WordPress.comで運用しているブログや企業サイトを一段階上のレベルに引き上げるには、通常、WordPress.org(またの名を自己ホスティング型WordPress)への移行が必要です。自己ホスティング型を選択することで、ウェブサイトの柔軟性と可能性が飛躍的に向上します。
この記事では、KinstaでWordPress.comサイトを自己ホスティング型のWordPressサイトに移行する方法をご紹介します。
また、Kinstaでは無料のサイト移行サービスを提供していますが、WordPress.comとWordPress.orgはまったく異なるソリューションであることから、WordPress.comからの移行は対象外となります。WordPress.comとWordPress.orgの2つの違いについてはこちらをご覧ください。
KinstaのマネージドWordPressホスティングサービスを利用するには、WordPress.comではなくWordPress.orgを選択する必要があります。
移行するにあたっての前提条件
今回ご紹介する手順は、Kinstaの利用を前提とします。Kinstaのホスティングプランについてはこちらをご覧ください。
加えて、ドメインの取得も必要になります。
WordPress.comで独自ドメインを購入している場合は(例:yoursite.wordpress.com
ではなくyoursite.com
)、そのドメインのKinstaへの紐付けを行います。
ドメインの紐付けは、WordPress.comでDNS情報を編集して実行します。
あるいは、ドメインを別のレジストラに移管して紐付けることも可能です。
独自ドメインをまだ取得していない場合は、サードパーティのサービスから購入可能です。Google DomainsやNamecheapなどがお勧めです。ドメイン名の決め方に関するヒントはこちらをご覧ください。
Kinstaのホスティングプランを選択し、トップレベルドメインを設定できたら準備完了。早速、WordPress.comからWordPress.orgへサイトを移行を始めましょう。
WordPress.comからWordPress.orgへの移行手順
WordPress.comでは移行プラグインを使用できず、SSHによるアクセスやphpMyAdminにも対応していないため、WordPress.comからWordPress.orgへの移行は標準的な方法では行えません。
WordPress.comからWordPress.orgへの移行の大まかな流れは以下のようになります。
- KinstaでWordPressをインストールし、基本的な設定を行う
- WordPress.comからコンテンツをエクスポート
- WordPressのインポートツールを使用してコンテンツをWordPress.orgにインポート
- (「
yoursite.wordpress.com
」形式のURLを使用している場合)任意でサイトを新ドメインにリダイレクト
ステップ1. KinstaでWordPressサイトを作成する
まず、WordPress.orgサイトを新規作成します。
サイトを作成するには、MyKinstaの「サイト」タブを選択し、「サイトを追加する」ボタンをクリックします。
ポップアップ画面で、必要な情報を入力します。
MyKinstaで新規WordPressサイトを追加する方法についてはこちらをご覧ください。
WordPress.orgのインストールが完了したら、WordPress.comのコンテンツをインポートする前に、少し設定を変更します。
パーマリンクの設定
WordPressサイトのパーマリンクは、サイトのURL構造に影響を与えます。
スムーズに移行するために、作成したWordPress.orgサイトが、WordPress.comサイトと同じパーマリンク構造を使用していることを確認してください。
デフォルトのパーマリンク構造は、「日付と投稿名」になっています。
WordPress.orgサイトのパーマリンク構造を変更するには、WordPress管理画面にログインし、「設定」>「パーマリンク設定」に進みます。
「日付と投稿名」を選択して、変更を保存してください。
また、301リダイレクトを設定することができるため、パーマリンク構造はいつでも変更することができます。安全に変更が行えるよう、ご希望であれば、Kinstaのカスタマーサポートが301リダイレクトのセットアップを行うことも可能です。
WordPressテーマのインストール
WordPress.comのテーマは、WordPress.orgサイトに直接エクスポートすることはできません。
しかし、WordPress.comテーマの多くは、自己ホスティング型のWordPressサイトでも利用できます。
