WordPress 6.0 Arturoがお目見えしました。それでは、いつものようにWordPressの最新メジャーリリースの新機能を見てみましょう。

これは単なる最新版ではありません。Matias Ventura氏が 「Preliminary Roadmap for 6.0」で指摘したように、サイトエディタの導入は大きなマイルストーンではあるものの、全工程の最初のステップに過ぎません。

WordPress 6.0
WordPress 6.0 Arturoがお目見え

WordPress 6.0では、ユーザビリティからパフォーマンスに至るまで、CMSのいくつかの領域で以下のような大幅な改善が行われています。

  • 情報アーキテクチャとテンプレート閲覧の操作性の改善
  • テンプレート作成機能の改善
  • Webfonts API
  • サイトエディタの表示モードの改良
  • グローバルスタイルの変更
  • ナビゲーションブロックの改良
  • 新しいデザイン機能
  • パフォーマンスの改善
  • その他多数

しかし、これだけではありません。WordPress 6.0には、97の機能追加と拡張、131のバグ修正を含む251のTracチケットがあります。これは、かなりの数字です。

そうです、話すことは山ほどあります。それでは、前置きはこの辺にして、6.0の新しい点を見ていきましょう。


Webfonts API

新しいWebfonts APIで、パフォーマンスの維持とユーザーのプライバシー保護のために、WordPressにウェブフォントを読み込む方法が標準化されました。

WordPress 6.0では、新しいウェブフォントはtheme.jsonからしか登録できません。

theme.jsonの使い方はとても簡単です。Typographyのセクションに新たなフォントファミリーを追加するだけです。次のコードは、ウェブフォント登録の例です。

{
	"settings": {
		"typography": {
			"fontFamilies": [
				{
					"fontFamily": "-apple-system,BlinkMacSystemFont,"Segoe UI",Roboto,Oxygen-Sans,Ubuntu,Cantarell,"Helvetica Neue",sans-serif",
					"name": "System Font",
					"slug": "system-font"
				},
				{
					"fontFamily": ""Source Serif Pro", serif",
					"name": "Source Serif Pro",
					"slug": "source-serif-pro"
				},
				{
					"fontFamily": ""Inter", sans-serif",
					"name": "Inter",
					"slug": "inter",
					"fontFace": [
						{
							"fontFamily": "Inter",
							"fontWeight": "200 900",
							"fontStyle": "normal",
							"fontStretch": "normal",
							"src": [ "file:./assets/fonts/inter/Inter.ttf" ]
						}
					]
				}
			]
		}
	}
}

上記のコードにより、「Inter」フォントファミリーがTwenty Twenty-TwoデフォルトのfontFamilies に追加されます。ご自身で試してみたい場合は、Google FontsからInter webfontを「./assets/fonts」フォルダにダウンロードし、上記のコードをTwenty Twenty-Twoのtheme.jsonの settings.typographyセクションに追加しましょう。完了したら、ファイルを保存して、サイトエディタのインターフェースに戻ります。

次の画像は、設定変更後のエディタです。

Twenty Twenty-Twoに新しいフォントファミリーが登録された
Twenty Twenty-Twoに新しいフォントファミリーが登録された

Webfonts APIでは、現在のページのブロックをレンダリングするために必要なフォントのみが登録されます。これは特に複数のスタイルのバリエーションで定義されているウェブフォントの場合に便利です。さらに、APIはフォントファミリーごとに登録、エンキューすることでHTTPリクエストの件数を最適化してくれます。

新しいAPIの詳細については、Webfonts APIのプルリクエストと、「Status of Webfonts API for WordPress 6.0 Inclusion(WordPress 6.0へのWebfonts API搭載の状況)」と「Global Styles variations in WordPress 6.0(WordPressスタイルのバリエーション)」をご覧ください。

スタイルの切り替え

スタイルの切り替えは、WordPress 6.0搭載の機能の中でも特に待ち望まれたものの一つです。テーマの開発者は、複数の共通設定をテーマに盛り込むことができるようになり、ユーザーはワンクリックでスタイルのバリエーションから選んで、切り替えられるようになりました。

