この記事では、これから初めてドメインを取得する方向けに、取得方法やヒントをご紹介します。初めてウェブサイトを立ち上げる新規事業主、新たな分野を開拓しようとしているマーケター、趣味用にサイトを作成したい方などには特に参考になるはずです。

ドメインの取得は一見複雑そうに思えますが、意外と簡単です。記事の最後に主要なドメイン取得サービスもご紹介します。

ドメインとは

ウェブサイトを家に例えるなら、ドメインはサイトの住所にあたります。例えば、Kinstaのサイトのドメイン名は「kinsta.com」です。

ドメインは、デジタルプレゼンスにおいて重要な役割を果たし、各サイトの運営者を識別する手段になります。

今でこそドメインは日常的に使われていますが、1983年以前は、IPアドレス(例:191.268.1.43)を使ってウェブサイトにアクセスしていました。IPアドレスは、インターネットに接続された各デバイスを示すものです。

数字の羅列であるIPアドレスを覚えるのには限界があったことから、1983年にIETF(Internet Engineering Task Force)によってドメインネームシステム(DNS)が導入されました。なお、ドメインを取得するのにDNSの仕組みを理解する必要はありません。

ドメインの仕組み(出典:Oracle)
ドメインの仕組み(出典:Oracle

ドメインを取得する際、以下のような用語を目にすることがあるかもしれません。

  • ドメインレジストラ:ドメインを登録・管理する会社で、いわゆる「ドメイン取得サービス」と呼ばれるのもの。ドメインレジストラは、Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)によって認定されている。
  • Whois情報検索:ドメインの所有者と所有期間を確認するツール。ICANNデータ検索が代表的。
  • トップレベルドメイン(TLD):「.com」のようなドメインの末尾に付く接尾辞。国別コードTLD(.jpや.us)、スポンサー付きTLD(.govや.eduなど)、ジェネリックTLD(.comや.orgなど)、新たに登場したジェネリックTLD(.ioなど)の4種類がある。

ウェブサイトで使用される各タイプのTLDの内訳は、以下のようになっています。

TLDタイプ別ドメイン分布(出典:Domainnamestat)
TLDタイプ別ドメイン分布(出典:Domainnamestat

ドメインはできるだけ早く取得するのが吉

Verisignによると、2025年第2四半期時点のドメイン登録件数は3億7170万件を超えており、前年に比べて2.6%(970万件)増加しています。

したがって、取得したいドメイン名が決まり次第、すぐに購入することをお勧めします。取得を待っていると、その間に他のユーザーや企業に購入されてしまうかもしれません。一度所有されたドメインを誰かから購入するのは簡単ではありません。

ドメインのアイデアが見つかれば、すでにドメイン選びが始まっています。

またドメインを購入する際には、他にも使用したいドメインも合わせて取得することも検討してみてください。企業であれば、以下のようなものにドメインが必要になるかもしれません。

  • 製品ライン
  • サービス
  • カスタマーサポートプログラム
  • 顧客ロイヤルティプログラム

将来的に使用したいが、今すぐには必要ないという場合は、SeedProdのようなWordPressプラグインを使用して、ドメインに「近日公開」ページをインストールする手もあります。また、使用せずにドメインを管理するドメインパーキングという手法もあります。

すでに誰かが取得済みのドメインを購入する方法

例えば、新たなビジネスアイデアを思いつき、早速ドメインを取得しようとGoogleにアドレスを入力すると、他の人がすでに取得しているという場合があります。

どうしてもそのドメインが欲しい場合、その所有者から購入することも可能です。

ステップ1. 所有者を特定して仲介サービスに相談する

まずは、該当のサイトにアクセスして、所有者の連絡先を見つけます。これには以下の3つの状況が考えられます。

  1. ドメイン売買業者(収益目的でドメインを登録・販売する業者)が所有している
  2. 誰かが所有しているが使用されていない、またはドメインパーキング状態
  3. 誰かが所有し、本来の目的通りサイトを運営している

状況によっては、所有者から不当な金額を提示されないよう、ドメイン仲介サービスを利用することを検討することをお勧めします。これには手数料としてドメイン購入代金の何割かを支払うサービスもあれば、一律料金、時間制料金で対応するサービスもあります。

