最近では日本でも浸透してきましたが、ブラックフライデーおよびサイバーマンデーは、オンラインビジネスにとって世界的に重要なイベントです。いずれもアメリカ発祥の大規模なセール期間で、ブラックフライデーは11月の第四木曜日の感謝祭(サンクスギビング)の翌日の金曜日から始まり、サイバーマンデーはその翌週の月曜日に行われます。

今回の記事では、昨年、2024年のこのセール期間にKinstaでホスティングするサイトが受けた影響を掘り下げていきます。多くのECサイトを含む数万件のサイトから詳細なデータを収集しました。

ブラックフライデーとサイバーマンデーにおけるサイトパフォーマンスの重要性を理解するのに役立つ以下の指標を取得しています。

  • サーバーリクエスト─サイトが受け取ったリクエストの総数
  • 帯域幅の使用量─ピーク時のデータ転送量
  • キャッシュコンテンツと動的コンテンツ─静的コンテンツ(キャッシュされたコンテンツ)と動的コンテンツ(インタラクティブなコンテンツ)のリクエストの割合

また、世界各地の動向をみるため、地域別の傾向も調査し、トラフィックのピーク時に企業が直面するリスクを理解するため、セキュリティ活動も監視しました。

この調査の目的は、ブラックフライデーおよびサイバーマンデーに消費者がどのようにサイトを利用しているかに関する実用的な洞察を得ることです。調査結果を分類し、ECサイトの成功につながる戦略、そして今後のセール期間にサイトを最適化してパフォーマンスを改善し、収益を最大化するヒントをご紹介していきます。

購買意欲のある消費者はブラックフライデーに集中

ブラックフライデーとサイバーマンデーに集まる訪問者は種類が異なることがわかりました。ブラックフライデーには、購買意欲のある消費者が集まるのとは対照的に、サイバーマンデーでは商品を物色したり、比較したり、最大限お得に商品を購入したりするリサーチ目的でサイトを訪れるユーザーが急増します。

以下は、ブラックフライデー(黄色)とサイバーマンデー(オレンジ)の総トラフィック、キャッシュトラフィック、決済関連のアクティビティを比較してみます。

ブラックフライデーとサイバーマンデーのトラフィック傾向の比較
ブラックフライデーとサイバーマンデーのトラフィック傾向の比較

上のグラフから、ブラックフライデーとサイバーマンデーが異なる役割を果たしていることがわかります。ブラックフライデーの総トラフィックは、通常時と比較して4.2%減少しています。一見するとエンゲージメントが低下しているように見えますが、ECサイトのトラフィックは7.2%増加し、その他のトラフィックが9.2%減少しています。

ブラックフライデーに集まるユーザーは通常、古くなってきたスマホのお得な機種変更など、お目当ての商品があることが多く、「20%割引」という表記を見てすぐに小売業者のサイトにアクセスし、決済を行う可能性があります。この集中的な行動は、ブラックフライデーの決済ページへのトラフィックが24.1%増加したことでも裏付けられており、商品一覧やランディングページなどの静的なページよりも、買い物カゴや決済ページなどの動的な要素とのやり取りが増えています。

一方、サイバーマンデーの傾向はそれとは異なり、他のサイトからのトラフィックが56.5%増加し、ECサイトのアクティビティが10.9%増加したことで、総トラフィックは42.5%増加しています。サイバーマンデーは閲覧数が増える日であり、買い物客は複数の商品を検討し、比較して、お買い得な商品を調査します。

例えば、新しいランニングシューズを探しているユーザーは、サイバーマンデーに3つのオンラインストアを訪問し、ユーザーレビューに目を通し、価格を比較してから最終決定を下している可能性があります。ブラックフライデーは即決で商品を購入する人が多いのに対し、サイバーマンデーでは吟味して商品を購入する人が増えています。これは決済ページへのトラフィックが21%増加したことからも明らかで、多くのユーザーがじっくりと商品を閲覧した後に購入を決めていることを示しています。

両日の訪問者を購入者に変える方法

より多くの訪問者を購入者に変えるには、訪問者の意図を考慮することが重要です。上のデータから分かる通り、ブラックフライデーの買い物客は素早く簡単に決済できることを求めており、サイバーマンデーの買い物客はブラウジングに時間をかけます。消費者にとっての摩擦をなくし、コンバージョンに十分な時間、消費者を引きつけることが鍵になります。以下、いくつかヒントをご紹介します。

