今日、人工知能(AI)は変革をもたらす存在として台頭しており、コンテンツの作成方法や、WordPressサイト含むウェブサイトの構築方法を再定義しています。現在では、ブログ記事の執筆、製品コンテンツの作成、コピーライティグの生成、カスタムプラグインの開発などのプロジェクトをより簡単に実行することができます。

AIの最も顕著な進歩のひとつは、ChatGPTのようなツールの導入です。単純な作業を自動化し、コンテンツ作成、サイト管理、ユーザーとの対話のような中核となるプロセスを改善してくれます。

今回は、ウェブ開発におけるAIの進化を掘り下げ、主要なAIツールやプラグインを使用して、WordPressの機能を拡張する方法をご紹介します。

ウェブ開発におけるAIの進化

AIの導入により、ウェブ開発は大きな進歩を遂げています。

当初、AIは反復的なタスクの自動化や簡単なデータ分析といった機能に限定されていましたが、急速な技術進歩に伴い、より複雑なタスクを驚くべき精度と完成度で実行できるようになりました。

例えば、ChatGPTのような高度なNLPモデルの導入は、AIの能力を大きく飛躍させました。まずで生身の人間のようにテキストを理解し生成し、コンテンツ作成、カスタマーサポート、サイトのユーザーエンゲージメントに革命をもたらします。

これにより、現在ではサイトのレイアウト設計、コードの記述、コピーライティングの生成、さらにはWordPressサイトの機能テストを支援する最新のAIツールが誕生しています。

AI技術に一石を投じたChatGPT

OpenAIによって開発されたChatGPTは、GPT(Generative Pre-trained Transformer)アーキテクチャに基づく高度なAI言語モデルです。膨大なテキストデータを分析し、パターン、文脈、言語ニュアンスを学習し、ユーザー入力に基づいて首尾一貫した文脈に関連したテキストを生成します。

最近では、以下のような用途に使用されています。

  1. コンテンツ作成:コンテンツ作成に必要な時間と手間を大幅に削減し、一般的な記事や商品説明などの精製に使用。複数のコンテンツ間でトーンやスタイルを統一しながら、大量のテキストを迅速に作成することができる。
  2. ユーザーとの対話:ChatGPTを搭載したチャットボットにより、24時間体制でカスタマーサポートを提供。問い合わせへの対応や問題のトラブルシューティング、プロセス案内を行うこともできる。
  3. ウェブ開発:コードの生成、改善点の提案、コードのデバッグを効率化し、開発プロセスを高速化できる。
  4. SEO最適化SEOフレンドリーなコンテンツの作成、キーワードの提案、メタディスクリプションの最適化などに活用し、検索エンジンの表示順位を高めることができる。
  5. 多言語対応とローカライゼーション:多言語コンテンツを生成することで、多言語対応サイトの構築が容易になる。

WordPressではChatGPTの機能の導入する取り組みが進んでおり、ChatGPTにアクセスしなくても、WordPressの管理画面から直接利用することができます。

WordPressにおけるAIとChatGPTの活用例5選

AIとChatGPTを活用し、WordPressサイトをよりスマートかつ効率的に強化する5つの活用例をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

1. ブログとWooCommerceのコンテンツ作成

質の高いコンテンツを一貫して作成することは、人気のブログを運営するのに不可欠。WordPressはコンテンツ管理システム(CMS)であり、簡単にブログを開設できることから多くのユーザーが利用しています。

しかし、ChatGPTのようなAIを搭載したツールをWordPressに統合することで、アイデアのブレーンストーミングから記事の作成まで、コンテンツ作成プロセス全体を効率化することができます。

最近では選択したトピックに応じて記事の概要を作成し、主要なポイントや小見出しを提案し、さらには記事全体を生成してくれるWordPressプラグインもあり、タイトル、言語、スタイルとトーン、見出しの数、キーワードなどの基本的な入力を行うだけで、コンテンツを公開することができます。

例えば、AI Powerプラグインは、タイトル、言語、スタイルとトーンのような情報を入力するだけで、WordPressの管理画面からChatGPTを用いて記事を生成してくれます。

ChatGPTを利用して投稿を生成するAI Powerプラグイン
ChatGPTを利用して投稿を生成するAI Powerプラグイン

ChatGPTがSEOのメタディスクリプションとともに基準に基づいて記事を生成。内容の確認後、「Save as draft(下書きとして保存)」をクリックすると、WordPressの「投稿」の下書きとして追加され、プレビューし公開することができます。

