今年も残すところあとわずか。秋冬のセールと言えば、まず、アメリカの感謝祭翌日に行われるブラックフライデーセール。近年では、日本にも少しずつ浸透し、ご存じの方も多いはず。また、年末からお正月にかけては、さまざまなセールが行われます。セール時期には、買い物客が殺到します。あなたのオンラインストアは、大量のトラフィックが見込まれるセール時期に備えられていますか?

この記事では、サイトですぐに実行できる、効果的なEC戦略をご紹介していきます。2024年最後のセールに向けて、サイトの体制を整え、記録的な売上を獲得するために、ぜひお役立てください。

では、早速本題に入りましょう。

衰退を辿る小売業と伸び続けるEC事業

ブラックフライデーをはじめとする下半期のセールは、従来、実店舗を持つ企業が行うのが一般的でした。買い物客による長蛇の列や、限られた店内のスペースで限られた量の商品を巡って、多くの人が我こそはと商品を掴み取っている様子は容易に想像がつくはず。

しかし、近年では、多くの人が人混みを避け、オンラインで自宅にいながらセール商品を購入する傾向にあります。2020年のブラックフライデーのオンラインストア売上は、過去最高の90億ドル、2021年は81億ドルで、そのほとんどがモバイル端末からでした。そして、従来の実店舗はというと、ブラックフライデーの純売上高は4~7%減少しています。この数字は、世界中のユーザーがスマートフォンで買い物をする頻度が上がるにつれて、それぞれより一層増加していくことが予想されます。

したがって、実店舗にこだわるのは大きな間違いであり、セール時期向けてEC事業に注力することで、大きな収益を得ることが見込めます。

また、これはセール時期に限ったことはありません。従来型の小売業を運営する一部の大手企業は、売上の低迷、そしてAmazonなどのオンライン販売業者(2018年にはEC売上全体の49%を占める)との競争激化により、2017年だけで5,000店以上を閉店しました。さらに2019年には、これを上回る7,000以上の店舗が閉店しています。

実店舗を持つ従来型の小売業が衰退を辿る一方で、EC事業は急成長を続けています。2019年のeMarketerの報告書によると、米国の小売・ECの支出は、13.2%増の1,353億5,000万ドル、小売総売上は3.8%増の1兆800億ドルと、セール時期史上初の1兆ドルの大台を突破することが見込まれています。

EC事業のセール時期売上高の成長
EC事業のセール時期売上高の成長

では、WordPress業界におけるEC事情はどうでしょう。

一般的に、ECプラットフォームの2大巨頭と言えば、WooCommerceEasy Digital Downloads。EC事業の急成長に伴い、この2つも成長を遂げています。WooCommerce代表のTodd Wilkens氏は、2017年にWooCommerceストアの売上は合計100億以上、150億ドルに達する可能性もあると述べています。ビジネス情報を発信するOwlerによれば、WooCommerceの売上は現在年間120億ドルと推定されており、Wilkens氏の発言には信憑性があります。

また、BuiltWithで見られるWooCommerceEasy Digital Downloadsのデータもこれを裏付けています。

  • 2019年11月時点で、WooCommerceを利用しているサイトは、2018年の220万サイトから380万サイト超に
  • 2019年11月時点で、Easy Digital Downloadsを利用しているサイトは、2018年の4万サイトから4万3,000サイト超に

Google トレンドを見ると、過去5年間で「WooCommerce」というキーワードの検索数が着実に増えていることがわかります。「Easy Digital Downloads」は、未だ十分な市場シェアは獲得できておらず、大きな変化は見られないものの、どちらのサービスも利用者は日々増えています。

検索キーワード「WooCommerce」の人気度(Google トレンド)
検索キーワード「WooCommerce」の人気度(Google トレンド)

この2つのプラットフォームは、本格的なECソリューションとして認識されていることから、実はWordPressプラグインであることは、あまり知られていません。WooCommerceとEasy Digital Downloadsは、アドオン、拡張機能、支払いゲートウェイ、ウェブフック、オンラインコミュニティなど、独自のエコシステムを持っています。しかし、この2大プラットフォームによって誰でも簡単にオンラインストアを開設できるようになったことから、オンラインでの競争はこれまで以上に激化しています。

今年のセール時期は、特にその激しさが増すことが予想されるため、しっかりと事前準備を行いましょう。

セール時期に売上を伸ばす13のEC戦略とヒント

ECサイトを最適化とコンバージョン率の向上は、事業やチームの規模を問わず重要です。これからご紹介するEC戦略は、大規模なWooCommerceストアから、開設し始めたばかりの小さなEasy Digital Downloadsサイトまで、あらゆるオンラインストアに採用することができます。

ECサイトには、その規模に関係なく、急増する訪問者の波に対応できる準備が必要です。以下の戦略を取り入れて、今年最後のセール時期に、競合他社と少しでも差をつけましょう。

1. メールマーケティングを行う

メールマーケティングは、あらゆるビジネスにとって成功の鍵となります。手書きでニュースレターを作成するにせよ、高額な資金を投じて大規模なキャンペーンを実施するにせよ、マーケティングは不可欠です。

メールマーケティングのROI(投資利益率)は122%と言われており、賢い投資の1つになります。高い投資収益率は、投資した金額が2倍、またはそれ以上になる可能性があることを意味します。また、参入しやすく、始め方も簡単です。新興企業でも老舗の大手企業でも、メールマーケティングを行なっているのには訳があります。