1.チェックアウトを迅速かつ摩擦のないものにする

ブラックフライデーの買い物客はお目当ての商品をスムーズに購入したいもの。決済プロセスはできる限り高速で摩擦のないものにする必要があります。些細な時間のロスや不必要なステップはカゴ落ちの原因となります。

ECサイトにおけるカゴ落ちの統計(出典:Neil Patel)
ECサイトにおけるカゴ落ちの統計(出典:Neil Patel

このとき企業が犯しがちなミスは、決済前にアカウント作成を要求することです。Visual Website Optimizerの調査によると、オンライン買い物客の23%は、アカウント登録が必要な買い物を放棄しています。アカウント登録なしで商品を購入できるオプションを提供すれば、ユーザーは手間をかけずに商品を購入できます。

またサイト速度も重要です。読み込みの遅い決済ページは、せっかくの収益アップの機会を台無しにしかねません。セール期間前にトラフィックが多い状況で決済プロセスをテストしてください。ピーク時の負荷を再現し、ボトルネックがないかをチェックし、決済システムが重要なタイミングで遅くなったり失敗したりしないようにしましょう。

高性能なサーバーもまた、ブラックフライデー期間のサイトのダウンや速度低下を防ぐ上で大きな役割を果たします。サイトがトラフィックの急増に対応できなければ、どれほどお得な価格で商品を提供しても、消費者は離れてしまいます。例えば、KinstaのWordPress専用マネージドクラウドサーバーは、需要に応じて柔軟に拡張できるように設計されており、突然のトラフィックの急増下でも高速に読み込まれるサイトを維持できます。

2. サイバーマンデーに訪れる消費者を引きつける

サイバーマンデーの訪問者は、単に割引を求めているだけではありません。

ユーザーをサイトに長く留める1つの方法は、豊富なコンテンツの提供です。詳細な製品比較、カスタマーレビュー、動画による商品説明を追加することで、購入を迷っているユーザーの背中を押すことができます。例えば、ゲーム用のヘッドホンを探して複数のストアを閲覧しているユーザーにとって、主要な違いを強調したわかりやすい比較表は非常に参考になり、商品購入にかかる時間も削減できるため、そのサイトでの購入を決断する可能性が高まります。

サイバーマンデーには、キュレーションされたカテゴリーも効果的です。例えば、「5,000円以下で買えるお買い得商品」コーナーやまとめ記事は、優柔不断な買い物客を引きつけ、購入したいと思う商品を見つけやすくします。Amazonのタイムセールは、注目を集めて緊急性を高め、ユーザーを引きつけるように設計されています。

3. すぐに購入しないサイバーマンデーの買い物客をリターゲティングする

サイバーマンデーは、商品をただ閲覧するユーザーが多いため、それらの訪問者を呼び戻すことが重要です。これには、リターゲティングキャンペーンが効果的になります。カゴ落ちメールを送信して買い物カゴに残した商品をリマインドしたり、プッシュ通知を使って値下げや期間限定の割引を宣伝したりすることができます。

買い物客がランニングシューズを買い物カゴに入れたまま離脱した場合、「購入を迷っていますか?今ならさらに10%オフになります」などのメッセージを送ることで、購買意欲を高めることができます。

ライブチャットサポートの設置もまた、サイバーマンデーの買い物客の商品購入を後押しすることができます。商品の特定の詳細、配送、返品ポリシーに関する情報がわからず購入をやめるユーザーは少なくありません。そのようなユーザーにチャットで対応することで、売上をアップすることができます。

4. フォローアップの自動化で収益を拡大する

マーケティングオートメーション(MA)により、自動で売上を拡大することも可能です。サイバーマンデー期間の訪問者は、何も買わずにサイトを離脱することがよくありますが、セール終了後も特別割引や再入荷通知などのフォローアップ情報をメールで自動配信することで、コンバージョンを促進することができます。

例えば、「ご好評につきサイバーマンデー延長!本日限定15%オフ」のような内容のメールを翌日に送信することで、購入を迷っていたユーザーを呼び戻すことができます。また、初めて買い物をしたユーザーにVIP割引コードを送り、リピーターに変換する手もあります。

