Sublime Textは、世界で最も人気のあるテキストエディタの1つ。複数行編集、様々なプログラミング言語用のビルドツール、正規表現による検索と置換、プラグイン開発用のPython APIなど、優れた機能が満載です。
そして何より、macOS、Windows、Linuxすべてに対応しているのが最大の魅力です。シェアウェアとして公開されており、購入を促すポップアップ画面が表示されることもありますが、無料で使用することができます。
この記事では、Sublime Textを使ってテキストやコードを快適に編集する方法をご紹介します。
Sublime Textの使い方について、動画での解説もご用意しています。
Sublime Textとは
Sublime Textは、自らを「コーディング、マークアップ、文章のための洗練されたテキストエディタ」と謳っています。10年以上前の2008年1月に発表されたこのソフトウェアは、現在バージョン4までリリースされており、macOS、Windows、Linux対応です。
Sublime Textは、テキストの記述にまつわるあらゆる事例や問題に対応する、例えるならアーミーナイフのような万能ツールです。
一見すると、開発者向けのテキストエディタに見えるかもしれません。もちろん開発者が使えるツールでもありますが、実は作家やブロガーにも有用です。
Sublime Textの機能と活用方法をご紹介する前に、Sublime Textが役立つシナリオを挙げてみます。
正規表現による検索と置換
Regexとは、正規表現(Regular Expression)の略で、検索パターンを指定するための構文です。Regexは、テキストの編集中に類似した異なるテキストを探すのに使われるのが一般的です。
例えば、ドキュメントからすべてのHTMLタグを削除したい場合。削除するタグ(<h1>
、 <p>
、<span>
など)を1つずつ見つけるのは、気の遠くなる作業です。
正規表現を使用すれば、特定のパターンを検索することができます。この場合、正規表現パターン[a-zA-Z0-9]
を使えば、ドキュメント内のHTMLタグがすべて見つかります。
Sublime Textの正規表現による検索と置換は、非常に簡単です。メニューバーから「Find」>「Find in Files」をクリックします。それから、表示される検索と置換の画面で正規表現モード(「.*」のアイコン)をクリックして有効にします。「Find」フィールドで正規表現パターンを指定し、<current file>
を選択し、用途に応じて「Find」または「Replace」をクリックして実行します。
即座にコードを実行
従来のテキストエディタとは異なり、Sublime Textではアプリケーション内でコードを直接実行することができます。これは、小さなBashやPythonスクリプトのようなシンプルなプロジェクトには特に嬉しい機能です。
例えば、Pythonスクリプトを使ってURLの一覧からデータをスクレイピングする場合、コードをデバッグするために別のターミナルをセットアップするよりも、Sublime Textで直接スクリプトを実行する方が便利です。
Sublime Textでコードを実行するには、「Tools」>「Build System」で、コードの言語を選択します(Python、Ruby、Bashなど、さまざまな言語が選択可能)。その後、Macの場合は「Cmd + B」、Windowsの場合は「Ctrl + B」を押せば、コードを実行できます。
複数行編集
テキスト文書で複数の行の同時編集が必要になることもあります。例えば、ドメインの一覧で、それぞれの行に http://
を付加しなくてはいけないとします。もちろん、一行ずつ手を加えることもできますが、行数によっては膨大な時間を費やすことに。
Sublime Textでは、編集したい行をすべて選択し、「Shift + Cmd + L」を押すと、選択した行を同時に編集することが可能です。
このように、Sublime Textには開発者向けの高度な機能が組み込まれていますが、正規表現サポートや複数行編集など、開発者でないユーザーにも役立つ機能が多数用意されています。
Sublime Textで何ができるかが大まかに分かったところで、さらに掘り下げていきましょう。
スニペット
Sublime Textの最強機能は、スニペットです(特にプログラマー向け)。
コードの記述が面倒であることは、周知の事実。Sublime Textのスニペット機能を使えば、どんなプロジェクトであっても繰り返し表示されるテキストブロックを、素早く簡単に挿入することができます。
さらに、この機能の優れた点は、使い方が簡単で、記述も容易であることです。作業を効率化し、エラーの数を減らすことができます。
