Node.jsは、ウェブアプリケーションに取り組む多くの開発者にとって、頼りになる実行環境です。世界で最も人気のあるプログラミング言語の1つであるJavaScriptで書かれたコードを実行するために構築されています。これにより、サーバーサイドアプリケーションの構築が、大規模な開発者コミュニティに対して開かれたものになりました。
Node.jsはJavaScriptライブラリを通してコードの再利用性をサポートしますが、ライブラリを選択するのは簡単ではありません。すぐれたライブラリは、開発時間、読み込み時間の短縮やアプリケーションバンドルサイズの削減など、ウェブアプリケーションに幅広いメリットをもたらします。
ライブラリを選ぶ際には、アプリケーションの複雑さ、ライブラリの背後にあるコミュニティ、更新頻度、ドキュメントの質などを考慮しましょう。
Node.jsのライブラリの管理にはNode.jsパッケージマネージャであるnpmを使用し、多くのオープンソースライブラリをインストールすることができます。それでは、Node.jsを扱うウェブ開発者を支える13のライブラリをご紹介します。
Node.jsとは
Node.jsは、JavaScriptコードを対象にしたオープンソースのサーバーサイド実行環境です。非同期アーキテクチャとクロスプラットフォーム互換性を持ち、ウェブ開発の基盤として高い人気を誇ります。
Node.jsは非同期かつイベント駆動型であり、大量のデータを扱うリアルタイム分散アプリケーションを効率の面で支えます。
Node.jsライブラリとは
ライブラリ(モジュール)とは、一般的に必要とされるタスクを抽象化した、あらかじめ書かれたコードのことです。ライブラリを使用することで、コーディングのプロセスをスピードアップし、コードの再利用性を促進できます。
フレームワークとは対照的に、ライブラリには完成した状態の関数が含まれており、どの開発フェーズでもプロジェクトに組み込むことができます。一方、フレームワークは通常、アプリケーション全体のスケルトンの役割を果たし、多くの場合、アプリケーションの構築方法に大きな影響を与えます。
おすすめのNode.jsライブラリ
Node.jsライブラリ13選を見て、その利点を探ってみましょう。
1.Sequelize
SequelizeはpromiseベースのNode.jsオブジェクト関係マッピングツールです。開発者によるリレーショナルデータベースの操作を簡素化します。PostgreSQL、MySQL、MariaDB、SQLiteなどのデータベースをサポートしています。
JavaScriptオブジェクトを使用して、Sequelizeはデータベーステーブルの構造をモデル化し、必要なリレーショナルデータベースに接続してデータを照会および変換。そして、取得したデータを解析し、JavaScriptオブジェクトとして返します。
Sequelizeライブラリの特徴と利点
- 生のSQLクエリを記述することなくデータベースに接続し、操作を実行
- SQLインジェクションの脆弱性とSQLインジェクション攻撃を軽減
- GraphQLとの互換性
2. CORS
CORSは、Connect/Expressを利用したミドルウェアとして、クロスオリジンリソース共有(CORS)を提供するNode.jsパッケージです。
CORSパッケージは、Node.jsルートミドルウェアのラッパーを形成し、アプリケーションが自身のドメイン以外からリソースにアクセスできるようにします。オリジン、ヘッダなど、クロスオリジンオプションを設定する複数のパラメータを受け取ります。
CORSライブラリの特徴と利点
- ウェブアプリケーションでCORSを有効にするために必要なコード量を削減
- 許可リスト付きドメインを設定し、選択したオリジンに対してCORSを有効にする一方、その他のオリジンをブロックすることができる
- シームレスなエラー処理を可能にし、疑わしいオリジンからのセキュリティの脅威を分析できるようになる
3. Nodemailer
Nodemailerは、Node.jsサーバーからのメール送信を容易にします。Simple Mail Transfer Protocol(SMTP)など複数のトランスポートに対応しています。トランスポートオブジェクトがfrom
、to
、subject
、body
、その他のパラメータを入力として受け取り、メッセージを構築します。
Nodemailerライブラリの特徴と利点
- SMTP、Amazon Simple Email Service(SES)、sendmail、streamを含む複数のトランスポートをサポートする単一モジュール
- メール本文としてテキストとHTMLコンテンツをサポート