サイバーマンデーはPCからのアクセスが急増

ブラックフライデーとサイバーマンデーのいずれにおいても、モバイルやタブレット端末からのアクセスは重要になりますが、データを分析すると、サイバーマンデーではPCからのアクセスが急増しており、商品のリサーチや決済にはPCが好まれる傾向にあることがわかります。

以下、ブラックフライデー(黄色)とサイバーマンデー(オレンジ)のデバイス利用率を比較してみます。

ブラックフライデーとサイバーマンデーのデバイス利用比較
ブラックフライデーとサイバーマンデーのデバイス利用比較

上のグラフから、サイバーマンデーのPCトラフィックは21.5%増加していることがわかります。これは、買い物客がサイトを利用する際、特に商品の比較やレビューの閲覧、コンテンツのブラウジングなどの調査を行う際には、PCを好んでいることを裏付けています。

対照的に、ブラックフライデーではPCトラフィックが7.4%減少しています。これは、買い物客がより効率的にお目当ての商品を購入できるよう、モバイル端末に依存していることを示唆しています。モバイルトラフィックはブラックフライデーで 4.4%、サイバーマンデーで7.1%増加しており、外出先でのブラウジングや衝動買いにスマホが一役買っていることがわかります。

タブレット端末のトラフィックは比較的停滞しており、ブラックフライデーは3%減 、サイバーマンデーは2.1%増でした。このデータから、タブレットはPCやモバイルに比べて重要度が低く、買い物客はセール期間中、特定の要件に適したデバイスを好んで利用していることがわかります。

ECサイトが実践できること

売上獲得のチャンスであるセール期間におけるデバイスの好みの変化は、EC事業にとって、プラットフォーム間のエクスペリエンスの最適化が重要であることを意味します。

1. サイバーマンデーのPC優位性を考慮する

サイバーマンデーは商品を物色するユーザーが増え、消費者は詳細な商品ページ、比較ツール、直感的な決済プロセスを期待しています。

高解像度の画像、わかりやすい商品説明、簡単な絞り込み機能など、PC版のサイトが長時間の閲覧に最適化されていることを確認しましょう。また、セット商品や一押し商品がある場合は、購入前にユーザーが複数の選択肢を検討しやすいようにしましょう。

2. ブラックフライデーの購買ペースを考慮したモバイル最適化

ブラックフライデーはモバイルからのアクセスが増えるため、モバイル端末での決済はできるだけ高速かつスムーズに行えるようにしましょう。フォームフィールドを減らし、アカウント登録なしの決済を可能にし、モバイルUIが最小限のクリックで簡単に商品を買い物カゴに追加できるようにしましょう。

ワンクリック決済や、PayPay、Apple PayGoogle Payようなキャッシュレス決済の統合は、モバイル端末からの購入を大幅に向上させることができます。

3. デバイス別にターゲットを絞った宣伝を検討する

サイバーマンデーではPC、ブラックフライデーではモバイル端末が好まれるという傾向を元に、プロモーションを調整することができます。例えば、PC限定のサイバーマンデーセールやモバイル限定のブラックフライデータイムセールなど、ユーザーの行動に合わせてコンバージョンを促進することが可能です。

ブラックフライデー&サイバーマンデーは世界的イベント

冒頭に触れた通り、ブラックフライデーとサイバーマンデーは、アメリカの感謝祭にちなんだセールイベントですが、現在では世界的に普及しています。KinstaでホスティングしているECサイトの昨年2024年のブラックフライデーおよびサイバーマンデー期間のトラフィックデータを見ると、各地域によってどのような傾向があるかがわかります。

ブラックフライデーおよびサイバーマンデー期間中のECサイトの地域別トラフィックの変化
ブラックフライデーおよびサイバーマンデー期間中のECサイトの地域別トラフィックの変化

上のグラフは、このセール期間における地域ごとのトラフィックの違いを示しています。

アメリカ大陸:ブラックフライデーのECサイトへのトラフィックは0.5%減と比較的横ばいですが、サイバーマンデーはわずかながら2.2%増加しています。これはアメリカ大陸でブラックフライデーが認知され、サイバーマンデーがエンゲージメントをさすがに押し上げたことを示唆しています。