トリガー文字列を入力して「Tab」ボタンを押すと、スニペットが開始されます。
Sublime Textのダウンロード方法
Sublime Textは、公式ウェブサイトから無料でダウンロードできます。Sublime Textは厳密にはフリーウェアではなく、シェアウェアです。シェアウェアは、ダウンロード自体は無料ですが、一定の期間が経つと、利用できる機能が制限されるものがあります。
Sublime Textの場合、期限なく使用し続けることができますが、有料ライセンスの購入を促すポップアップ画面が表示されることがあります。
Sublime Textの購入にご興味がある方は、個人向けライセンスは99ドル、ビジネス向けライセンスは1シート(利用枠)につき年間65ドル〜で入手可能です。有料ライセンスに追加機能はありませんが、以下の特典があります。
- 有料ライセンスの購入画面が非表示
- Sublime Textの開発版が利用可能
- アプリ内のアップデート通知
Sublime Textの基本
Sublime Textの優れた機能は数多くあるため、今回は、作家・ブロガーと開発者に役立つ機能、そしてその活用方法を取り上げます。まずは、Sublime Textの基本的な使い方をご紹介します。それから、作家・ブロガーと開発者、それぞれに焦点を当てた機能をみていきましょう。
Sublime Textの設定を変更する方法
多くのアプリには、グラフィカルな設定メニューがありますが、Sublime Textの場合はすべてテキストベースです。Sublime Textの設定を確認するには、「Sublime Text」>「Preferences」に移動し、「Settings」をクリックしてください。すると、以下のように、ドキュメントがペイン分割の状態で表示されます。
この設定ファイルは、特に開発者向けツールに馴染みがない場合、一見すると、複雑かもしれません。慌てず、ゆっくりと見ていきましょう。
Sublime Textの設定は、JSON形式で保存されています。JSONとは、keyとvalueのペアを使用した業界標準の記述方式です。この方式は、既にどこかで目にしたことがあるかもしれません。JSONでは、keyとvalueの組み合わせで、以下のように情報が格納されます。
{
“color”: “blue”,
“type”: “sedan”,
“seats”: 5,
}
上記には、5人乗りの青いセダン、というように車の特性が記述されています。これと似たように、JSONでアプリケーションの設定を変更することができます。これがまさにSublime Textで行える作業です。
Sublime Textの設定ファイルに戻りましょう。先のスクリーンショットでわかる通り、設定ファイルは2つのペーンに分割されたJSONファイルで管理できます。左側がSublime Textのデフォルト設定、右側が独自の設定です。
基本的に、デフォルトの設定(左側のペーン)には触れないようにしましょう。その代わり、好みの設定を右に記述して、デフォルト設定を上書きすることで、何か問題が発生した際にデフォルト設定に戻すことができます。
では、実際にデフォルト設定を上書きして変更する方法をみていきましょう。例えば、以下のような変更を加えたいとします。
"font_size": 10
to"font_size": 20
"margin": 4
to"margin": 6
"line_numbers": true
to"line_numbers": false
この変更を行うには、JSON形式の設定用ドキュメントに、以下のように各要素を貼り付けます(右側のペーンを使ってください)。
{
"font_size": 20,
"margin": 6,
"line_numbers": false,
}
設定が正しく行われているか不安な時は、JSONLintのようなオンラインツールを使って、JSONの記述についてチェックすることができます。設定が完了したら、ファイルを保存して完了です。
Sublime Textでのプロジェクト・ファイル管理
ブログの連載やウェブアプリケーションのソースコードなどのようなプロジェクトの場合、ファイルはプロジェクトフォルダ内に保存されるのが一般的です。Sublime Textでは、グラフィカル・インターフェースでファイルやディレクトリを管理できます。
例えば、下のスクリーンショットのように「my-sublime-text-project」という名前のフォルダがあるとします。このフォルダをSublime Textにドラッグ&ドロップすると、Sublime Text内で新しいファイルやフォルダを作成することができるようになります。
