WordPressコア、プラグイン、テーマを定期的に更新することは、非常に重要です。Kinstaをご利用の場合は、Kinsta自動アップデートアドオンを使用することで、指一本触れずにプラグインとテーマの更新作業を安全に自動化することができます。また、最新のPHPバージョンを使用することも大事なポイントとなります。とはいえ、時にはそれができないこともあります。

状況によっては、WordPressサイト(またはその一部)を以前のバージョンに戻す作業が必要になります。

そこでこの記事では、WordPressのダウングレードが必要になるシナリオとそれを安全に実行する方法をご紹介します。WordPress、プラグイン、テーマ、PHPのバージョンを変更する選択肢を複数見ていきます。

WordPressのバージョンやその他の機能を以前のものに戻す理由

最新版のWordPressコア、プラグイン、テーマにアップデートすることは、サイトを保守管理する上で非常に重要なステップです。アップデートにはセキュリティパッチが付随することが多く、サイトへの悪意のある攻撃を防ぎ、パフォーマンスや機能性を向上できる場合があります。

そのため、WordPressやそれを構成する要素をダウングレードしたままにする(前の状態でほったらかす)のはおすすめしません。しかし、一時的にダウングレードが必要になることはあります。

一番多いのが、プラグインやテーマの互換性がない場合です。サイトの要素において最新版のWordPressコアとの互換性がないと、例えば、一時的にダウングレードすることにより、より長期的な解決方法を模索している間も、訪問者にその機能を提供できます。

(関連記事: WordPressで「サイトで技術的な問題が発生しています」というエラーが発生した時の対処方法

複数のプラグイン、もしくはプラグインとテーマ間の互換性の問題の場合、WordPressコアをダウングレードしても意味がありません。サイトが機能するようにするには、問題を引き起こしているプラグインまたはテーマのバージョンを変更する必要があります。

さらに、古いプラグインやテーマの一部は新しいバージョンのPHPとの互換性がないことがあります。該当するプラグインやテーマがサイトの機能上重要な役割を担うものである場合、代わりの解決策を模索する間PHPを一時的にダウングレードすることができます。

このように、WordPressのダウングレードは問題解決のためのプロセスとしてのみ行うべきです。問題を引き起こしているプラグインやテーマの入れ替えが完了したら、また、その他の方法で互換性の問題が解決できたら、再度、最新の状態にしましょう。

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WordPressの構成要素を旧バージョンに戻す方法(6種類)

WordPressサイトの要素をダウングレードする手段は、最終的な目的によって異なります。ウェブサイト全体を前のバージョンに復元したいというケースもあれば、WordPress自体ではなく個別のプラグインやテーマのみを元に戻したいこともあるはずです。

これを念頭に置いて、WordPress、プラグイン、テーマ、PHPなどのバージョンをダウングレードする方法を6つご紹介します。それぞれ目的が違いますので、全てに一通り目を通して、ご自分の状況に一番合った方法をお試しください。

1. FTPでWordPressをダウングレードする

ウェブサイトのバックエンドにアクセスできない状況では、WordPressをFTP経由でダウングレードすることができます。これを始める前に、念のためサイトのバックアップをとっておきましょう。

次に、全てのプラグインを停止します。バックエンドにアクセスできる場合、操作はとても簡単です。それぞれのプラグインの横のチェックボックスにチェックを入れて、一括操作の「停止」を選択するだけです。

バックエンドでのプラグインの一括停止
バックエンドでのプラグインの一括停止

管理画面にログインできない場合は、Secure File Transfer Protocol (SFTP)FileZillaなどのFTPクライアントソフトを利用してプラグインを停止します。上記の選択肢はどれも今後のステップでも必要となってきますので、よく知らないという方は、少し時間をかけて使い方を学んでみることをおすすめします。

その後、該当するWordPressのバージョンをダウンロードします。なるべく最近リリースされたもの(恐らく二番目に新しいバージョンになるでしょう)を使用することをおすすめします。WordPressのリリースアーカイブから必要なファイルを取得してください。

WordPressのリリースアーカイブ
WordPressのリリースアーカイブ

そしてFTP、FileZilla、または別のFTPクライアントソフトからサイトのファイルにアクセスし、 wp-adminwp-includesディレクトリを削除します。

FTPソフトでwp-adminとwp-includesを削除
FTPソフトでwp-adminとwp-includesを削除

ここまで完了したら、今度はwp-contentディレクトリを除いた、インストールしたいWordPressのバージョンの全てのファイルをアップロードします。上書きをするかどうかの確認画面が表示されるので、「上書き」>「了解」を選択します。