ヨーロッパ:ブラックフライデーが普及しており、ECサイトへのトラフィックは17.3%増加し、サイバーマンデーではさらに13.7%増加しています。ヨーロッパの消費者が両日のセール期間に大きな関心を持っていることがわかります。

アジア:ブラックフライデーは6.7%増、サイバーマンデーは8.9%増と、両日とも堅調な伸びを示しています。アジアでも各企業がこのセール期間を利用するようになってきていることがわかります。

オセアニア:ブラックフライデーのECサイトへのトラフィックが20.9%急減していますが、サイバーマンデーは2.3%増とわずかに回復しています。この傾向はブラックフライデーがまだ定直していないことを示唆しています。

ECサイトが実践できること

地域によってことなる消費者の行動は、EC事業にとってまたとないチャンスになり得ます。世界にビジネスを展開している場合、このような傾向を理解することで、プロモーションやマーケティング活動を調整し、顧客の期待に応えるのに役立ちます。

1. ターゲット市場を拡大する

ヨーロッパとアジアをターゲットに事業を展開する場合、ブラックフライデーとサイバーマンデーのキャンペーンに十分に投資することをおすすめします。ローカライズしたお買い得商品、現地通貨ベースの割引、地域をターゲットにした広告は、セールを期待している買い物客との接点に大きな違いをもたらす可能性があります。

一方、アメリカ大陸を中心に事業を展開している場合は、両日とも安定したエンゲージメントがあることから、バランスよくプロモーションを行い、サイバーマンデーも同様に重要な収益の柱として扱うことが重要です。

2. サイバーマンデーを活用する

ブラックフライデーが明確な購入意欲を持つユーザーを引きつけるのに対し、多くのユーザーがブラウジングとリサーチを行う傾向にあるサイバーマンデーは、リターゲティングキャンペーンと相性が良く、閲覧したものの購入に至らなかった商品を訪問者にリマインドすることができます。

メール購読者限定の割引や、閲覧行動に基づきパーソナライズした割引を提供することで、サイバーマンデーのコンバージョンを大幅に増加させることができます。商品を物色中のユーザーに期間限定のタイムセールを提示したり、火曜日までセールを延長したりすることで、売上を促進することができます。

3. 地域差を活用してエンゲージメントを高める

地域によって異なるセール時期は、マーケティング戦略の明確なロードマップとなります。アジアやヨーロッパをターゲットにしているのであれば、11月の早い時期からプロモーションを実施し、ブラックフライデーを最大限に利用しましょう。

ブラックフライデーがそれほど定着していないオーストラリアなどのオセアニアでは、コンテンツマーケティング、教育キャンペーン、早期割引クーポンを通じて認知度を高めることで、ブラックフライデーやサイバーマンデーを普及することができます。また、カウントダウンタイマーや予告キャンペーンを利用した先行販売戦略も、セール開催までに多くの人々の関心を集めます。

例えば、「ブラックフライデー&サイバーマンデーお買い得商品ガイド」のようなコンテンツを作成し、セール期間前から買い物客の期待感を高めることができます。

4. アフィリエイトとソーシャルプルーフでコンバージョンを向上

アジアやオセアニアの一部など、ブラックフライデーやサイバーマンデーがまだ広く認知されていない地域では、購入を決定する際に「信頼シグナル」に大きく依存しています。

例えば、現地のインフルエンサーやアフィリエイト利用者、地域のコンテンツクリエイターと提携することで、信頼を高め、売上を促進することができます。信頼できる人物が推薦する商品は購入される可能性が高くなります。

リアルタイムの購入通知、カスタマーレビュー、「在庫残りわずか」タグを表示することで、緊急性をさらに高め、購入を迷っている人を決済に向かわせることができます。

5. グローバルなスケーラビリティに備える

サイバーマンデーは、アジア、ヨーロッパ、アメリカ大陸で大規模なトラフィック急増を引き起こしており、グローバルなECサイトを稼働するインフラの堅牢性が重要であることを証明しています。