まるで、それぞれスタイルが予め設定された、すぐに使える子テーマが複数あるようなものです。

ブロックテーマにスタイルのバリエーションを追加するには、テーマのルートにあるstylesフォルダに代わりのJSONファイルを追加します。

スタイル切り替えに対応したテーマでは、「スタイル」のサイドバーに「Browse styles」という新しい項目が表示されます。クリックすると、スタイル選択のパネルが表示されます。

WordPress 6.0の「Browse styles」メニュー
WordPress 6.0の「Browse styles」メニュー

一覧から任意のスタイルを選ぶと、それが自動的にサイト全体に適用されます。

WordPress 6.0ではワンクリックでスタイル切り替えられる
WordPress 6.0ではワンクリックでスタイル切り替えられる

この新たな機能により、テーマの開発者はスタイルのバリエーションを無制限に作成できます。またWebfonts APIと組み合わせて使用することも可能です。

次の画像は、先ほどの例のカスタムスタイルで、見出しに異なるフォントを適用したものです。

WordPress 6.0でスタイルのバリエーションにカスタムフォントを適用
WordPress 6.0でスタイルのバリエーションにカスタムフォントを適用

ご自身で試してみたい場合は、ブロックテーマのルートにstylesフォルダを追加し、新しくJSONファイルを作成して分かりやすい名前を付け、好みのコードエディタで開き、次のコードを貼り付けましょう。

{
	"version": 2,
	"settings": {
		"color": {
			"duotone": [
				{
					"colors": [ "#143F6B", "#EFEFEF" ],
					"slug": "foreground-and-background",
					"name": "Foreground and background"
				},
				{
					"colors": [ "#143F6B", "#FEB139" ],
					"slug": "foreground-and-secondary",
					"name": "Foreground and secondary"
				},
				{
					"colors": [ "#143F6B", "#F6F54D" ],
					"slug": "foreground-and-tertiary",
					"name": "Foreground and tertiary"
				},
				{
					"colors": [ "#F55353", "#EFEFEF" ],
					"slug": "primary-and-background",
					"name": "Primary and background"
				},
				{
					"colors": [ "#F55353", "#FEB139" ],
					"slug": "primary-and-secondary",
					"name": "Primary and secondary"
				},
				{
					"colors": [ "#F55353", "#F6F54D" ],
					"slug": "primary-and-tertiary",
					"name": "Primary and tertiary"
				}
			],
			"palette": [
				{
					"slug": "foreground",
					"color": "#143F6B",
					"name": "Foreground"
				},
				{
					"slug": "background",
					"color": "#EFEFEF",
					"name": "Background"
				},
				{
					"slug": "primary",
					"color": "#F55353",
					"name": "Primary"
				},
				{
					"slug": "secondary",
					"color": "#FEB139",
					"name": "Secondary"
				},
				{
					"slug": "tertiary",
					"color": "#F6F54D",
					"name": "Tertiary"
				}
			]
		},
		"typography": {
			"fontFamilies": [
				{
					"fontFamily": ""Inter", sans-serif",
					"name": "Inter",
					"slug": "inter",
					"fontFace": [
						{
							"fontFamily": "Inter",
							"fontWeight": "200 900",
							"fontStyle": "normal",
							"fontStretch": "normal",
							"src": [ "file:./assets/fonts/inter/Inter.ttf" ]
						}
					]
				}
			]
		}
	},
	"styles": {
		"blocks": {
			"core/post-title": {
				"typography": {
					"fontFamily": "var(--wp--preset--font-family--inter)",
					"fontWeight": "700"
				}
			},
			"core/query-title": {
				"typography": {
					"fontFamily": "var(--wp--preset--font-family--inter)"
				}
			}
		},
		"elements": {
			"h1": {
				"typography": {
					"fontFamily": "var(--wp--preset--font-family--inter)",
					"fontWeight": "700"
				}
			},
			"h2": {
				"typography": {
					"fontFamily": "var(--wp--preset--font-family--inter)",
					"fontWeight": "700"
				}
			},
			"h3": {
				"typography": {
					"fontFamily": "var(--wp--preset--font-family--inter)",
					"fontWeight": "700"
				}
			},
			"h4": {
				"typography": {
					"fontFamily": "var(--wp--preset--font-family--inter)",
					"fontWeight": "700"
				}
			},
			"h5": {
				"typography": {
					"fontFamily": "var(--wp--preset--font-family--inter)",
					"fontWeight": "700"
				}
			},
			"h6": {
				"typography": {
					"fontFamily": "var(--wp--preset--font-family--inter)",
					"fontWeight": "700"
				}
			}
		},
		"typography": {
			"fontFamily": "var(--wp--preset--font-family--inter)"
		}
	}
}