さらに、顧客からも印象も良く、登録後に最初に届くウェルカムメールの開封率は最大91%、クリック率は26.9%。これだけの数字が新規見込み顧客の獲得につながることを想像してみてください。また、ニュースレターの購読を促し、購読者限定の割引やキャンペーンを定期的に行うことで、顧客との長期的な関係性を築くことができます。

セール時期に向けて、メールマーケティングは最大限活用してください。

セール告知メールの自動送信

怒涛のセール時期には、告知メールやニュースレター送信の自動化は不可欠です。2018年のサイバーマンデー(米国の感謝祭後の月曜日に行われるセール)では、メールマーケティングが収益の24.2%を牽引しました。つまり、トラフィックの25%近くがメール告知によってもたらされる可能性があるということです。

メールの送信を自動化することで、メールマーケティングの手間が大幅に削減されます。テンプレートを作成し、顧客にメールを送信するトリガー(経過時間、購入商品、サインアップなど)を設定して、行動やデモグラフィックに基づいたユーザーセグメントを定義すればOKです。優れたメールマーケティングツールであるMailChimpの使用方法についてはこちらをご覧ください(KinstaもMailChimpを使用しています)。また、過去におすすめのMailChimp代替ツールもご紹介しています。

MailChimpのようなサービスを利用すると、顧客が設定したトリガーを実行するたびに、メールが自動送信されるようになります(トリガーメール)。セール時期は、ツールを使って作業を賢く自動化。新規見込み顧客を迎え入れ、割引などの特典で気を引き、セール時期後は、長期的な関係性を築きましょう。

おすすめのメールマーケティングプラットフォームについてはこちらをご覧ください。主な機能とともに優れたサービスをご紹介しています。また、以下で詳しく見ていきますが、失った顧客を呼び戻したい場合には、カゴ落ちメールの送信に適したツールも参考にしてみてください。

カゴ落ちを防ぎ売上を伸ばす

セール時期には、カゴ落ち率(ユーザーが商品をカートに入れ、購入に至らず離脱する確率)が非常に高くなります。特にブラックフライデーセールでは、カゴ落ち率は75%に上り、大きな潜在的売上を逃すことになります。

買い物客は、お得に買い物をしようとあらゆるショップを訪れ、価格を比較し、どのような商品が割引されているかを閲覧しています。新商品をチェックしたり、複数タブを開いたりしているうちに、ショッピングカートの中身がよくわからなってしまう…なんてことも。その結果、決済を忘れてしまい、そのままサイトを離脱してしまう可能性があります。

そこで有用になるのが、カゴ落ちした買い物客を対象にしたメールマーケティングツールです。

WooCommerceやEasy Digital Downloadsと互換性のある優れたメールマーケティングツールをお探しなら、無料のWooCommerce拡張機能である、Abandoned Cart Liteがお勧めです。カゴ落ち(ゲストユーザー含む)の追跡と対策、編集可能なテンプレートを使ったメールのパーソナライズを行うことができ、有料版では、さらに割引コードの自動生成や高度な分析も。

Abandoned Cart Lite
Abandoned Cart Lite

以下は、カゴ落ちユーザー向けのメッセージ例です。

Easy Digital Downloadsの割引コード付きカゴ落ちメール
Easy Digital Downloadsの割引コード付きカゴ落ちメール
Fontspringのカゴ落ちメール
Fontspringのカゴ落ちメール
Google ストアのカゴ落ちメール
Google ストアのカゴ落ちメール

セール期間中は、時間との勝負。カゴ落ちしたユーザーに対しては必ずリマインドを行いましょう。例えば、ブラックフライデーからサイバーマンデーまでは3日間しかないため、カゴ落ちをお知らせするメールは一日1通送ってもいいかもしれません。また、お得な割引情報は、迷わず早めにプッシュ通知で告知しましょう。

具体的には、以下のような戦略が挙げられます。

  • ユーザーがサイトを離脱してから3時間後に「XX様、お買い忘れはありませんか?」というような件名のカゴ落ちメールを自動送信する。
  • 翌日にカゴ落ちした商品と割引のリマインドを送信し、自動生成された15%割引コードを添える。
  • 3日後に再びカゴ落ちした商品の購入を促すリマインドを送信し、さらに自動生成した20%割引コードを添える。

12月のお買い物シーズンであれば、5~7日間にわたって毎日メールを配信してもいいでしょう。

また、カゴ落ちメールの配信して、潜在的売上を取り戻し、その売上の一部をメールマーケティングツールの利用料金に充てれば、収益を増やしながら使用することができます。

カゴ落ちメールの送信に役立つツールは、他にも多数あります。特に、Conversioは試してみる価値ありです。自動的に割引コードを生成し、セール時期にたまたま訪れた買い物客の気を引くことができます。また、Conversioの秀でた機能は、社会的証明を巧みに利用し、他の顧客のスクリーンショットや商品レビューを提供することで、ユーザーの購買意欲を刺激するというものです。これによって、Conversioのカゴ落ち回復率は12%に達しています。

Conversioのカゴ落ちメール
Conversioのカゴ落ちメール

メールマーケティングにどのツールを利用するにせよ、セール時期には、訪問者が急増し、同時に多くカゴ落ちが発生するもの。このようなツールは貴重な武器になるはずです。

2. メーリングリストを活用する

ニュースレターやメールマガジンを既に配信している場合は、大いに活用して販売を促進しましょう(Kinstaもニュースレターを配信しています)。ニュースレターを購読しているユーザーは、当然そのブランドや商品に興味を持っています。割引や特典を用意してアピールしましょう。

