定期購読(サブスクリプション)は一般的な支払いモデルですが、WooCommerceはデフォルトでは、これに対応していません。そこで、WooCommerce Subscriptionsの出番です。

メンバーシップ、有料コンテンツの購読、ウェブサイトのメンテナンス、その他継続的な、実装の難しいサービスを実現するにはもってこい。

嬉しいことに、WooCommerceは、製品やサービスの定期購読機能を簡単に作成できる拡張機能を提供しています。定期購読ベースのサイトを安く構築できるツールをお求めであれば、その他にも代替案はいくつかあります。

今回の記事では、オンライン定期購読の世界に迫ります。WooCommerce Subscriptions拡張機能の概要、設定手順、その他にも要チェックのプラグインをご紹介します。

それでは参りましょう!

WooCommerceで定期購読の販売を始めるための第一歩

WooCommerceで製品やサービスを販売するなど、オンラインでお金を稼ぐ方法はたくさん。ただし、ウェブサイトでの個々の売り上げは通常、安定した収入源にはなりません。だからこそ、定期購読という価格設定モデルへの転換が大きな意味を持ち得るのです。

身近な例は次のとおりです。プレミアムWordPressプラグインを購入したことがある人ならご存知でしょう。月間または年間の購読支払いにサインアップしたことはありますか?定額を決まった時期で支払うことで、プラグインの更新とサポートを享受するといった具合です。

ビジネスにおける定期購読のもう1つのよく知られた例は、サブスクリプションボックスです。Stitch FixBirchboxHelloFreshDollar Shave Clubなどのサービスは、定額料金で月単位または週単位で、顧客に対して独自のパッケージを届けています。

定期購読ベースの企業の例
定期購読ベースの企業の例

同様に、The New YorkerHarvard Business Reviewなどのオンライン出版物でも、コンテンツへの無制限のアクセスには購読が必要です。 日々次々と雑誌がオンラインに移行する中で、コンテンツの一部を有料化することで安定した収入を維持する方法が採用されています。

会員サイトを使うことでも、オンラインから定期的に収益を上げることができます。例えば、コストコ会員のようなものですが、それのオンライン版です。ユーザーは、月額料金を支払うことで、特定の製品、特別なプロモーション、割引、オファーといったメリットが手に入ります。

ウェブサイトに定期購読スタイルの製品またはサービスを実装する方法はたくさんあります。そして、そのどれもが、シンプルかつ効率的に、安定した収入を確保する手段になり得ます。

さらに、このモデルは、顧客に利便性をもたらし、結果的に(長期的に見た)割引価格も提供できます。

WooCommerceに定期購読機能を追加する方法

WooCommerceサイトに定期購読オプションを追加する拡張機能はいくつもあります。すでに、この人気のeコマースプラグインであるWooCommerceを使っているならば、専用のツールのいずれかに投資し、既存のコンテンツに新しい機能を簡単に統合することができます。

基本的なWooCommerceプラグインは無料ですが、拡張機能を追加すると費用がかさむ場合があるので、これについては注意が必要です。この記事で登場するツールを採用すると、年間100ドルを超える費用が必要になるため、予算内に収まるかどうかよく考えてください。

拡張機能の選択肢として、WooCommerce SubscriptionsWooCommerce Membershipsの2つがあります。前者は、オンラインマガジン、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)プロバイダー、定期的に料金を請求する人に最適です。後者は、1回限りの登録料を請求するのに便利です。

以下では、拡張機能とその性能について詳しくご紹介します。

WooCommerce Subscriptions拡張機能とは

すでにWooCommerceを使っている場合には、拡張機能WooCommerce Subscriptionsを使って、簡単に定期購読機能をサイトに組み込むことができます。

拡張機能「WooCommerce Subscriptions」
拡張機能「WooCommerce Subscriptions」

公式のWooCommerce拡張機能マーケットプレイスにあるプラグインを使用すると、一番シンプルかつ簡単に定期購読ツールを既存のサイトにシームレスに統合できます。さらに、このソリューションには、ストアフロントで使用する定期購読サービスが作成できる、さまざまな機能が含まれています。

WooCommerce Subscriptionsの主な機能は以下の通りです。

  • 物理的製品、仮想製品、サービスの定期購読を作成
  • サインアップ料金、無料試用期間、有効期限を設定するオプションを搭載
  • 20以上の支払いゲートウェイと統合
  • 手動・自動の更新オプションと通知機能
  • ユーザーは必要に応じて自由に購読内容のアップグレードやダウングレードができる
  • 詳細レポートで定期購読情報と顧客データを確認

