲覧可能としています。
2020年10月14日以降にGoogle アナリティクスを使い始めた場合は、すでにGA4のプロパティが使用されている可能性が高いでしょう。それ以前に使い始めた場合には、おそらくユニバーサルアナリティクスのプロパティが使われています。
GA4への移行をすでに準備している場合であっても、ユニバーサルアナリティクスにまだ大きく依存している場合であっても、GA4のアカウントでの過去データの蓄積は必要になります。少なくとも1年分のデータがあれば、レポートを前年と比較することが可能になり、時期ごとのトレンドの測定に役立ちます。
GA4とUAの主な相違点
Googleは、Google アナリティクスユーザーに対し、より堅牢なデータ収集のアプローチを提示することを目的に、2012年にユニバーサルアナリティクスを導入しました。しかし、このプラットフォームは、今日のウェブを想定していない基盤の上に構築されています。
GA4はユニバーサルアナリティクスを全面的に見直し、複数のデバイスにまたがる完全なユーザーの動きをトラッキングすることに重点を置いて構築されており、PC、モバイル端末、アプリ、タブレット、その他のデバイス間を移動するユーザーセッションを追跡することができます。
1. データモデル
データモデルは、あるサイト上のユーザーから収集した情報の管理方法をGoogle アナリティクスに指示する際に使用されます。GA4とユニバーサルアナリティクスの最大の違いの1つは、このデータモデルの動作方法にあり、これがGoogleがUAからGA4へユーザーをシームレスに移行できない主な原因になっています。
UAのデータモデルは、セッションとページビューを使用しており、これらは15年以上前、スマートフォンやタブレットまだ主流でなかった時代に開発されたものです。
セッションベースのモデルは、特定の時間枠の中で発生したユーザーインタラクションからデータを収集します。1人のユーザーが1つのセッション内で複数のコンバージョンを引き起こす可能性があるにもかかわらず、UAでは1つのコンバージョンしかカウントされないため、このシステムには常に欠陥がありました。
GA4のデータモデルにはイベントとパラメータが使用されており、クロスプラットフォームのトラッキングを中核に構築されているため、ユーザーが使用するデバイスを切り替えても、より正確なレポートが期待できます。
4つのアトリビューションモデルの終了
また、Googleは広告とアナリティクスにおける4つのアトリビューションモデルの終了を発表しました。
- ファーストクリック
- 線形
- 減衰
- 接点ベース
ラストクリックモデルは(広告主が手動で選択した場合)引き続き利用可能ですが、データドリブンアトリビューションがデフォルトのアトリビューションモデルとなります。
Googleによると、このモデルは変化を続ける消費者の行動に対応できるようには作られていないとのことです。その上、Google広告では、4つのモデルのいずれかを使用しているコンバージョンが非常に少なかったため、Googleはこれらのオプションを完全に削除することで、構造をシンプルにすることにしました。
GA4でトラフィックデータが異なる理由
ユーザーデータの収集方法が変わり、2つのバージョンのGoogle アナリティクス間でトラフィックデータが一致する可能性は低く、UAからGA4へ簡単に移行する方法がないのはそのためです。直帰率やコンバージョンなど、他の指標についても同じことが言えます。
KS Digitalが提供するこちらの便利なLooker Studioのレポートを使って、UAとGA4のプロパティを並べて確認し、数値がどれだけ一致しているかをチェックすることができます。設定方法(数回クリックするだけ)とデータの読み方を紹介した説明ビデオもあります。
2. データのプライバシー
ウェブサイトが進化を続け、ユーザーはデータプライバシーを今まで以上に意識し、セッションの追跡が広く拒否されるように。これを受けて、Google アナリティクスはウェブサイトの所有者にデータを提供し続けるために、大きな変更の実施を余儀なくされました。
GA4はこのような問題に対処し、追跡されないユーザーがどのようにウェブサイトとやりとりしているかを正しく理解するために、AIを使用してユーザーデータに基づいてモデルを作成しています。
GA4はGDPRに準拠しているのか
