WooCommerceで会員限定ストアの作成を検討していますか?

会員制を導入したユーザーへの特典提供は、Amazonプライム(配送特典)やコストコ(会員のみ入店可能)などでよく知られるEC戦略です。

適切なプラグインやツールを使用すれば、商品へのアクセス制限、特別な割引や配送方法の提供など、会員制ストアに必要な機能をWooCommerceストアに簡単に追加することができます。

この記事では、WooCommerce会員限定ストアの効率的な作成方法、WooCommerceサイトの用途に合わせたアプローチの見つけ方をご紹介します。

会員限定ストアの作成を検討するタイミング

WooCommerceストアをお持ちであれば、状況次第では、会員制にしてしまうのも一つの手です。

とは言え、戦略によって適切なアプローチが異なるため、まずはどのような戦略を立てるかを考えましょう。

会員制の機能には、大きく分けて2つのカテゴリがあります。

  1. コンテンツ制限
  2. 特典の提供

会員限定のコンテンツ制限

コンテンツ制限の機能は、商品(一部または全て)の閲覧・購入ができるユーザーを制限することができます。

この機能は、以下のようなショップに有用です。

  • 特定のお客さん(小売業者など)に商品を販売する卸売店。
  • VIPユーザーだけが閲覧できる特別商品の販売。購買を促進し、売上を伸ばすことが期待できる。
  • 会員のみが買い物できる会員制ストア(コストコなど)。

会員限定の特典提供

2つ目は、会員向けのお得な特典を提供する機能。

例えば、このような特典が挙げられます。

  • 一部またはすべての商品を割引(10%引きなど)。ロイヤルティプログラムに類似した特典。
  • 一般ユーザー向けよりも低い定価で販売(卸売店にも有効)。
  • 送料無料などの特別サービス(例:Amazonプライム)。マルチベンダーマーケットプレイスと組み合わせれば、Amazonプライムを完全再現可能。

また、この両方を組み合わせてもいいでしょう。アクセス制限をしつつ、特別な割引や配送方法を提供するWooCommerceの会員限定ストアは、多くみられます。

WooCommerce会員限定ストアの作り方(3つの手法)

WooCommerceで会員制ストアを開設するには、いくつかの方法があります。

  • WordPress/WooCommerceの会員制プラグイン
  • WooCommerce役割ベースの価格設定プラグイン
  • WordPress内蔵のパスワード機能

どの手法を取るかは、どのような会員限定ストアを立ち上げるかによって変わってきます。

例えば、商品へのアクセスを制限したいのか、それとも商品割引などの特典を提供するのか、など。目的に合わせて方法を選びましょう。

1. WooCommerceの会員制プラグイン

WooCommerceの会員限定ストアを作成する最も一般的な方法は、WooCommerceと組み合わせて使うことのできる高機能の会員制プラグインを使ったものです。

会員制プラグインには、無料・有料の会員ランク設定、各ランクへの顧客登録、各ランクに応じたアクセス制限や特典提供など、会員制のストアに必要な機能がすべて揃っています。

メリットとデメリット

WooCommerce会員制プラグインのメリットは複数あります。

  • 柔軟なコンテンツ制限─顧客の会員ランクに応じて、アクセスできるコンテンツや商品を簡単に設定できる。
  • 割引・配送方法の設定─会員限定の特別割引や配送方法が設定可能。
  • 会員登録の有料化─会員登録を有料化することができ、新たな収益源を確保できる(例:Amazonプライム)。
  • 会員管理─WordPressの内蔵機能よりも優れており、すべての会員を自由に管理できる。

一方では、デメリットも。

  • 管理が複雑化─シンプルな会員制ストアで十分な場合には、機能が多すぎて操作が複雑になる可能性が。
  • 価格設定ルールの制限─会員限定の割引や配送方法を提供できるが、価格設定プラグインのように価格設定のルールを柔軟に設定することはできない。

おすすめのWooCommerce会員制プラグイン4選

それでは、優れた会員制プラグインをいくつかご紹介します。

1. WooCommerce Memberships
WooCommerce Memberships plugin.
WooCommerce Memberships

WooCommerce Membershipsは、WooCommerceを念頭に構築されており、会員限定ストアに必要になる設定が最も柔軟に行えるプラグインです(WooCommerce以外のコンテンツにも対応)。

