随分昔からWordPress.comとWordPress.orgの違いは混乱を招いてきました。名前がほとんど同じなので、正直無理もありません。
それではこの2つの違いは一体どこにあるのでしょうか?また、どちらを利用すればよいのでしょうか?
詳細についてはこの後ご紹介するとして、最初に答えをお伝えします。
- WordPress.orgは、セルフホスティングインストール型であり、別途レンタルサーバーが必要になるタイプです。オープンソースのWordPressソフトウェアを誰でもダウンロードして自由に利用できます。これを利用し、自らレンタルサーバーを借り、ドメインを取得すれば、結果的に、サイト全体を自由に制御することができます。
- WordPress.comはWordPress.orgのソフトウェアを利用したSaaS(より細かく言うならば「website as a service」でしょうか)です。WordPress.com運営元(後述の企業)が、あなたのサイトのホスティングを請け負って、全ての責任を持ってくれますが…それと引き換えに自由度はある程度制限されます。
WordPress.comに最近反映された変更点により、両者の違いはどちらかというと、さらに曖昧になりましたが、それでも主な違いは上記のとおりです。今回は、この2つについて深掘りし、サイトを作成する上で両者の違いがどのように影響するかをご説明します。
WordPress.comとWordPress.orgについて
機能を解説する前に、それぞれについて簡単にご紹介します。

WordPress.orgのオープンソースソフトウェア 繰り返しになりますが…
繰り返しになりますが…
WordPress.orgは非営利団体であるWordPress Foundationの管理するオープンソースのソフトウェアです。
WordPress.comはAutomattic社の所有する(WordPress.orgのオープンソースソフトウェアを利用し展開される)営利事業です。
この2つは、公式にはそれぞれ独立した存在ですが、マット・マレンウェッグ(Matt Mullenweg)氏がWordPress FoundationとAutomattic社の両方の創設者であることから、境界が曖昧になりがちで、実質的には2つは互いに密接した関係にあると言えます。
どちらを使ってもウェブサイトを簡単に作成できる
現在ではWordPress.com、WordPress.orgのどちらを利用した場合でも非常に簡単にウェブサイトを作成することができます。とは言え、WordPress.comのプロセスがより簡単であることは間違いないでしょう。それぞれを選んだ場合のサイトの構築方法について簡単にご紹介します。
WordPress.comでウェブサイトを構築する方法
WordPress.comで新しいサイトを作成するのは「アカウント作成だけ」と言ってもいいほど簡単です。レンタルサーバーやドメインについて悩む必要は一切ありません。

WordPress.comでウェブサイトを作成する
全てがほんの数分で完了し、すぐにサイトの運営を始められます。
WordPress.comでサイトを作る場合の費用は?
WordPress.comには完全無料のプランから月額24.92ドルのプランまで複数のプランが存在します。
無料のプランの場合、サイトには次の制約があります。
- 「あなたのサイト名.wordpress.com」のようにWordPress.comのサブドメインとなる
- WordPress.comの広告が表示される
- ストレージ容量が限られている
有料プランを選ぶと、独自のドメインを利用することができ、広告も表示されませんが、それでもサイトでできることには、制限があります(後ほど詳しくご紹介します)。
WordPress.orgでウェブサイトを構築する方法
WordPress.orgでサイトを作成する場合、アカウントの作成ほど簡単というわけにはいきません。とは言え、セルフホスティング型WordPressの人気の高まりを受け、近年ではその手順は初心者にとってもかなり分かりやすくなっています。
基本的に次の2つを自分で準備する必要があります。
- ドメイン
- レンタルサーバー
その後、セルホスティングインストール型WordPress.orgソフトウェアをサーバーにインストールします。近年では多くのレンタルサーバーの設定画面で、ほんの数クリックでこの作業を完了できるようになっており、これに面倒なコードの記述は必要ありません。
Kinstaを含め、一部のレンタルサーバーでは、ユーザー側で一切操作をしなくていいように、WordPressが最初からインストールされていることもあります。
WordPress.orgでサイトを作る場合の費用は?
WordPress.orgでサイトを作成する場合に発生する費用は次の2つだけです。
- レンタルサーバーのレンタル代 – 月額300〜500円程度と非常な安価なものもありますが、パフォーマンスを重視したマネージドWordPressホスティングサービスの場合、1万円以上することもあります。
- ドメイン取得・更新費用 – 「.com」ドメインの場合、最大でも年額1000円前後です。
初心者であれば、年額合計5000円もあれば、十分にサイトを作成することができます。
多くのユーザーにとってWordPress.orgの方が自由度が高くて便利
WordPressの魅力の一つはその豊富なテーマやプラグインです。テーマとプラグインを利用することでWordPressサイトの外観も機能も大幅に変更することができます。
WordPress.orgではあらゆるWordPressのテーマとプラグインを自由にインストールできますが、WordPress.comの場合、大半のプランではテーマとプラグインのインストールができません。