GA4は、前作よりもプライバシーに真剣に取り組んでおり、トラッキングを制限するために設定可能なプライバシー設定を多数備えています。しかし、Googleは依然としてユーザーデータを米国にあるサーバーに保存しており、Matomoによると、これはEU一般データ保護規則(GDPR)に違反しているとのこと。これは事実上、EUに拠点を置くユーザーからデータを収集する、該当する全ウェブサイトが、GDPRに準拠していないことを意味します。
ヨーロッパでは、GDPRのガイドラインに従うために、ウェブサイトがGoogle アナリティクスの削除を余儀なくされるという有名な事例がすでにいくつか発生しています。このため、多くのウェブサイト所有者がGoogle アナリティクスに代わる選択肢を検討することになりました。
実際、SEOの第一人者であるAleyda Solis氏が行ったTwitterの投票では、最大で3分の1のユーザーがGoogle アナリティクスの利用を停止する可能性があると示唆されています。
イタリアデータ保護局(Garante della privacy)は、GoogleがIPアドレス、ブラウザの詳細、オペレーティングシステム、画面解像度、選択した言語、ウェブサイト訪問の日時などのユーザーデータを米国に違法に転送していることを発見しました。これにより、ウェブサイトはGDPR法に抵触することになります。
知っておきたいGoogle アナリティクス4つの機能
ユニバーサルアナリティクスの機能の中には、GA4に移行していないものもありますが、嬉しい新機能もあります。
1. GA4のコンバージョントラッキング
ユニバーサルアナリティクスでは、イベント、目的地、期間を使ってコンバージョンを設定することができます。例えば、「フォームの送信」というコンバージョンを作成し、訪問者がフォームを送信した際にトリガーされるイベントと関連付けたり、訪問者が決済ページに進んだ時にトリガーされる「決済完了」のコンバージョンを追加したりすることができます。
GA4とUAのコンバージョントラッキングの違い
ユニバーサルアナリティクスのコンバージョンのカウント方法には制限があり、各目標に対して、1セッションにつき1コンバージョンしか記録されません。つまり、ユーザーが1つのセッションで複数回フォームを送信しても、UAのコンバージョントラッキングでは、1回のコンバージョンとみなされます。また、UAでは、無料版で追加できるコンバージョンの最大数は20に制限されています。
一方、GA4ではこの設定自体がなくなり、コンバージョンを追跡するようになりました。1プロパティあたりのコンバージョン数の上限が30(Google アナリティクス360は50)に増えました。これはアップグレードのように思えるかもしれませんが、以前は各ビューに対して20の目標を設定することが可能でした。そのため、複数の目標とビューを持つUAプロパティを移行する場合、30というコンバージョンでは十分でない可能性があります。
GA4のコンバージョンは、ページビュー、スクロール、アウトバウンドクリック、サイト検索、動画エンゲージメント、ファイルダウンロードに基づくイベントベースのトラッキングを使用してのみ作成することができます。
GA4でコンバージョントラッキングを設定するには、特定のイベントをコンバージョンに関連付ける必要があります。
また、GA4では、1つのセッションで1人のユーザーから何件のコンバージョンが発生したかに関わらず、すべてのコンバージョンイベントをカウントしています。このため、GA4のコンバージョンデータをUAと比較すると、多少の不一致を感じることがあります。
GA4でコンバージョンを追加する方法
まず、左メニューの「設定」>「全てのイベント」に進み、コンバージョンとしてトラッキングしたいイベントを全て選択し、「コンバージョンとしてマークを付ける」を有効にします。
次に、「コンバージョン」をクリックして、追加したコンバージョンの一覧を表示します。
UAのコンバージョンと同様、GA4のコンバージョンは作成時から追跡されるため、履歴データに新たなコンバージョンが表示されることはありません。
GA4でカスタムコンバージョンを作成する方法
GA4で独自のコンバージョンを作成するには、「イベントを作成」を選択するか、「イベントを変更」を選択して既存のイベントを編集します。この際には、正しいイベント名を入力するようにご注意ください(アルファベットの大文字・小文字の区別など)。保存したら、作成したイベントをコンバージョンとしてマークします。
カスタムイベントの設定については、Googleのヘルプをご覧ください。
GA4のコンバージョン率
コンバージョンイベントのコンバージョン率は、ユーザーコンバージョン率(コンバージョンイベントを発生させたユーザーの割合)と、セッションコンバージョン率(コンバージョンイベントを発生させたセッションの割合)で把握することができます。