上の例で使用されているコードの全体はGitHubgistで確認できます。

さらに詳しく知りたい開発者の方は、「グローバル設定とスタイル」と「Theme.json」のドキュメントをご覧ください。

また、新たなスタイルのバリエーションが3つ追加された、Twenty Twenty-Twoの最新バージョンもあわせてご確認ください。

Twenty Twenty-Twoの「Browse styles」メニュー
Twenty Twenty-Twoの「Browse styles」メニュー

ブロックパターン

ブロックパターンは現在のWordPress開発において、間違いなく、中心的な役割を果たしています。WordPress 5.5で初めて導入されたブロックパターンは、その後も定期的に改良が加えられてきました。

また、WordPress 5.9からは、パターンディレクトリに掲載されているパターンが動的に取得され、ブロックインサーターに読み込まれるようになりました。

そして今、誰でもパターンを開発できるようになりました。パターン作成機能で、自分だけのブロックパターンを作成、編集し、パターンディレクトリに登録することができます。WordPress.orgのアカウントさえあれば、簡単に利用可能です。

パターン作成機能で画像を検索
パターン作成機能で画像を検索

また、WordPress 6.0ではブロックパターンにさらなる改良が加えられています。

まず、テンプレート編集画面でブロックパターンを見つけやすくなりました。特定のテンプレートの第一階層へアクセスしたとき、クイックインサーターには該当するブロックパターンのみが表示されます。つまり、ブロックがドキュメントの直系のパターンであるときのみ表示されます。

表示されるのは、以下の条件を満たしたときです。

  • ブロックテンプレートを編集している
  • クイックインサーターがルート階層にある場合
  • 他のブロックの間にブロックを追加している(つまり、ページの最初のブロックでも最新のブロックでもない)
クイックインサーターでブロックパターンを表示(テンプレートエディタ内)
クイックインサーターでブロックパターンを表示(テンプレートエディタ内)

もうひとつの便利な機能は、テーマの開発者が推奨するパターンtheme.jsonに追加することができるようになったことです。試しに、パターンディレクトリ内から、テーマの利用者におすすめしたいパターンを探し、URLからパターンのスラッグを取得して、theme.jsonに次のように記述してみましょう。

"patterns": [
	"image-with-angled-overlay-shape-call-to-action-button-and-description",
	"hero-section-with-overlap-image"
],

ブロックインサーターにはおすすめのパターンが表示されます。

クイックインサーターに表示されるおすすめのパターン
クイックインサーターに表示されるおすすめのパターン

他にも、WordPress 6.0に搭載されたパターン関連の便利な機能には、暗黙のパターン登録があります。テーマのルートに新しく作成した/patternsディレクトリの下にPHPファイルとして宣言することで、パターンを暗黙に登録できるようになりました。

やり方はいたって簡単です。

  1. テーマのルートに新しいパターンフォルダを作成する。
  2. ブロックエディタでブロックグループを作成する。
  3. HTMLをコピーして、新しいテキストファイルに貼り付ける。
  4. 次のコードを先頭に記述する。
  5. ファイルをPHPとしてpatternsフォルダに保存します。
<?php
/**
 * Title: My pattern
 * Slug: my-theme/my-pattern
 * Categories: text
 */
?>

これで完了です。ブロックインサーターに表示される新しいブロックパターンが完成しました。

クイックブロックインサーターに表示されたカスタムパターン
クイックブロックインサーターに表示されたカスタムパターン

「ページ作成パターン」も、WordPress 6.0に追加された、ブロックパターン関連の気になる機能です。新しいページ作成に際して、ポップアップに複数ブロックのセットが表示されます。ここから選んでページ作成に役立てることができます。

ちなみにこの複数ブロックは、最低でも一つのパターンがcore/post-contentブロックタイプのサポートを宣言している時にのみ表示されます。

WordPress 6.0には、標準でそのようなパターンは組み込まれていません。ですので、既存のパターンに別途サポートを追加しない限り表示されません。実際にこのポップアップが表示されるようにするのは、非常に簡単です。

