Google Chromeは、現在世界で最も使用されているPCブラウザ。シンプルでわかりやすいインターフェースが特徴ですが、時に「ERR_BAD_SSL_CLIENT_AUTH_CERT」のようなエラーメッセージに遭遇することも。

「ERR_BAD_SSL_CLIENT_AUTH_CERT」エラーの解決方法は、それほど複雑ではありません。場合によっては、ブラウザの更新やキャッシュのクリア、干渉している拡張機能の削除だけで修正することができます。

この記事では、「ERR_BAD_SSL_CLIENT_AUTH_CERT」エラーの概要、原因、そして7つの簡単な解決方法をご紹介します。早速本題に入りましょう!

「ERR_BAD_SSL_CLIENT_AUTH_CERT」エラーとは

Chromeでブラウジングしていると、「ERR_BAD_SSL_CLIENT_AUTH_CERT」というエラーメッセージが表示され、ページにアクセスできなくなることがあります。

このChrome固有のエラーを紐解くには、SSLの仕組みについて知っておかなければなりません。SSL(セキュアソケッツレイヤー)とは、ウェブサーバーからブラウザに送信されるすべてのデータを暗号化および認証するセキュリティプロトコルです。

ウェブサイトの所有者は、サイトにSSL証明書を設定することで、機密データを含むコンテンツを保護することができます。また、SSLの最新版であるTLS(トランスポート・レイヤー・セキュリティ)プロトコルは、さらにサーバーの安全性をさらに強化してくれます。

Chromeでウェブサイトにアクセスすると、インストールされているSSL証明書などのセキュリティプロトコルが検証されます。この時点で、ブラウザが安全な接続を行えないと判断すると、「ERR_BAD_SSL_CLIENT_AUTH_CERT」エラーを返します。

「ERR_BAD_SSL_CLIENT_AUTH_CERT」エラーの原因

「ERR_BAD_SSL_CLIENT_AUTH_CERT」エラーは、ウェブサイトのSSL証明書が無効であることを意味します。SSL証明書は安全なブラウジングに不可欠であり、Chromeでは安全でないサイトへの接続が拒否されることがあります。

他にも、以下のような原因が考えられます。

  • ブラウザのキャッシュが破損している
  • デバイスの時刻と日付が同期されていない
  • サードパーティのソフトウェアがサイトをブロックしている
  • サードパーティによるSSL/TLSプロトコルのフィルタリング
  • 端末またはChromeのバージョンが最新でない

このように、「ERR_BAD_SSL_CLIENT_AUTH_CERT」エラーの原因はいくつか考えられますが、根本的な原因の特定は容易です。原因に応じて、効率的にエラーを解決しましょう。

「ERR_BAD_SSL_CLIENT_AUTH_CERT」エラーを解決するには(7つの方法)

他のChromeでのエラー同様、「ERR_BAD_SSL_CLIENT_AUTH_CERT」エラーが発生すると、サイトにアクセスできなくなります。ブラウジングを再開するために、トラブルシューティングと解決策の手順を詳しく見ていきましょう。

1. Google Chromeを更新する

先に触れた通り、古いバージョンのウェブブラウザは、エラーの原因になりかねません。Chromeは、セキュリティの問題の改善やバグの修正など、定期的に更新を行っているため、最新の状態になっていない場合は、ブラウジングエラーが発生する可能性が高まります。

ブラウザが最新のバージョンになっているかを確認するには、右上の縦三点リーダーを選択し、「ヘルプ」>「Google Chromeについて」に移動します。

Chromeの設定にアクセスしてバージョンを確認
Chromeの設定にアクセスしてバージョンを確認

新しいバージョンがあるかどうかを確認します。新しいものがあれば自動的にインストールされます。

Google Chromeの最新バージョンを確認
Google Chromeの最新バージョンを確認

アップデートが完了したら、「再起動」をクリックしましょう。

ブラウザを再度開いたら、アクセスしようとしていたウェブサイトを再度開いてみてください。まだ「ERR_BAD_SSL_CLIENT_AUTH_CERT」エラーが見られる場合は、次の手順に進みましょう。

