ヘッドレスWordPressサイトは、コンテンツ管理システム(CMS)からフロントエンドを切り離しすことができるため、開発者はバックエンドのコンテンツ管理にはWordPressの機能を利用しつつ、任意の技術スタックをフロントエンドに使用することができます。
これはサイトの速度とセキュリティを高めながら、ReactやVue.jsなどのフレームワークをはじめとする、最新のフロントエンド技術の可能性を活かせることを意味します。
WordPressのヘッドレス化で重要になるのが、ホスティング選び。そこで今回は、ヘッドレスWordPressサイトに適したホスティングサービスを見つけるコツをご紹介します。
ヘッドレスWordPressサイトのホスティング要件
WordPressのヘッドレス化では、従来なモノリシックアーキテクチャ(機能やコンポーネントを単一のアプリに統合する方法)を離れ、コンテンツ管理(WordPressバックエンド)とプレゼンテーション層(フロントエンド)が分割されます。
このため、分離されながら同時に連携する両コンポーネントのホスティングが必要になります。しかし、コンテンツやメディアなどの重要な機能は、WordPressのバックエンドにすべて格納されることから、WordPress用の堅牢なホスティングソリューションを確保することが最重要と言えます。
データを保護するための確かなセキュリティ強化策、シームレスなコンテンツ管理と運用を維持するためのパフォーマンス最適化もまた、非常に重要です。信頼性の高いWordPressホスティングに投資することで、安定性と拡張性を保証し、サイトの基盤を守ることができます。
加えて、React.jsやVueのような主要ライブラリや、Next.js、Gatsby、Nuxt.jsのような静的サイトジェネレーター(SSG)を使用して、WordPressから切り離されたフロントエンドにもホスティングが必要になります。
信頼性の高いWordPressホスティングとフロントエンドの効率的なデプロイのバランスを取ることで、安定性、拡張性、そして費用対効果に優れたヘッドレスWordPressエコシステムを確立しましょう。
ホスティングサービスを選ぶ際に考慮すべき点
ホスティング会社は、サイトのパフォーマンス、セキュリティ、スケーラビリティの確保に重要な役割を果たします。ホスティングサービスを選ぶ際に、考慮しておきたい主な要因をご紹介します。
1. パフォーマンス
まず重要になるのが、バックエンドのパフォーマンスです。コンテンツクリエイターやパブリッシャーは、コンテンツの管理にレスポンシブなWordPressの管理画面に依存しており、バックエンドの速度が落ちると、チームの業務効率に影響します。
さらに、ヘッドレスWordPressのセットアップでは、WordPress REST APIがバックエンドとフロントエンドの仲介役として機能します。バックエンドのパフォーマンスを最適化することで、APIリクエストが高速処理され、フロントエンドのインタラクションとデータ取得の待ち時間を最小限に抑えることができます。
バックエンドのインフラストラクチャは、トラフィックとコンテンツの増加に応じて、シームレスに拡張できなければなりません。リソースのスケーリングが可能なホスティングプランであれば、トラフィックが増える期間もバックエンドの応答性と可用性を維持できます。
WordPressにはさまざまなホスティングプランがあり、それぞれに利点と制限があります。共用サーバー、VPS、専用サーバーなどが一般的ですが、堅牢なヘッドレスWordPressに必要なパフォーマンスの最適化に欠けることがあります。
Kinstaの高性能マネージドホスティングは、Google Cloud Platform上に構築され、Cloudflare統合により高速化されており、従来型のレンタルサーバーとは一線を画します。
各WordPressサイトを隔離されたソフトウェアコンテナ内で実行し、セキュリティとリソースの最適化を保証。共用サーバーの課題であるリソースの競合を回避し、一貫した信頼性の高いサイトパフォーマンスを実現します。
Kinstaでは、キャッシュメカニズムとサーバーレベルの最適化でバックエンドプロセスを合理化し、待ち時間を短縮して全体的なパフォーマンスを改善しています。堅牢なインフラストラクチャと最適化されたサーバー構成により、APIリクエストが迅速に処理され、ヘッドレスWordPressアプリのフロントエンドインタラクションのレイテンシを最小限に抑えます。
2. セキュリティ
今日、あらゆるオンライン環境でセキュリティの強化は欠かせませんが、ヘッドレスWordPress環境も例に漏れません。バックエンドのWordPressと接続したフロントエンドアプリケーションで堅牢なセキュリティを確保することが非常に重要です。