先に紹介した例にならってブロックパターンをテーマに登録した場合には、以下の例のようにBlock Typesプロパティを追加することができます。

<?php
/**
 * Title: Pattern with columns
 * Slug: twentytwentytwo/pattern-with-columns
 * Block Types: core/post-content
 * Categories: text
 */
?>
<!-- wp:heading -->
<h2>Hello there!</h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:columns -->
<div class="wp-block-columns"><!-- wp:column -->
<div class="wp-block-column"><!-- wp:image -->
<figure class="wp-block-image"><img alt=""/></figure>
<!-- /wp:image --></div>
<!-- /wp:column -->

<!-- wp:column -->
<div class="wp-block-column"><!-- wp:heading -->
<h2>Heading</h2>
<!-- /wp:heading -->

<!-- wp:paragraph -->
<p>Paragraph</p>
<!-- /wp:paragraph --></div>
<!-- /wp:column -->

<!-- wp:column -->
<div class="wp-block-column"><!-- wp:list -->
<ul><li>List item</li></ul>
<!-- /wp:list --></div>
<!-- /wp:column --></div>
<!-- /wp:columns -->

お使いのテーマの/patternsディレクトリに、このコードをPHPファイルとして保存します。そして、WordPress管理画面から新しいページを作成してみましょう。すると、以下のスクリーンショットにあるように、ポップアップが表示されるはずです。

Page creation patterns
ページ作成パターンが表示されるようになった

ページ作成パターンの詳細については「Page creation patterns in WordPress 6.0(WordPress 6.0のページ作成パターン)」をご覧ください。

ブロックパターン開発全体については「New features for working with patterns and themes in WordPress 6.0(WordPress 6.0でパターンとテーマを扱う新機能)」とGitHubでのTracking Issueをご確認ください。

サイト編集機能

フルサイト編集機能の開発は、WordPress 5.9で完了したわけではありません。WordPress 6.0では、視覚的なテーマ作成機能の改善や、ブロックテーマ用の新しいテンプレートなど、さらに一歩進んだ機能が搭載され、他にも様々な要素が加わる予定です。

視覚的なテーマ作成

WordPress 6.0では、テーマエクスポート機能が改良され、現在使用中のテーマを「加えた変更やカスタマイズを維持したまま」ダウンロードすることができます。

これまでブロックテーマエクスポート機能を使ったことがない方のために紹介すると、スタイルやテンプレートをテーマごとエクスポートすることができる便利なサイト編集機能です。

変更が完了したら、サイトエディタのインターフェースから「Options」のサイドバーを開き、「Tools」セクションを探します。ここで、「Export」ボタンをクリックすると、現在使用中のテーマをすべてのスタイルとテンプレートを維持したままZIPファイル形式でダウンロードすることができます。

エディタインターフェースからテーマをエクスポート
エディタインターフェースからテーマをエクスポート

その後、テーマをエクスポートして、任意のWordPressサイトにインストールすることができます。

改良されたテーマのエクスポートツールをローカル環境のWordPressサイトでテストしてみたところ、ほとんどすべてが期待通りに動作することがわかりました…😅

いずれにせよ、このエクスポート機能はまだ開発段階であり、今日ご紹介しているのはその無限の可能性の一部に過ぎません。ご自身のサイトの編集インターフェースからテーマを作成し、多くの人に配布できる可能性すらあります。しかも、開発者の方でなくてもできるのです。

まだ修正すべき問題がたくさんあるため、近いうちにいくつか改善が見られるでしょう。視覚的なテーマ作成機能についてもっと知りたい方は、GitHubTracking Issueをご覧下さい。

ブロックテーマテンプレートの追加

以前のWordPressのバージョンではテンプレートの種類の数は限られていました。

WordPress 5.9で新しいテンプレートを追加
WordPress 5.9で新しいテンプレートを追加

WordPress 6.0では、著者、カテゴリー、日付、タグ、タクソノミーなど、複数のテンプレートの種類が新たに導入されています。

WordPress 6.0で新しいテンプレートを追加
WordPress 6.0で新しいテンプレートを追加

この機能追加により、サイト編集のワークフローが効率化されるはずです。試しに、ドロップダウンメニューから新しいテンプレートを選び、必要なブロックを追加し、変更を保存して、フロントエンドでどのように見えるかを確認してみましょう。そう、驚くほど簡単です。これを先ほどご紹介したテーマエクスポート機能と組み合わせれば、サイト編集が今後どれほど楽になるか、想像に難くありません。