無料・有料の会員ランクを制限なく設けることができ、その活用方法はさまざまです。

  • 商品の閲覧・購入制限
  • 特別な割引
  • 送料無料または送料割引

価格は、1サイトにつき199ドルです。会員に定期的な課金を行いたい場合には、199ドルでWooCommerce Subscriptionsプラグインの購入も必要です。このプラグインを使用すると、定期購入型の商品を販売することができます。

2. Paid Member Subscriptions
Paid Member Subscriptions plugin.
Paid Member Subscriptions

Paid Member Subscriptionsは、会員制ストアの作成に適したお手頃なプラグインです。

制限なく無料・有料の会員ランクを作成でき、商品の閲覧や購入制限も設定可能。

さらに、商品割引のルールも設定でき、一部の商品、またはすべての商品を特別価格で販売することができます。

ただし、会員限定の配送設定は行えません。

それでも問題なければ、これが今回ご紹介するものの中で最も安価なプラグインで、69ユーロ〜で購入できます。無料版もありますが、会員限定の割引設定はできません。

3. Restrict Content Pro
Restrict Content Pro plugin.
Restrict Content Pro

Restrict Content Proは、無料・有料の会員ランクを制限なく作成し、商品の閲覧を簡単に制限できる高機能な会員制プラグインです。

商品制限だけでなく、WooCommerceのクーポンを会員ランクにリンクさせて、会員限定の特典を設定することができるのも嬉しい機能です。

これにより、商品割引や送料割引など、すべてのクーポン設定が活用でき、自由度が上がります。

デメリットは、会員はカートページに進むまで割引を確認することができず、コンバージョン率を下げてしまう可能性があること。例えば、全商品10%オフの割引を設定しても、単品ページには、割引が適用されていない価格が表示されます。

WooCommerceストアで使用する場合、価格は1サイトにつき99ドルです。また、無料版もあります。

4. Paid Memberships Pro
Paid Memberships Pro plugin.
Paid Memberships Pro

Paid Memberships Proは、WooCommerceと組み合わせて便利な機能を備えた、もう1つのお勧めしたい選択肢です。

このプラグインでも、無料・有料の会員ランクを好きなだけ作成することができます。会員ランクに応じて、このような設定を適用するといいでしょう。

  • 商品の閲覧や購入制限
  • 特別割引
  • 送料無料

このプラグインには、基本的な機能が利用できる無料版があります。会員限定の割引を設定できるWooCommerceとの統合機能も無料です。

送料無料など、より高度な会員機能を利用するには有料版が必要になり、価格は247ドルからです。

WooCommerce会員制プラグインの比較

では、各プラグインの主なWooCommerce会員限定機能をまとめてみます。

プラグイン 商品制限 商品割引 配送特典 価格
WooCommerce Memberships 199ドル
Paid Member Subscriptions 無料 / 69ユーロ
Restrict Content Pro 無料 / 99ドル
Paid Memberships Pro 無料 / 247ドル

さらに詳しい情報については、おすすめのWordPressの会員制プラグイン会員制テーマの記事をご覧ください。この記事でご紹介したプラグインは、すべてWooCommerceに対応していますが、リンク先の記事では、すべての会員制プラグインがWooCommerceに対応しているわけではないことにご注意を。

会員制プラグインを使ってサイトを作成している場合は、会員限定サイトの運営に関する注意事項もご覧ください。Kinstaを利用している場合は、Kinsta APMを使用して会員限定サイトのパフォーマンスを最適化する記事も役立つはずです。

2. WooCommerce役割ベースの価格設定プラグイン

お客さんの会員ランクによって異なる商品価格を設定したい場合は、WooCommerceの価格設定プラグインを利用するというのも手です。

価格設定プラグインを使用すると、さまざまな条件に基づいて商品の価格を変更することができます。会員限定ストアでは、顧客の権限グループと権限に応じて商品の価格を調整するというのが最も一般的です。