たとえば、「AltoFocus」テーマは、WordPress.comとWordPress.orgの両方で利用可能です。
使用していたWordPress.comのテーマがWordPress.orgのテーマディレクトリでも利用できる場合は、テーマのコピーをインストールするだけでOKです。
WordPress.orgの管理画面の「外観」>「テーマ」に移動し、「新規追加」をクリックします。
テーマ名で検索して、インストールします。
ステップ2. WordPressからコンテンツをエクスポートする
次に、WordPress.comサイトのコンテンツをエクスポートします。以下の手順で、Kinstaで作成したWordPress.orgサイトにインポートしてください。
WordPress.comの管理画面を開き、サイドバーの「設定」をクリックします。一番下までスクロールすると、「ツール」の下に「エクスポート」があります。
次の画面で、「コンテンツをエクスポート」の横にある「すべてエクスポート」ボタンをクリックします。
すると、メールでダウンロード用のリンクを受け取ることができます。このリンクを使用するか、またはインターフェースの「ダウンロード」リンクをクリックします。
デスクトップにZIPファイルがダウンロードされたら、ファイルを解凍します。Windowsの場合は、右クリックで「すべて展開」を選択してください。
ZIPファイルを解凍すると、.xmlファイルの入ったフォルダが出現します。このファイルは、次のステップで使用します。
ステップ3. 作成したWordPress.orgサイトにコンテンツをインポートする
次に、ステップ1で作成したWordPress.orgサイトの管理画面を開きます。
「ツール」>「インポート」に移動し、「WordPress」ツールの「今すぐインストール」をクリックします。
しばらくすると、「インポーターの実行」というリンクが表示されます。リンクをクリックして、続行します。
次のページで、先ほどWordPress.comからダウンロードした.xmlファイルをアップロードします。
.xmlファイルを選択して、「ファイルをアップロードしてインポート」をクリックします。
コンテンツの量によっては、少し時間がかかることがあります。処理が完了すると、以下の2つの項目が表示されます。
- 投稿者の割り当て
- 添付ファイルのインポート
「投稿者の割り当て」セクションでは、「あるいは投稿を既存のユーザーに割り当てる」のドロップダウンメニューからユーザー名を選択してください。
次に、「添付ファイルをダウンロードしてインポートする」にチェックを入れます。これで、WordPress.comサイトからすべての画像をWordPress.orgサイトにインポートできます。
最後に「実行」をクリックします。
インポートが完了すると、以下のメッセージが表示されます。
サイトにアクセスして、無事にコンテンツがインポートされているか確認しましょう。WordPress.comのサイトと同じようにコンテンツが表示されていればOKです。
URLが壊れていたり、画像がなかったりなど、何か問題があれば、以下の方法で修正してください。
壊れたURLの修正方法
移行の過程でURLを変更すると(例:「yoursite.wordpress.com
」 から「yoursite.com
」 )、コンテンツ内に「壊れた」URLが残る可能性があります。
例えば、あるブログ記事内に、同じサイト内の別の記事へのリンクを貼り付けていた場合、本来、リンクが「yoursite.com/example
」であるべきところ、「yoursite.wordpress.com/example
」のままになっている可能性があります。
これを解決するには、Kinstaの検索と置換ツールを使用します。MyKinstaの「ツール」タブから利用可能です。
「検索」バーに旧WordPress.comのURLを入力し、「検索後に置換する」にチェックを入れて、「以下に置き換える」にWordPress.orgのURLを入力します(以下のスクリーンショットの例では、仮の一時URLを使用)。すでにドメインがある場合は、そのドメインを使用してください。「実行後にキャッシュをクリアする」をオンにした状態で、「検索後に置換する」をクリックします。
すると、処理される置換候補の件数を確認することができます。
情報の確認後、「検索後に置換する」のチェックを外し、再度「検索して置換する」をクリックします。
壊れた画像リンクの修正方法
移行が正常に完了していれば、すぐにすべての画像が表示されるはずですが、一部画像が欠けていることもあります。
そのようなときは、無料のAuto Upload Imagesプラグインを使用すると、欠落した画像をインポートできます。