このように、ウィンドウ左側の「Folders」に 「my-sublime-text-project」フォルダが出現します。
このフォルダを右クリックするとサブメニューが表示され、新規ファイルの作成、ファイル名の変更、フォルダの作成・削除などを行うことができます。Sublime Textにはファイル管理機能が搭載されているので、基本的なファイル管理作業にFinderのような外部ツールは必要ありません。
Sublime Textにおいて、プロジェクトとは、インポートしたファイルやフォルダの集まりを意味しています(例えば、先ほど例に挙げた「my-sublime-text-project」フォルダなど)。メニューバーの「Project」をクリックすると、「Switch Project(プロジェクトを切り替える)」、「Save Project As(名前を付けてプロジェクトを保存)」などのオプションがあります。しかし、新規プロジェクトを作成する選択肢はありません。
この理由としては、ファイルを作ったり、フォルダをインポートしたりすると、自動的にプロジェクトが作成されるためです。上記の例では、メニューバーの「Project」をクリックし、「Save Project As」をクリックしてプロジェクトを保存することができます。
Sublime Textの活用方法(作家・ブロガー向け)
効率的なファイル整理
ファイル管理やプロジェクト管理機能を使えば、コンテンツをきれいに整理することができます。例えば、作家であれば、本の章ごとにファイルを作成し、ブロガーであれば、投稿のカテゴリごとにフォルダを作成すれば、効率よくファイルを管理できます。
高性能な検索と置換
検索と置換機能は、非常に優れています。正規表現に対応するだけでなく、ファイルやフォルダを指定して検索することも可能です。例えば、作家が登場人物の名前を変更したい場合、フォルダを指定し、そのフォルダ内のすべてのコンテンツに検索をかけることができます。
優れた拡張性
Sublime Textは拡張性が高く、MarkdownEditingパッケージは、Markdownを使用する作家・ブロガーに有用です。
Sublime Textの活用方法(開発者向け)
豊富なプラグインエコシステム
Sublime Textのプラグインエコシステムは優れています。内蔵のパッケージマネージャから利用でき、プラグインをインストールすれば、作業の効率化が期待できます。例えば、Formatterプラグインには、HTML、CSS、JS、Python、その他の言語の書式ルールが搭載されています。
このプラグインは、ソースコードファイルを自動的にフォーマットすることができるように設定されており、コードの書式を整え、標準化するのに便利です。
また、Package Control(プラグインのインストールに必要)とEmmetもダウンロード必須のプラグインです。
複数行編集
Macの場合はCommand、Windowsの場合はCtrlを押しながら、マウスで複数行を選択すると、同時編集ができます。すべての行を一度に編集でき、複数行のコピー&ペーストも可能です。
画面分割
複数のファイルを同時に表示・編集するための画面分割機能があります。プロジェクト作業中、別のファイルを参照したい時に役立ちます。
ビルドツールのサポート
Sublime Textは、ビルドツールをサポートしています。ビルドツールを使用すると、外部ターミナルを使わずに、Sublime Textエディタのターミナルでコードを実行できるようになります。
例えば、PythonプログラムとGoプログラムを実行するビルドツールをそれぞれ設定できます。アプリを開発する場合には、ビルドツールを選択し、ショートカットを使えば、Sublime Textからプログラムを実行することが可能です。
テーマを活用して外観を編集
Sublime Textのテーマを利用すれば、コードの記述が楽しくなるはず。テーマの多くには、様々な配色機能も搭載されています。
テーマは、サイドバー、タブ、メニューなどのコアなUI要素、配色機能はシンタックスハイライトの設定を編集できます。
以下は、ぜひおすすめのテーマです。
まとめ
Sublime Textは、現在最も人気のあるテキストエディタの1つ。作家やブロガー、そして開発者それぞれに役立つ優れた機能が多数搭載されています。
Sublime Textは非常に満足度の高いツールです。まだ試したことがなければ、ぜひ一度使ってみてください。
Sublime Textを使用していますか?他のテキストエディタと比べていかがでしょうか?以下のコメント欄でぜひお聞かせください!
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