企業は、高性能で拡張可能なサーバーや堅牢なCDN(コンテンツデリバリネットワーク)に投資し、トラフィックの増加に対応しなければなりません。

Kinstaのサーバーは、Cloudflare統合により260+以上のグローバルロケーションを持つCloudflare CDNを搭載しています。これにより、高トラフィック時にも高速な読み込み時間と信頼性が保証され、世界各地にいる買い物客が常に快適に商品を閲覧、購入することができます。

チャンスを見越したサイトのセキュリティ強化

ブラックフライデーとサイバーマンデーは、EC事業の売上アップにつながる重要なイベントですが、トラフィックの急増に伴い、サイバー攻撃も急増するという懸念点もあります。割引システムを悪用しようとするボットトラフィックから、サイトをクラッシュさせるDDoS攻撃まで、悪意のあるユーザーは重要なタイミングに限って現れるものです。

2024年のブラックフライデーとサイバーマンデー期間中、KinstaのWAF(ウェブアプリケーションファイアウォール)のイベントは劇的に急増しました。

ブラックフライデーとサイバーマンデーにWAFアクティビティが急増
ブラックフライデーとサイバーマンデーにWAFアクティビティが急増

上のグラフから、ブロックされたリクエストは大幅に増加し、ブラックフライデーには42.8%増、サイバーマンデーには44.0%増加していることがわかります。これらの数字は、悪意のあるユーザーがECサイトの売上が上がる時期を狙って、攻撃を仕掛けていることを裏付けています。

また、マネージドチャレンジ(ボットを検出するためにユーザーの行動を分析する仕組み)もブラックフライデーでは29.4%増、サイバーマンデーは88%増と急増しています。これはデータスクレイピング、脆弱性のテスト、検索フィルターのような動的要素の操作を試みるボットの急増を示唆しています。

もう一つのボット検知手法であるJavaScriptチャレンジは、ブラックフライデーでは9.6%の増加しましたが、サイバーマンデーでは24.1%減少しています。この減少は攻撃戦略の変化を示しており、攻撃者がJavaScriptベースの検出メカニズムをトリガーするよりも、他のセキュリティレイヤーをバイパスすることに重点を置いていると分析できます。

これらのパターンは、いずれも正当なトラフィックが増えるにつれ、それを悪用しようとする試みも増加することを示しています。ビジネスにとって重要な瞬間にサイトがダウンしたり脆弱性が発生したりすると、収益の損失、顧客の不満、長期的な評判の低下につながる可能性があります。大事な時期を迎える前にサイトを万全に備えなければなりません。

オンラインストアを安全に保つ方法

ウェブサイトのセキュリティは、攻撃を受ける前に強化しなければ身も蓋もありません。ブラックフライデーとサイバーマンデーは、アクセスが殺到し収益が上がる大事な時期ですが、上のデータでも見た通り、脆弱性を悪用する悪意あるユーザーも引き寄せることになります。

ボットによる詐欺、ブルートフォースによるログイン試行、あるいは本格的なDDoS攻撃など、その種類を問わず、サイトを万全に備えておく必要があります。ストアがダウンしたり侵害されたりすれば、売り上げを失うだけでなく、ユーザーからの信頼を永久に損なうリスクがあります。

以下、オンラインストアで実践したいセキュリティ対策をご紹介します。

1. WAFでサイトに到達する前に攻撃を遮断する

サイバー攻撃は、サイトの準備が整うのを待ってくれません。主要なセール時期の数週間前からサイトの弱点を探り始めます。

ウェブアプリケーションファイアウォール(WAF)は、セキュリティのチェックポイントとして機能し、悪意のあるトラフィックが損害を与える前に遮断します。ブラックフライデーとサイバーマンデーの期間中、ブロックされたリクエストは40%以上も急増したという事実は、攻撃者がセール期間に攻撃を強化していることを示しています。WAFなしでは、攻撃者に門戸を開いているも同然です。

Kinstaでは、CloudflareのWAFにより、不審なトラフィックがサイトにアクセスする前に自動的にブロックし、訪問者とトランザクションの安全を守っています。

2. トラフィックの急増に備える

サイトのクラッシュは買い物客を苛立たせるだけでなく、他のストアに買い物客を引き渡すことになります。ブラックフライデーやサイバーマンデーには多くのユーザーが訪れますが、その負荷に対応できるインフラなしでは、速度低下、決済の失敗、サイトの停止が起こり得ます。

