時々、新しいWordPressのテーマに変えたいという時もあるかと思います。このような場合は、古いWordPressテーマを削除するのが賢明です。
使用していないテーマやプラグインはサイトから削除することをおすすめします。サイトの安全性が増し、読み込み速度も速くなる可能性があります。この記事の中では、WordPressのテーマを注意深く、安全に削除する方法をご紹介します。
WordPressテーマを削除する方法について、動画での解説もご用意しています。
WordPressのテーマを削除したいと思う場面
WordPressのテーマを削除したいと思う場面は複数考えられます。
- 新しいWordPressテーマをインストールしたため、古いものを削除したい
- 試しにテーマをインストールしたが、やはり別のものにしようと考えた
- デフォルトのテーマを使用していないため、WordPress内から削除したい
どのような場合でも、テーマの削除方法は同じです。
使用していないWordPressのテーマを削除した方がいい理由
もう使用していないテーマをそのままにしておこうとしている人も多いでしょう。特に害がないし、いつかまた使うかもしれない。そうお思いではないでしょうか。
しかし、実は使用していないコードは全てWordPressから削除しておいた方が良いのです。これはテーマやプラグインにも言えることです。
使用していないテーマやプラグインを削除した方がいい理由は次の通りです。
- 安全性:インストールしているテーマが多ければ多いほど、ハッキングされる危険性が高まります。
- アップデート: テーマを削除してしまえばアップデートの必要が無くなります。使用していないテーマのアップデートは怠ってしまいがちですが、安全性の観点から、使用しているテーマやプラグインのアップデートと同じくらい、使用していないもののアップデートも重要です。
- パフォーマンス:WordPressサイトのバックエンド、管理画面は、使用されていないテーマによって影響を受ける可能性があります。これはアップデートに起因し、WordPressで更新が実行されると、使用しているかどうかに関わらず、インストールされているすべてのテーマに更新があるかどうかを問い合わせます。ちょっとした処理ではありますが、使用していない20のテーマの更新をわざわざ確認することになります。WordPressサイトのフロントエンドは、通常キャッシュから配信されているため、使用していないテーマの影響を受けることはありません。
- 容量:使用していないファイルは、WordPressホスティングの貴重なスペースを占有することに。これによりパフォーマンスに影響が出たり、より高額なプランへ移行しなければならなくなる可能性もあります。
- データベースパフォーマンス: テーマを使用していた時にデータベースにデータを追加していた場合、そのテーマを使用しなくなったとしても…再度使用する場合に備えて保存されます。テーマを削除すると、そのデータも削除されます。
テーマを削除するべきか、アンインストールするべきか
理論上は、テーマをアンインストールしても削除しても結果は同じです。どちらの場合もテーマのコードファイルはサーバーから削除されますし、関連するデータも削除されます。しかし、場合によっては、テーマをアンインストールするだけでは関連するコンテンツが全て削除されないことがあります。これについては記事の後半でご紹介します。
テーマの削除またはアンインストールと無効にすることの違いも知っておいた方が良いでしょう。
別のテーマを有効にすると古いテーマは無効になります。使用したくないものがある場合手動で無効にしなければならないプラグインとは違い、テーマの場合は自動で無効になります。これは、同時に二つのテーマを有効にすることができないからです。
新しいテーマを有効にすることで古いテーマが無効になっても、古いテーマの情報はシステムから一切削除されません。古いテーマで行なった設定は再度有効にする時に備えて全てデータベースに保存されます(そのため再度設定をする手間が省けます)。古いテーマに追加していたウィジェットは全て保存され、ウィジェット画面の使用停止中のウィジェットの欄に表示されます。また、テーマに追加したメニューはすべて保存されますが、新しいテーマのどこに表示させたいかを指定する必要があります。
テーマとこれらの設定を全て、永久に消してしまいたい場合は、削除する必要があります。その方法を知りたい方は記事の続きをお読みください!