ドメインの所有者がわからない場合、またはドメインが使用されている場合は、おそらく高確率で仲介サービスを利用することになります(売却の説得が難しくなることが予想されるため)。

ステップ2. ドメイン購入を打診する

次は、ドメインの所有者に連絡を取り、ドメイン購入に興味があることを示します。

TLDとドメインを妥協すると、長期的にビジネスに支障をきたす可能性があります。例えば、「https://www.japan-tech.co.jp」と「https://japan-tech-support.xyz」であれば、前者の方が信頼性が高くなります。

TLDの信頼度を示すチャート(出典:GrowthBadger)
TLDの信頼度を示すチャート(出典:GrowthBadger

ステップ3. ドメイン購入を正式に提案する

ドメインの所有者が売却に前向きであれば、以下の情報を含めた正式なオファーを書面で用意しましょう。

  • 購入を希望するドメイン名
  • 提示価格
  • 名前と連絡先
  • 売り手がオファーを受け入れた際の受け渡し日
  • 契約条件

仲介サービスを利用する場合は、テンプレートを用意してくれたり、やり取りをまるっと代行してくれたりするかもしれません。

また、以下の点を考慮してください。

  • 価格帯を決め、これ以上は出さないという上限も設ける
  • 受け入れられる上限の価格より下げて提案する
  • 逆オファーに備える
  • 電話で口頭で提案した場合は、書面でのフォローアップを必ず行う

また、相手は両者が合意するまで価格や契約条件について交渉してくるかもしれません。最終的な価格は必ず書面で確認しましょう。

ステップ4. 契約を締結する

ドメインの購入価格が正式に決まったら、契約を結びます。契約書を交わすことで、両者にとって有益な取引が継続されます。

また、ドメインの購入費用も必要になります。売り手によっては、全額前払いを希望するかもしれません。契約時に頭金を支払い、ドメイン移管後に残りを支払う形や、仲介サービスの指示に従った支払いなど、さまざまなパターンが考えられます。

また、売り手の中には金銭を騙し取ろうとする人も存在します。そのような被害に遭わないよう、安全な支払いサービスやエスクローサービスを利用して、自分の身を守りましょう。

ドメインの支払いに暗号通貨を使用するのは避けることをおすすめします。暗号通貨の場合、売り手が取引を守らなかった際に異議を申し立てるのが難しくなることがあります。

ステップ5. ドメインを移管する

最後に、購入するドメインのICANN認定サービスを探して、所有権を自分の名義に移管する必要があります。これは、元所有者が利用していたのと同じサービスを使用することができます。

多くのレジストラは独自の移管プロセスを持っていますが、ほとんどのレジストラは、旧所有者があなたにドメインを売却し、あなたが新所有者であることを確認する必要があります。その後、レジストラが移管を処理し、移管が完了したら両者に通知します。ドメイン移管プロセスには最大60日かかる場合があり、手数料を支払う必要がある場合もあります。

旧所有者がドメインを購入してから60日未満の場合、ドメインは登録者変更ロックの対象となる可能性があります。所有者を変更するには、この期間が過ぎるまで待つ必要があります。

ドメインを購入する方法

希望しているドメインが無料であれば、取得手順はシンプルです。

ステップ1. ドメイン取得サービスを選ぶ

まずはドメインを登録するサービスを選択します。これはウェブサーバーとは異なります。

DNSホストは、ドメインを通して訪問者をサイトに接続し、サーバーはサイト用にスペースを提供します。前者は電話帳、後者は大家といったイメージです。

ドメイン取得サービスを選択する際には、以下の点を考慮してください。

  • 料金体系:各サービスには独自の料金体系があります。ものにもよりますが、平均的なドメインの料金は年間2,000円前後です(人気の高いTLDは高め)。
  • 追加サービス:ドメインパーキングとドメインプライバシーなどが挙げられます。ドメインプライバシー(またはWhoisプライバシー)は、氏名、連絡先、およびビジネスの詳細をサイトの公開リストから隠す機能です。
  • 有効期限ポリシー:ドメインを長期的に保持できるかを確認することが重要です。
  • 移管ポリシー:ドメイン取得サービスを変更したり、ドメインを後で売却したりする柔軟性が必要な場合があります。
  • SSL証明書の有無:SSL証明書はサイトの接続を暗号化し、訪問者を保護します。