ヘッドレスWordPressサイトでは、バックエンドのWordPressにユーザー情報、コンテンツ、構成設定などの機密情報が格納されます。脆弱性は不正アクセス、データ漏洩、コンテンツ操作につながります。結果として、サイトの完全性とユーザーの信頼を危険にさらし、法的な問題が発生する恐れがあります。
WordPressのヘッドレス化は、通常さまざまなフロントエンドアプリケーションとの統合を伴うため、バックエンドとフロントエンド間の通信を保護することが必要不可欠です。悪意のあるユーザーはこの通信経路の弱点を突き、2つの層でやり取りされるデータを傍受したり、改ざんしたりします。
Kinstaはセキュリティを最重視し、業界で最も安全なホスティングサービスを提供することに注力しており、サイトを保護する数々の能動的および受動的な強化策を講じています。
Kinstaのホスティング環境で稼働するサイトは、カスタムルールセットとDDoS対策を備えたエンタープライズレベルのファイアウォールをはじめとする、Cloudflare統合によってデフォルトで保護されます。Cloudflareとの統合により、独自のCloudflareアカウントを管理することなく、優れたセキュリティとパフォーマンスの恩恵を受けることができます。
具体的には、以下のようなセキュリティ機能を追加料金なしでご利用いただけます。
- 3分ごと(1日480回)の稼働状況監視
- 悪質なコードの侵入を阻止するためのソフトウェアベースの厳格な制限
- リアルタイムのDDoS攻撃の検出と緩和
- 二要素認証(2FA)をサポートし、1分間に6回以上ログインに失敗したIPを自動的にブロック
- 攻撃、ハッキング、エクスプロイトに対処する専任のセキュリティ部門
- 安全なファイアウォールと組み込みのDDoS対策を備えたCloudflare統合
- 暗号化されたSFTPとSSH接続のみをサポート(FTPは使用不可)
- 完全に分離されたコンテナ(LXC)、オーケストレションにLXDを採用し、他のサイトからのマルウェア感染の可能性を排除
- ワイルドカード対応のCloudflare SSL証明書
- セキュリティ保持誓約による無料のサイト復旧
- インストールしているすべてのプラグインの自動セキュリティチェックにより、脆弱性およびセキュリティの問題を検出
- 自動(毎日)、手動、システム生成、ダウンロード可能なバックアップ(有料アドオンで時間単位、Amazon S3またはGoogle Cloud Storageへの外部バックアップも追加可能)
サイトで万が一のことが発生しても、セキュリティ保持誓約の下、専任のエンジニアが無料で対処にあたります。
3. ヘッドレスアーキテクチャ対応
ヘッドレスアーキテクチャは、様々なフロントエンド技術との統合を必要とします。したがって、ホスティングサービスがNode.jsのようなフロントエンドに必要になる技術をサポートしているかどうかも重要です。
Kinstaでは、WordPress専用マネージドホスティング、静的サイトホスティング、アプリケーションホスティング、およびデータベースホスティングを提供しており、すべてを単一の専用コントロールパネル「MyKinsta」で管理可能です。バックエンド(WordPress)の運用にはWordPress専用マネージドホスティングを利用し、フロントエンドを無料の静的サイトホスティング、またはアプリケーションホスティングでホスティングすることができます。
静的サイトホスティングでは、ビルド済みの静的サイト、またはNode.jsベースの静的サイトジェネレーター(SSG)で構築されたサイトに対応しています。
アプリケーションホスティングでは、静的サイトに限らず、NixpacksまたはBuildpacksを使用してデプロイされた様々なプログラミング言語で構築されたアプリケーションを幅広く運用可能です。
アプリケーションホスティング方が柔軟性とスケーラビリティに優れ、Dockerfileを使ったデプロイメントのカスタマイズ、およびリアルタイムと過去のデータを網羅した包括的な分析機能など、より堅牢な機能を利用することができます。
4. スケーラビリティ
オンラインビジネスの行方は時に予測不可能になります。突然のトラフィックの急増にも柔軟に対応し、高負荷がかかっても高いパフォーマンスを維持できるホスティングサービスをお勧めします。
WordPressのバックエンドでコンテンツを追加または更新すると、サーバーに大きな負荷がかかる可能性があります。またマーケティングキャンペーン、バイラルコンテンツ(俗にいう「バズった」状態)、外部イベントなどによるトラフィックの急増によっても、ホスティングインフラには大きな負担がかかります。