2. 端末の日付と時刻を同期させる

使用している端末の日付と時刻が正しくない場合、ブラウザに干渉してエラーを引き起こすことも。

例えば、サイトのSSL証明書を更新したばかりでも、コンピュータの日付が誤っていれば、ブラウザが証明書を無効と判断してしまう可能性があります。これが「ERR_BAD_SSL_CLIENT_AUTH_CERT」エラーの原因になっているかもしれません。

Windowsでこれを修正するには、設定アプリを開いて「時刻と言語」>「日付と時刻」に移動します。

Windowsの日付と時刻の設定
Windowsの日付と時刻の設定

「時刻を自動的に設定する」と「タイムゾーンを自動的に設定する」の両方が有効になっていることを確認します。設定を編集したら、「今すぐ同期」ボタンをクリック。これで、Microsoftサーバーと同じ日付と時刻が表示されるようになります。

これは通常Windowsの問題ですが、念のため、Macでの確認方法も見ておきましょう。「システム環境設定」>「日付と時刻」に移動します。

macOSの日付と時刻の設定を開く
macOSの日付と時刻の設定を開く

日付と時刻は、デフォルトで自動設定されるようになっていますが、情報が正しくない場合は、「日付と時刻を自動的に設定」のチェックを外すと、手動で設定することができます。

日付と時刻を手動で設定
日付と時刻を手動で設定

編集を終えたら、変更を保存して完了です。その後、ブラウザを開いてエラーが解決されているかどうかチェックしましょう。

3. ブラウザキャッシュとCookieをクリアする

まだエラーが解消されない場合は、キャッシュのデータに問題がある可能性も考えられます。ウェブサイトに初めてアクセスすると、ブラウザがサイトのデータをキャッシュに保存します。これによって、次回以降の訪問時のHTTPリクエスト数が減り、ページの表示速度が上がります。

ところが、このブラウザキャッシュは破損したり、古くなったりすることがあります。問題のあるキャッシュは、さまざまなChromeエラーを引き起こす可能性があるため、クリアするのが賢明です。

ブラウザキャッシュをクリアするには、「その他のツール」>「閲覧履歴の消去」に移動します。

Chromeの閲覧履歴データを削除
Chromeの閲覧履歴データを削除

ポップアップ画面で、「キャッシュされた画像とファイル」を選択し、閲覧履歴、Cookieなどのサイトデータを削除します。

Chromeのブラウザキャッシュをクリア
Chromeのブラウザキャッシュをクリア

最後に「データを削除」をクリックして、エラーが消えているかどうかを確認しましょう。

4. 問題のある拡張機能を削除する

ブラウザに拡張機能をインストールしている場合は、これが原因になっていることも。バージョンが古い場合は、「ERR_BAD_SSL_CLIENT_AUTH_CERT」エラーを引き起こすことがあります。

この場合の解決方法は、Chromeの「その他のツール」>「拡張機能」に移動します。

Chromeの拡張機能ページを開く
Chromeの拡張機能ページを開く

このページでは、インストールしているすべての拡張機能が一覧表示されます。各拡張機能の右下にあるトグルスイッチをクリックして、すべての拡張機能を無効にしてください。

Chromeの拡張機能を無効化
Chromeの拡張機能を無効化

すべての拡張機能が無効になったら、「ERR_BAD_SSL_CLIENT_AUTH_CERT」エラーが表示されたサイトに再度アクセスします。エラーが消えていれば、拡張機能に原因があることがわかります。

原因となっている拡張機能を特定するため、先ほどの「拡張機能」ページに戻り、1つずつ再度有効にしながら、その都度エラーの有無を確認していきます。この手順で問題のある拡張機能を特定したら、その拡張機能は削除しましょう。