このデータは、コンバージョンイベントのパフォーマンスを調べるのに役立ち、コンバージョン率の最適化に有用です。
2. GA4のECサイトのトラッキング
GA4では、新たにECサイト向けのメトリクスが導入され、商品名や何回購入されたかを簡単に確認することができます(例えば、国内での購入や国外での購入など)。
また、プラットフォームでアイテムレベルのカスタムパラメータを処理できるようになりました。つまり、商品の色、サイズ、評価に関するデータを収集するパラメータを作成することができます。
GA4の収益化レポートでは、サイトからどれだけ収益が発生したかが追跡され、サイトのどの部分が最も優れたパフォーマンスを発揮したかも併せて確認できます。収益化レポートを確認するには、左側のナビゲーションから「レポート」>「収益化」をクリックします。
「収益化の概要」には、サイトとアプリ全体の収益パフォーマンスの概要が表示されます。
「eコマース購入数」には、特定の商品や商品とのインタラクションから発生した収益に関連した詳細データが確認できます。
サイトやアプリ、ECイベントのトラッキング設定の詳細については、各リンクからご覧ください。
3. GA4のレポート
GA4には、サイトやアプリのトラッキングに使用できるレポートがあらかじめ用意されています。
GA4レポートのUI
GA4 のレポートは左メニューの各セクションに表示されますが、トップページ「ホーム」画面のスナップショットレポートでも確認することができます。各レポートカードにあるリンクをクリックすると、スナップショットレポートを拡大することができます。
UAと同様に、GA4の各レポートセクションには、いくつかの主要なレポートを含む概要画面があります。この画面はお好みで編集することが可能なため、利用者にとって最も重要な指標とディメンションに焦点を当てたレポートを作成することができます。
さらに、デフォルトのデータと比較するフィルタを適用すると、比較の機能を追加することもできます。これにより、チャートに系列が追加され、異なるセグメントの時系列での傾向を簡単に比べることが可能になります。各比較には、1つ以上のフィルター(国、デバイス、オペレーティングシステムなど)を加えることができます。
GA4でレポートを保存する
GA4には「カスタムレポート」のタブがないことにお気づきでしょうか。GA4で独自のレポートを作成するには、左のメニューから「探索」画面に移動し、新しいデータ探索を開始する必要があります。「空白」を選択してゼロから新しいレポートを作成するか、既に用意されているテンプレートを使用することもできます。
GA4でランディングページレポートを作成する方法
特定のランディングページへの訪問を時系列で表示するレポートは既によく知られています。
GA4のデフォルトの管理画面にランディングページのレポートはありませんが、簡単に設定可能です。
- 左メニューから「探索」>「空白」をクリックして、新しいデータの探索を開始。
- レポートに関連する名前(ランディングページ・レポートなど)を付け、任意の期間を設定。
- 「ディメンション」をクリックし、「ランディングページ」を検索。チェックボックスを選択したら、「インポート」ボタンをクリック。
- 「指標」をクリックし、レポートに加えたい指標を選択(「ユーザーの合計数」、「直帰率」、「コンバージョン」、「合計収益」など)。
- 追加したディメンションと指標をそれぞれダブルクリックして、レポートに移動。
- ランディングページをフィルタリングして特定のページまたはページのグループを表示する場合は、「タブ設定」の下にスクロールし、「フィルタ」をクリックして、フィルタリングするディメンションまたは指標を選択(例えば、全ブログ投稿を表示するには、「ランディングページ」を「blog/を含む」に設定)。
「Visualization(可視化)」を選択することで、レポートの種類(表、ドーナツチャート、折れ線グラフなど)を選択することができます。
複数の情報(表や折れ線グラフなど)を追加したい場合は、最初のフォームを複製し、複製されたレポートの可視化設定を切り替えることができます。
次に、タイトルをダブルクリック、編集して、好みのタイトルをつけることができます。
ファネルレポート
カスタムファネルレポートは、全てのGA4ユーザーが利用可能です。特定のアクションを完了するまでにかかった各ステップを確認することができます。また、新しいユーザーの購入経路レポートもあり、購入に至るまでのファネルの各ステップ間で何人のユーザーが離脱したかを確認できます。