ニュースレターを配信していない場合は、すぐ始めることをお勧めします。セール時期には新規見込み顧客も多く訪れるため、メーリングリストを作成するには絶好の機会です。

Kinstaのニュースレター購読画面
Kinstaのニュースレター購読画面

ニュースレターには、動機付けが必要です。例えば、割引セールへの早期アクセスや引き換え可能なプレゼントなど、ユーザーが開封したくなるような仕掛けを盛り込むことで、エンゲージメント率が急上昇します。また、購読者限定の特典も用意しましょう。お客さんへの感謝を表すと同時に、まだ登録を行なっていないユーザーの購読促進にもつながります。

メール配信のスケジュールを明確にし、セール時期を考慮して、絶妙な時期に配信しましょう。セグメンテーションを活用して、クリックされやすい顧客に狙いを定めてメールを送るのも手です。

MailChimpのセグメンテーション
MailChimpのセグメンテーション

ブラックフライデー告知メールで最も効果的な件名も参考にして、より高いメール開封率を目指してください。件名は特に重要で、件名を誤れば、開封率がガクッと低下する可能性もあります。

また、セール時期に増える新規訪問者のために、ウェルカムメールを最適化し、次回購入時の割引や特典を用意することもお忘れなく。セール時期に獲得した何千人もの新規登録ユーザーとは、長期的な関係を構築したいものです。ブランドに関心を持ち続けてもらえるように、インセンティブを与え続けることが大切です。

また、割引された商品が目的でたまたま集まったユーザーだけに焦点を当ててはいけません。セール開催中も既存顧客にプロモーションメールを欠かさず配信し、既存メーリングリストをフル活用して、売上を増加させましょう。

3. 社会的証明を利用して購買意欲を促進する

期限のあるセール時期には、皆お得に商品を購入しようと躍起になり、慎重にブランド調査を行うということはあまりないでしょう。しかし、だからといって安ければ良いということは決してなく、パッと見て信頼できそうなサイトを選ぶものです。つまり、購入する価値がある商品であることを瞬時に伝えられる工夫が必要です。

買い物客に信頼性をアピールする方法の1つが、社会的証明の活用です。ウィキペディアでは、以下のように定義されています。

社会的証明とは、ある状況下で他社の行動や判断を真似る心理・社会現象である。(英語原文の日本語訳)

この様な状況は、ほとんどの人が経験したことがあるのではないでしょうか。多くの企業が、トップページにお客様の声を表示したり、ユーザーが商品レビューを投稿できるようにしているのはこのためです。消費者は、同じ立場である他のユーザーの意見を信頼しているもので、時として他の顧客の感想が、商品購入の決め手として十分に機能することがあります。

ある調査では、72%のユーザーは商品購入前に他の購入者のレビューを読んでいると言われています。同調査によれば、オンラインの商品レビューは、コンバージョン率を最大270%高めると言われています。多くの人が商品の購入に踏み切る前に、他のユーザーの感想を参考にしたいと考えています。

また、写真付きのレビューは、より信憑性が増すことが証明されています。以下は、Kinstaのウェブサイトで使用しているレビュー例です。サイトの写真だけはでなく、実際にその企業で働くスタッフの写真を掲載することで、より親近感を与えているのがポイントです。

写真付きレビューの例
写真付きレビューの例

また、社会的証明と関連する言葉として、FOMOがあります。FOMOとは「Fear of Missing Out」の略語であり、以下のような意味があります。このような切迫感を持つ社会的証明をうまく活用することで、コンバージョン率を高めることができます。

FOMOとは、他の人が自分のいないところで有益な経験をしているかもしれないという不安を表し、他人がやっていることに常に把握していたいという欲求に特徴づけられる(英語原文の日本語訳)─ Science Direct

FOMOを活用するなら、HollerWPがお勧めです。ライトボックス(画像表示機能)ポップアップやライブチャット風の画像表示などの機能が利用できるリードジェネレーションツールですが、このツールの目玉は、通知ポップアップ機能です。柔軟に設定可能で、ユーザーがある商品を購入するたびに表示させることができ、初めて訪れたお客さんにも信頼性をアピールすることができます。また、WooCommerceやEasy Digital Downloadsとも互換性ありです。

HollerWP
HollerWP

お祭りに好んで乗り遅れる人はいませんし、ブラックフライデーに多くの店舗やブランドがセールを開催すれば、在庫がなくなる前に飛びつきたくなる心理は当然のこと。

FOMOの別の例としては、サイバーマンデーの24時間限定セール。サイト上にカウントダウンタイマーを設置したり、既存顧客に緊急メールで宣伝したりすることが挙げられます。在庫に限りがある商品であれば、買い物客は急いで決済に進みます。

HollerWPの開発者は、人気のプラグインAppPresserも作成したScott Bolinger氏。Bolinger氏は、WordPressコミュニティに献身する開発者の1人でもあり、Kinstaでは過去にインタビューを行っています

FOMOを戦略として取り入れるなら、WPfomifyも必見です。IdeaBox Creationsによって開発されたツールで、社会的証明の活用を支援してくれます。HollerWP同様、WooCommerceやEasy Digital Downloadsと統合でき、顧客の購入履歴を表示したり、期間限定のセールを表示したりすることができます。