WooCommerce自体は完全に無料ですが、WooCommerce Subscriptionsは有料の拡張機能です。1つのサイトでの使用で、価格は年間199ドルから。

この値段はなかなかのものですが、WooCommerceサイトに定期的な収益システムを組み込むことのメリットもそれ相応です。定期購読モデルの実装を計画している場合には、このプラグインは投資に見合うだけの価値があると言えます。

WooCommerce Subscriptionsのセットアップ方法と使い方

WooCommerce Subscriptionsがぴったりの選択肢だと決まったら、その後の手順へと進みましょう。オンラインストアにWooCommerce Subscriptionsを導入するステップはいくつかに分けることができます。基本をご紹介します。

ステップ1: WooCommerce Subscriptionsを購入・インストールする

先ずは、拡張機能WooCommerce Subscriptionsを入手しましょう。緑の「今すぐ購入/Buy Now」ボタンをクリックします。

WooCommerce Subscriptionsの購入オプション
WooCommerce Subscriptionsの購入オプション

次に、WooCommerce.comアカウントにログインするか、新しいアカウントを作成するように求められます。

WooCommerceログインフォームから購入へ進む
WooCommerceログインフォームから購入へ進む

サインアップ/ログインプロセスと購入を完了します。その後、確認ページが表示されます。ここから先に進むには2つの選択肢があります。

まずは、紫色の「ダウンロード」ボタンをクリックして、WooCommerce Subscriptionsの.zipファイルを取得します。次に、WordPressダッシュボードで、「プラグイン」> 「新規追加」> 「プラグインのアップロード」に移動します。

WordPressダッシュボードのプラグインアップロードページ
WordPressダッシュボードのプラグインアップロードページ

ここで、.zipファイルをアップロードします。その後、「今すぐインストール」ボタンと「プラグインを有効化」ボタンをクリックして、サイトへのWooCommerce Subscriptions追加を完了します。

または、.zipファイルをダウンロードする代わりに、WooCommerce.comアカウントをストアに直接接続することもできます。

WordPressダッシュボードにログインして、「WooCommerce」>「拡張機能/Extension」> 「WooCommerce.com Subscriptions」へと移動します。

WooCommerce Subscriptionsの接続ボタン
WooCommerce Subscriptionsの接続ボタン

次に、紫色の「接続/Connect」ボタンをクリックします。すると接続を承認するよう求められます。

WooCommerce拡張機能接続の承認
WooCommerce拡張機能接続の承認

「承認/Approve」ボタンを選択します。すると、WooCommerce.com SubscriptionsタブにWooCommerce Subscriptionsが表示されるはずです。

ここから「ダウンロード/Download」ボタンをクリックし、スイッチを「有効/Active」に切り替えると、サイトにプラグインをインストールして、有効化することができます。

このメソッドは、ストアに他のWooCommerce拡張機能も利用している場合に特に便利です。同じエリアからすべてをまとめてアップデート、契約更新、停止できます。

ステップ2: 新しい定期購読を作成する

これで、WooCommerce Subscriptionsの使用を開始する準備が整いました。続いて、最初の定期購読製品やサービスをセットアップしましょう。このプロセスは、通常のWooCommerce製品の作成と非常に似ています。

ダッシュボードで「製品/Products」> 「新規追加/Add New」に移動し、「製品データ/Product Data」セクションまでスクロールします。現段階では、通常のWooCommerce製品エディターとはいくつかの違いがあります。

まず、「一般/General」タブには、2つの新しい製品タイプがあります。

  • シンプルな定期購読:これはシンプルな製品のように機能します。ユーザーは、設定された価格で1つの定期購読にサインアップできます。
  • バリエーションのある定期購読:または、製品バリエーションのように、複数の定期購読オプションも提供可能です。つまり、価格帯を設定したり、機能の違いがある複数のプランを提供したりできます。

定期購読モデルを設定するには、次のフィールドも入力する必要があります。

  • 価格:定期購読の価格です。
  • 請求頻度:どの頻度で請求するかを規定します。(1, 2, 3, 4, 5, 6サイクルごと)
  • 請求期間:各期間の長さを指定します。(1日、1週間、1ヶ月、1年間)
  • 長さ:期限切れになるまでの期間を意味します。
  • 登録料:登録の際に発生する料金です。
  • 試用期間:登録開始前のお試し期間です。

最後に「詳細/Advanced」タブにアクセスして、定期購読を制限することができます。これを設定すると、顧客は同じ製品またはサービスの購読を複数回にわたって購入できなくなります。