また、このプラグインはWooCommerceとも互換性があり、商品名、説明文、簡単な説明文、タグ、さらにはメタディスクリプションを生成することができます。「商品」>「新規追加」に移動し、「AI Power Product Writer」セクションで「Original Title」を追加して、ボックスにチェックを入れて必要な情報を生成することができます。

WooCommerceの「AI Power Product Writer」セクション
WooCommerceの「AI Power Product Writer」セクション

WooCommerceの商品として追加できるよう、「保存」ボタンをクリックする前に、フィールドに商品の情報が自動入力されます。あとは商品画像と価格を追加するだけで、商品を公開することができます。

2. チャットボットを用いたカスタマーサポートの強化

24時間365日カスタマーサポートを提供することは、小規模なチームにとっては大きな負担になります。そんなときは、ChatGPTのようなAIを搭載したチャットボットを導入することで、WordPressサイトのカスタマーサービスとエンゲージメントを強化することができます。

チャットボットは、お問い合わせへの即時応答、よくある質問への回答、問題のトラブルシューティング、あらゆる操作案内を行うことで、顧客満足度を大幅に改善しながら、貴重な時間を他の業務に充てることができます。

WordPressではプラグインを通じて導入可能です。例えば、AI Engineプラグインを使用すると、質問に答えたり、顧客を特定の製品やサービスに誘導したり、トラブルシューティングを支援したりすることができるチャットボットを簡単に統合できます。

プラグインのインストール後、デフォルトの設定のまま、ショートコードをコピーして任意の場所に埋め込むだけでOKです。

AI EngineプラグインでChatGPTチャットボットを統合
AI EngineプラグインでChatGPTチャットボットを統合

基本的にはデフォルトの設定で十分ですが、ポップアップまたはフルスクリーンでチャットボットを表示したり、サイトの外観に合わせたスタイルを設定したりすることも可能です。

3. SEO

サイトが検索エンジンの結果ページ(SERP)で上位に表示されるようにすることは、トラフィックを促進し、知名度を高めるために不可欠です。今日、WordPressサイトをあらゆる方法で最適し、検索エンジン最適化(SEO)を強化するのに役立つツールは多数存在します。

これらのツールは何らかの形でChatGPTを取り入れており、たとえば人気のYoast SEOプラグインを使用すると、AIとChatGPTを使用して、質の高いの投稿タイトルとメタディスクリプションを簡単に作成することができます。

これは、何百もの固定ページや投稿、ページタイトルやメタディスクリプションを更新したいときに便利です。個別に更新するのは気の遠くなる作業ですが、ChatGPTプラグインを活用すれば作業効率が劇的に高まり、サイトがより上位に表示され、ひいてはクリック率の最適化されたコンテンツを提供することができます。

4. コンテンツの翻訳

世界を視野に入れ、より多くのユーザーにコンテンツを届けるには、必然的に複数の言語への対応が必要になります。とはいえ、WordPressサイトを多言語化し、コンテンツを随時翻訳するのは一大プロジェクトです。

AIを搭載した翻訳プラグインを導入することで、コンテンツを多言語に自動翻訳することができます。その後、自動翻訳されたコンテンツをの確認と修正を行い、ゼロから翻訳を行うことなく公開することが可能です。

例えば、WPMLのようなトッププラグインは、DeepL、Google、Azure、そしてWordPress向けに最適化された独自のアルゴリズムに基づくAI翻訳を駆使し、質の高い自動翻訳を生成してくれます。WordPressサイトのあらゆるコンテンツをサポートし、ECサイトの商品バリエーションや特別割引なども含まれます。

WPMLプラグインを利用してコンテンツを自動翻訳
WPMLプラグインを利用してコンテンツを自動翻訳

5. プラグインの構築

AI技術は、WordPressのプラグイン開発にも役立ちます。上級開発者から初心者まで、ChatGPTのようなAIツールをコードの記述、デバッグ、プラグインの最適化に利用することができます。

たとえば、既存のプラグインではなく独自のプラグインを使用したいなら、ChatGPTに「WordPressのメンテナンスプラグインのコードを書いてください。有効化するとサイトに現在メンテナンス中であることを伝えるメッセージを表示したいです」というような指示を出します。

すると返答としてコードが返されるため、このコードをWordPressのフォルダに貼り付けるか、PHPファイルを作成してZIPに圧縮し、WordPressの「プラグイン」画面からアップロードすれば完了です。