WPfomify
WPfomify

また、主要SNSプラットフォームのシェア数の表示もお忘れなく。Sites for Profitが、これに関するA/Bテストを実施しています。シェア数の表示無しのボタン、シェア数表示がゼロのボタン、シェア数表示が1,000を超えるボタンをそれぞれ設置した結果、1,000以上シェア数が表示されているボタンは、シェア数がゼロのボタンと比較して、60%高いクリック率を記録しました。

Social WarfareのSNSシェア数の表示とシェアボタンに関する記事によれば、SNSシェア数が少ない場合には、シェア数は表示しない方がクリック率が高くなります。

シェア数、コンバージョン、トラフィックの向上に役立つ優れたSNS用WordPressプラグインはこちらをご覧ください。この記事で取り上げているプラグインのほとんどにシェア数の表示機能があります。

SNSシェア数はブログ記事だけでなく、WooCommerceやEDD(Easy Digital Downloads)ストアの商品にも活用できます。人気商品のシェア数を表示することで、商品の希少性を表すことができ、FOMOを感じた潜在顧客が、在庫切れを恐れて商品を購入する確率が高くなります。

多くの人は、SNS上でつながっている友人や同僚がどのようなものを購入しているかを気にしています。社会的証明やSNSシェア数を利用して、より多くのユーザーの関心を集めましょう。

4. 割引の可視性を高める

年末年始のセールで売上を伸ばす戦略として、クーポンや割引コードを利用した宣伝が効果的であるのは周知の事実。しかし、多くのECサイトがその宣伝の仕方に失敗しがちです。

質の高いコンテンツを作成するのと同じように、セールの宣伝方法も時間をかけて吟味しましょう。ただ割引コードを作成すればいいわけでなく、より多くのユーザーの目に留まる工夫が必要です。

例えば、期間限定でサイト上部の通知バーを使って宣伝するのは効果的です。「期間限定今だけ10%オフ」や「今日からブラックフライデーまで30%割引」など、購買意欲を刺激するようなメッセージを考えてみてください。また、ワンクリックでセール商品一覧にアクセスできるようにするのも重要です。

また、できればA/Bテストを実施しましょう。サイト上部の通知バーのクリック数に驚かされるはずです。時間制限のあるセールでは、購入を急かされる雰囲気があるため、、プレゼントを探しているユーザーにはあまり効果的とは言えませんが、通知バーには無視できない存在感があり、割引コードやセールのお知らせなどの重要な情報が見逃されることはなくなります。

Perfmattersの通知バー
Perfmattersの通知バー

また、通知バーは非常に軽量で、余分なスクリプトやポップアップでサイトが肥大化する心配はありません。

WooCommerceやEasy Digital Downloadサイトに通知バーを追加する方法はいくつかあり、以下のプラグインの使用がお勧めです。バーの見た目の編集、CTAボタン/リンクの作成、表示方法のフィルター/ルールの作成などの機能があり、簡単に利用できます。

  • Easy Notification Bar:WPExplorer開発。豊富な機能が利用でき完全無料。
  • WP Notification Bars:MyThemeShop開発。無料版と有料版がある。
  • HollerWP:先ほど紹介したFOMOの活用だけでなく、割引のヘッダーバナーも作成できる有能プラグイン(有料)。

また、上のスクリーンショットのような通知バーは、プラグインなしで簡単に作成できます。以下のコードをheader.phpファイルの</head>タグの直後に貼り付けてください。

<div id="dabar">Your website message.</div>

それから、以下のCSSコードをテーマのスタイルシートに貼り付けます。テーマにCSSを追加する方法がない場合には、WordPressのカスタマイザーか、Simple Custom CSS and JSのような無料プラグインを使用してください。


#dabar{
background: #2c3644;
color: #fff;
font-size:16px;
top: 0px;
left: 0px;
width: 100% !important;
padding: 10px 0px;
text-align: center;}
#dabar a {color: #ffffff; border-bottom: 1px dotted;}

また、FacebookやTwetterなどのSNSでシェアすると、購入時にさらに割引を受けられるなどの報酬を用意するのも1つの戦略です。

ある調査によれば、買い物客の54%が、カートに入れた商品が割引されると、その商品を購入すると回答しており、売上と無料のSNSマーケティングの両方が手に入るため、一石二鳥の戦略です。

SNSで商品をシェアすると割引を得られる報酬
SNSで商品をシェアすると割引を得られる報酬

これは、一切手間をかけずにSNS上のエンゲージメントを向上させる優れた方法になります。購入しようとしている商品がさらに安くなるのなら、ユーザーも喜んで商品をシェアしてくれるものです。

このような報酬を設定するには、以下のプラグインがお勧めです。

また、WooCommerceサイトの販売促進のヒントも読んで、アイデアを膨らませてみてください。セール時期の割引の機会を無駄にせず、適切なマーケティングを行い、多くの買い物客の気を引きましょう。

セールの高額割引や季節限定の割引を作成する

ブラックフライデーや年末年始のセールでは、多くのお店で「最大95%オフ」などと驚きの割引を行っているのを見たことがあるのではないでしょうか。

高額割引の例(画像出典: WPExplorer.com)
高額割引の例(画像出典: WPExplorer.com)

大きな割引を行うなら、年の瀬の今が絶好の時。高額割引、無料のギフトカード、ポイントプログラムなど、あらゆる手を尽くして買い物客の気を引き、売上を伸ばしましょう。

とは言え、割引を行い過ぎて赤字になったり、割引を行わずに多くの顧客を失ってしまったりしては意味がありません。この両者の間でうまくバランスを取ることが大切です。全品半額というような大胆な割引は実施しないにしても、適切な割引コードを作成し、さまざまなチャネルで広めることを心がけましょう。