価格設定プラグインだけで事足りる場合もあるでしょう。ですが、価格設定プラグインと会員制プラグインを組み合わせれば、より自由度の高いサービスを提供することができるようになります。

メリットとデメリット

価格設定プラグインには、このようなメリットがあります。

  • 自由度の高い価格設定ルール─ユーザーの権限に応じて価格を変更するだけでなく、権限グループに応じた一括割引など、他の条件を加えることも可能。高度な価格調整が必要な卸売店などの会員制ストアには、良い選択肢に。
  • 既存のユーザー権限が利用可能─すでに会員にWordPressの特別な権限を設定している場合、その権限をそのまま適用できる。つまり、会員制プラグインのように、ゼロから会員ランクを作成する必要がない。

一方、デメリットとしては以下のようなものが挙げられます。

  • ユーザー登録機能がない─そのため、ユーザー登録プラグインと組み合わせて、別途で登録フォーム安全なログインフォームを作成するのが一般的。
  • 無料会員制のみ対応─会員制プラグインのように、会員のアクセスに対していかなる課金も行うことはできない。
  • コンテンツ制限を設定できない─通常、サイト上のコンテンツや商品へのアクセスを制限する機能はない。
  • 独立した会員管理画面がない─会員や会員ランクの管理を行う画面がない。WordPressに組み込まれたユーザーの権限グループに従わなければならず、会員数が多い場合は面倒。

WooCommerce価格設定プラグイン3選

ここで、おすすめの価格設定プラグインをご紹介します。

1. WooCommerce Fees and Discounts
WooCommerce Fees and Discounts plugin.
WooCommerce Fees and Discounts

WooCommerce Fees and Discountsは、以下のようなあらゆるタイプの権限グループに応じて価格調整を設定できる有料プラグインです。

  • 一部または全商品の価格を調整(例:10%引き)
  • 商品の定価設定
  • まとめ買い割引の設定
  • 税抜き価格設定

価格は、59ドルです。

2. Discount Rules for WooCommerce
Discount Rules for WooCommerce plugin.
Discount Rules for WooCommerce

Discount Rules for WooCommerceには、無料版と有料版がありますが、ユーザーの権限グループに応じた価格調整は有料版のみの機能です。

このプラグインは非常に柔軟で、あらゆるタイプの割引ルールを作成し、権限グループごとにその割引を適用することができます。

会員限定の特別割引を詳細に設定したい方には、最もおすすめしたいプラグインの1つです。

Pro版は59ドルで購入できます。

3. Role Based Pricing for WooCommerce
Role Based Pricing for WooCommerce plugin.
Role Based Pricing for WooCommerce

Role Based Pricing for WooCommerceも優れたプラグインで、複数の価格設定が行えます。

  • 権限グループに応じた固定価格
  • 増減率
  • 固定増減

また、コンテンツ制限機能もあり、会員だけが商品を購入できるように設定したい場合には、ユーザーがログインするまで価格と購入ボタンを非表示にすることも。

価格は、79ドルです。

3. プラグインを使用しないパスワード保護

最後にご紹介するのは、柔軟性に欠けますが、最もシンプルな方法です。

プラグインをインストールする代わりに、WordPress内蔵のパスワード保護機能を利用します。

この機能を使えば、1つまたは複数のパスワードを使用して、ストア内の商品ページへのアクセスを制限することができます。そして、アクセスを許可したい会員にのみ設定したパスワードを共有します。

メリットとデメリット

この機能のメリットは、以下の通り。

  • 内蔵機能─プラグインのインストールが不要。
  • 作業がシンプル─パスワードを追加して、メンバーと共有するだけでOK。

一方、以下のようなデメリットも挙げられます。

  • 限られた機能─商品のアクセス制限のみで、その他の機能はない。
  • ユーザー体験に影響─お客さんがわざわざパスワードを入力しなくてはいけないため、優れたユーザー体験が提供できない。
  • 権限グループと連動しない─パスワードさえあれば誰でも商品ページにアクセスできるため、不正にパスワードが利用されてしまう可能性がある。