ステップ2. ドメインを購入する

次に、ドメイン取得サービスのツールを用いて、希望のドメインとTLDが購入可能かを確認します。

購入できる場合はプランを選択し、決済プロセスに従います。サービスによっては、基本プランと、ドメインに結びついた仕事用メールアドレスなどのアドオンも提供しています。また、要件に合わせて拡張可能なサービスもあります。

また、多くのサービスは、複数のTLDをバンドル契約として提供しており、(「contacttree.com」「contacttree.net」「contacttree.org」など)、訪問者が正しいアドレスを見つけるのに苦労したり、競合他社がドメインを購入したりすることが懸念される場合に理想的です。

決済プロセスを進めたら、以下の情報を提供します。

  • 氏名
  • 住所
  • 組織名
  • 連絡先(メールと電話番号)
  • お支払い情報

連絡先情報を公開したくない場合は、必ずドメインプライバシーを購入しましょう。

また、登録期間の確認もお忘れなく。多くのサービスでは一度に数年分購入可能ですが、そのサービスを初めて利用する場合は、短いプランを選択することをおすすめします。

短いプランを利用することで、サービスの速度、セキュリティ、機能などに不満が出てきた場合には切り替えやすくなります。

ステップ3. ドメインの登録と所有権を確認する

次に、ドメインを登録します。これは通常、ドメイン取得サービスが代行してくれます。

完了を確認するために、詳細をチェックする必要があります。また、メールアドレスや電話番号の確認を求めるサービスもあります。

また、.eduのようなTLDを購入する場合は、さらに追加の確認が必要になることもあります。その場合は、ドメイン取得サービスの指示に従って本人確認等を行ってください。

ステップ4. サーバーを設定する

最後に、サーバーの設定を行います。これはサーバーで代行してもらうことができます。

例えば、KinstaのWordPress専用マネージドクラウドサーバーは、高速かつサイトを簡単に立ち上げることができ、立ち上げたサイトはハードウェアファイアウォール、SSL証明書、稼働状況監視、分散型サービス拒否(DDoS)攻撃保護などで自動的に保護されます。また、エンジニアによるサポートを24時間365日受けることができます。

豊富なプランの中から適したものを選択し、指示に従ってKinstaサイトにドメインを追加してください。

ドメインを無料で取得する方法

ここまではドメインを購入する方法をご紹介しましたが、お金を支払わずに無料でドメインを取得する方法もあります。これには以下の3パターンがあります。

  1. サイトと一緒に無料ドメインを提供するサーバーに登録する
  2. WordPress、Tumblr、Squarespaceのようなサイトビルダーでサイトを作成する(TLDは.wordpress、.tumblr、.squarespaceのようになる)
  3. 無料ドメインを提供しているTLDで無料ドメインを取得する(TLDは.ml、.ga、.cf、.gqのようになる)

良いドメインを無料で取得することも可能ではありますが、ドメインがサイトをどれほどプロフェッショナルに見せるかを考慮してください。サイトのTLDは、正当性、権威、信頼性を訪問者に伝えます。

ユーザーは、馴染みのあるTLDを信頼するもの。現在ドメインの37%以上が「.com」を使用しているため、「,ml」や「.tumblr」のような見慣れないものより、「.com」や「.jp」などのようなドメインに投資するほうが長期的には賢明かもしれません。

TLDの分布(出典:Domainnamestat)
TLDの分布(出典:Domainnamestat

おすすめのドメイン取得サービス

ドメインを初めて購入する場合は、どこで購入すべきか迷うかもしれません。最後に、主要ドメイン取得サービスとその特徴をご紹介します。

お名前.com

お名前.com
お名前.com

お名前.comは、GMOインターネットグループが提供する国内シェアNo.1のドメイン登録サービスです。豊富な種類のドメインを安価に取得できるのが特徴で、キャンペーンを利用すれば1円(あるいは0円)で購入できるドメインがあるため、初期費用を抑えたいユーザーに人気です。レンタルサーバーも提供しているため、ドメインと合わせて一括で管理できる利便性もあります。