WordPress.orgの公式プラグインディレクトリ
WordPress.comで拡張機能のインストールは可能なのか?
これまで長いこと、その答えは完全に「いいえ」でした。近年加えられた変更により少し状況は変わったものの、それもほんの一部のWordPress.comに限った話です。
というのも、2017年8月以降、年額34,800円のビジネスプランを利用しているWordPress.comユーザーに限り、テーマとプラグインをインストールできるようになりました。これにより、拡張機能のインストールに関しては、ビジネスプランのユーザーも基本的にはセルフホスティングインストール型WordPressのユーザーと同じ権限を持つようになりました。
一方、無料、有料含め、ビジネスプラン以外のプランの利用者はその権限が与えられていません。そのため、無料、パーソナル、プレミアムプランの利用者はテーマやプラグインをインストールすることができません。
これがWordPress.comの主なデメリットです。
WordPress.comはその手軽さと引き換えに実質自由度が犠牲になっていると言えます。
手軽な趣味のブログを作成するのであれば、問題ないかもしれませんが、自由にカスタマイズして自分だけのサイトを作成したい場合はWordPress.orgの方が間違いなく適しています。
WordPress.orgでは拡張機能のインストールは可能?
既に違いについては触れてきたとおりですが、改めて簡単にご紹介しておきます。
WordPress.orgでは無数に存在するあらゆるテーマ、プラグイン、WooCommerce拡張機能をサイトにインストールすることができます。サイト全体を100%制御することが可能です。
WordPress.comはセキュリティ確保が簡単…しかし、本質的により安全というわけではない
ほとんどのWordPress.comのプランは閉ざされたエコシステムなので、WordPress.comで作成するサイトは通常、“デフォルトでは”よりセキュアです。とは言え、適切かつ基本的なWordPressのセキュリティ強化策さえ講じればWordPress.orgも同じくらい安全です。
WordPress.comでのセキュリティ強化策
WordPress.comでは、セキュリティを一切考える必要がありません。システムは閉ざされていて、例え何かしらの理由によりサイトの安全性を下げたいと考えたとしても、あなた自身にはその権限がそもそもありません。
WordPress.orgでのセキュリティ強化策
繰り返しになりますが、WordPress.orgはWordPress.comと同じくらい安全です。ただし、WordPress.orgではあなた自身がセキュリティ強化策を実施する責任を負います。
とは言ってもそれほど複雑なことではありません。レンタルサーバーが部分的にサポートしてくれる場合もありますし、WordPressのセキュリティ強化プラグインを利用すれば大半の対策はできてしまいます。
ただし、WordPress.orgを利用するのであれば、WordPress.comよりも「十分にセキュリティに気を配らなくてはならない」ことは間違いありません。これは自由度が高いことと引き換えに負わなければならない責任があるということです。
WordPress.orgでは自由に収益化が可能
自由度の制限に加え、WordPress.comのもう一つのデメリットはサイトでの収益化の手段に制限があるという点です。具体的な制限については次の表をご覧ください。
一方WordPress.orgでは一切制限はありません。あらゆる手段を用いて自由にサイトで収益をあげることができます。便利な広告プラグインを活用することも可能です。
WordPress.comにおける収益化の制限
収益化の手段 | 制限 |
---|---|
Google AdSense | ビジネスプランでのみ利用可能 |
BuySellAds | ビジネスプランでのみ利用可能 |
アフィリエイト | アフィリエイトリンクは許可されていますが、「アフィリエイトリンクにトラフィックを転送することを主な目的とするサイト」は許可されません。 |
スポンサー付きの投稿 | スポンサー付きの投稿の公開は許可されていますが、「大半がスポンサー付きのコンテンツであるサイト」は許可されません。 |
Eコマースストア | ビジネスプランでのみ利用可能 |
基本的に34,800円のビジネスプランに登録しない限り、サイトでの収益化の手段は制限されます。さらに、ビジネスプランですら、WordPress.comがアフィリエイトリンクやスポンサー付きの投稿が多すぎると判断すると許可されません。
WordPress.comとWordPress.orgのどちらを選ぶべきか
結論として、大抵の場合、しっかりとしたサイトを作成したいと考えている人にとってはセルフホスティングインストール型のWordPress.orgの方が便利です。WordPress.comと比べると、拡張機能のインストール、機能の変更、収益化の手段の選択肢など、自由度の観点では格段に優れています。WordPress.comを使ったサイトを運営していて、セルフホスティングインストール型へ移行したい方は、WordPress.comからWordPress.orgへ移行する方法をご覧下さい。
確かにアップデートやセキュリティなどに注意を払わなければなりませんが、いずれも特別難しいことではありません。とは言え、WordPress.comにももちろんメリットはあります。手軽な趣味サイトを作りたい方、自由度よりも使いやすさの方が重要だという方はWordPress.comに分があります。
さらにWordPress.comのビジネスプランでは、従来のWordPress.comとWordPress.orgの違いが少々曖昧になってきています。この流れがどうでるかはもう少し様子を見なければはっきりとは言えないでしょう。
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