PayPalは世界で広く利用されている決済代行サービスですが、ビジネスによっては、必要としている機能が欠如していることがあります。また、チャージバック(消費者がカード会社に支払いの取り消しを申請すること)手数料が高い、多くの企業が求める販売側のセキュリティが不十分などのデメリットがあります。

さらに、決済体験はトップクラスとは言い難く、ユーザーの決済手続きの妨げになる可能性もゼロではありません。そこで今回は、EC事業をはじめとするビジネスで効率的かつ安全に支払いを処理するのに使えるPayPal代替サービスをご紹介します。

ビジネスに適した決済代行サービス

消費者は、面倒な操作なしでスムーズに実行できる決済処理を求めています。

決済代行サービスは、従来のオンライン取引に現代的なアプローチを導入し、商品購入を簡単なものにしてくれます。

決済代行サービスの基本機能

各代替サービスを取り上げる前に、オンライン決済代行サービスの基本機能を押さえておきましょう。

多くのサービスは以下の機能を提供しています。

  • オンライン決済ポータルまたはリンク
  • 銀行振り込み
  • モバイル決済
  • 通貨換算
  • アカウント管理画面

オンライン決済代行サービスを選ぶ際は、まずウェブサイトで何が必要なのかを検討してみてください。決済代行サービスは多数存在し、その多くは同じような機能を提供しています。

それぞれの特徴を理解することで、ビジネスに適したサービスを見つけて利用することができます。

PayPal最大の競合サービス

PayPalは、最大の競合を「現金」だと述べており、同社はより多くの消費者がキャッシュレス決済で商品を購入することを促進しています。

直接的な競合サービスには、Square、Shopify ペイメント、Apple Payのような大手企業が挙げられます。

現金とは異なり、PayPalなどの決済代行サービスは、ECサイトやeBayのようなオンラインマーケットプレイスでの取引を簡素化してくれます。

PayPalの代替サービス12選

以下、PayPalに替わる決済代行サービスの主な機能と手数料をご紹介します。順に目を通すか、気になるものがあれば、以下のリンクをクリックして飛ぶことができます。

1. SBペイメントサービス

SBペイメントサービス
SBペイメントサービス

SBペイメントサービスはソフトバンクグループの子会社で、オンライン決済を導入したいビジネスに必要な決済機能を幅広く提供しています。クレジットカード、コンビニ決済、銀行振込、キャリア決済など、40ブランド以上の豊富な決済手段に対応しているため、消費者のあらゆるニーズに対応可能です。

セキュリティ面でも、AI不正検知や3Dセキュア、カード情報の非保持化、チャージバック保証サービスなどの機能を提供しています。また、トラブルが発生した場合のサポートも充実しています。同社のウェブサイトによると、決済取扱高8.0兆円、売上処理件数は5億3,884万件と業界トップクラスの取扱実績を誇ります。

オンライン決済サービス、店舗向け決済サービス、支払代行サービスなど、それぞれの料金は業種や取扱高によって異なるため、問い合わせが必要です。

2. GMOペイメントゲートウェイ

GMOペイメントゲートウェイ
GMOペイメントゲートウェイ

GMOインターネットグループ株式会社が提供するGMOペイメントゲートウェイもまた、ECサイトおよび実店舗に決済システムを導入することができる別の選択肢です。クレジットカード決済をはじめ、コンビニ決済、銀行振込、キャリア決済、後払い決済など、国内外合わせて32の支払い方法を提供し、2024年には15万以上のEC事業者や公的機関に選ばれています。

PCI DSS Ver4.0.1への完全準拠はもちろん、情報漏洩、不正利用、クレジットマスターというEC事業者が無視できないリスクへの対策が充実しています。また、取引データの分析機能や、ECサイト運営では避けて通れない決済のキャンセル・返金機能もあるのが便利です。さらに手厚いサポートを売りにしており、HDI国際認定を取得したカスタマーサポート部門が管理画面の使い方から技術的な問題まで支援してくれます。

GMOペイメントゲートウェイも利用料金の確認には問い合わせが必要です。試しに利用してみたいという場合は、テスト環境の作成を申請することもできます。

3. KOMOJU

KOMOJU
KOMOJU

KOMOJU(コモジュ)は、日本国内外に対応する決済代行サービスで、ECサイトに適した決済機能を提供しています。

クレジットカード決済、コンビニ決済、キャリア決済、PayPal、Apple Payなど、多数の決済方法を一元管理することができ、特に日本国内の消費者を考慮した決済手段が揃っています。モバイル端末対応で、利便性にも優れています。