WordPressのテーマを削除しない方がいいケース
テーマを無効にして、削除してはいけないケースもいくつかあります。それは次のような場合です。
- テーマが現在使用しているテーマの親テーマである場合
- サイトがマルチサイトネットワーク上にあり、該当するテーマがネットワーク上の別のサイトで使用されている場合
- 該当のテーマをテスト用に保存しておかなければいけない場合や、現在の使用中のテーマをテストした後に再度有効化したい場合
親テーマ
親テーマとして使用しているテーマはサイト上で有効化されませんが、そのテーマがないと子テーマ が機能しません。
WordPressではテーマの画面で、有効化しているテーマが子テーマであるかどうかが表示されます。また、WordPressテーマ検出ツールでサイトをチェックし、子テーマを使用しているかどうかを確認することも可能です。
無効のテーマを削除する前に、有効化しているテーマを確認し、親テーマとして使用されていないかを確認しましょう。使用されている場合は削除してはいけません!
WordPressのマルチサイト
サイトが WordPressのマルチサイトネットワークに属していて、自分のサイトの管理者権限しか持っていない場合は、テーマの削除(またはインストール)の権限を持ちません。ネットワーク管理者しかテーマの管理ができないのです。
ネットワークに属するサイトであるかどうかは、画面上部のツールバーで確認できます。「参加サイト」という項目がある場合、単独のサイトではなくネットワークに属しているサイトであることがわかります。
その場合、テーマのインストールや削除はできませんが、ネットワーク管理者によってネットワーク上にインストールされたテーマを有効化することはできます。
あなたがネットワーク管理者である場合、ネットワーク上の自分のサイトであるテーマを無効化したとしても、そのテーマを削除する前に注意が必要です。そのテーマをサイトで使用している別のユーザーがいるかもしれません。
そうは言っても、時々ネットワークのユーザーが使用していないテーマ(またはプラグイン)は削除した方が良いでしょう。ネットワーク上で使用されているテーマを確認するにはMultisite Enhancementsプラグインをインストールするとネットワークで有効化されます。ネットワーク管理者の「テーマ」と「プラグイン」の画面に、ネットワーク上のサイトで有効化されているテーマとプラグインを表示する列が追加されます。
テーマのテスト
一緒に働いている同僚がテストのためにテーマをインストールしている、という場合もあるでしょう。サイトにインストールするテーマをテストするには、WordPressステージングサイトを使用するのがベストプラクティスです。しかし、それを利用しない場合は、テストのためにテーマをインストールするということもあるでしょう。
チーム単位で働いている場合、テーマを削除する前に必ず同僚に確認しましょう。また、テーマをテストして、今後それを再度有効化する可能性がある場合は、削除しないでおきましょう。
WordPressのテーマを削除する前にすべきこと
さて、テーマが使用されていないこと、再度有効化する予定がないことをしっかりと確認して、それを削除したいと決めたとします。
削除してしまうのはちょっとお待ちください。次の二つのうちいずれか、もしくは両方を実行しましょう。ステージングサイト上でテーマを削除した状態をテストすることと、バックアップをとることです。マルチサイトの場合は、マルチサイトバックアッププラグインに関するページをご覧ください。
ステージングサイト
ステージングサイトは同じサーバー上の実際のサイトを映し出す鏡のようなもの。Kinstaの全てのホスティングプランには無料のステージングサイトが備わっており、簡単にサイトのコピーを作成し、テストに利用することができます。
もしもステージングサイトがあるのであれば、まずはそこでテーマを消してみて、何も問題が起きないかどうか確認すると安心です。そうすれば、誤って現在使用しているテーマの親テーマを削除してしまい自分を呪いたい気持ちになっていたとしても…実際のサイト上で消してしまったのではないことに、ホッとため息が出るでしょう。
バックアップ
サイト上で何かを削除する前には、アップデートを行う時と同様にバックアップをとりましょう。