Coupons.comのセール告知ツイート
Coupons.comのセール告知ツイート

セール時期は、魅力的なクーポンを作成する良い機会になりますが、多くの人の目に触れなければ十分に効果は発揮しません。時間をかけてSNSで宣伝を行い、サイト上で目立つように掲載し、ニュースレター購読者にお得な情報をメールで広めましょう。

また、FOMOを利用し、割引には期限があることを強調するのをお忘れなく。既存顧客には凝ったギフトカードを送り、「Twitterで商品についてツイートするとさら割引」のような特別な報酬も用意しましょう。

5. アフィリエイトを利用する

アフィリエイトとは、主にSNSやウェブサイトに商品のリンクを掲載し、リンクのクリックや商品の購入ごとに報酬が発生するという、実質自給自足のマーケティング手法。今から始めても遅すぎることはありません。アフィリエイトを行うユーザー(一般的に「アフィリエイター」と呼ばれる)は、自分のSNSアカウントやサイトでリンクを共有し、クリックや商品購入が行われると、報酬を受け取ることができます。大規模なプロモーションであれば、かなりのアクセス数が期待できます。

アフィリエイトプログラムの立ち上げがセール直前になってしまったとしても、買い物客が殺到する前に割引コードを共有すれば、効果的な戦略になります。アフィリエイトを利用して、目玉商品や大きなセールを割引コードとともに宣伝すれば、大量のトラフィックを獲得できるはずです。

この数ヶ月は、アフィリエイトプログラムが特に有効な時期です。アフィリエイト参加者に特典、割引コード、ギフトカードなどを提供し、アクセス数を一気に増やしましょう。

アフィリエイトプログラムの立ち上げ

アフィリエイトは、ブランドや商品を素早く広めることができる優れたプログラムです。口コミは、売上アップに大きく影響を与えることは誰もが知っていますが、アフィリエイトマーケティングも口コミの一種であり、収益を最大30%高めることができると言われています。

Kinstaのアフィリエイト管理画面
Kinstaのアフィリエイト管理画面

AM Navigatorの記事によると、アフィリエイト参加者のうち、わずか10%のユーザーがアフィリエイトの90%の収益を担っています。つまり、高額の不労所得を手にするために多くの人が参加するものの、実現できるのはほんの一握りであることを意味します。

一般的に、ECサイトにおけるアフィリエイト収益のほとんどは、少数の優れたアフィリエイターによってもたらされており、アフィリエイト参加者には優劣があるのが実情です。

しかし、もちろんメリットはあり、最大の魅力は、無料の宣伝が行えるということ。通常、立ち上げに少々手間がかかることを除けば、運用費用はほぼかかりません。インフルエンサーの力を借りて、ブランドや商品をより多くのユーザーに広めることができます。

時間をかけてインフルエンサーと信頼関係を築きながら、アフィリエイトプログラムを育てていってください。

Kinstaでは、誰でも無料で参加できる独自のアフィリエイトプログラムを運用しています。Kinstaにはアフィリエイト専任の開発者がいるため、管理画面とシステム全体をゼロから構築しています。アフィリエイトマーケティングのヒントはこちらをご覧ください。

とは言え、アフィリエイトプログラムのゼロからの構築については、外注費や時間の関係で実現が難しい場合がほとんどでしょう。そんなあなたには、優れたプラグインのAffiliateWP(有料)がお勧めです。

AffiliateWP
AffiliateWP

AffiliateWPは、Easy Digital Downloadsと同じ開発元によって作成されています。EDDだけでなくWooCommerceとも相性抜群で、操作も簡単です。セットアップは数分で完了し、すぐに利用し始めることができます。

アフィリエイトの売上を伸ばすヒントもぜひお役立てください。

6. プッシュ通知を利用する

有名なEC戦略と言えば、「The money is in the list(収益のタネは顧客名簿にあり)」というフレーズを聞いたことがあるかもしれません。誤解を恐れずに言えば、商品購入時に買い物客のメールアドレスを入手できれば、僅かな投資で顧客と連絡が取れる手段を確保することができます。

ニュースレターや商品フィードの作成は、リピーターの獲得に有益ですが、ニュースレターなどの送信には、事前の許可が必要です。ユーザーが望んでいない広告の配信は、迷惑メール扱いされ、ブラックリストに載ってしまう恐れがあります。

メールマーケティングソフトウェアにECサイトの顧客情報を反映するには、以下のようなものが便利です。

メールマーケティングだけでも十分に効果を発揮することもありますが、プッシュ通知の利用からも広範な成功と高いエンゲージメントが期待できます。

プッシュ通知
プッシュ通知

プッシュ通知とは、ブラウザに表示されるポップアップ、スマートフォンに送信されるメッセージ、またはアプリ内に表示される通知で、その直接的な性質から、ユーザーの関心を引く可能性が高くなります。

プッシュ通知はやや難易度が高いですが、これを有効にしたユーザーは、誰よりもブランドやお店を気に入ってくれている証拠です。また、何日も未読のまま放置される可能性もあるメールとは異なり、送信した瞬間に気づいてもうらことができます。

また、事前に設定しておいたメッセージをいつでも送信することができ、便利です。セール開始の告知や、ユーザーが気になっていた商品の値下げのお知らせなどを柔軟に配信することができます。プッシュ通知の詳しい導入方法についてはこちらをご覧ください。