インターフェースとユーザビリティの改善

WordPress 6.0では、UIに多くの変更が導入され、その多くはサイドバーの使いやすさに関するものです。この変更により、編集の操作性がかなり改善されたはずです。ここでは、そのうちのいくつかを紹介しますが、すべての変更点の詳細を知りたい方は、Gutenbergのリリースノートをご覧ください(Gutenberg 12.412.512.612.712.812.913.0)。

リスト表示の改善

リスト表示には使い勝手を改善するためにかなりの変更が加えられました。

選択時にリスト表示を展開

エディタ内でブロックをクリックすると、リスト表示でそのブロックが自動的にハイライトされるようになりました。ブロックが親ブロックにネストされている場合、親ブロックが展開し、ブロックツリーのアイテムが表示されます。

ブロックセクションで展開したリスト表示のグループブロック
ブロックセクションで展開したリスト表示のグループブロック

リスト表示─デフォルトで折りたたまれた状態に

WordPress 6.0以前では、リスト表示のパネルを開くと、デフォルトで展開された状態になっていました。

WordPress 5.9のデフォルトのリスト表示
WordPress 5.9のデフォルトのリスト表示

しかし、投稿はネストされたブロックの複雑な構造になっていることが多いので、リスト表示でブロックツリーが折りたたまれた状態であるのは非常に理にかなっています。

6.0では、すべてのエディタでリスト表示がデフォルトで折りたたまれており、ブロックツリーの構造が一目で分かります。

WordPress 6.0のデフォルトのリスト表示
WordPress 6.0のデフォルトのリスト表示

フォーカスがリスト表示ボタンに戻る

リスト表示のパネルを開いたとき、フォーカスがリスト表示ボタンに戻るようになりました。キーボードからリストビューを閲覧する場合に特に便利で、よりスムーズに編集できます。

複数ブロックの選択とドラッグ&ドロップ

リスト表示のもう一つの変更点は、同じ階層の複数のブロックを選択し、リスト内の別の位置にドラッグ&ドロップすることができるようになったことです。

ブロックスタイルのプレビュー

WordPress 6.0以前は、ブロックスタイルのプレビューはブロックのサイドバーに配置されており、スタイルパネルのかなりの範囲を占めていました。

WordPress 5.9でのブロックスタイルプレビュー
WordPress 5.9でのブロックスタイルプレビュー

6.0では、スタイルパネルにはスタイルのバリエーションの名前のみが表示され、スタイル名にカーソルを合わせるかフォーカスすると、スタイルプレビューがサイドバーの外側に表示されます

この変更により、サイドバーのサイズが小さくなり、スタイル名が分かりやすくなりました。

WordPress 6.0のブロックスタイルプレビュー
WordPress 6.0のブロックスタイルプレビュー

段落のタイポグラフィセクション

ブロックサイドバー内の整頓のために、段落ブロックのドロップキャップの設定が、タイポグラフィのセクションに移動しました

この変更により、タイポグラフィーの設定がすべて同じセクションに集約され、編集がしやすくなりました。

WordPress 5.9とWordPress 6.0のタイポグラフィ設定画面の比較
WordPress 5.9とWordPress 6.0のタイポグラフィ設定画面の比較

枠線とカラーの設定はツールパネルに移動

ごちゃごちゃした設定画面を整理するため、枠線の設定カラーの設定ツールパネルに移動し、展開したり折りたたんだりできるようになりました。

新しい枠線の設定画面
新しい枠線の設定画面

この変更により、複数のブロックによる編集作業が効率化され、サイドバーの機能が分かりやすくなりました。

WordPress 6.0のカラーパネル
WordPress 6.0のカラーパネル

投稿の公開画面のカテゴリーのリマインダー

急いでいるときや、定期的にかなりの数のブログ記事を公開していると、タグやカテゴリーを忘れてしまうことがあります。そのような場合、投稿の公開画面に表示されるタグのリマインダーが非常に便利です。