AI統合テーマビルダーを使ってWordPressサイトでChatGPTを活用する方法

AIを搭載したテーマビルダーを使用することには、デザインプロセスの合理化、機能の強化、効率化など、数々のメリットがあります。AI統合のテーマビルダーには、ChatGPTの基盤となるOpenAIモデルや、画像生成のためのDALL-E APIなどが組み込まれています。

AIが生成した画像で手順などを案内するプロンプトを入力したり、画像を強調したり、魅力的な文章やタイトルを生成したりすることができます。

以下、AIとChatGPTの機能を組み込んだテーマビルダーを2つご紹介します。

Elementor AI

Elementorは、WordPressのドラッグ&ドロップ式ページビルダーとして有名です。豊富な要素を組み込んだビジュアルエディターを使用して、洗練されたページを作成することができます。ElementorはAIをデフォルトで組み込んだ、Elementor AIをリリースした最初のページビルダーの1つです。

Elementor AIは、見出しや説明文の生成、テキストの言い換えや推敲、画像バリエーションの生成、背景の削除や置換などのコンテンツ作成に役立ちます。また、詳細なプロンプトが表示されるテキストから画像への変換により、画像の生成や編集にも活用可能です。

Elementorユーザーであれば誰でも利用することができ、アカウントとElementorプラグインを用意するだけ。Pro(有料版)を利用している場合には、最新バージョンにアップグレードしてください。

エディター内に表示されるAIアイコン(以下参照)をクリックすると、AI機能にアクセスできます。

Elementorエディターに表示されるAIアイコン
Elementorエディターに表示されるAIアイコン

プロンプトを入力するとテキストまたは画像が生成されます。「Use text」または「Use image」をクリックして適用することができます。

AIが意図を的確に理解できるよう、プロンプトはできる限り具体的に、わかりやすく入力してください。例えば、ただ「犬の写真」と入力するのではなく、「日当たりのいい公園の芝生で、青い空と木々を背景に芝生に座っている幸せそうなゴールデンレトリバーの子犬のリアルな写真」といった感じにします。

画像生成のプロンプトが組み込まれたElementorエディター
画像生成のプロンプトが組み込まれたElementorエディター

またElementor AIは、コンテンツの翻訳を提案したり、サイトを別の言語や文化に応じて最適化したりもしてくれるため、多言語サイトの構築にも便利です。

Divi AI

Divi AIもChatGPTをビジュアルビルダーに組み込んだテーマビルダーで、ウェブページの構築、ブログ記事の作成、既存のコピーライティングの改善などに利用することができます。

プラグインの過剰使用はサイト速度に悪影響を与え、サイトをセキュリティリスクに晒すことに。Divi AIには、AIプラグインの使用方法を制限するAI機能が搭載されています。

Divi AIでは、テキストボックスにカーソルを合わせて設定アイコンをクリックすると、モジュールの設定とともに「Generate Content With AI(AIでコンテンツを生成)」というボタンが出現します。

Diviビルダーの「Generate Content With AI」ボタン(出典:Elegant Themes)
Diviビルダーの「Generate Content With AI」ボタン(出典:Elegant Themes

このボタンをクリックすると、AIによって生成されたテキストがダイアログボックスに表示されます。「Use This Text」をクリックしてテキストモジュールに挿入します。

プロンプトからAIが生成したテキスト(出典:Elegant Themes)
プロンプトからAIが生成したテキスト(出典:Elegant Themes

Divi AIでは、既存のテキストを改良することも可能です。テキストモジュールを有効にした状態で、テキストボックス内のAIアイコン(以下参照)をクリックすると、いくつかのオプションが表示されます。「Improve with AI」をクリックすると、生成されたコピーライティングの微調整や、執筆したテキストの改善に役立つヒントなどが別のダイアログボックスに表示されます。

Diviビルダーででサイトのコピーライティングを改善(出典:Elegant Themes)
Diviビルダーででサイトのコピーライティングを改善(出典:Elegant Themes

このように、AIとChatGPTを利用することで、あらゆるWordPressサイトの構築プロセス全体を強化することができます。

まとめ

AIとChatGPTは、WordPressサイトの管理と機能拡張に無限の可能性をもたらし、コンテンツの自動作成からユーザーエクスペリエンスの向上、堅牢なセキュリティ強化策まで、作業時間を削減し効率を高める実用的なソリューションになります。

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Joel Olawanle Kinsta

Kinstaでテクニカルエディターとして働くフロントエンド開発者。オープンソースをこよなく愛する講師でもあり、JavaScriptとそのフレームワークを中心に200件以上の技術記事を執筆している。