プッシュ通知を利用していない場合には、導入を検討してみてください。主観的にプッシュ通知は不要と思っても、他の人が同じ様に感じているとは限りません。ECサイトのマーケティングでは、思い込みを捨て、実際にテストを行なって具体的な結果を確認するのがベストです。

OneSignalは、事業の規模を問わず、あれゆるオンラインストアにお勧めです。モバイル、ブラウザ、アプリ、メールでプッシュ通知を表示することができます。無料版では、サイト訪問者(3万人まで)とメール購読者(無制限)に好きなだけ通知を送信可能。利用しない手はありません。

新規サイトにOneSignalを導入して実験を行なったところ、利用開始後48時間以内に140人以上のプッシュ通知購読者を獲得することができました(以下スクリーンショット参照)。

OneSignal
OneSignal

その後3ヶ月足らずで、3番目に強力な検索トラフィックのソースになり、コンテンツの公開とともに、安定したトラフィックの急増を生み出すことができています。そして、OneSignalのユーザーベース増加に伴い、アクセス数も増える結果に。OneSignalの導入事例で、さらに細かな統計データを確認できます。

OneSignalの導入事例統計データ
OneSignalの導入事例統計データ

プッシュ通知は、ブログコンテンツに利用されることが多いですが、ECサイトの新商品の入荷やセールの告知にも有用です。ただし、メールマーケティング同様、プッシュ通知の配信にも事前の計画が必要です。

また、ユーザーの迷惑にならないよう、適切な頻度の配信を心がけましょう。開封率を最大化することを念頭に置き、通知の内容を最適化することも重要です。

OneSignalのユーザーセグメントを利用してパーソナライズを行うのもありです。行動、デバイス、場所に基づいて通知をパーソナライズすることで、買い物客がより関心を寄せるようになります。

プッシュ通知を利用する際の注意事項として、ブランディングやお店によっては、やや押し付けがましくなってしまう可能性は否めません。うまく活用できれば効果大ですが、煩わしく感じるユーザーも一定数存在します。まずは小規模なキャンペーンで、プッシュ通知が効果的かどうかをテストしてみることをお勧めします。その後、一大イベントであるセールを鑑みながら導入しましょう。

7. SNSで宣伝する

11月と12月のセールは、毎年SNSで大きな盛り上がりを見せます。多くのユーザーがさまざまなセールを話題にしており、これに便乗しない手はありません。広く話題に上る様、割引コードを配布して、ブランドを宣伝しましょう。

まずは、年末年始のSNSマーケティングの戦略を練ること。何月何日に何を投稿するか、SNSカレンダーを作成して、余裕を持ってアイデアを書き出し、コンテンツに幅が出るよう工夫しましょう。宣伝や特典について告知する合間には、セールを楽しく盛り上げるべく、質問や投票などを行ってコミュニティに参入するのも効果的です。

HubSpotのSNSカレンダー
HubSpotのSNSカレンダー

また、自社の商品やブランドについて言及してくれたユーザーには、必ず返信するようにしましょう。特に、同じ分野で多くのフォロワーを持つインフルエンサーの投稿は、TwitterFacebookなどで常に再投稿すること。新規見込み顧客の獲得とさらなる売上につながります。商品やブランドの大きな露出を目標にインフルエンサー戦略を採用し、アフィリエイト参加者にSNS上でリンクを共有してもらいましょう。

以下は、顧客がKinstaについて言及した投稿を私たちがリツイートした例です。

WPbuff.comのJoe Howard氏
WPbuff.comのJoe Howard氏
Craftpeak & RootsのJulien Melissas氏
Craftpeak & RootsのJulien Melissas氏

多くの人が、セール時期によりお得な情報を手に入れるべくSNS上でさまざまなコンテンツを閲覧しています。また、社会的証明と組み合わせれば、多くのユーザーの気を引くことができます。商品やブランドが話題に上がるように、できることはなんでも実行しましょう。

Product Huntを活用する

Product Huntの活用は、どちらかと言えば、新規事業向けの戦略になりますが、新商品の販売にも簡単に適用できます。

Product Huntの効果は絶大で、特に、「Poduct of the Day(今日のイチオシ)」として取り上げられればしめたもの。大量のトラフィックを獲得できるチャンスです。例えば、最近Product Huntで発表された「Draftsend」という新製品は、爆発的人気を誇り、24時間で900人以上から「Upvote(同意・賛成)」を獲得しています。

Product Hunt
Product Hunt

この新製品に多くのユーザーが賛同したことで、注目が集まったことは間違いありません。Product Huntへの出品は無料で行うことができるため、EC戦略として利用して損することはないでしょう。

Redditのように、流行るかどうかには「賭け」的な要素がありますが、効果を上げるコツはあります。Product Huntでのローンチを成功させる方法についてはこちらをご覧ください。

8. マネージドホスティングを利用する

買い物客の大きな流入が予想される場合には、マネージドホスティングの利用も検討してみてください。ユーザーが殺到して、もしサイトがダウンしてしまうと、売上に大きな損失が生じる可能性があります。マネージドホスティングなら、同時接続の処理能力が高く、リソースを管理してサーバーの負担を軽減する技術が備わっています。

トラフィック増加が見込まれる季節の変わり目には、高速なサーバーとサイトがなおさら重要です。サイトの負荷が増えるとともに、他社との競争も激化するもの。スムーズに決済が行えなければ、訪問者はすぐに他のサイトへ移動してしまいます。