バリエーション定期購読の制限を有効にする際には、顧客にプランのアップグレードやダウングレードという自由度を提供するのもいいでしょう。

これを行うには、「WooCommerce」> 「設定/Setting」> 「購読/Subscriptions」> 「切り替え/Switching」に移動します。そこで、ドロップダウンメニューを使用して切り替えを有効にし、それぞれの料金設定とボタンの文字を指定します。

ステップ3: 決済ゲートウェイを選択・設定する

定期購読の支払いを受領するには、WooCommerceとの統合に対応し、定期的な支払いもサポートする34の決済ゲートウェイのいずれかを使用する必要があります。サイトでこれらのゲートウェイを有効にするための拡張機能の価格は、0〜199ドルになります。

選択肢の一部をご紹介すると、以下のようになります。

サイトでの利用の際には、それぞれに搭載される機能を検討することが重要です。

  • 定期購読の一時停止:ユーザーは完全に購読を取りやめることなく、一時停止することができます。
  • 定期購読のキャンセル:ユーザーはいつでも、購読をキャンセルできるようになります。
  • 定期購読の再開:一時停止状態の購読を再開することが可能になります。
  • 複数の定期購読:一度に複数の購読をすることが可能になります。
  • 修正: 提供する定期購読プランの価格や支払いスケジュールを(提供者であるあなたが)変更できます。
  • 支払い方法の変更:あなたやユーザーによる支払い方法(または利用可能な支払い方法の選択肢)の変更が可能になります。

どの決済サービスを有効にするかは、顧客にとって最も重要だと思われる機能の種類に依存します。たとえば、複数の購読プランへのサインアップを促す場合には、PayPalやAmazon Payは好ましいサービスではないかもしれません。

各決済サービスに付随し得る拡張機能のコスト計算もお忘れなく。複数のプレミアムゲートウェイに対応する計画であれば、そのために予算を確保する必要があります。

ステップ4. 必要に応じて購読プランを調整する

時が経つにつれて、さまざまな面から購読プランを変更することになるでしょう。価格を上げたり下げたり、新しい製品やサービスを追加したり、顧客向けにさまざまなオプションを調整したりするはずです。

ありがたいことに、WooCommerce拡張機能の調整は簡単です。WordPressダッシュボードの「WooCommerce」> 「購読/Subscriptions」に移動しましょう。そこから、編集したい購読をクリックします。

エディターが開いたら、必要な変更を加え、青い「購読の保存/Save Subscription」ボタンをクリックします。

最後に、注意点として、自動更新対応の決済サービスを使用している場合、定期購読費用の合計額に影響を与える変更は加えることができない場合があります。

このような調整が可能かどうかは、WooCommerceの支払いゲートウェイ比較表をご参照ください。

SubscriptionsとMembershipsを併用する方法

頻繁にWooCommerce Subscriptionsとあわせて使用されるのがWooCommerce Membershipsです。

拡張機能WooCommerce Memberships
拡張機能WooCommerce Memberships

これらの2つのツールには多くの類似点があり、相互にうまく統合されていますが、理解しておきたい重要な違いがいくつかあります。

WooCommerce Subscriptionsとは異なり、WooCommerce Memberships拡張機能を使用して定期的な支払いを請求することはできません。この拡張機能では、登録時に1回限りの会費を請求できます。

また、WooCommerce Membershipsは無料試用機能や、ユーザーによるメンバーシップのアップグレード、ダウングレード、キャンセルに対応していません。

定期的なメンバーシップの支払い機能を導入するには、これら2つの拡張機能を一緒に使用する必要があります。WooCommerce Memberships単体ライセンスは年間149ドル〜のため、両方の拡張機能を使用した合計は、一つのサイトで年間350ドル近くになります。

最も重要なのは、これらの拡張機能が同じ機能を提供していないという点です。同じ機能が搭載されているわけではないため、WooCommerce Subscriptionsにかかる費用を50ドル節約しようとしてWooCommerce Membershipsを購入するのは望ましい判断ではありません。

WooCommerce Subscriptionsと WooCommerce Membershipsの比較

どのWooCommerce拡張機能を使用すべきか、まだはっきりしていない方のために、両方の機能の概要を明らかにしておきましょう。

WooCommerce Subscriptions WooCommerce Memberships
Recurring payments Yes No
Fixed-length terms Yes Yes
Free trials Yes No
Simultaneous memberships Yes Yes
Users can upgrade, downgrade, and pause their plans Yes No

微妙な差ではありますが、これら2つの拡張機能の違いは、定期購読請求モデルに大きな影響を与える可能性があります。もちろん、定期的な支払いの発生するメンバーシップを作成するために、両方を組み合わせて使用することもできるので、その可能性も考慮してください。

