WordPressでWooCommerceプラグインを使ってオンラインストアを立ち上げることは一般的で、これを支える多くのページビルダーテーマブロックが存在します。ストアのレイアウトをデザインし、商品説明を書き、適切な商品画像をアップロードするというのが基本的な流れになります。

しかし、消費税の設定は見落としがち。WooCommerceでは非常に簡単に設定することができます。

今回は、WooCommerce組み込みの機能を使用して、オンラインストアに消費税計算の機能を実装する方法を4つのステップでご紹介していきます。

オンラインストアで消費税を設定する理由

本記事執筆者は会計士や税理士などの資格は持たないため、今回は、あくまでオンラインストアに消費税を設定する方法をご紹介する記事となります。

オンラインストアに消費税を設定する際には、まずお住まいの地域の税制を理解することが欠かせません。たた、特定の状況に応じたベストプラクティスに関しては、税理士などの専門家に相談してみてください。

消費税の設定は面倒に思えますが、無視することはできません。税金は教育、医療、地域インフラなどの公共サービスへの貢献する目的で徴収されるものであり、以下のような理由で重要です。

  1. 法令遵守:まず第一に、法律に遵守しなくてはらない。課税要件は地域によって異なり、これに違反すると高額な罰金や法的問題に発展する恐れがある。
  2. 顧客からの信頼の構築:買い物客は、透明性が高くシームレスなショッピング体験を期待しており、消費税の管理もその一環になる。消費税を適切に表示し処理することは、信頼できるビジネスとしての証明に。
  3. 財務の正確性:消費税を正確に設定することは、会計の正確性の維持につながる。消費税を正しく計算し徴収することで、会計上の頭痛の種となる矛盾を回避できる。
  4. 将来の複雑な事態の回避:後で誤りを修正するよりも、オンラインストア開設前から正しく消費税を設定するのが賢明。不正確な税金の設定は、還付、監査、顧客の不満などの問題を引き起こす可能性がある。

WooCommerceストアで消費税を設定する方法(4ステップ)

WooCommerceでは、消費税を非常に簡単に設定することができます。以下、順を追って手順をご紹介していきます。

この記事にたどり着いたということは、すでにWooCommerceストアをお持ちかと思いますが、まだお持ちでない場合、KinstaではDevKinstaMyKinstaを使用してローカルで、またはKinsta APIを介してWordPressサイトを簡単に構築可能です。

いずれの方法でサイトを作成するにしても、ECサイトの成功はスピードとセキュリティにかかっていることを念頭においてください。Kinstaでは、WooCommerceストアの速度を最大200%改善するWooCommerceストアに特化した高性能ホスティングを提供しています。

サイトを用意したら、WooCommerceプラグインをインストールしてECストアのセットアップを行ってください。

1. WooCommerceの税金設定を有効にする

まずは、WooCommerceの税金設定を有効にします。

  1. WordPress管理画面にログインし、「WooCommerce」>「設定」に移動する
  2. 一般」タブにある「税金を有効化」を見つける
  3. 税金を有効化」の横にあるボックスにチェックを入れる

    WooCommerceの「税金と計算を有効化」設定にチェックを入れる
    WooCommerceの「税金と計算を有効化」設定にチェックを入れる

  4. 変更を設定」をクリック

これにより、WooCommerceの設定に「」タブが出現します。

2. 税金の詳細設定

税金設定を有効にしたら、「」タブで設定を行いましょう。

WooCommerceの税金設定
WooCommerceの税金設定

税オプション」ページには、以下のように各種設定が表示されます。以下、各項目を詳しく見ていきます。

「税オプション」ページの各種設定
「税オプション」ページの各種設定

税込価格

「税込価格」は、WooCommerceストアの商品に入力する価格を税込みにするか、税抜きにするかを決定します。

はい、税込み価格を入力します」は、商品に入力する価格が税込みとみなされます。例えば、税率を10%に設定し、商品価格を1,000円とした場合、1,000円という価格に10%の税金が含まれているとみなされ、商品の基本価格(税抜き)が910円、税金が90円となります。