WordPress 6.0では、管理者や作者が投稿に必要なカテゴリーを設定しやすいように、投稿の公開画面に「提案:カテゴリーを割り当て」という画面が新たに追加されました。投稿にカテゴリーが追加されていない場合にこの項目が表示されます。

以下の画像は、WordPress 5.9と6.0の投稿公開パネルを比較したものです。

WordPress 5.9と6.0の投稿公開画面の比較
WordPress 5.9と6.0の投稿公開画面の比較

サイトエディタへのコードエディタ追加

WordPress 6.0から、サイトエディタ内でもコードエディタが利用できるようになりました。投稿エディタと同様、「オプション」メニューの中にコードエディタがあります。

WordPress 6.0ではサイトエディタでもコードエディタが利用可能に
WordPress 6.0ではサイトエディタでもコードエディタが利用可能に

ブロックをロック

「高度な設定」のドロップダウンに新しい「ロック」という項目が追加されました。ユーザーがブロックを移動または削除(またはその両方)できないようにする設定画面が表示されます。

ブロックのグループをロック
ブロックのグループをロック

特にテンプレートの編集や再利用ブロックでは、ブロックの編集を制限できるので便利です。

再利用ブロックをロック
再利用ブロックをロック

この新しい機能は、canLockBlocks設定により、プログラミングベースで無効化することができます。

以下のコードを使えば「編集者」以上の権限を持つユーザーにのみ、ブロックのロック機能の使用を許可することも可能です。

add_filter(
	'block_editor_settings_all',
	function( $settings, $context ) {

		$settings['canLockBlocks'] = current_user_can( 'delete_others_posts' );
 
		return $settings;
	},
	10,
	2
);

また、開発に際して、lockプロパティを使うことで、特定のブロックタイプにおけるロック操作UIを非表示にすることもできます。

{
	"apiVersion": 2,
	"supports": {
		"lock": false
	}
}

ブロックのロックについて詳しくは、「Block Locking Settings in WordPress 6.0(WordPress 6.0でのブロックのロック設定)」をご覧ください。

マルチセレクト

複数のブロックにまたがるテキストを選択できるようになりました。

A screenshot showing text selection across two paragraphs.
2つの段落にまたがるテキストを選択

スタイルの維持

ブロックの変換や新しいボタンの作成時に、一部のスタイルを保持できるようになりました。

以下の画像は、様々なスタイルを適用したリストブロックです。

様々なスタイルを適用したリストブロック
様々なスタイルを適用したリストブロック

リストブロックを段落ブロックに変換した場合、新しいブロックは以前と同じスタイルを保持します。

リストブロックを段落ブロックへ変換
リストブロックを段落ブロックへ変換

また、新しいボタンが追加されたボタンブロックでも同様に、隣接するボタンのスタイルが適用されるよう改善されました。

新しいコアブロック

コアブロックの数は絶えず増加しています。現在利用可能なコアブロックを知りたい方は、現在Gutenbergプラグインに含まれるすべてのコアブロックの一覧が掲載されたリファレンスページをご覧下さい。各ブロックについて、名前、カテゴリー、サポート、属性が記載されており、ブロックの開発者にとって便利なソースコードのリンクも記載されています。

また、WordPress 6.0ではさらに多くのブロックが登場する予定です。次期バージョンで予定されているブロックをご紹介します。

コメントクエリーループ

クエリーループブロックと似た、新しいコメントクエリーループブロックは、投稿へのコメントを表示します。これは、個別に編集・設定できる複数の内部ブロックで構成された高度なブロックです。

次の画像のように、コメントクエリーループブロック内のブロックを選択して、その外観を自由にカスタマイズすることができます。また、ブロックを追加したり、既存のブロックを移動または削除したりできます(ソースコード)。

コメントクエリーループブロックを設定
コメントクエリーループブロックを設定

続きを読む

カスタマイズ可能な新しい「続きを読む」ブロックにより、「続きを読む」ボタンのさまざまな要素(枠線、色、角、タイポグラフィーなど)をカスタマイズすることができます。(ソースコード

これは、「投稿の抜粋」ブロック以外で「続きを読む」のリンクを追加し、カスタマイズすることができるため、非常に便利なブロックです。

新しい「続きを読む」ブロック
新しい「続きを読む」ブロック

クエリーループの結果なし

結果なし」ブロックは、クエリの結果がない場合に表示するテキストやブロックを追加することができるブロックコンテナです。「結果無し」ブロックをクエリーループに追加するには、クエリーループを選択し、右下にあるプラスアイコンをクリックしてクイックインサーターを起動します。そして、「結果無し」を検索します。このブロックはクエリーループ以外では使用できません。(ソースコード

