ワンストップ対応のWeb制作会社を経営することは、デザイン、開発、マーケティングのすべてを請け負うことを意味します。各分野の課題に対処しながら、クライアントに効率的にサービスを提供しなければなりません。

しかしWeb制作事業が成長するにつれて、亀裂が生じることがあります。たとえば、あるクライアントサイトではキャンペーンを昨日中に開始する必要があり、別のクライアントからはカスタム機能の追加を依頼され、さらに別のサイトではトラフィックの急増に対応しなければならないなど、作業が常に割り込みます。こうした中で、ステージング、更新、修正に貴重な時間を浪費してしまうことも少なくありません。

Web制作事業の速度を低下させる要因は、実は創造性や戦略ではなく、それを支えるインフラにあります。したがって、抱えているプロジェクトを進行しながら、クライアントが期待する結果を提供し、無理なく事業をスケールアップするには、適切なサーバー選びが重要です。

今回は、ワンストップで対応するWeb制作事業が直面する大きな課題、そして賢いサーバー選びでよりスムーズに事業を拡大する方法をご紹介します。

ワンストップ対応Web制作会社の規模拡大における課題

クライアントが1社しかいない場合は、細部に時間を割き、都度承認を求め、問題発生時にはじっくりとトラブルシューティングすることができるため、同様のサービスを数十、数百のクライアントに拡大すると、徐々に立ち行かなくなります。

ワンストップで対応する場合は特に顕著で、多くの場合、まったく異なる要件や技術スタックを持つクライアントに対して、ウェブ開発パフォーマンス最適化クリエイティブキャンペーン、継続的なマーケティングサポートなどを行わなければなりません。

その多様性は貴重なアセットではありますが、同時に運用負荷も倍増します。たとえば、開発者はWordPressサイトの構築やプラグインの競合に対応し、マーケティング担当者はキャンペーン開始前の修正を待ち、アカウントマネージャーはパフォーマンス低下やスケジュールの遅れが発生した際に、クライアントへの対応に追われるといった状況が生まれます。

具体的には、以下のような事態が発生します。

  • 断片的なサーバー環境:あるクライアントは信頼性の高いサーバーを利用している一方、別のクライアントは依然として格安共用サーバーを使っており、また別のクライアントは時代錯誤の技術に固執しているというような状況の場合、現状維持のためだけに異なる3つのワークフローを作成せざるおえない。
  • キャンペーンの混乱:小売クライアントのブラックフライデーセールが開始された途端、サイトがトラフィックの急増に耐えきれずダウン。開発者はリアルタイムでパフォーマンスの修正に追われ、マーケティング担当者は実行中のキャンペーンを中断し、その間にも売上は分単位で失われていくことに。
  • ステージング環境の停滞:デザインチームがランディングページをまとめて納品し、ステージングサイトがバグだらけであったり、信じられないほど低速だったりすることも。その結果、品質チェック(QA)に何日もかかり、キャンペーンテストも開始できず、ローンチのスケジュールがどんどん遅れて行くことに。クライアントは遅延の原因を知らないが、社内ではインフラの問題であることを認識しているというのが一般的。
  • クライアントの期待とチームの対応能力のギャップ:あるクライアントは日次レポートを求め、別のクライアントからは緊急の決済ページの修正依頼、また別のクライアントからはSEOの改善を求められるという状況では、一元化されたツールがなければ、アカウントマネージャーは基本的な業務に何時間も費やすことに。

これらの問題が数十ものアカウントで発生すると、シンプルだったワークフローは常に緊急対応が必要な場と化します。事業が拡大するほど、そのトレードオフは厳しく、人員を増やすか、制作にかかかるのと同じくらいの時間をトラブルシューティングに費やすかの二択に。どちらも持続可能ではありません。

事業規模を拡大していくには、業務を支えてくれるサポートを見直す必要があります。信頼できるインフラがないとチーム全体に本来が発生しない負荷がかかり、どんなキャンペーンの失敗よりも事業成長の妨げになります。

したがって、人材やプロセスだけでなく、全体を動かすWordPressのインフラが次の課題です。

規模拡大にはWordPressのインフラが鍵

クライアントが直接目にするデザインやキャンペーン、メッセージ戦略に焦点を当てがちですが、Web制作事業を拡大し、成果を継続的に出す真の力は、その裏側にあるインフラにかかっています。

インフラを選ぶ際には、事業の成功を直接左右する以下5つの要素を考慮しなければなりません。

  • 稼働率数分サイトがオフラインになっただけでも、数千ドルの損失になりかねない。
  • パフォーマンス:読み込みの遅いページはコンバージョンを減らし、広告の品質スコアを下げ、SEOに悪影響を与える(たとえば決済ページの読み込みに2秒かかるとカゴ落ち率は2倍に)
  • セキュリティ:一度の情報漏えいは、1つのクライアントに打撃を与えるだけでなく、会社全体の信用を損なうことに。
  • 拡張性:キャンペーンで見込まれるトラフィック急増の負荷にインフラが耐えられなければ、最適化どころではなく、会社存続が危ぶまれる可能性も。
  • ワークフローの効率性:スピードや稼働率だけでなく、開発者、マーケター、アカウントマネージャーには、ステージング、役割ベースのアクセス制御、リアルタイムの分析が不可欠。

インフラが不十分だと、その影響は甚大です。開発者は構築ではなく修復に追われ、マーケターはキャンペーンの延期を余儀なくされ、アカウントマネージャーは顧客の不満対応に時間を費やします。外部からは単なる「技術的な問題」に見えますが、内部では時間の損失、収益機会の逸失、そして信頼の失墜につながります。