KinstaのWordPress専用マネージドホスティングには、ワンクリックのバックアップ機能が付帯しています。テーマを削除する前に素早くバックアップを作成し、問題が発生してもすぐに復元することができます。
ホスティングプラン内にワンクリックバックアップの機能が含まれていない場合は、バックアッププラグインをインストールして使用することもできます。
いずれにせよこのステップは決してスキップしないようにしましょう。
WordPressのテーマを削除する方法
テーマを削除しても問題ないことを確認し、バックアップをとったら、いよいよテーマを削除します。
それには3つの方法があります。
- WordPressの管理画面から
- FTP/SFTPを使用
- WP-CLIを使用
それぞれ詳しくご紹介します。
1. WordPressのダッシュボードからテーマを削除する
テーマをワードプレスのダッシュボードから削除するのが一番シンプルな方法です。管理画面にアクセスできるのであれば、この方法がおすすめです。
WordPressのサイトから外観 > テーマを選択します。インストールした全てのテーマのリストが表示され、現在の有効化しているテーマが先頭にきています。
リストから削除したいテーマを選択、クリックして、詳細を確認します。
下部の右端に削除というリンクがあります。それをクリックすると、本当に削除して良いか確認するポップアップが現れ、OKをクリックすると削除が完了します。
2. WordPressテーマをFTP/SFTPで削除する
WordPressの管理画面にはアクセスできなくても、FTP/SFTPでサイトにアクセスできる場合は、テーマが格納されているフォルダを削除することができます(FTPとSFTPの違いはこちら)。
ご使用のFTPソフトを使用してこの操作を行うことができます。FTPソフトを開き、 サイト内のwp-content/themesディレクトリにアクセスします。
インストールした全てのテーマが表示されます。どのテーマが有効であるかは分からないので、この方法が最もリスクの高い方法かもしれません。そのため事前にバックアップを取ることが非常に重要です。しかしテーマ自体が壊れていて、そのせいで管理画面にアクセスできない場合は、この方法が唯一の手段になる可能性もあります。
テーマの入ったフォルダーにマウスのカーソルを合わせ右クリックし、ショートカットメニューへアクセス(多くのFTPソフトではこの操作ができますが、ご使用のものによっては多少異なる可能性があります)します。
ショートカットメニューの「削除」をクリックします。本当に削除しても良いかどうか確認が表示されるので、「はい」または「OK」をクリックします。するとテーマは削除されます。
3. WP-CLIでテーマを削除する
WP-CLIを使用する方法は、普段からコマンドラインを使用してサイトを管理するのに慣れている人にとっては最も早い、3つ目のテーマを削除する方法です。WP-CLIを今まで使ったことがないという方は、間違えると別のファイルを削除してしまう可能性もあるので、この方法はおすすめできません。
まず、WP-CLIを使用してコマンドラインでサイトにアクセスします。
インストールした全てのテーマの一覧を表示するためには次のように入力します。
$ wp theme list
すると、インストールした全てのテーマが表示されます。より具体的に、無効化されたテーマを表示したい場合は次のように入力します。
$ wp theme list --status=inactive
すると無効化されたテーマの一覧が表示されるため、削除しても問題ないテーマが分かります(子テーマやマルチサイトネットワークの別のサイトで使用されているテーマが含まれていない限り)。
テーマを削除するには次のように入力します。
$ wp theme delete twentyseventeen
最後のパラメーターは管理画面で目にするテーマの名前ではなく、テーマのフォルダー名ですのでご注意ください。
すると、テーマが削除されたことを告げるメッセージが表示されます。
Deleted 'twentytwelve' theme.
Success: Deleted 1 of 1 themes.