- 配信状況の通知を設定し、一括メール配信をサポート
4. Passport
Passportは、Node.js用のモジュール式認証ミドルウェアです。Passportは、Google、Facebook、Twitter、その他のカスタムプロバイダやシングルサインオン(SSO)を含む500以上の認証ストラテジーを備えています。ストラテジーには、通常のユーザー名とパスワードによる認証、ソーシャルメディアサイト用のOAuthを使用した委任認証、連携認証用のOpenIDなどがあります。
Passportライブラリの特徴と利点
- 最小限のコードでSNS用のSSO認証を内蔵
- 複数のセッションにわたって永続的なログイン情報を構成
- Express、Connectミドルウェアを使用しコンフィギュレーションを行うことで、アプリケーションへの新しいルートのマウントを回避
5. Async
Asyncは便利なNode.jsユーティリティモジュールです。JavaScriptのasyncまたはcallbackを受け付ける関数を用いて、非同期JavaScriptで作業できるようになります。Asyncモジュールにcallbackの配列を渡すと、それを実行してラップしpromiseが返されます。
Asyncライブラリの特徴と利点
- 非同期制御フローを簡単にする約70のユーティリティ関数を搭載
- ホストへの複数のリクエストに取り組むための「並列」関数を提供(そうでなければ実装に多くのコードが必要になる)
- JavaScriptのネストされた「callback地獄」の解消に有用
6. Winston
Winstonは、複数のトランスポートによるユニバーサルロギングをサポートするNode.jsロギングライブラリです。このトランスポートで、アプリケーションの仕様に応じてログを保存、設定できます。
デフォルトとは別に、createLogger
機能では、コンソール、ファイル、データベースなどのオプションにてカスタムロガーを作成することも可能です。カスタムロガーは、カスタムトランスポートとあわせても使用できます。
Winstonライブラリの特徴と利点
- 単一の設定ファイルを通してロギングを集中的に制御
- JSON形式やテキスト形式でログを保存する場合など、ログの形式をカスタマイズ可能
- アプリケーションの要件に応じてロギングレベルを設定
7. Mongoose
Mongooseは、Node.jsベースのMongoDB用オブジェクトモデリングツールです。オブジェクトデータモデル(ODM)ライブラリとしても知られています。
Mongooseはアプリケーションレイヤーにおける単一のスキーマを強制するため、MongoDBのコレクションにその仕様が反映されます。各スキーマはMongooseモデルに関連づけられ、MongoDBコレクションに対してデータの取得や更新、削除などのクエリを実行できるようになります。
Mongooseライブラリの特徴と利点
- クエリを簡単に抽象化できるので、開発者はMongoDBトランザクションのコードを書く手間が省ける
- 組み込みのデータバリデーションにより、 データベースに追加したり更新したりできるデータの種類についてのルールを定義できる
- MongoDBコレクションの定義済みの構造を実装(定型のMongoDBインスタンスを提供)
- 複数のクエリを連鎖させることができる
8. Socket.IO
Socket.IOはNode.jsの通信ライブラリです。クライアントブラウザとサーバー間でリアルタイム、双方向、イベントベースの通信を確立します。
Engine.IOを使用し、HTTPロングポーリングによるデジタルハンドシェイクを介して、サーバーとクライアント間の低レベル接続を可能にします。接続が確立されると、クライアントとサーバーの通信はTCP上でリアルタイムに行われます。
Sockets.IOライブラリの特徴と利点
- WebSocketを使用して低オーバーヘッドの通信チャネルを提供し、フォールバックオプションとしてHTTPロングポーリングが可能
- スケーラブルで、サーバーが複数のクライアントにイベントを簡単にブロードキャストできる
- 名前空間による多重化をサポートし、使用するTCPコネクションの数を最小限に抑え、サーバー上のソケットポートを削減
9. Lodash
Lodashは、簡潔で保守性の高いJavaScriptコードの記述を助けるユーティリティライブラリです。型チェックや簡単な数学演算など、日常的なプログラミング作業を簡素化する200以上のユーティリティ関数を備えています。
Lodashライブラリの特徴と利点
- ポリフィルによりブラウザ間の互換性を維持
- オブジェクトの配列を扱う際の組み込みソリューションを提供し、
filter