4. データストリーム
ユニバーサルアナリティクスでは、ビューによって、独自の設定を備えたプロパティのサブセットを作成できました。GA4では、ビューはデータストリームに変更されています。
GA4のデータストリームとは
データストリームは、ユニバーサルアナリティクスにおけるビューに対する代替案です。Googleによると、データストリームとは、「ウェブサイトやアプリからアナリティクスへのデータの流れ」とのこと。データストリームは3つのタイプに分類されます。
- ウェブ(ウェブサイト用)
- iOS (iOSアプリ用)
- Android (Androidアプリ用)
一般的なユニバーサルアナリティクスの設定として、すべてのデータに対して、フィルタが適用されていない「アンフィルタードビュー」(例:内部トラフィックを除外するIPフィルタやスパムに関連するパターンを除外するスパムフィルタ)、フィルタをテストして予想外の結果が出ないことを確認する「テストビュー」、すべてのフィルタを適用して意図した追跡を実施する「マスタービュー」が挙げられます。
GA4には、複数のビューを作成する機能はありませんが、代わりに複数のデータストリームを作成することができます。
データストリームの設定方法
データストリームを追加するには、左メニューの一番下にある「管理」をクリックします。まず、更新したいアカウントとプロパティを選択し、プロパティ欄から「データストリーム」をクリックし、「ストリームを追加」で「iOSアプリ」、「Androidアプリ」、「ウェブ」のいずれかを選択します。
ウェブサイトのデータストリームを追加するには、ウェブサイトのURL(ドメインです─例:domain.com)を入力し、ストリーム名(例えば「Kinstaウェブストリーム」など)を設定します。
デフォルトで「拡張計測機能」が選択されており、ページビューやその他のイベントが自動的に収集されます。トグルをクリックして、これを無効にすることもできます(後かの変更も可能です)。
Googleによると、複数のウェブストリームを追加すると矛盾が生じる可能性があるため、ほとんどの場合、各タイプ(ウェブ/アプリ)に対して1つのデータストリームを設定することが推奨されているとのことです。これについては、GoogleのGA4アカウントの構造化に関する説明をご覧ください。
新しくなったGA4プロパティでのデータ表示のためには、アナリティクスタグをサイトに埋め込む必要があります。WordPressサイトにGA4タグを追加する方法については、こちらのページをご参照ください。
5. サブドメインのトラッキング
新しいgtag.jsスニペットの主な利点として、高いドメインレベルでCookieを設定することで、追加の設定なしにすべてのサブドメインでユーザーを追跡できます。トラッキングしたいサブドメインの全ページにトラッキングコードを追加するだけでOKです。同じデータストリームを使用することもできるので、他の設定に手を焼く必要はありません。
6. GA4のUTMトラッキング
Googleは、ほとんどのUTMトラッキングパラメータをサポートしており、GA4でキャンペーンをトラッキングするためにこれを利用することができます。集客レポートから確認可能です。
7. GA4の検索ボックス
GA4の検索バーを使えば、検索に基づいたレポートを即座に表示できます。自動提案機能により、リアルタイムで関連する項目が表示されるので、時間を節約しながら、簡単にレポートを見つけることができます。
GA4の検索ボックスは質問形式での入力にも対応。「先週のコンバージョン数は?」といった質問も可能です。
また、GA4の検索機能はGoogleのサポートドキュメントと紐付いているので、GA4アカウントのセットアップに関する疑問がある時にも非常に便利です。
また、「Tracking/トラッキング」というキーワードやアプリのストリームIDを入力することで、ウェブやアプリのデータストリームに関する詳細情報を検索することも可能です。「Property/プロパティ」またはプロパティIDを入力した場合も同様です。
8. データサンプリング
データサンプリングは、大規模なデータセットに対して、より小さなデータのサブセットを分析することで推定を行うことを意味します。
Googleの例をご紹介します。樹木の分布が均一な100エーカーの地域の樹木の数を推定するという課題が与えられたとします。1エーカーあたりの木を数えて100をかけることも、半エーカーの木を数えて200をかけることもできます。このような方法で、その地域全体をそれなりの精度で計測することができるはずです。