FileZillaでファイルを上書きする
FileZillaでファイルを上書きする

そしてサイトのバックエンドにアクセスします。データベースのアップデートを求めるメッセージが表示されるかもしれません。その場合、「WordPressデータベースを更新」ボタンをクリックします。そして、いつも通りサイトにログインしてください。

これで、WordPressの古いバージョンが使えるようになります。

ダウングレードした状態のWordPress
ダウングレードした状態のWordPress

ここまでできたら、プラグインを再度有効化し、互換性の問題の解決に取りかかりましょう。

その間にWordPressが自動で別のバージョンをインストールしてしまわないように自動アップデートを無効化しておくことをおすすめします。問題が解決したら、管理画面から最新版のWordPressに更新してください。

2. WP Downgradeを使って旧バージョンを選択する

FTPソフトを使ってコアファイルを削除するのが不安であれば、WordPressダウングレード用のプラグインを使うこともできます。サイトのバックアップをとってからWP Downgradeをインストールしてください。

WP Downgradeをインストール
WP Downgradeをインストール

その後、「設定」>「WP Downgrade」へ移動し、該当のWordpressのバージョンを入力します。

WordPressのバージョンを指定
WordPressのバージョンを指定

変更を保存」をクリックし、「更新」画面へ行きます。指定したバージョンが「最新バージョンのWordPress」として表示されているはずです。

WordPress 5.0の再インストール
WordPress 5.0の再インストール

再インストール」をクリックしてダウングレードを完了します。通常のアップデートが行われ、次のような指定したバージョンへの変更完了のメッセージが表示されます。

WordPress 5.0へのウェルカムメッセージ
WordPress 5.0の利用開始メッセージ

トラブルシューティングが完了し、最新版のWordPressを再インストールするには、「設定」>「WP Downgrade」へ移動し、最新のバージョンを指定して同じ操作を繰り返します。

3. バックアップを復元して以前の状態に戻す

もう一つの方法として、WordPressの古いバージョンを使用していた時のバックアップを復元することもできます。この方法を採用するには、信用できるバックアップシステムが必要です。

また、復元後のサイトに、最近追加した主要コンテンツが存在しない可能性もあります。WordPressのダウングレードでうっかり最近の記事が消えてしまうのは避けたいところです。動的な(頻繁に更新がある)サイトでは、この手法は最適解とは言えないかもしれません。

ファイルを作成、保存するために使用したシステムによってバックアップを復元する方法は異なります。例えば、Kinstaをご利用のお客様の場合、ワンクリックでの復元機能をご利用いただけます。Kinstaの専用コントロールパネル「MyKinsta」にログインし、「WordPressサイト」を選択します。

MyKinstaのWordPressサイト画面
MyKinstaのWordPressサイト画面

復元したいサイトを選択して、「バックアップ」画面を開きます。

MyKinstaサイトのバックアップ
MyKinstaサイトのバックアップ

ドロップダウンメニューから「復元先を選択」 をクリックします。ステージング環境でバックアップをテストすることも可能です。バックアップファイルで使われているWordPressのバージョンに本番サイトをダウングレードする場合は、「Live」を選択します。

MyKinstaでバックアップの復元先を選択
MyKinstaでバックアップの復元先を選択

誤った操作を防ぐために、次のウィンドウでバックアップ復元の確認を行います。内容を確認の上、下部にあるフィールド(「バックアップを復元するには…」)にサイト名を入力して、「バックアップを復元」をクリックしてください。

バックアップ復元の確認画面
バックアップ復元の確認画面

復元が完了するまである程度の時間がかかります。完了すると、サイトのバックエンドに再びアクセスできるようになります。また、復元を取り消したい場合を考慮し、復元の直前にもバックアップが作成されます。

4. FTPでプラグインやテーマをダウングレードする

WordPressコアではなく、プラグインやテーマをダウングレードする必要がある場合、前述の「1.」と同じ方法が使えます。まずは、対象のプラグインやテーマの古いバージョンを入手します。

WordPressディレクトリ内のプラグインの場合、説明ページの「詳細を表示」をクリックすると古いバージョンを確認できます。

WordPressディレクトリのプラグインページにある「詳細を表示」リンク
WordPressディレクトリのプラグインページにある「詳細を表示」

ページの最後までスクロールし、ドロップダウンメニューから必要なバージョンを選択し、「ダウンロード」をクリックします。

WordPressプラグインディレクトリから古いバージョンのプラグインをダウンロード
WordPressプラグインディレクトリから古いバージョンのプラグインをダウンロード