、find
、flatMap
のような操作を可能にする - 繰り返しを避け、きれいなコードを維持できるよう支援
10. Axios
Axiosは、ブラウザとNode.js用のpromiseベースのHTTPクライアントです。また、必要に応じてブラウザやNode.jsからのリクエストデータやレスポンスデータの変換も行います。
Axiosは同型であり、同じコードベースでサーバーとクライアントで実行できます。HTTP通信では、Axiosはサーバー側でネイティブHTTPモジュールを使用し、クライアント側でXMLHttpRequestを使用します。
Axiosライブラリの特徴と利点
GET
、PUT
、POST
、DELETE
などの一般的なHTTPデータ型の組み込みAPI関数を提供- インターネット上でHTTPリクエストを行う際に、クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)対策により高いセキュリティを確保
- 自動JSONデータ変換により、レスポンスデータをJSONに簡単に変換
11. Puppeteer
PuppeteerはDevTools Protocolを通じてChrome/Chromiumを制御するハイレベルAPIを提供することで、Chromeを自動化するNode.jsライブラリです。リクエスト処理テスト、UI要素の検索と比較、パフォーマンステストなど、フロントエンドのテストを自動化します。
Puppeteerパッケージをコードにインポートすることで、Chromiumインスタンスを作成できます。このインスタンスがブラウザエンジンと通信することで、テストの自動化が可能になります。
Puppeteerライブラリの特徴と利点
- ゼロセットアップ、簡単設定、追加ドライバ不要
- ウェブサイトをクロールしてプリレンダリングされたコンテンツを生成
- JestやMochaのような一般的なテストフレームワークと互換性あり
12. Multer
MulterはNode.jsのミドルウェアライブラリです。HTMLフォームパーサbusboy上に書かれており、マルチパート/フォームデータを扱います。
Multerインスタンス初期化後、dest
オブジェクトをオプションの1つとして取り込み、アップロードされたファイルがサーバー上のどこに保存されるかを指定します。するとMulterはアップロードリクエストとともにfile
オブジェクトを送信します。このオブジェクトはMulter APIによって解析され、アップロード先の場所に送信されます。
Multerライブラリの特徴と利点
- 組み込みの構文解析により、生のHTTPリクエストデータにアクセスしやすくなる
- ファイルのエンコーディングタイプを指定し、アップロードされたファイルにセキュリティのレイヤーを追加する
- ファイルの種類とサイズをフィルタリングし、アップロードオプションを制限することができる
13. Dotenv
DotenvはNode.jsのユーティリティライブラリです。アプリケーションの環境変数を管理し、機密性の高い設定変数を保護します。Dotenvはまた、アプリケーションで環境変数を保存する際に、The Twelve-Factor Appの原則への準拠を助けます。早い段階からDotenvライブラリを設定することで、.envからprovess.envに環境変数が自動で挿入されます。
Dotenvライブラリの特徴と利点
- APIキーやログイン認証情報などのシークレットをソースコードから分離し、各開発者が自分用に.envファイルを作成できるようにする
- ゼロ依存モジュールのため、アプリケーションのサイズに影響しない
まとめ
Node.jsには便利なライブラリがたくさんありますが、プロジェクトに最適なものを選ぶのは難しいものです。ここで取り上げたNode.jsライブラリのいくつかは、あなたの次のアプリケーションの「必需品」になるかもしれません。
例えば、MongoDBを主に使っているのであれば、Mongooseは救世主になり得ます。CORSは複数のドメインからコンテンツを配信するのに役立ち、Dotenvはチーム内でコードを共有する必要がある場合に非常に便利です。
Node.jsの最も重要なパッケージのいくつかを覗いた後は、いよいよあなた自身のNode.jsアプリケーションを構築する番です。Kinstaのアプリケーションホスティングとデータベースホスティングプラットフォームが、開発プロセスの高速化を後押しします。また、Kinstaのホビープランで無料から利用を開始し、必要に応じて柔軟にスケールアップすることも可能です。
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