スケーラビリティに優れたホスティングをお探しの方は、Kinstaのホスティングをお試しください。数回のクリックで簡単にリソースを増減することができ、必要に応じたプランの変更時にもサイトがダウンすることはありません。プラン変更月の利用料金は、自動的に日割り計算で算出されます。
また、コンテナ化したインフラストラクチャにより、トラフィックの急増時にもCPUとRAMを自動スケーリングすることが可能です。
5. 価格
手頃な価格で利用できるレンタルサーバーは魅力的ですが、パフォーマンスとセキュリティを犠牲にする可能性があります。
Kinstaは、さまざまな要件を考慮した明確な価格設定を設けています。ヘッドレスWordPressサイトをホスティングする際にも、事前にホスティング費用を正確に試算することができます。Kinstaの価格設定は一見すると他社のサービスよりもやや高額ですが、価格以上の一流パフォーマンス、セキュリティ、およびサポートを提供しています。
さらに、Kinstaのホスティングプランには、帯域幅と訪問数を含む余裕を持ったリソースが割り当てられているため、リソースの上限を超えることなく、ヘッドレスアーキテクチャの要件を満たすことができます。
具体的には、以下のようなメリットがあります。
- WordPressサイトのパフォーマンスの問題をデバッグするためのアプリケーションパフォーマンス監視(APM)ツール
- MySQLの継続的な自動最適化
- WordPress開発者とLinuxエンジニアによる業界最高水準のカスタマーサポート(ライブチャットは24時間年中無休で利用でき、平均応答時間は2分未満。日本語を含む多言語サポートあり)
- PHPの再起動、3分ごとの監視、および99.9%の稼働率保証
- 常に最新バージョンのPHPをサポート(ステージング環境用には異なるバージョンにも対応。MyKinstaから数回のクリックでバージョン変更可)
- データベースの検索と置換、ジオロケーション機能、ionCube Loader、PHP再起動などの便利なサイト管理ツールを多数搭載する専用コントロールパネル「MyKinsta」
KinstaでヘッドレスWordPressサイトをセットアップする
Kinstaでヘッドレス化したWordPressサイトをホスティングするには、WordPressサイトを作成し、WordPress REST APIを介してデータにアクセスできるように設定する必要があります。KinstaでWordPressサイトを構築するには、以下3つの方法があります。
- Kinstaにサイトを移行する前に、ローカルマシンでサイトを構築する(ローカル開発にはDevKinstaが便利)
- MyKinstaでリモートでサイトを構築する
- Kinsta APIを使用してリモートでサイトを構築する
WordPressサイトを作成したら、Word Press REST APIを介して、フロントエンドフレームワークにデータを取得します。このAPIは、Fetch APIやAxiosのようなJavaScriptのアプローチを使用し、JSON形式でのデータ取得を容易にします。
バージョン4.7からはWordPressに組み込まれており、プラグインをインストールする必要はありません。WordPressサイトのURLに/wp-json/wp/v2
を追加するだけでOKです。
http://yoursite.com/wp-json/wp/v2
http://yoursite.com/wp-json
にアクセスして、JSON APIが有効になっていない場合は、WordPress管理画面の「設定」>「パーマリンク設定」に移動して、「投稿名」または「基本」以外に変更してください。
これでローカルおよび本番サイトで機能し、投稿、固定ページ、コメント、メディアを含むコンテンツのエンドポイントが使用可能になります。REST APIの詳細はこちらをご覧ください。
まとめ
ヘッドレスWordPressサイトのホスティング選びは、ビジネス成功の鍵を握ります。
パフォーマンス、セキュリティ、スケーラビリティを重視し、ヘッドレスアーキテクチャの複雑さを理解するホスティングサービスを利用することで、堅牢で柔軟性があり、将来性のあるデジタルプレゼンスを確立する基盤を手にすることができます。
適切なホスティングパートナーを味方につけて、WordPressをヘッドレス化し、ウェブプロジェクトの可能性を探求してみてください。
ヘッドレスWordPressサイトを扱った経験はありますか?以下のコメント欄でぜひお聞かせください。
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