プラグインをインストールして有効化したら、WordPressの管理画面の「投稿」に移動してください。チェックボックスですべての投稿を選んで、ドロップダウンから「編集」を選択。そして、「適用」をクリックします。
すると、新規インターフェースが表示されます。「更新」ボタンをクリックすると欠落している画像がインポートされます。
ステップ4. WordPress.comのウェブサイトをWordPress.orgにリダイレクトする(または非公開にする)
この時点で、WordPress.comのすべてのコンテンツを含んだ自己ホスティング型のサイトが稼動しているはずです。
ところが、まだ1つ重要な問題が。それは、すべてを移行した後のWordPress.comのウェブサイトの扱いです。
WordPress.comのウェブサイトのURLによって、2つの選択肢があります。
WordPress.comとWordPress.orgで同じURLを使用している場合
WordPress.comで独自のURLを使用していて(例:「yoursite.com
」)、WordPress.orgのサイトでも同じURL「yoursite.com
」を使用する場合は、旧WordPress.comサイトを非公開にするだけで済みます。
WordPress.com管理画面の「設定」に移動し、「プライバシー」セクションの「非公開」を選択します。
WordPress.comとWordPress.orgで異なるURLを使用している場合
WordPress.comからWordPress.orgへの移行の過程でサイトのURLを変更した場合は(例:「yoursite.wordpress.com
」から「yoursite.com
」)、やや複雑になります。
技術的には、「yoursite.wordpress.com
」と「yoursite.com
」の2つのバージョンが存在することになります。
これには、以下のような懸念点があります。
- サイト訪問者が古い被リンクをクリックして、「
yoursite.com
」ではなく、「yoursite.wordpress.com
」にアクセスする可能性がある。 - Googleが重複したコンテンツを検出し、検索結果で上位に表示すべきサイトがどちらかわからなくなる。
この問題を解決するには、リダイレクトを設定します。リダイレクトによって、「yoursite.wordpress.com
」にアクセスしようとした訪問者は、自動的に「yoursite.com
」へ転送されるようになります。
WordPress.comでのリダイレクト設定には、年間13ドルの費用がかかります。
多少の費用が発生するものの、既存の顧客を失うことを考えれば、支払う価値はあります。
リダイレクトを設定するには、こちらのページにアクセスし、移行したサイトを選択します。
次に、リダイレクト先のドメインを入力して、「Go(実行)」をクリックします。
その後、支払い情報を入力して完了です。
予算に限りがある場合は、上でご紹介した方法で、旧サイトを非公開にするという手もありますが、WordPress.comでこれまで獲得してきたサイトへのアクセスやリンクはすべて失われるため、お勧めはできません。
Jetpackを介してWordPress.comの機能を使用する
これで、ほぼ移行作業は完了です。
最後に1つだけ。
もし、WordPress.comの機能(サブスクリプション機能など)を使いたければ、無料のJetpackプラグインを使用して、WordPress.orgサイトをWordPress.comに接続可能です。これで、ほとんどのWordPress.comの機能を使い続けることができます。
Jetpackは、WordPress.comの運営元と同じAutomattic社によって開発されました。これによって、WordPress.orgのサイトにも、多くのWordPress.comの機能を簡単に追加できます。
まとめ
WordPress.comからWordPress.orgへの移行は、ビジネスの成長につながる大きなステップです。自己ホスティング型に移行することで、ウェブサイトをより柔軟に管理することができるようになります。その後の可能性は無限大です。
万が一、WordPress.comからWordPress.orgへの移行に問題が発生したら、WordPress開発者を雇うことを検討してみてください。熟練した開発者にとって、この手の作業は簡単なもので、Kinstaの環境であればすぐに解決できるはずです。
今回ご紹介した内容に関して、ご不明点などはありますか?下のコメント欄からお聞かせください。
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