いいえ、税抜きの価格を入力します」を選択すると、税率を10%に設定して商品価格を1,000円とした場合、この価格の上に10%の税金が加算されます。つまり、最終的な支払額は1,100円になります。

以下に基づく税の計算

「以下に基づく税の計算」では、税率を決定するために使用する住所を選択します。以下3つの選択肢があります。

  • お客様のお届け先住所:買い物客が商品の配送先に指定する場所に基づいて税金を計算。例えば、日本でオンラインストアを運営している場合は、日本のユーザーが日本国内の住所への配送を希望した場合、日本の税率が適用される。
  • お客様住所:買い物客が指定した請求先住所に基づいて税金を計算。例えば、ユーザーが配送先を日本、請求先住所をフランスに指定した場合は、フランスの税率が適用される。
  • ショップの本拠地:ストアの所在地に基づいて税金を計算。日本でオンラインストアを運営している場合、買い物客の指定する発送先に問わず、すべての注文に日本の税率が適用される。

送料税クラス

「送料税クラス」では、送料に適用される税クラスを指定することができます。以下2つの選択肢があります。

  • お買い物カゴ内の商品に応じた送料税クラス(デフォルト):送料に買い物カゴ内の税クラスが適用される。買い物カゴに税率の異なる商品がある場合、送料の税率は次のように決定される。
    • 買い物カゴ内の商品に標準税率が設定されている場合、標準税率が送料に適用される
    • 標準税率が設定されている商品が買い物カゴ内にない場合、「追加の税金クラス」セクションの最初の税率が適用される
    • 最も高い税率を適用する場合、その税率を「追加の税金クラス」の最初に追加する

    例えば、ユーザーが食品(軽減税率8%適用)と書籍(標準税率10%適用)を購入するとします。買い物カゴ内に標準税率が適用された商品があるため、送料は標準税率で課税されます。

    • 商品A:軽減税率8%のベビー服
    • 商品B:標準税率10%の書籍
    • 送料:10%(標準税率が適用)
  • 標準:買い物カゴ内の商品の税率を問わず、送料に標準税率を適用

またその他の税率を適用することも可能ですが、「標準」同様、買い物カゴ内の商品の税率に関係なく、指定した税率が一律で送料に適用されます。

税の丸め計算

「税の丸め計算」は、税額をどのように丸めるか(端数を切り捨てるか)を決定し、小計または商品単位で丸めることができます。

デフォルトでは、消費税は商品単位で丸められます。つまり、合計する前に各商品の税金が個別に計算され、端数が切り捨てられます。税制や会計慣行によってはこの方法が必要になることがあります。

「1行に小計レベルで税をまとめる」にチェックを入れると、注文の合計税額が最初に計算され、その後端数が切り捨てられます。

追加の税金クラス

「追加の税金クラス」では、デフォルトの標準税率以外の税率を追加して管理することができます。例えば、日本でオンラインストアを運営し、食品などの商品を扱う場合は、軽減税率を適用することができます。

WooCommerceの追加の税金クラス
WooCommerceの追加の税金クラス

税率名を追加し、「変更を保存」をクリックすると、追加した税率が上で見た「送料税クラス」で選択できるようになります。また、既存の税金クラスの隣に、作成した税率のタブが表示されます(以下参照)。

追加した税率がページ上部に表示される
追加した税率がページ上部に表示される

この税金クラスの設定方法は、ステップ3で詳しくご説明します。

ショップで価格を表示

「ショップで価格を表示」では、ストアのフロントエンド(商品一覧、商品ページなど)に表示される商品価格に税金を含めるか、含めないかを選択できます。

  • 税込:税込価格、つまり最終的な支払額をユーザーに表示する。1,000円の商品は、10%の税込みで1,100円と表示される。
  • 税別:税抜きの価格がユーザーに表示され、税金は決済時に加算される。1,000円の商品は1,000円と表示され、決済時に10%の税金が加算され1,100円と表示される。