WooCommerce Subscriptionsの代わりになるプラグイン

WooCommerce以外の方法でオンラインストアを運営している場合にも、心配いりません。併用するツールに関係なく、WordPressサイトに定期購読機能を追加できるプラグインはいくつもあります。

例えば、MemberPressは有望な選択肢です。

WordPressプラグイン「MemberPress」
WordPressプラグイン「MemberPress」

このプレミアムプラグインには、WooCommerce Subscriptionsにない機能さえ組み込まれています。コンテンツの制限に加え、メンバーフォーラムクーポンがあり、コンテンツドリッピング(定期的な間隔を設けたコンテンツの配信)、MemberPressレポートからの収益追跡もできます。ライセンス料金は年間149ドルからです。

Paid Memberships Proも、検討に値します。

WordPressプラグイン「Paid Memberships Pro」
WordPressプラグイン「Paid Memberships Pro」

このプラグインの無料版では、WooCommerce、BuddyPress、Constant Contactなどとの統合が行えます。

さらに6種類の決済サービスも利用可能。有料ライセンスは年間297ドルから始まり、これには60以上のアドオンが含まれています。

S2Memberという選択肢もあります。このプラグインには、投稿だけでなく、オーディオ/ビデオストリーミングのコンテンツ保護機能が搭載されています。

WordPressプラグイン「S2Member」
WordPressプラグイン「S2Member」

無料のS2Memberプラグインでも十分に基本は網羅しています。しかし、PayPal以外の決済サービスを利用するには有料版が必要になり、無制限の有料メンバーシップティアといった機能もこれに付随します。無期限ライセンスは、1つのサイトで89ドルからです。

これの代わりに検討できる低コストの代替案もいくつかあります。 Sumo Subscriptionsは、通常のライセンスでわずか39ドルで、WooCommerce Subscriptionsで利用できる機能の多くが含まれています。

WordPressプラグイン「Sumo Subscriptions」
WordPressプラグイン「Sumo Subscriptions」

大きな違いとして、Sumo SubscriptionsにはPayPalとStripeという2つの決済サービスしか導入されていません。メンバーシップの購読、寄付などの機能を設定するには、追加のプラグインを購入する必要があります。

この他にも検討することのできる無料プラグインはいくつかありますが、製品の購読や継続的なサービスよりも、メンバーシップの管理を重視しています。

Paid Member Subscriptionsなどがその例です。

WordPressプラグイン「Paid Member」
WordPressプラグイン「Paid Member」

オンラインマガジンなどの定期購読サイトを作成する場合には、このプラグインが便利です。有料メンバーの登録オプションを使えば、ログインしていない訪問者に対してコンテンツを非表示にできるので、一生懸命作成したコンテンツに対する報酬を得ることが可能です。

この他にも人気のある選択肢としてUltimate Memberがあります。

WordPressプラグイン「Ultimate Member」
WordPressプラグイン「Ultimate Member」

このプラグインは、購読プランを設定するのではなく、サイトメンバーシップを通じてオンラインコミュニティを構築することに焦点を当てています。ただし、WooCommerceと統合できるため、これを使用してコンテンツを制限したり、条件付きのナビゲーションを設定したりできます。

そして最後に、Simple Membershipも検討の価値ありです。

WordPressプラグイン「Simple Membership」
WordPressプラグイン「Simple Membership」

Stripe またはPayPalを使って、無料/有料のメンバーシップを作成することができます。コンテンツの制限、複数のメンバーシップティアの作成、ユーザーの支払い履歴の追跡も可能です。

まとめ

手札を賢く使う限り、定期購読プランの販売は非常に有益です。ただし、定期購読システムから利益を得るには、WooCommerceサイトで定期支払いオプションを設定する方法を理解する必要があります。

最もシンプルな方法は、拡張機能WooCommerce Subscriptionsの使用でしょう。これを使えば、以下のステップを踏むだけでOKです。

  • WooCommerce Subscriptionsを購入、インストールする
  • 購読対象となる製品/サービスを作成する
  • 決済サービスを選択、設定する

これだけで、あなたのオンラインストアに定期購読システムが導入できます。ただし、これと同時に、正しい種類のトラフィックをページに誘導し、購読者が支払いをいとわない完璧なコンテンツを作成することをお忘れなく。

WooCommerce subscriptionsの使い方や、WordPressサイトでの定期支払いについて、何かご質問はございますか?コメント欄からお気軽にどうぞ。

Matteo Duò Kinsta

Head of Content at Kinsta and Content Marketing Consultant for WordPress plugin developers. Connect with Matteo on Twitter.