WP-CLIを使い慣れている場合、これが最も早くテーマを削除できる方法ですが、リスクも伴います。管理画面で確認できるテーマの情報は確認できないため、違うテーマを消してしまう可能性が高いのです。バックアップを作成し、まずはWordPressステージングサイトでテストを行いましょう。
テーマを削除した後にサイトをテストする
WordPressのテーマを削除した後はサイトをテストのために表示しましょう。ブラウザでサイトを訪問し、必ずキャッシュをクリアし全てが問題なく機能しているかどうかを確認しましょう。
万が一、間違って有効化されているテーマの親テーマを削除してしまった場合、一部、もしくは全てのCSSが消えてしまうことがあります。つまり、スタイルが一切適用されない状態です。間違って有効化しているテーマを削除してしまった場合、代わりに別のテーマが自動で適用されます(別のテーマがインストールされている場合)。
間違ってテーマを削除してしまった場合、再インストールする必要があります。テーマがテーマディレクトリからインストールしたものである場合、テーマの画面から再インストールができます。もしくは、事前にとったバックアップをアップロードすることで復元することもできます。
テーマに関連するコンテンツを削除する
テーマを削除した後に、そのテーマに紐付いたコンテンツが残っていることがあります。
例えば次のようなものです。
サイトを整理し、なるべくパフォーマンスを向上させるためには、これらのコンテンツを削除するか、新しいテーマに再度紐付けるかしなければなりません。
ウィジェット
ウィジェットはウィジェットエリアに追加されている場合のみ表示されます。テーマ内に無効化したいウィジェットがある場合、ウィジェット画面の使用停止中のウィジェットの欄に表示されます。
これらを新しいテーマのウィジェットエリアにドラッグするか、もう使用しない場合は削除します。個別に削除することもできますが、「使用停止中のウィジェットをクリア」のボタンをクリックすると一括で削除できます。
メニュー
どのテーマにも必ず一つはメニューを表示できる場所があり、多くの場合、ヘッダー内またはヘッダーのすぐ下になります。フッターやサイドバーにも追加のメニューが表示できるテーマもあります。
新しいテーマを有効化しても、古いテーマで作成したメニューは使えますが、メニューをそれぞれどこに表示させるかを指定しなければなりません。
古いテーマの中で複数のメニューを利用していて、新しいテーマにはメニューの表示箇所が一箇所しかない場合、カスタムメニューのウィジェットを利用し、サイドバーやフッターなどのウィジェットエリアに好みのメニューを追加することができます。
ダミーコンテンツ
テーマをテストするためにダミーコンテンツをアップロードまたはインポートした場合、それらを削除したほうが良いでしょう。
追加した記事やページはテーマを削除した後に管理画面の「投稿」「固定ページ」の画面から削除ができます。もしくは、新しいテーマの中で使用するのであればそのまま残しておきましょう。
古いテーマにカスタム投稿タイプが登録されている場合(これはあまりおすすめできない方法です。プラグインを使って実行するべきです)、新しいテーマで同じカスタム投稿タイプを設定するか、専用のプラグインを追加(こちらがおすすめです)するかしない限り、過去の投稿を全て削除しなければなりません。
カスタム投稿タイプが設定されているコードが消えてしまうと、もうその投稿は見られなくなってしまうので、古いテーマを削除する前に、その紐付けを解除する必要があります。
画像
テーマごとに画像の設定は異なります。アイキャッチ画像を多く使っているものもあれば、テーマのレイアウトに合うように他よりも大きなメディアサイズを使用しているものもあります。
また、テーマに含まれているスライダーやカルーセルで使用するために画像をアップロードしている場合もあるでしょう。
テーマを削除した後、画像を整理することをお勧めします。それには二つの側面があります。
- 新しいテーマの設定に合うよう画像をリサイズする
- 未使用の画像を削除する
画像のリサイズのためには、Regenerate Thumbnailsというプラグインをインストールすることをお勧めします。
インストールして有効化した後、ツール > Regenerate Thumbnailsを開きます。
regenerate thumbnailsの画面上で、「すべてのサムネイルを再生成する」のボタンをクリックします。(英語版での仕様:Xはサイトにある画像の数となります)
こうすることで、プラグインが自動で、テーマに登録されたカスタムサイズに合わせて画像を再生成してくれます。
古いテーマのスライダーなどで使用するために画像をアップロードしている場合、Regenerate Thumbnailsプラグインにより新しいテーマで必要のないサイズの画像は削除されますが、アップロードしたオリジナルの画像は削除されません。
WordPressの管理画面のメディアライブラリーへアクセスし、画像を完全に削除してしまう前に、必要のない画像を特定しましょう。または、古いテーマを無効化する前にテーマに含まれるスライダーやカルーセルの管理画面からこの操作を行うこともできます。テーマの設定により、その具体的な操作は異なります。
まとめ
WordPressでテーマを削除するには、単に「テーマ」画面にアクセスし「削除」をクリックすればいいというわけではありません。
テーマは注意深く、安全に削除することが重要です。バックアップをとったり、事前にステージングサイトでテストを行ったり、古いテーマのコンテンツを精査したりすることで、新しいテーマへスムーズに移行することができます。ご紹介した通りの手順で進めれば、適切な対応ができるでしょう。
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