クエリーループに「結果無し」ブロックを追加
クエリーループに「結果無し」ブロックを追加

アバターブロック/投稿者の経歴

WordPress 6.0では、投稿者ブロックを要素ごとに分割し、コンテンツ内で個別に使用できる新しいブロックも導入されています。

投稿者の経歴ブロックは、投稿者の説明を表示するブロックです。(ソースコード

アバターブロックでは、サイトの投稿者から選択し、アバターを表示することができます。(ソースコード

WordPress 6.0のアバターブロック
WordPress 6.0のアバターブロック

このブロックは、投稿者の経歴ブロックやコメント以外の場面で投稿者のアバターを表示する場合に便利です。たとえば、すべての投稿者を紹介するページや、ユーザーや読者からのレビューを表示するページで使用できます。

既存のブロックの改善

WordPress 6.0では、編集ワークフローに強い影響を与える可能性のある変更と既存ブロックの強化もなされています。ナビゲーションブロックに変更点があり、クエリーループ、アイキャッチ画像、グループ、ソーシャルアイコンなど、他のブロックも改善されます。

ナビゲーションブロックの改善

この数ヶ月の間に、ナビゲーションブロックはいくつかの改良を受け、より使いやすいインターフェースとなっています。

まず、ナビゲーションブロックにリッチプレビューが追加されました。一般に公開されているページのリンクを設定した状態でブロックツールバーのリンクボタンをクリックすると、プレビュー画像が表示されます。

ナビゲーションリンクのリッチプレビュー
ナビゲーションリンクのリッチプレビュー

さらに、編集作業全般に影響を与えるいくつかの変更点があります。

新しいメニューを追加する際、ナビゲーションメニューが1つしか存在しない場合、デフォルトでそのメニューが選択されるようになりました。この変更により、ナビゲーションメニューが1つしかない場合、編集のワークフローが速くなるはずです。

ナビゲーションリンクには、それについての説明を入力できるフィールドが元から用意されていました。しかし、WordPress の以前のバージョンでは、テーマによるこの機能のサポートはできませんでした。

WordPress 6.0 では、リンクのラベルの後に<span class="wp-block-navigation-item__description">が表示されるようになりました。

ナビゲーションリンクの説明が、リンクのラベルの後に表示される
ナビゲーションリンクの説明が、リンクのラベルの後に表示される

Twenty Twenty-Twoでは、CSS によって .wp-block-navigation-item__description 要素は非表示になっていますが、テーマによって display: block プロパティを追加してリンクの説明を表示させることができます。

WordPress 6.0とTwenty Twenty-Twoでのナビゲーションリンクの説明
WordPress 6.0とTwenty Twenty-Twoでのナビゲーションリンクの説明

クエリーループフィルタとアイキャッチ画像

クエリーループフィルタの設定セクションに、カスタムタクソノミーの入力フィールドが表示されるようになりました。この機能を使えば、タクソノミーで投稿をフィルタリングすることができます。

また、以前のバージョンでは、ドロップダウンから作者を一人選択することしかできませんでしたが、現在、複数の作者で投稿をフィルタリングすることが可能になりました。

WordPress 6.0でのクエリーループフィルタの設定
WordPress 6.0でのクエリーループフィルタの設定

また、クエリーループブロック内でも、アイキャッチ画像の寸法を設定できるようになりました。

クエリーループブロックでアイキャッチ画像の寸法を制御する
クエリーループブロックでアイキャッチ画像の寸法を制御する

グループブロックにおけるタイポグラフィとボーダーのサポート

グループブロックと行ブロックがタイポグラフィ設定に対応しました。この変更により、同じ書式設定をブロックのグループ全体に一度に適用できるようになり、複数のネストしたブロックを含むグループの調整を行う際に数クリックの手間を省くことができるようになりました。