KOMOJU最大の特徴は、支払い処理の柔軟性にあり、複数の決済方法を一度に導入できるため、さまざまな決済ニーズを持つユーザーに対応できます。API連携も簡単で、システムへの組み込みをスムーズに行うことができるため、オンラインビジネスの立ち上げや運営を効率化できます。

決済手数料は取引額に応じて異なり、EC事業者向けであれば日本でのクレジットカード決済の手数料は一律3.25%、コンビニ決済の手数料は一律2.75%となっています。月額料金や初期費用はありません。

4. ZEUS

ZEUS
ZEUS

ZEUS(ゼウス)は、株式会社ジャパンネット銀行が提供する決済代行サービスです。

その他のサービス同様、クレジットカード決済、コンビニ決済、銀行振込、後払い決済などの豊富な決済手段を提供し、シンプルで直感的な管理画面を提供しているため、初めてオンライン決済を導入する企業も簡単に利用できます。日本国内1万4,000サイトに選ばれています。

また、最新版PCI DSSへの完全準拠、多要素認証の実施、暗号化プロトコルの使用、ファイアウォールの導入、不正アクセス監視など、セキュリティに対する取り組みも徹底しており、顧客情報や取引データの安全性を確保できます。

決済手数料は、BtoCプランの場合、クレジットカード決済の手数料は〜3.5%、月額料金は3,000円です。また、クレジットカード決済と合わせて申し込み可能な「あと払い決済」(コンビニ払い)は、初期費用と月額料金は無料で、手数料は〜3.9%です。詳しい情報はこちらをご覧ください。

 

5. ペイジェント

ペイジェント
ペイジェント

ペイジェントもまた、特に日本オンラインサイト向けに多様な決済方法を提供しています。

シンプルな導入と運用管理が特徴であり、豊富な決済方法によりあらゆるビジネスに適したサービスを提案しています。カード情報の非保持化やEMV3-Dセキュア(3Dセキュア2.0)導入のサポート、国際セキュリティ基準をクリアしているなど、高い安全性も保証されます。

利用料金や手数料に関しては、ウェブサイトには記載されておらず、同サービスに興味がある場合には、問い合わせが必要になります。

6. Amazon Pay

Amazon Pay
Amazon Pay

Amazon Payは、Amazonアカウント所有者のシームレスな決済を実現することができます。Amazon Payを通じて処理された支払いには、「Amazon A to Z 保証」が適用され、購入商品に関する補償が約束されます。

この決済代行サービスは、Amazonアカウントを持つユーザーのみ利用可能で、購入前にアカウントへのログインが要求されます。これは詐欺検出サービスとともに、決済時の問題を減らすのに役立ちます。

ワンクリックで注文できるインターフェースで知られており、その使いやすさは競争上の優位性となっています。決済手数料は取引ごとに3.9%、デジタル商材は4.5%です。初期費用、月額費用、処理費用などはかかりません。

7. Stripe

Stripe
Stripe

Stripeは、「インターネットの決済インフラ」を謳う決済代行サービスで、あらゆる規模の企業にサービスを提供しています。その爆発的な収益とシェアの拡大により、オンライン決済代行市場ではPayPalに次ぐシェアを占めています。

Stripeは柔軟性が高く、ECサイトに1つの統合機能を導入するだけで、世界中のユーザーと取引を行うことができます。処理はすべてその地域ごとで行われ、カード番号とキーは暗号化されて、セキュリティを考慮し別々に保存されます。

決済プロセスのあらゆる側面を網羅し、決済処理の調整、最適化の評価、不正警告の確認、ベンダーの照合、レポートの作成などを包括的に実行することができます。また、QuickBooksやNetSuiteを含む数多くの統合機能を提供し、支払い方法を会計元帳に直接接続します。

Stripeの手数料は、クレジットカードとデジタルウォレット、コンビニ決済は3.6%、銀行振込は1.5%です。詳しい料金体系はこちらをご覧ください。StripeとPayPalの比較はこちらでご紹介しています。