Kinstaでは、アプリケーションホスティングデータベースホスティングマネージドWordPressホスティングを提供しており、高負荷時でも高速に動作するように設計されています。

強力なアーキテクチャで、サイトのトラフィック量に応じて拡張可能。サイトを2分ごとに死活監視し、問題が発生した場合は、すぐにカスタマーサポートがご連絡し、問題解決のお手伝いをします。

Kinstaの機能
Kinstaの機能

サイトの読み込みに3秒以上かかると、なんと40%のユーザーが離脱してしまうと言われています。2018年のセール時期のECサイトのトラフィックは、66%がモバイル端末からでした。そして、セールの時期には、お目当ての商品を購入するべく、多くの人がいつにも増して急いでいる傾向があります。ECサイトを高速配信できなければ、潜在的な売上を逃してしまうかもしれません。

現在使用しているサーバーのトラフィック処理能力を懸念しているなら、マネージドホスティングに移行すれば安心です。サーバー周りの作業は全て任せて、最も重要なオンラインストアの運営に専念することができます。

特に買い物客が増える冬の時期に、サイトがクラッシュしてしまうことはありませんか?1年の大半は問題なく稼働していても、年末年始の繁忙期には対応しきれないサーバーは一般的です。また、1年のうち2〜3ヶ月しか使用しないリソースに費用を充てるのも気が引けます。

Kinstaのプランは、拡張性に優れたVMを搭載し、急増するトラフィックにも問題なく対処することができます。アクセスの増えるセール時期などにサイトが低速になる可能性がある場合は、Kinstaの専用サーバーのご利用をご検討ください。セール開催前からサイトのクラッシュを防ぎ、セール終了後は不要なリソースに支払いを続ける必要はありません。利用者を考慮した製品になっています。

マネージドホスティングが自分のサイトに必要かどうかわからない場合には、loader.ioのような負荷テストを行なって、トラフィックの急増にどれだけ耐えられるか確認してみることをお勧めします。もしサイトが負荷テストに耐えられなければ、年末年始のセールで何が起こるかを想像してみてください。問題があれば事前に策を講じ、一時的にリソースを増やしましょう。

9. サイトを高速化する

サイトの高速化は、新たなEC戦略というわけではありませんが、セール時期に備えて実行できる特に重要な最適化です(サイトを高速化する方法についてはこちらをご覧ください)。

WooCommerce、Easy Digital Downloadストアを運用する多くの方がKinstaに移行しており、その理由は、サーバーの低速さや耐久性の限界にありました。ECサイトの速度が、コンバージョンやユーザーとのインタラクションに直接影響することは、疑いの余地がありません。また、以下のような統計データも出ています。

  • AliExpressは、サイト速度が36%高速化したことで、売上が10.5%増加、新規顧客のコンバージョン率が27%増加したことをプレゼンテーションで明らかに。
  • Ancestry.comは、レンダリング時間を68%、ページサイズを46%、サイト表示速度を64%改善した結果、コンバージョンが7%増加。
  • Portentの調査によると、サイトのコンバージョンは1秒経過するごとに2~4%低下する。
  • GoogleのDoubleClickの調査よると、モバイルサイトへのアクセスのうち、53%のユーザーは3秒後に離脱。

特にWooCommerceサイトは、大量のデータとキャッシュ不可能なリクエストを生成することから、非常に負荷がかかり、堅牢なPHPとデータベースリソースが求められます。WooCommerceホスティングを選ぶ際には、リソースの分離だけでなく、拡張性を考慮して構築されたコンテナベースのサーバーを利用することが重要です。

リクエストの多いECサイトを運用している場合は、マネージドホスティングへの切り替えを検討してみてもいいかもしれません。サーバーが適切に管理されることで、速度が最適化され、表示速度を大幅に向上することができます。サーバーを知り尽くしたマネージドホスティングに任せてサイト運営の負担を軽減するのも賢い判断です。

トラフィックの多いWooCommerceサイトは、Kinstaの得意分野。Kinstaの知識豊富なサポートエンジニアは、大規模なWooCommerceサイトから小規模なEDDショップまで、あらゆるセットアップに精通しています。

Kinstaの顧客であるDartDrones社は、米国の人気番組『Shark Tank』への出演が決まり、番組放映後に急増するアクセスに備えて、WooCommerceサイトの体制を整えることにしました。

予想通り、トラフィックは米国東部時間の午後8時頃に急増(下図はヨーロッパ時間で表示)。放送後6時間の間に、合計126万3,233件のリクエストがあり、2TBのキャッシュ帯域幅が消費され、キャッシュされていない帯域幅は、わずか3GBでした。この間も事前準備のおかげで、100%の稼働率を維持し、DartDrones社が以前利用していたサーバーよりも、サイト速度が高速になりました。

データ転送の分析データ
データ転送の分析データ

ECサイトのパフォーマンスと利便性の完璧なバランスを追求したKinstaの機能には、以下のようなものが挙げられます。

  • WooCommerceとEDDの適切な機能を確保するためのルールを備えた高速なサーバーレベルキャッシュを導入。
  • 必要に応じてワーカープロセスを追加し、複数のリクエストを同時に実行可能。
  • WooCommerceおよびEDDストアのカート、アカウントページ、決済ページなど、特定のページをキャッシュからデフォルトで除外。
  • 「woocommerce_items_in_cart cookie」または「edd_items_in_cart」を検出すると、キャッシュが自動的にバイパスされる、シームレスな決済処理。