規模が大きくなると、このような非効率が自社の限界を決めることになります。対応できるクライアントの数が制限され、複雑なプロジェクトを自信を持って引き受けることができなくなります。逆に堅牢なインフラを確保すれば、スムーズなやり取り、信頼できる成果、そして無理なく事業を拡大する基盤を作ることができます。

複数クライアント向けツールで共同作業のボトルネックを解消

複数のクライアントサイトの管理は、長期的な関係性を維持しながら、ECストアを立ち上げ、直後にSaaSランディングページの調整を行うなど、あらゆるタスクを常に切り替えながら進めていくことを意味します。それぞれのプロジェクトが異なる環境にある場合は、摩擦が生じるのが一般的です。

Kinstaでは、複数クライアントを抱えるWeb制作会社向けに、そんな摩擦を取り除くツールを提供しています。

例えば、1つのコントロールパネルですべてのプロジェクトを確認、管理することができます。ドメインデータベースバックアップ、使用統計が一目でわかり、役割ベースのアクセス制御で、開発者、マーケター、クライアントにそれぞれ必要な権限をきめ細かに割り当てることができます。結果として、エラーの減少、迅速な引き継ぎ、スムーズなオンボーディングが可能になります。

Kinstaでクライアントサイトを一元管理すればスムーズな開発が可能に
Kinstaでクライアントサイトを一元管理すればスムーズな開発が可能に

また、クリックで作成可能なステージング環境で、開発者は更新や統合のテスト、マーケターは実際のキャンペーン環境のプレビュー、クラウアントはスクリーンショットではなく実際に動作するテストサイトの確認を安全に行うことができます。承認も早く立ち上げもスムーズなため、サイトのダウンを心配する必要もありません。

MyKinstaで簡単にステージング環境を作成
MyKinstaで簡単にステージング環境を作成

MyKinstaリアルタイム分析は、サイトスピード、稼働率、コアウェブバイタル(Core Web Vitals)をキャンペーンパフォーマンスに直接関連づけることができるため、漠然とした安心感ではなく、確かな数字をミーティングでクライアントに提示することができます。

MyKinstaの分析機能
MyKinstaの分析機能

これらのツールを併用することで、手間のかかる共同作業は効率的なプロセスに変身します。開発者は構築、マーケターは立ち上げ、アカウントマネージャーは的確なサポートを継続することができます。

KinstaはWeb制作会社思いのサーバー

とはいえ、当然ながらWeb制作会社の評価は、社内ワークフローの効率性ではなく、クライアントが実感する結果で決まります。

だからこそ、適切なサーバー選びは、単にサイトを稼働するものではなく、チームがより迅速に、少ない障害で、数字で示せる成果を提供するために欠かせません。

Kinstaのプラットフォームはこれを念頭において構築されています。

  • いち早く結果を提供内蔵CDNエッジキャッシュを含むスピード重視のインフラストラクチャは、クライアントに競争上の優位性をもたらします。より高速なサイトは、ユーザーエクスペリエンスが高まり、コンバージョン率、広告の品質スコア、SEOを改善します。
  • 負荷の削減:ステージング環境、分析、自動バックアップがコントロールパネルに組み込まれているため、トラブルシューティングに費やす時間を減らし、ビジネス成長につながる業務に集中することができます。
  • 顧客維持率の向上:安定した稼働率とパフォーマンス、積極的なサポートにより、顧客は定着します。サーバーの性能が目に見えなくても、キャンペーンがスムーズに実行され、トラフィックの急増時にも高いパフォーマンスを発揮すれば、クライアントは必ず気がつきます。

そしてKinstaを利用する最大のメリットは、自社がより高く評価される点にあります。インフラ周りの負担を解消しながら、クライアントには信頼性に優れ、パフォーマンスの高いサイトを提供可能です。戦略、デザイン、マーケティングの業務により集中できるため、結果として無理なくより質の高いサービスを提供できるようになります。

KinstaのWeb制作業向けWordPress専用マネージドクラウドサーバー
KinstaのWeb制作業向けWordPress専用マネージドクラウドサーバー

KinstaのWordPress専用マネージドクラウドサーバーの詳細はこちら、またWeb制作業向けプランの特典はこちらをご覧ください。

まとめ

ワンストップ対応のWeb制作事業の拡大は、より多くの人材確保やより大きなクライアントの獲得に注力するだけでなく、デザイン、開発、マーケティング、顧客管理など、あらゆる業務を支える基盤を構築しなければなりません。

不安定なインフラは、キャンペーンの遅延、収益につながる貴重な時間の損失、クライアントの成果への疑問など、あらゆる側面に影響を与えます。

このような限界を突破するには、サーバーを後付けではなく、「パートナー」として扱うことが重要です。Kinstaでは、スピード、安定性、スケーラビリティを実現するインフラに加えて、共同作業を簡素化するツールも提供しています。これはより迅速なローンチ、より信頼性の高いキャンペーン、そして長期的なクライアントの関係構築につながります。

Web制作事業の拡大をお考えでしたら、Kinstaの営業部門にお気軽にお問い合わせください。詳しくご案内させていただきます。

Jeremy Holcombe Kinsta

Kinstaのコンテンツ&マーケティングエディター、WordPress開発者、コンテンツライター。WordPress以外の趣味は、ビーチでのんびりすること、ゴルフ、映画。高身長が特徴。