グループブロックのタイポグラフィ設定
グループブロックのタイポグラフィ設定

グループブロックがさらに改良され、ワンクリックで簡単に「重ね」や「行」にブロックをグループ化することができるようになりました。

グループ化したいブロックを選択し、ブロックツールバーにある3つのコントロール「グループ」・「行」・「重ね」)から選ぶだけでOKです。

ブロックをグループ化すると、設定サイドバーの新しいパネルにグループのバリエーションの説明が表示され、数回のクリックでバリエーションを切り替えることができるようになります。

行ブロックでは、ブロックが水平に並べて表示される
行ブロックでは、ブロックが水平に並べて表示される

WordPress 6.0では、グループブロックのマージンもサポートされ、上下のマージンを個別にコントロールできるようになりました。

グループブロックにおける余白の制御
グループブロックにおける余白の制御

カバーブロックのアイキャッチ画像

WordPress 6.0では、ブロックツールバーに「アイキャッチ画像の使用」トグルが追加され、カバーブロックにアイキャッチ画像を使用することができるようになりました。この新しい機能により、1回のクリックで普通の画像からアイキャッチ画像に切り替えることができます。

カバーブロックにアイキャッチ画像を使用する
カバーブロックにアイキャッチ画像を使用する

ソーシャルアイコンのラベル表示・非表示の切り替え

ソーシャルアイコンブロックで、アイコンのラベルのオン/オフを切り替えることができるようになりました。

ソーシャルアイコンのラベルの表示/非表示を切り替える
ソーシャルアイコンのラベルの表示/非表示を切り替える

このオプションを有効にすると、デフォルトのサービス名を表示したり、アイコンのカスタムラベルを個別に設定したりできます。

ラベルの表示をオンにした状態
ラベルの表示をオンにした状態

ブロックのさらなる強化

WordPressの最新バージョンでは、他のブロックにも数多くの強化が施されています。

例えば、カラムブロックの枠線をコントロールできるようになりました(Gutenberg 12.7)。

カラムブロックの枠線を調整する
カラムブロックの枠線を調整する

もう一つの便利なUX改良点として、簡単なキーボードトリガー「[[」を使って内部リンクを挿入できるようになりました。

WordPress 6.0では内部リンクの追加も簡単
WordPress 6.0では内部リンクの追加も簡単

新しいブロック間隔機能により、ギャラリーブロック内の画像の周りのスペースを簡単に調整できるようになりました。

ブロックの間隔がない状態
ブロックの間隔がない状態
ブロックの間隔がある状態
ブロックの間隔がある状態

開発者向けの変更点とパフォーマンスの改善

WordPress 6.0には開発者向けの機能がたくさん盛り込まれています。

最新版では、パフォーマンスの改善も見られます。WordPress Caching APIが強化され、タクソノミーのクエリ性能が改善し、 ユーザー数が膨大なシングルサイトのパフォーマンス強化も実現しています。

以上、WordPress 6.0の新機能と変更点をご紹介しました。

しかし、ここで扱った内容は、WordPress 6.0に搭載された改善点のほんの一部に過ぎません。詳細については、GutenbergリリースノートとWordPress 6.0フィールドガイドをご覧ください。

まとめ

以上のように、現在はGutenbergの開発フェーズ2である「カスタマイズフェーズ」の真っ最中と言えるでしょう。

フルサイト編集はWordPressコアの一部であり、6.0とその次のバージョンでは、既存の機能に、さらなる改良が加えられることになります。

これは、WordPressのエコシステムとウェブ全体に大きな影響を与えるはずです。

WordPressは、既知のCMS利用サイトの64.2%で使用されています。これは、全ウェブサイトの43%にあたります(出典: W3Techs)。

今回はここまでです。WordPress 6.0に搭載される機能や改善点を1つの記事で網羅することはできませんが、少なくとも、日々のWordPressの使い方に最も大きな影響を与えるであろう各種機能をご紹介できたと思います。

では、最後に読者の皆さんに質問を投げかけて、この記事を締めくくりたいと思います。

ぜひ、以下のコメント欄でご意見をお聞かせください👇

Carlo Daniele Kinsta

ウェブデザインとフロントエンド開発をこよなく愛し、WordPress歴は10年以上。イタリアおよびヨーロッパの大学や教育機関とも共同研究を行う。WordPressに関する記事を何十件も執筆しており、イタリア国内外のウェブサイトや雑誌に掲載されている。詳しい仕事情報はXとLinkedInで公開中。