8. Google Pay

Google Pay
Google Pay

Google Payは、世界中の数百万店舗で利用されている非接触型決済サービスを提供しています。クレジットカード番号の代わりに暗号化された番号を利用することで、セキュリティが強化されます。

消費者は、メールアドレスや電話番号を使って送金や返金の受け取りなどを行うことができ、企業はオンラインストアでの支払い方法の選択肢として、Google Payに対応することができます。

さらに、Google PayとPassesアプリを統合して、Passesアプリでロイヤルティプログラムやキャンペーン、ギフトカードなどを直接サポートすることも。位置情報に基づいた通知で消費者をターゲットにすることも可能です。

通常のクレジットカード手数料は発生しますが、加盟店手数料は発生しません。

9. Apple Pay

Apple Pay
Apple Pay

Apple Payは、Apple製品を持つユーザーのキャッシュレス決済を可能にします。商品の購入だけでなく、送金や返金の受け取りもできるため、どこでも使いやすい決済手段です。

オンラインではワンクリックで支払いを行うことができ、店頭ではiPhoneやApple Watchでタッチ決済が可能です。MacのTouch IDとも互換性があり、買い物がより手軽になります。

企業はApple Payだけで取引を行うこともできれば、他の支払い方法と併用することもできます。加盟店は自社の特典プログラムをApple Payを通じて扱うことも可能です。ほとんどのカード発行会社や決済代行サービスと互換性があり、企業への手数料の転嫁はありません。

10. Square

Square
Square

Squareは安全に複数の支払い手段に対応することのできるサービスです。

消費者に自動請求を行うことが可能で、保存済みの顧客情報を素早く引き出し、迅速に決済処理を行うことができます。

対面取引用の端末も提供しており、オンライン取引はもちろん、Squareリーダーをスワイプかタップ、またはキー入力式支払い端末を使って買い物をすることができます。

Squareの価格設定は非常にシンプルで、対面(クレジットカード、QRコード、電子マネー)の場合は新規申し込みの場合は2.5%、通常手数料は3.25%、非対面の場合(カード情報の手入力など)は3.75%、オンラインの場合は3.6%となっています。価格設定の詳細はこちらをご覧ください。StripeとSquareの比較はこちらでご紹介しています。

11. Shopify ペイメント

Shopify ペイメント
Shopify ペイメント

Shopify ペイメントは、世界で広く利用されているECプラットフォームの決済代行サービスです。シンプルさを追求した使いやすいソリューションです。

一般的に使用される支払い方法と通貨に対応し、何十万もの企業に選ばれています。また、PCI DSS準拠や決済データの暗号化などのセキュリティ機能も搭載されています。すでにShopifyでECサイトを運営している場合は、注文の追跡と決済処理を1箇所で行うことができ便利です。

Shopify ペイメントの料金プランは3種類あり、個人事業主向けのBasicプランは月額4,850円、オンラインカード決済手数料は取引ごとに3.55%で利用できます。最初の3ヶ月間は月額150円、また年額プランを選ぶと25%割引が適用されます。

12. Adyen

Adyen
Adyen

Adyenは成長、収益、そして加盟店との真のパートナーシップを重視するサービスです。世界中の言語と通貨に対応しているため、日本国内でも利用できます。

さらに、決済時に頻繁に買い物を行うユーザーを認識できるという他にはない顧客体験も提供しています。購買データをもとに、プロファイルを作成し、顧客に関する豊富なインサイトを取得できます。

Adyenの手数料は地域や決済方法によって異なります。例えば、日本のJCBカード支払いの場合は、取引ごとに3.75%の手数料と処理手数料が発生します。手数料の詳細はこちらをご覧ください。

まとめ

PayPalは世界最大とも言える決済代行サービスですが、ビジネスにはそれぞれ独自の用途や要件があり、必ずしもPayPalが最適とは言えません。今回は、多くのPayPal代替サービスをご紹介しました。

例えば、現在PayPalを利用していて、何か不満や問題点がある場合は、この記事を参考に、ビジネスに適した別のサービスの導入を検討してみてもいいかもしれません。手数料や機能性、安全性などにおいて、より優れた選択肢が見つかる可能性があります。

Matteo Duò

Head of Content at Kinsta and Content Marketing Consultant for WordPress plugin developers. Connect with Matteo on Twitter.