お買い物カゴ内と購入手続きで価格を表示

「お買い物カゴ内と購入手続きで価格を表示」では、買い物カゴと決済時の価格の表示方法を決定します。「ショップで価格を表示」の設定と同じように、税込みまたは税抜きの価格を表示できます。

  • 税込:買い物カゴや決済時には、すでに税金が加算された金額を表示する。1,000円の商品に10%の税金が含まれている場合は、買い物カゴでは1,000円と表示され、基本価格が910円、税金が90円という内訳になる。
  • 税別:買い物カゴや決済時には、最初は税抜きで表示され、別項目として追加される。例えば、基本価格が1,000円の商品は、決済時に10%の税金が加算され、合計1,100円となる。

この項目は、「ショップで価格を表示」と統一するようにしてください。異なるものを選択した場合、丸め誤差が発生する可能性があることを警告するエラーメッセージが表示されます。

選択項目が一致していない場合は警告が表示される
選択項目が一致していない場合は警告が表示される

価格表示の接尾辞

「価格表示の接尾辞」は、商品価格の後に表示され、表示されている価格が税込みか税抜きであるかを示すのに役立ちます。{price_including_tax}(税込)または{price_excluding_tax}(税別)を選択可能です。

を使用して、「(税込{price_including_tax}」と設定すると、税込価格が1,000円の商品には、「1,000円(税込1,000円)」と表示されます。逆に、「(税別{price_excluding_tax}」と設定すると、税別価格が910円の商品には、「1,000円(税別910円)」というように、税込価格と税別価格の両方を提示することができます。

価格表示の接尾辞を利用して価格が税込みか税抜きかを提示
価格表示の接尾辞を利用して価格が税込みか税抜きかを提示

税金合計を表示

「税金合計を表示」では、税金の合計を決済時に1つの項目として表示するか、商品別に一覧表示するかを選択することができます。確認のしやすさから、基本的には前者の「単一の合計」が推奨されますが、ストア内で複数の税率を設定している場合は、「項目別」を選択する方が良いかもしれません。

以上で「税オプション」ページでの設定が完了です。設定を終えたら、最後に「変更を保存」のクリックをお忘れなく。

3. 税率の設定

続いては、税率の設定です。必要になる税率ごとに以下の手順を繰り返してください。

以下、米国を拠点とするオンラインストアを例に、標準税率を設定していきます。まずは、先ほどと同じように「WooCommerce」>「設定」の「」タブに移動し、設定を行いたい税率のページを開きます(以下参照)。

標準税率の設定
標準税率の設定

税率を追加するには、「行の挿入」をクリックして、フィールドに入力します。

行を挿入して税率を追加
行を挿入して税率を追加
  • 国コード:2文字の国コードを入力
  • 都道府県/州コード:2文字の都道府県/州コードを入力
  • 郵便番号:税率を適用する郵便番号を指定(すべてに適用する場合は空白)
  • 市区町村:税率を適用する市区町村を指定(すべてに適用する場合は空白)
  • 率 %:税率のパーセンテージを入力(例:8.25%なら8.25、20%なら20.000)
  • 税率名称:税の名前を入力(「VAT」など)
  • 優先順位:税率の優先順位を指定(1が最優先)
  • 複合:この税金が複合(他の税金に上乗せして加算)される場合はボックスにチェックをいれる
  • 配送:この税金が送料に適用される場合はボックスにチェックをいれる

情報を入力したら、「変更を保存」をクリックして保存します。米国カリフォルニア州の税率は以下のようになります。

標準税率として米国カリフォルニア州の税率を設定
標準税率として米国カリフォルニア州の税率を設定

一方、標準税率が20%のイギリスの場合は、以下のようになります。

標準税率としてイギリスの税率を設定
標準税率としてイギリスの税率を設定

先ほどの、「税オプション」ページでは、税の計算方法を、商品配送先、請求先、またはストアの所在地から選択しました(「以下に基づく税の計算」)。ストアの所在地に基づいて税金を適用する場合は、ストアの所在地に対して1つの標準税率を指定するだけでOKです。