特徴

  • 国内シェアは15年連続No. 1
  • 取扱ドメインの種類が豊富
  • フォームまたは平日10時〜18時の電話(会員のみ)によるサポート
  • レンタルサーバーも一緒に契約すればまとめて管理可能
  • 更新料金はやや高めに設定されている場合がある
  • 別途サービス維持調整費がかかるため長期的なコストには注意が必要

XServerドメイン

XServerドメイン
XServerドメイン

XServerドメインは、エックスサーバーが提供するドメイン取得サービスです。「.com」や「.net」、企業向けの「.co.jp」などの人気ドメインを年額1円から取得可能でき、取得と更新の料金は国内最安水準を謳っています。また、維持調整費やオプション料金もありません。DNS設定やWhois代理公開機能、ドメインプロテクション設定なども用意されているため、企業サイトにも有用です。

特徴

  • レンタルサーバー事業で国内シェア1位のエックスサーバーが運営
  • シンプルな料金体系
  • メール、または平日10時~18時にチャットか電話によるサポート
  • 取得・更新費用が非常に安価で、長期的なコストを抑えやすい
  • エックスサーバーとセットで利用すると独自ドメイン永久無料特典あり
  • Whois情報代理公開機能
  • 特別価格のドメインには個数制限あり
  • 「.com」「.net」「.jp」などは1円から購入
  • サービス維持調整費やオプション料金などの追加料金なし

ムームードメイン

ムームードメイン
ムームードメイン

ムームードメインは、レンタルサーバーのロリポップ!と同じGMOペパボが運営するドメイン取得サービスです。管理画面がシンプルで初心者でも使いやすく、例によってロリポップ!と一緒に利用すると、ドメインの取得と更新が無料になるのが魅力的です。

特徴

  • 新規取得費用は安いが、更新料金は平均程度
  • ロリポップ!と同時契約するとドメインの取得および更新費用が永久無料
  • メール(2営業日以内に返信)、または平日9時30分〜13時、14時〜17時30分でチャットによるサポート
  • 初心者向けにドメイン設定の代行サービスあり(有料)
  • 管理画面が直感的で使いやすい

さくらのドメイン

さくらのドメイン
さくらのドメイン

さくらのドメインは、長年の実績を持つ老舗のさくらインターネットが提供するドメイン取得サービスです。価格は他のサービスよりもやや高めですが、その分電話対応を含む手厚いサポート体制と老舗ならではの信頼性を売りにしています。

特徴

  • ドメイン登録実績75万件以上
  • さくらのレンタルサーバを利用している場合は、コントロールパネルから簡単にドメイン登録可能
  • メール(翌営業日以内に返信)、有人チャット(平日10時〜18時)、電話(予約制・平日10時〜18時)によるサポート
  • 「.co.jp」ドメインは会社設立6ヶ月前から仮登録可能
  • 取り扱っているドメインの種類は少なめ

バリュードメイン

バリュードメイン
バリュードメイン

バリュードメインもまた、豊富なドメインの中からドメインを非常に安価に購入できるサービスです。多数のドメインを管理する上級者や、費用をとにかく抑えたいユーザーに定評があります。初心者には管理画面がやや複雑に感じられることがあります。

特徴

  • ドメイン登録件数700万件以上
  • ドメインの種類は570種類以上
  • 取得料金と更新料金ともに低価格で、キャンペーンを利用するとさらに安くなることも
  • ドメインのまとめ買いで割引あり
  • Whois情報公開代行が無料
  • 初心者から上級者までを考慮した各種追加サービス
  • 同社提供レンタルサーバーのCORESERVER V2プランを利用すると対象ドメインの更新が永久無料

まとめ

ドメインの取得は、ビジネスオーナー、ブロガー、デジタルマーケターにとって、ビジネスを始めるための最初の壁になりますが、今回ご紹介した通り、意外と簡単です。ドメインを取得する際は、以下をお忘れなく。

  • ドメインを購入時には契約条件をよく確認し、追加料金を請求されないように注意
  • ドメインのプライバシーを守る
  • ドメインの有効期限を記録しておく(失効しないため)
Salman Ravoof

独学のウェブ開発者、ライター、クリエイターでもあり、大の無料オープンソースソフトウェア(FOSS)好き。その他の好きなものは、科学、哲学、写真、芸術、猫、そして食。詳しい仕事情報はウェブサイトおよびXアカウントで公開している。