このように、サンプリングは膨大な量のデータを素早く分析することができますが、その結果は必ずしも100%正確ではありません。一般的な傾向を素早く把握するには有効ですが、コンバージョンのような重要なデータを見る場合は、おそらく(推測ではなく)実際のデータを見るのが得策です。
左上のレポートタイトルの近くに緑色のチェックマークが表示されている場合、データはサンプリングされていません。
しかし、チェックマークが黄色または赤色の場合は、データがサンプリングされているか、または閾値が適用されています(詳しくは後述します)。
このサンプリングの問題を解決する一つの方法として、日付範囲を小さくすることができます。分析するデータが少なくなればより良い(ここでは、より正確な)結果が表示されるはずです。
また、「レポート」に表示される標準的なレポートを使用することもできます。このデータにはサンプリングが適用されません。独自のレポートを作成するよりもはるかに限定的ですが、トラフィックとエンゲージメントの概要を素早く把握するのに適しています。
もう一つの選択肢は、BigQueryを使用して、サイトからサンプリングされていない生のデータをクラウドストレージに保存することです。このプロセスは、GA4では無料(一部制限あり)になりましたが、UAでは有料版(Google アナリティクス360)でしか利用できません。
エクスプローラーレポートが大量にサンプリングされているなら
10日以上の期間を見たときに、エクスプローラーレポートが常にサンプリングされている状態であれば、アカウント設定を確認したほうがいいかもしれません。
GA4の管理画面に移動し、「データ設定」>「データ収集」をクリックします。もし「Google シグナルによるデータ収集を有効にする」がオンに設定されている場合には、おそらくこれが問題です。Google シグナルでは、ユーザーのデモグラフィックやインタレストに基づいてオーディエンスを構築し、リマーケティングキャンペーンの作成に使用することができます。ただし、デモグラフィックやインタレスト、その他のシグナルに基づいて個々のユーザーが特定されるのを避けるため、データの閾値とサンプリングが適用されます。
リマーケティングキャンペーンを実施する予定がないのであれば、Googleシグナルは必要ないでしょう。オフにすることで、今後、サンプリングされていないデータをより多く確認することができます。
これができたら、続いては、「レポート識別子」の設定で「デバイスベース」が選択されていることを確認してください。これでエクスプローラーレポートを開くと、閾値が適用されていない(サンプリングの適用されていない)データが表示されるはずです。
9.ビュー(またはその欠如)
UAでは、ビューによって1つのウェブサイトに対しフィルタリングを行い(セクションを作成することで)無関係なデータを簡単に除外し、サイトの特定の部分に焦点を当てることができました。例えば、kinsta.comは10ヶ国語に対応しているので、ビューを使って各言語のレポートを個別に表示することができました。しかし、GA4にはビューがないため、同様のことを実現したい場合は、レポートやフィルタを工夫する必要があります。
効果的な策として、「コレクション」を使用することができます。これは言うなればレポートのコレクションで、グループ化して標準レポートと一緒に(「レポート」セクションで)表示で可能です。
カスタムレポートを作成するには「レポート」を開き、テンプレートとして使用する標準レポートを選択し、編集アイコンをクリックします(レポートの編集/追加には、「編集者」の権限が必要です)。
レポート内で使用するディメンションとメトリクスを編集し、フィルターを適用することができます。残念ながら、現在、正規表現フィルタを追加することはできず限定的なものとなっています。
例えば、スペイン語圏のレポートを作成するには、「/es/」を含むページへの訪問のみをレポートするフィルタを追加することになります。
レポートが完成したら、「保存」そして「新しいレポートとして保存」をクリックします。標準レポートそのものに変更を加える場合は、「既存のグラフへの変更を保存」を選びます。ただし、GA4プロパティにアクセスするすべてのユーザーのレポートに変更が適用されることにご注意ください。
新しいレポートを標準レポートメニューに追加するには、「レポート」にある「ライブラリ」をクリックし、次に「新しいコレクションを作成」を選び、好みの名前を付けて、新しいレポートをドラッグします。