しかし、買い物客の所在地に基づいて税金を適用する場合は、異なる地域の税率を設定しなければなりません。日本の場合は全国一律となりますが、たとえば米国のユーザーを対象にオンラインストアを運営する場合、州によって税率が異なります。さまざまな州からの注文を想定し、各州の税率を設定する必要があります。多少の手間はかかりますが、これにより正確性を確保することができます。

この作業は、国、都市、その他の属性に基づいて自動的に正しい税率を適用してくれる拡張機能WooCommerce Taxを使って簡素化することができます。

WooCommerce Tax拡張機能
WooCommerce Tax拡張機能

また、TaxJarAvalara AvaTaxなどの拡張機能でもOKです。これにより、時間と手間を大幅に削減できます。

各税率の値をCSVファイルで所持している場合は、「CSV をインポート」でインポートすることも可能です。

CSVファイルをインポートまたはエクスポートすることも可能
CSVファイルをインポートまたはエクスポートすることも可能

CSVのエクスポートもでき、税率情報をエクスポートしてバックアップとして保管することも可能です。また、別のサイトでも同じ税率を設定したい場合にも非常に便利です。

4. 商品に税率を適用する

税率の設定を終えたら、最後に商品に税率を適用します。これにより、決済時に商品の種類と買い物客の所在地に応じて正しい税額が計算されるようになります。

WordPress管理画面で「商品」>「すべての商品」に移動し、編集したい商品をクリックするか、「新規追加」をクリックして新たに追加します。

商品データ」セクションで「一般」タブを開き、「課税ステータス」と「税区分」フィールドを見つけます。

商品に税率を適用
商品に税率を適用

課税ステータス」は、「なし」「課税」「送料のみ」のいずれかを選択できます。「送料のみ」を選択すると、送料のみに税金が適用されるようになります。

課税」または「送料のみ」を選択した場合は、税クラスを選択します。

例えば、英国でVAT税率がゼロの書籍を販売するには「免税」、VAT税率20%が適用される衣料品などの一般的な商品には「標準」というように適切な税率を選択してください。

一括で税率を適用する

商品数が多い場合は、効率的に一括で適用することも可能です。「すべての商品」画面で商品の横にあるボックスにチェックを入れて複数選択し、「一括操作」ドロップダウンから「編集」を選んで「適用」ボタンをクリックします。

この画面で、同様に「課税ステータス」と「税区分」を変更すると一括で税率を適用することができます。

複数の商品に税率を一括適用
複数の商品に税率を一括適用

最後に、ウィンドウ左下にある「更新」をクリックすると、設定が保存されます。

WooCommerceでは税金レポートも確認することができます。「WooCommerce」>「レポート」に移動し、「税金」タブを開くと、コードまたは年ごとに整理された税金データが表示されます。

WooCommerceの税金レポートページ
WooCommerceの税金レポートページ

まだオンラインストアを開設したばかり、または消費税の設定を行ったばかりの場合は、上記のようにデータが表示されない可能性がありますが、後に確定申告を行う際に非常に役立ちます。

まとめ

WooCommerceストアでの消費税の設定は一見複雑に思えるかもしれませんが、実は数回のクリックで税率や表示方法などを設定することができます。

この記事を参考にオンラインストアで消費税を正しく設定してみてください。また関連して、WooCommerceストアは、特に商品数の多い場合、動作が遅くなることがあります。パフォーマンスや速度にお悩みの方は、WooCommerceストアに特化したKinstaのWordPress専用マネージドホスティングをお試しください。

また、電子書籍『WordPressサイトを高速化する方法』では、サイト高速化に役立つ実用的なヒントをご紹介しています。無料でダウンロード可能ですので、ぜひお役立てください。

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Joel Olawanle Kinsta

Joel is a Frontend developer working at Kinsta as a Technical Editor. He is a passionate teacher with love for open source and has written over 200 technical articles majorly around JavaScript and it's frameworks.