WordPressを選んで、まず大きな失敗ということはないのですが、WordPress.comとWordPress.orgでは、どちらが優れているのでしょうか?この2つの選択肢の比較となると、よくわからない人もいるかもしれません。
幸いなことに、WordPress.comとWordPress.orgを見分けるのは比較的簡単です。潜在的な収益化、柔軟性、価格などの要素を評価することで、どちらのプラットフォームがあなたのウェブサイトに適しているかを判断することができます。
この記事では、WordPress.comとWordPress.orgの決定的な違いを説明します。そして、それぞれのCMSを9つの重要な基準に基づいて評価し、あなたのサイトのニーズに合っているかどうかを判断できるようにお手伝いします。
さあ、始めましょう。
WordPress.comとは
WordPress.comは、WordPress.orgのソフトウェア上で動作するマネージドホスティングプラットフォームです。
Automatticが所有しています。WooCommerceやJetpackなども開発している有名企業です。ウェブサイトの管理を支え、営利事業としても運営されています。
WordPress.comのアカウントを取得すると、ウェブサイトビルダー、ホスティングアカウント、ドメイン名のすべてが利用できるようになります。ソフトウェアのダッシュボードですべてを管理し、購入したプランによっては、さまざまなテーマやプラグインを使ってサイトを拡張することができます。
強み
- ユーザーフレンドリーで使いやすい
- サイトの自動メンテナンスあり
- ホスティング機能を搭載
弱み
- 収益化の選択肢が限られている
- カスタマイズやスケーラビリティの選択肢が少ない
- 限定的なSEO性能─特に無料プランでは、分析機能が乏しい
以上、WordPress.comのメリットとデメリットを簡単にご紹介しました。この記事の後半では、そのさまざまな機能の長所と短所について深く掘り下げていきます。
WordPress.orgとは
WordPress.orgは、オープンソースのコンテンツ管理システム(CMS)です。WordPress.org は、WordPress.comソフトウェア構築の土台となっています。
この無料のオープンソースプラットフォームでは、コアソフトウェアの使用、変更、および、これへの貢献が可能です。ダッシュボードはWordPress.comに似ており、サイトの外観や機能をカスタマイズするための豊富なプラグインやテーマを利用することができます。
WordPress.orgは無料で利用できますが、サーバーには別途費用が発生します。また、ドメインが必要となります。また、自分のサイトをより自由にコントロールでき、あらゆる面での変更が可能になります。
強み
- あらゆる方法で収益化のが可能
- 柔軟性があり、多くのカスタマイズオプションがある
- 会員制サイトやECサイトを構築できる
弱み
- 学習すべきことが多い
- ほとんどの場合、手動でのメンテナンスが必要
- ドメインやサーバーは含まれていない
次のセクションでは、WordPress.orgとWordPress.comの特徴、長所、短所をより深く見ていきます。
WordPress.comとWordPress.org─あなたのサイトに適しているのは?