次に「保存」をクリックし、3つのドットのメニューアイコンから「公開」を押します。これで、標準レポートメニューにカスタムレポートを掲載した新たなセクションが表示されるはずです。このレポートは、GA4プロパティにアクセスするすべてのユーザーに表示されます。
10. 正規表現(regex)
GA4ではUAと比較して正規表現の使用はあまり普及していませんが、活用できる場所はいくつかあります。実際、GA4でregexを使ってフィルタを作成しても、必ずしも期待通りに動作するとは限りません。UAのデフォルトの正規表現は部分一致ですが、GA4では完全一致が使用されます。つまり、同じ正規表現を使っても、UAとGA4で異なる結果が表示される可能性があります。
例えば、UAでは、正規表現/blog/は、このパターンを含むすべてのURL(つまり、Kinstaのすべてのブログ記事)をピックアップしたことになります。しかし、GA4では、これは/blog/というページのみを対象にします。すべてのブログ記事を対象とするには、/blog/.*を使用する必要があります。基本的に、/blog/以降に文字列のある全てのURLを含めることになります。
11. データの保持
デフォルトでは、GA4のイベントデータは2ヶ月間保持されます。つまり、探索レポートでは、過去2ヶ月間のデータしか分析できません。
この保持期間を14ヶ月にするには、「管理」>「データ設定」>「データ保持」に移動し、ドロップダウンから14ヶ月を選択し「保存」をクリックします。
GA4への移行方法
GA4への移行はお済みですか?以下の手順を踏んでください。
1. UAから履歴データをダウンロードする
新しいプラットフォームで以前とは違うデータモデルが使用されているため、Googleはすでに、ユニバーサルアナリティクスからGA4へのデータ移行が不可能である点を強調しています(上記で簡単に説明しましたが、Googleはこちらのドキュメントで詳細に説明しています)。とは言え、ユニバーサルアナリティクスから過去のデータをダウンロードすることは可能です。
データをエクスポートするには、Googleアナリティクスでダウンロードしたいレポートを開きます。例えば、「集客」>「すべてのトラフィック」>「チャンネル」です。適用したいフィルタとセグメントを選択し、右上のメニューアイコンから「エクスポート」をクリックします。PDF、Googleシート、Excelファイル、CSVのいずれかの形式でダウンロードできます。
(補足:ちなみにSEJのこちらの記事では、データをダウンロードするその他の方法が紹介されています)
この機能には注意すべき点があります。貴重なデータを保存するのには便利ですが、エクスポートには制限があります。
- 現在、一度に適用できるディメンションは2つだけ
- 行の上限は5000
- データはサンプリングされることがある
2. 既存のUAトラッキングコードでGA4プロパティを作成する
Googleは、目標をGA4に移行する術をいくつか用意していますが、アカウントの設定に関しては、ゼロから始める必要があります。
すでにユニバーサルアナリティクスで「gtag.js」を使用している場合、サイトタグを使用して、簡単にプロパティを新しいGA4アカウントに紐付け、トラッキングタグの設定にかかる手間を削減することができます。
接続サイトタグの追加方法
- 左メニューの一番下にある「管理」をクリックし、アカウントとプロパティを選択
- プロパティの下にある「データストリーム」をクリック
- 「ウェブ」タブをクリックし、「ウェブデータストリーム」をクリック
- 「Googleタグ」のセクションにある「接続済みのサイトタグを管理する」をクリック
- 「接続済みのタグ」で、追加したいUAプロパティのトラッキングIDを入力(※UAアカウント「管理」セクションの「プロパティ」>「トラッキング情報」>「トラッキングコード」で確認できます)
- 名前を付ける(例:[サイト名] UA ID)
- 「接続」をクリック
GA4 設定アシスタント
GA4 設定アシスタントを使用して、新しいGA4プロパティを作成し、既存のユニバーサルアナリティクスプロパティと並行して管理することができます。つまり、ユニバーサルアナリティクスのプロパティにもアクセスすることができるということです(あくまでも今のところ)。
GA4 設定アシスタントによって、新しいプロパティに履歴データは追加されません。ですので、早く始めれば始めるほど、データ収集の観点からは有利になります。