5. 端末を更新する

もう1つの簡単なトラブルシューティング方法は、オペレーティングシステムの更新です。特に古いバージョンのWindowsは、よく「ERR_BAD_SSL_CLIENT_AUTH_CERT」エラーを引き起こします。

Windowsの設定に移動して、「Windows Update」を開きましょう。この画面で、最新の状態であるかどうかを確認し、必要に応じて最新バージョンをインストールします。

「Windows Update」画面
「Windows Update」画面

Macの場合は、「システム環境設定」>「ソフトウェアアップデート」に移動します。

macOSのソフトウェアアップデート
macOSのソフトウェアアップデート

新しいアップデートがある場合は、「今すぐアップグレード」をクリックしましょう。また、今後のエラーの発生を回避するために「Macを自動的に最新の状態に保つ」にチェックをいれておくことをお勧めします。

macOSのアップデート
macOSのアップデート

更新を終えたら、Chromeを開いて、エラーが発生したウェブサイトに再度アクセスしてください。エラーメッセージが消えていれば、ブラウジングを再開できます。

6. QUICプロトコルを無効にする

QUIC(Quick UDP Internet Connection)は、HTTPトラフィック改善のために開発されたプロトコルで、TLSやSSLと同様、レイテンシの低減と安全な接続を目的に試験的に導入されています。

ChromeはQUICプロトコルを採用していますが、まだ実験的なものであることから、読み込みエラーが発生することがあります。

「ERR_BAD_SSL_CLIENT_AUTH_CERT」エラーがまだ解決しない場合は、QUICプロトコルを無効にするのも手です。まずは、ブラウザで「chrome://flags/#enable-quic」を検索します。

Chromeの試験的なQUICプロトコル設定
Chromeの試験的なQUICプロトコル設定

Experimental QUIC protocol」の右側にあるドロップダウンメニューで設定を無効(「Disabled」)にします。

ChromeのQUICプロトコルを無効化
ChromeのQUICプロトコルを無効化

設定の変更後、Chromeを再起動してください。

7. ウイルス対策ソフトを一時的に無効化する

最後に、サードパーティのアプリケーションには、SSL/TLSプロトコルのフィルタリングを行うものがあります。例えば、通常、ウイルス対策ソフトやファイアウォールは、SSL証明書を検証するためにサイトをスキャンします。これはセキュリティの強化に効果的ですが、その一方で「ERR_BAD_SSL_CLIENT_AUTH_CERT」エラーを引き起こす可能性もゼロではありません。

Nod32、Avira、McAfeeなどのプログラムは、サイトをスキャンする際に誤検出を行うことがよくあります。手順はソフトウェアによって異なりますが、SSL/TLSプロトコル関連の設定は無効にすることができるはずです。

あるいは、ウイルス対策ソフト自体を一時的に無効するのもありです。場合によっては、ファイアウォールや仮想プライベートネットワーク(VPN)、デバイス上にあるその他のセキュリティソフトも無効にする必要があるかもしれません。

ソフトを無効化したら再度サイトにアクセスし、エラーが消えているかどうかを確認してください。エラーが解消されていれば、拡張機能と同じ手順で、問題となっているソフトを特定することができます。

まとめ

「ERR_BAD_SSL_CLIENT_AUTH_CERT」エラーは、ChromeがウェブサイトのSSL証明書を検出できない場合に発生します。これによって、安全な接続でユーザーを保護するために、対象のリソースがブロックされてしまうことも。この原因として、ブラウザやソフトが最新バージョンでないなどの理由で、SSL証明書が無効であると誤認識している可能性があります。

解決方法はいくつかあり、端末の更新、日付と時刻の同期、ブラウザキャッシュのクリアなどが挙げられます。あるいは、QUICプロトコルや拡張機能、インストールしているウイルス対策ソフトを無効化することで解決するかもしれません。

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