Zipファイルを解凍しコンピュータに保存します。問題が起きたときに備えてバックアップを取り、FTPクライアントソフトを使用してサーバーに接続します。「wp-content」>「plugins」へ移動してください。

次に、現在使用しているバージョンのプラグインのディレクトリ名を変更します。その後、ダウングレードしたい古いバージョンのフォルダをアップロードします。

プラグインの古いバージョンをFTPソフトでアップロード
プラグインの古いバージョンをFTPソフトでアップロード

これで、プラグインが古いバージョンになっているはずです。加えて、準備が整い次第すぐに最新版に戻すことができるよう、先のフォルダを保持しておくことができます。

残念ながら、テーマや有料プラグインの場合、手順が若干複雑になります。元に戻す流れ自体は大体同じなのですが、WordPressテーマディレクトリでは古いバージョンをダウンロードができません。

また、有料プラグインの場合、古いバージョンが手に入る場合とそうでない場合があります。必要なプラグインやテーマのバージョンが見つからない時には、開発者に問い合わせてみてください。

5. WP Rollbackでプラグインやテーマをダウングレードする

簡単にプラグインやテーマをダウングレードする方法もあります。WP Rollbackをインストールして有効化します。

WP Rollbackプラグインをインストール
WP Rollbackプラグインをインストール

このプラグインは定期的にアップデートされており、WordPressプラグインディレクトリでは5つ星という高い評価を獲得しています。インストール、有効化が完了したら、「プラグイン」のリストを確認します。

プラグインの名前の下に、通常の選択肢の他に「Rollback」という項目が表示されます。

「Rollback」オプションが表示される
「Rollback」オプションが表示される

これをクリックすると、バージョンの選択画面が開きます。ダウングレードを開始するには「Rollback」をクリックします。

プラグインのバージョンを選択
プラグインのバージョンを選択

テーマを古いバージョンに戻すのも同じく簡単です。管理画面から「外観」>「テーマ」をクリックし、ダウングレードしたいものを選択します。画面下部に「Rollback」ボタンが表示されます。

WordPressテーマをダウングレード
WordPressテーマを前のバージョンに戻す

次の画面で、プラグインで行ったのと同様にバージョンを指定し、ダウングレードを開始します。プラグインまたはテーマを復元したい場合は、該当のディレクトリから実行できます。

6. 古いバージョンのPHPに変更する

2019年にWordPressのPHP要件に変更が加えられました。最新バージョンを利用することの数多くのメリットに加え、そうした観点からも最新のPHPを使用することが推奨されています。

しかし、保守管理の行き渡っていないプラグインの中には新しいPHPに対応していないものもあります。もちろん、開発者が定期的にアップデートやサポートを行っているプラグインを選ぶのが理想的ではあります。

しかし、更新の遅いプラグインがウェブサイトの重要な機能を担っており、それが最新版のPHPに対応していない場合などでは、PHPのダウングレードが必要になるかもしれません。Kinstaをご利用のお客様は、MyKinstaから数回のクリックでPHPバージョンを変更することができます。

MyKinstaへのログイン後、「WordPressサイト」>(サイト名)>「ツール」に移動し、「PHP設定」セクションの「変更する」をクリックします。

MyKinstaのPHP設定
MyKinstaのPHP設定

PHPバージョン」ドロップダウンから、任意のバージョンを選択し、「PHP設定の変更」をクリックすれば完了です。

PHPバージョンを選択して変更
PHPバージョンを選択して変更

Kinstaをご利用でない方や、PHPエンジン機能で選択できるバージョンよりも古いバージョンに戻す必要がある場合は、コマンドラインを使用してPHPをダウングレードする必要があります。

この方法は上級者向けであり、様々なリスクが伴います。操作に自信がない場合は、PHPをダウングレードし互換性の問題を解決するのではなく、問題のプラグインやテーマの変更を検討することをおすすめします。

まとめ

サイトのトラブルシューティングやその他の作業において、時にWordPressのダウングレードが必要になることがあります。この機能はWordPressには標準で実装されていませんが、サイトを古いバージョンに戻すことは可能です。

今回はWordPressサイトやその構成要素をダウングレードする6つの方法をご紹介しました。

  1. FTPでWordPressをダウングレードする
  2. WP Downgradeを使用して旧バージョンのWordPressを選択する
  3. バックアップを復元して以前の状態に戻す
  4. FTPでプラグインやテーマをダウングレードする
  5. WP Rollbackでプラグインやテーマをダウングレードする
  6. 古いバージョンのPHPに変更する
Matteo Duò

Head of Content at Kinsta and Content Marketing Consultant for WordPress plugin developers. Connect with Matteo on Twitter.