それぞれのプラットフォームの概要をご紹介しましたので、次はWordPress.comとWordPress.orgについて詳しくご説明します。これらのプラットフォームのどちらを選択するのか、以下の項目を考えてみましょう。
1.使いやすさ
サイト構築において、使いやすさは最優先事項のひとつです。できるだけシンプルなプラットフォームを探しているなら、WordPress.comがいいかもしれません。
WordPress.comでサイトを作成するには、アカウントを作成し、いくつかのステップを踏むだけでOKです。サイトのタイプを選択し、テーマを選び、その他いくつかの点をカスタマイズしていきます。
WordPress.orgを使用するには、以下の作業が必要です。サーバーを用意(主にレンタルサーバー契約)し、ドメインを取得してから、サーバーの管理画面からWordPressをインストールします。サーバーによっては、ワンクリックでインストールが完了します。しかし、WordPress.orgの方が学習が必要になります。
この2つのプラットフォームは、どちらも管理画面が非常によく似ています。しかし、WordPress.comでは機能が少ないため、シンプルさを感じるはずです。とは言え、WordPres.orgの方であってもユーザビリティを念頭に置いて作られているので、初心者にも優しいつくりになっています。
2.ECサイト
WordPress.comでオンラインストアを作成する場合は、専用のECパッケージを購入する必要があります。この料金プランを利用することで、国際的な決済への対応、配送サービスとの連携、オンラインショップに関連したデザイン要素のカスタマイズが可能になります。
このような機能は、WordPress.comの安価なパッケージには組み込まれていません。そのため、ストアを立ち上げるためには、大きな金額を投資する必要があります。ただし、無料のECプラグインを利用することはできます。例えば、WooCommerceなどがあります。
WordPress.orgでは、有料アカウントの取得は不要です。ECサイトを、より手頃な価格で運営することができます。このCMSでは、有料・無料を問わず、いくつものECプラグインが利用できます。さらに、PayPalやStripeのようなサードパーティ決済サービスを統合することもできます。
3.収益化の機会
自分のウェブサイトからお金を稼ぎたいなら、WordPress.orgの方が適しているでしょう。コンテンツの追加や会員制サイトの作成など、収益化の戦略は無限大です。アフィリエイトに挑戦することも、会員制サイトを作成することもできます。
さらに、Advanced Adsなどの広告プラグインを使って、WordPress管理画面からすべてのキャンペーンを管理することができます。
一方、WordPress.comでは、サイト収益化が困難です。まず、ビジネスプラン以上のプランでないと、Google AdsenseやECなどの機能が利用できません。
さらに、WordPress.comにはアフィリエイトについて、いくつかの制限があります。ユーザーガイドラインでは、主にアフィリエイト商品の販売促進のためにこのプラットフォームを使用できないと規定されています。この文言は曖昧ですが、WordPress.comはいかなる規則も、その解釈に従うとも述べています。
最後に、WordPress.comは、スポンサーのついたコンテンツの大部分を許可していません。繰り返しになりますが、これらのガイドラインは解釈次第なので、サイトを収益化する際には注意が必要です。
4.テクニカルサポート
WordPressに精通していたとしても、時折、技術的な問題に遭遇することがあります。そのような場合、親切丁寧な技術サポートがサイト運営に欠かせません。
WordPress.comでは、プランに応じてさまざまなレベルのテクニカルサポートを受けることができます。すべてのパッケージにはメールによるサポートが付帯していますが、ライブチャットによるサポートを利用するには、有料のプランが必要です。また、ビジネスアカウントとECアカウントでは、優先的にチャットサポートが利用できます。
WordPress.comの無料アカウントでは、テクニカルサポート利用権が制限されています。しかし、役立つ記事を集めたナレッジハブは確認できます。
WordPress.org には専用のテクニカルサポートはありません。代わりに、提供されているドキュメントに目を通すか、フォーラムが利用できます。ボランティアにより運営されているもので、有益な情報が得られます。
より本格的なサポートが必要であれば、サードパーティのサービスを利用することになります。Kinstaのお客様であれば、問題やご質問について、年中無休サポートをご利用いただけます。
5.ウェブ開発の学習
デベロッパーになりたい方には、WordPress.orgが適しています。オープンソースなので、新しいプラグインやテーマを作ったり、REST APIを使ってアプリケーションを開発したりすることができます。
さらに、WordPress.orgは、新米/ベテランの開発者のために役立つ情報を公開しています。たとえば、コーディングのノウハウを読んだり、コードリファレンスを確認したり、詳細なドキュメントからコマンド実行方法を学んだりできます。