CDNを使用すると、トラフィックが複数の場所に分散されるため、サーバーの負担が軽減され、表示速度を高速に保つことができます。共用サーバーや高トラフィックを扱えないサーバーを利用している場合は、サーバーの移行を検討してみてください。

3. ログインアクティビティとボットトラフィックを監視する

多くの攻撃は、脆弱な認証情報をテストしたり、ボットでログインページを圧倒したりするなど、小規模なものから始まります。したがって、オンラインストアでこのようなパターンを監視していれば、深刻な被害が出る前に不審な行動を特定することができます。

通常とは異なるログインの試行、ボット活動の急激な急増、予期せぬトランザクションの失敗の急増には要注意です。不審なアクティビティに対する通知を設定することで、本格的な攻撃を受ける前に対策を講じることができます。

4. 古いソフトウェアの脆弱性に対処する

ハッカーの最も一般的な突破口の1つは、古くなったWordPressコア、プラグイン、テーマです。更新を怠っている場合、悪意のあるユーザーが標的とする既知の脆弱性を抱えていることになります。

WordPressを最新バージョンに更新し、公式にサポートされているPHPのバージョンに変更し、プラグインの更新を定期的に確認することで、脆弱性を悪用される前に対処することができます。

5. 管理者ログインをロックする

脆弱なパスワードや「admin」のようなデフォルトのユーザー名は、言うなればハッカーへの招待状。管理者アカウントへのログインを目的とするブルートフォース攻撃は、セール期間に急増します。以下の対策でサイトを確実に保護しましょう。

  • ユーザー名を他にはない一意のものに変更する
  • 大文字、小文字、記号、数字を組み合わせた強力なパスワードを使用する
  • 二要素認証(2FA)を利用し、パスワードだけでログインできないようにする

6. SSL暗号化で顧客データを保護する

買い物客は、安全でない決済は信用しません。サイトがSSL(HTTPS)に対応していない場合、ブラウザがユーザーに「安全でないサイト」と警告を表示します。これは当然、カゴ落ちや売上の損失につながります。

SSLは、クレジットカード情報などの機密情報を暗号化し、傍受から保護する重要な機能があります。SSL証明書を導入していない場合は、今すぐインストールしてください。KinstaではCloudflare SSL証明書を無料で提供しているため、特別な操作は不要です。

7. セキュリティ対策を一任できるサーバーを選ぶ

セキュリティ対策は決して後回しにすべきではありませんが、本業の妨げになるべきでもありません。ファイアウォール、DDoS攻撃対策、自動更新、リアルタイム監視など、確かなセキュリティ機能を提供してくれるサーバーを利用することをおすすめします。

また、問題発生時にいつでも連絡が取れるサポートも重要です。Kinstaでは、エンタープライズグレードレベルのセキュリティ機能エンジニアによる24時間年中無休のカスタマーサポートをすべてのプランで標準提供しています。真夜中、祝日、そしてセール期間のピーク時でも、いつでもWordPressに精通したエンジニアがお応えしています。

まとめ

ブラックフライデーとサイバーマンデーは、EC事業にとって一大イベントですが、成功させるには入念な準備が必要です。

読み込み時間の遅延、サイトのダウン、セキュリティ侵害は、記録的な売上が見込まれる特別な日に一瞬で打撃を与える可能性があります。ウェブサイトは信頼性がすべて。トラフィックの急増に対応できるだけでなく、24時間365日、知識豊富なスタッフのサポートを受けられるサーバーを利用することをおすすめします。

Kinstaでは、ECサイトに特化した高性能サーバーを提供しており、他社からのサイト移行も無料で承っています。豊富な機能群に加えて、便利なアドオンもご用意しており、PHPパフォーマンスアドオンでは、サイトのメモリとスレッドの割り当てをきめ細かく調整可能です。ビジネスの成長に専念し、サイトを支えるインフラストラクチャはKinstaにお任せください。ご興味がございましたら、ぜひ一度Kinstaをお試しください

Joel Olawanle Kinsta

Kinstaでテクニカルエディターとして働くフロントエンド開発者。オープンソースをこよなく愛する講師でもあり、JavaScriptとそのフレームワークを中心に200件以上の技術記事を執筆している。