パスワード保護機能の追加方法

パスワード保護機能を使用するには、閲覧を制限したい商品ページのエディタを開きます。

次に、「公開状態」の隣にある「編集」をクリックします。

パスワード保護機能の有効化
パスワード保護機能の有効化

この手順でパスワード保護を適用することができます。

  1. パスワード保護」を選択
  2. その商品に使用したいパスワードを入力
  3. OK」をクリック
  4. 更新」または「公開」を選択して変更を保存
商品のパスワードを追加
商品のパスワードを追加

これで、商品ページにアクセスしたユーザーには、パスワードの入力が求められます。

パスワードで保護された商品ページ例
パスワードで保護された商品ページ例

この機能のメリットは、複数の商品に同じパスワードを設定できる点。つまり、一度パスワードを入力すれば、同じパスワードが設定されている商品の閲覧を続けることができます。

ただし、商品ごとに異なるパスワードを使用する場合、ユーザーは商品ごとに固有のパスワードを入力しなければいけません。

効率的な会員限定サイトの作り方

WooCommerceで会員限定ストアを作るベストな方法は、目的によって決まります。

最後に、会員制のストアの作成にあたって、考慮すべき5つの要素をご紹介します。

1. 会員特典の種類

会員に商品へのアクセス権を与えたいだけなのか(コンテンツ制限)、それとも商品の割引や送料無料などの特典を用意したいのか。どのようなサービスの提供をお考えでしょうか。

商品へのアクセスを制限したい場合は、基本的に、WooCommerce専用の会員制プラグインが必要になります。最低限の機能だけでよければ、内蔵のパスワード保護機能で十分な可能性もあります。

特別割引や配送特典を提供したい場合は、会員制プラグインか価格設定プラグインのどちらかを使用しましょう。

価格設定プラグインは、会員制なしで価格設定ルールも適用したい場合に有用です。詳細な会員管理、コンテンツ制限、会員課金を行いたければ、会員制プラグインを使用してください。

2. 会員数

ストアの会員数も考慮したい要素です。

例えば、一部の商品、もしくはすべての商品にアクセス制限をかけたいとします。

会員数が5人程度であれば、パスワード保護機能で十分です。

500人の会員を抱えている場合は、専用の会員制プラグインを使って、細かく会員管理を行うのが賢明です。

3. 会員ランクの数

会員数だけでなく、会員ランクの数も重要です。

会員ランクが1つか2つしかない場合には、WordPressの既存の権限グループを利用すれば問題なく運用できるでしょう。

3つ以上の会員ランクを設定して、制限ルールや特典が重複する可能性がある場合は、効率的に管理できるよう、会員制プラグインを使うことをお勧めします。

4. 無料・有料会員制

例えばAmazonプライムのように、有料会員制にしたい場合には、専用の会員制プラグインが必要です。

無料会員制の場合は、WordPressに組み込まれているユーザーの権限グループを利用すればいいため、価格設定プラグインでOKです。

ただし、権限システムだけでは無料会員と有料会員を区別できないため、有料会員を持つ場合は例外です。

5. 一般用コンテンツと限定コンテンツ

商品、またはその他のコンテンツへのアクセスを制限したい場合は、会員制プラグインを使用する方法が確実です。

ただし、ストアの用途がシンプルであれば、パスワード保護機能を使う方がいいでしょう。

まとめ

WooCommerce会員限定ストアの作成には、主に3つ方法があります。

  • 会員制プラグイン
  • 価格設定プラグイン
  • WordPress内蔵のパスワード保護機能

多くの場合は、会員制プラグインを使った方法がベストな選択となります。とは言え、ショップによっては、別の方法を取る方が効果的である場合も。

また、会員制プラグインと価格設定プラグインの両方を組み合わせるのがいい場合もあります。会員制プラグインで会員ランク、会員、コンテンツ制限を管理しつつ、価格設定プラグインで価格ルールを詳細に管理すれば、設定の自由度が格段に上がります。

WooCommerceストアを改善するその他の方法については、優れたWooCommerceプラグイン優れたWooCommerce拡張機能についての記事をぜひご覧ください。

Jeremy Holcombe Kinsta

Kinstaのコンテンツ&マーケティングエディター、WordPress開発者、コンテンツライター。WordPress以外の趣味は、ビーチでのんびりすること、ゴルフ、映画。高身長が特徴。