一方、WordPress.comでは、開発者の介入できる領域は限られています。REST API、開発者コンソール、その他開発者向けリソースはあります。しかし、WordPress.org と比較すると、その量は貧弱です。さらに、いくつかの機能(デザイン面のリソースなど)はまだ開発段階にあります。
6.カスタマイズの可能性
WordPress.orgには、無数のプラグインとテーマが存在します。無料と有料が混在しているので、予算に応じてサイトを作りこむことができます。
さらに、WordPress.orgの方では、サイトのHTMLやCSSを編集して、外観や機能をカスタマイズ可能です。このように、細かい部分を簡単に調整し、自分の好みに合ったウェブサイトを作ることができるのです。
一方、WordPress.comでは、ビジネスプラン以上でないとプラグインを使うことができません。また、プレミアム(有料)パッケージ以上でなければ、高度なデザインのカスタマイズ機能が使えません。そのため、お金をかけないサイトでは、柔軟性や拡張性が非常に限られてしまいます。
7.価格設定
価格の面でも、WordPress.comとWordPress.orgには違いがあります。
WordPress.comには複数の料金プランがあります。(WordPressのロゴが入るため、会社などのサイトには到底お勧めできませんが)完全無料のプランから始めることができます。
または、有料プランもあります。
- パーソナル:このプランは、趣味程度のサイト向けです。サーバー、メールサポート、および支払を受け付けるオプションが含まれています。
- プレミアム:パーソナルプランをベースに、ライブチャットサポート、ビデオ、広告、Googleアナリティクス連携なども可能です。
- ビジネス:このパッケージは、全プラグインに対応し、SEOツール、サイト自動バックアップ、Secure File Transfer Protocol (SFTP)が利用できます。
- eコマース:オンラインショップ向けのプランで、国際的決済ゲートウェイ、ショップデザイン機能、配送サービス統合機能などがあります。
これに対し、WordPress.orgは無料で利用できます。しかし、サーバーやドメインには費用が発生します。そのため、どのサービスを利用するかにより、継続的なコストは大きく変わります。
8.セキュリティ
WordPress.comもWordPress.orgも、セキュリティの脅威に対し脆弱性があります。2018年から2019年にかけて、サイバー攻撃の件数は11%上昇しました。また、この数字がさらに増え続けていることを示すデータもあります。
「犯人」はたいてい古いWordPressソフトウェアです。およそ40%のハッキングは、最新バージョンのソフトウェアを使用していないウェブサイトで発生しています。サードパーティ製プラグインやテーマも、これの原因になり得ます。
WordPress.comでは、テーマとプラグインが自動的に更新されます。さらに、コアソフトウェアのアップデートも舞台裏で実行されます。
ただし、WordPress.org の方では、ソフトウェアは自動でアップデートされません。そのため、更新を行う習慣をつける必要があります。このような管理が面倒な人には、WordPress.orgは理想の選択肢ではないかもしれません。
9. SEO
SEOは、WordPress.comとWordPress.orgのどちらを選ぶかで大きな違いが出る分野のひとつです。結局、効果的なSEO戦略は、サイト訪問者を増やすために重要です。SEOが脆弱であれば、サイト拡大を進めることは容易ではありません。
WordPress.orgであれば、SEOのあらゆる施策を細かくコントロールできます。キーワード調査を行って、Yoast SEOのようなプラグインを使うことで、コンテンツに組み込むことができます。
Googleアナリティクスを使うと、トラフィックソースやコンバージョン、人気のコンテンツなど、ウェブサイトに関するさまざまなデータを見ることができます。そして、その情報を、戦略の策定や調整に利用可能です。
対照的に、WordPress.comではSEOの自由度が限られています。Googleアナリティクス統合には、少なくともプレミアムプランが必要になります。さらに、高度なSEOツールは、ビジネスプラン以上でないと利用できません。そのため、安価なパッケージではウェブサイトを最適化することができません。
まとめ
サイト構築、コンテンツ作成の前に、使用するプラットフォームを選択する必要があります。代表的なものにWordPress.comとWordPress.orgがありますが、これらはそれぞれ異なる種類のウェブサイトに適しています。
WordPress.comとWordPress.orgをどのような場合に使い分けるのか、まとめておきます。
- WordPress.com:ホスティング一体型のWordPressです。使いやすいデザイン、自動バックアップ、テクニカルサポートが付帯します。ただし、プラグインなどを利用するには、有料版の購入が必要になります。
- WordPress.org:人気のある無料CMSです。ある程度の知識や学習、継続的なメンテナンスが必要になります。しかし、収益化、カスタマイズの可能性は無限大です。そして開発者向けのリソースが豊富にあります。
WordPress.comとWordPress.orgの使い分けについて、何か疑問はありますか?以下のコメント欄でお聞かせください。
コメントを残す