GA4 設定アシスタントにより、ユニバーサルアナリティクスを使用しているサイトのGA4プロパティを作成する方法について、詳しくはGoogleのこちらの解説をご覧ください。
関連事項として、念のためにお伝えします。GA4では、1つのアカウントで最大2,000のプロパティを作成することができ、これはUAのプロパティの上限が100であることを大きく改善するものです。
3. UAからGA4へ目標を移行する
GA4では、ユニバーサルアナリティクスからGA4へ目標を自動で移行する機能(目標移行ツール)もあります。これを利用するには、アカウントの役割を「編集者」に設定する必要があります。
GA4 のプロパティを開き、「管理」をクリックします。「プロパティ」の列から「設定アシスタント」をクリックし、「リンクしたユニバーサル アナリティクス プロパティから既存の目標をインポートする」に移動し、「利用を開始」をクリックします。これで、GA4プロパティに移行する目標を選択できます。
また、GA4プロパティの「設定」>「コンバージョン」の「コンバージョン イベント」テーブルで、新しいコンバージョンイベントを見つけることができます。移行が完了するまで、最大で24時間かかる場合があります。
これについては、Googleのドキュメントで詳しく説明されています。
4. GA4のディメンションとメトリクスを設定する
GA4を設定すると、多くのディメンションやメトリクスが自動的に入力されますが、中には有効化する前に追加の設定が必要なものもあります。
ユーザー
ユニバーサルアナリティクスには、2つのユーザー指標があります。「合計ユーザー数」は、選択した日付範囲内に少なくとも1つのセッションを開始したユーザーで、「新規ユーザー」は、選択した日付範囲内に初めて訪問したユーザーです。
Googleアナリティクス4には、3つのユーザー指標があります。「合計ユーザー数」、「新規ユーザー」、「アクティブ ユーザー」です。
アクティブ ユーザーは、GA4で使用される主要なユーザー指標であり、ウェブサイトやアプリケーションを訪問したユーザー数で構成されます。エンゲージメントセッションを行ったユーザーがいたとき、アナリティクスが以下のデータを収集したときに、アクティブ ユーザーが認識されます。
- ウェブサイトの「first_visit」イベントまたは「engagement_time_msec」パラメータ
- Androidアプリの「first_open」イベントまたは「engagement_time_msec」パラメータ
- iOSアプリの「first_open」イベントまたは「user_engagement」イベント
ユニバーサルアナリティクスのほとんどのレポートでは、「合計ユーザー数」に基づく「ユーザー」が使用されています。GA4にも「ユーザー」がありますが、これは「アクティブ ユーザー」に基づくもので、計算方法が異なるため、2つの指標を比較すると混乱を招く可能性があります。
GA4での比較可能な指標として、「探索」を使用して「合計ユーザー数」を表示することができます。
エンゲージメント率
エンゲージメント率は、エンゲージメントを伴うセッションの割合を意味し、10秒以上継続したセッション、コンバージョンイベントがあったセッション、または2ページビュー以上またはスクリーンビューがあったセッションの数によって計算されます。
直帰率
GA4の直帰率はエンゲージメントがなかったセッションの割合ですので、エンゲージメント率の逆になります。ユニバーサルアナリティクスとは計算方法が異なるため、両者を比較した場合、結果が一致することはまずないでしょう。
UAでは、ユーザーがブログ記事を10分ほど読んで、何のイベントも発生させずに離脱した場合、直帰としてカウントされていました。一方、GA4では、ページに10秒以上滞在したユーザーは直帰とはみなされません。こちらの方がずっと便利です。
GA4トレーニングプログラム
GA4の新機能の使い方を学びながら、業界で通用する認定証を取得したい方には、Google Analytics 4のトレーニングプログラムをおすすめします。
まとめ
GA4への移行を先延ばしにしている方、今が切り替えのチャンスです。GA4の使い方を理解するのに膨大な時間を投入できなくとも問題ありません。両方のバージョンを並行して使いながら、UAのサービス停止まで、おなじみのUA形式でレポートが確認できます。
GA4への移行が早ければ早いほど、Googleアナリティクスの今後の仕様に親しんでおくことができるでしょう。
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