また、Kinsta APMを使用して、サイトの表示速度に関する問題の原因を簡単に特定することも可能です(一般的に原因となるのはサードパーティ製のプラグイン、低速なクエリ、質の悪いコード)。

Kinsta APM
Kinsta APM

高速なサーバーに移行する以外にも、速度を最適化する方法は多数あります。以下、いくつか見てみましょう。

また、モバイル対応もお忘れなく。モバイル端末からのトラフィックは年々増加しており、Googleは、現在モバイル ファースト インデックスに移行しています。

そして、すべてのユーザーが4Gなどの高速回線を利用しているとは限りません。この点にも配慮が必要です。買い物客を逃さないためには、サイトの読み込み時間をできる限り短くすることが大切です。サイトの表示に3秒以上かかり、潜在的な売上を逃してしまうのは何としても避けましょう。

上でご紹介した推奨事項はすべて、モバイルでの高速化に有用です。GoogleのAMPを使ってテストを実施するのも手です。AMP(Accelerated Mobile Pages)は、現在のモバイルページを簡略化したものを超高速で提供するフレームワークで、一部大手ECサイトが採用し、良い結果を出しています。

私たちも実際にAPMを試してみたところ、期待するような結果は得られず、今のところSEOに対してのメリットも見られません。詳しくはKinstaのAMP導入事例をご覧ください。なお、AMPの効果はサイトによって異なります。

テストは、常に自分のサイトで実施することをお勧めします。特に、サイトが広告やサードパーティのスクリプトで埋め尽くされている場合はなおのこと。もちろん、サイトによっては、AMPが有用で、効率的な最適化が実現できる可能性はあります。特に、以下のプラグインはお勧めです。

10. 簡素化、最適化、安全化

年末年始のセールは年間を通しても特に大きなイベントであり、いつもとは違うユーザーが訪れる機会になります。また、セール時期は、皆、普段よりもせっかちになるもの。サイトのデザインを最適化し、購入までの流れを簡略化する機能を実装するなら今がその時です。

1番効果的なのは、すべてを簡略化し、できるだけ商品ページにアクセスしやすくすることです。複雑すぎるUIは、ユーザーを遠ざけてしまう可能性があります。

セールスファネルに不要なものはすべて削除(または再配置)し、セール用の特設ページや商品ページへのリンクを強調して、リンク先の画像やバナーで目を引きましょう。ナビゲーションには、無駄を削ぎ落としたすっきりしたデザインを採用し、回遊性を高めてください。

また、ナビゲーションメニューの簡素化もお勧めです。検索バーや主要カテゴリーを見やすく、かつ利用しやすいように表示し、商品ページに到達したら、「カートに入れる」ボタンが一目でわかり、簡単にクリックできる様、決済までの導線も工夫しましょう。

トップページからカテゴリーを選択し、商品を選び、カートに入れるまで、3~5クリック以内で行えるのが理想的です。

魅力的な割引を提供しても、肝心の商品購入がスムーズに行えなければ、収益につながりません。

セキュリティ対策もお忘れなく。セール時期は、ユーザーの個人情報を盗み出すハッカーや攻撃者にとって格好の機会でもあります。自社、そして大切な顧客を確実に保護するセキュリティ機能が必要です。

  • サイトのバックアップを今すぐ作成。
  • WordPress、テーマ、プラグインの更新。WordPressサイトで起こるハッキングの主な原因は、更新されていない古い拡張機能です。
  • PHPを最新バージョンにアップデート。
  • 機密性の高い個人情報をユーザーから受け取る場合には、事前にSSL証明書を取得。
  • サーバーへの侵入を防ぐために、安全なマネージドホスティングに投資。
  • 管理者ログインURLを変更(デフォルトのユーザー名「admin」から変更し、大文字、小文字、記号、数字を含む強力なパスワードを選択)し、二要素認証を使用。

WordPressのセキュリティECサイトの詐欺対策も併せてご覧ください。

決済処理はスムーズに

今も昔も変わらず、セール時期は、皆いつも時間に追われているもの。シームレスで操作の簡単な決済方法を提供することで、売上を劇的に増加させることができます。例えば、決済完了までに5ステップもあれば、ユーザーは途中で買い物を諦めてしまいます。

ある調査によると、ユーザーの23%が、決済時にアカウント作成が必要であれば、買い物を途中で放棄すると回答しています。これは一大事です。この対策としては、3つの戦略が挙げられます。まず1つ目は、新規顧客向けにゲスト用の決済画面を作成すること。

すると、初めてサイトを訪れた人も好きな商品をカートに入れ、購入し、そのままサイトを離れることができます。決済時にアカウント登録に必要なすべての情報の入力を促すのではなく、配送先情報などからアカウントを自動生成することもできます。その後、ユーザーが時間のある時に受信したメールからパスワードをリセットして、改めてアカウントの設定をするといった具合です。

WooCommerceの場合は、WordPress管理画面から「WooCommerce」>「設定」の「アカウントとプライバシー」タブの「ゲストの購入処理」の「アカウントを未登録のお客様でも、注文を可能にします。」にチェックを入れると、アカウント作成が不要のゲスト購入が可能になります。Easy Digital Downloadsの場合、ゲスト購入はデフォルトで有効になっています。

WooCommerceでゲストとしての購入を許可
WooCommerceでゲストとしての購入を許可

2つ目は、決済にSNSアカウントを使用したログイン(ソーシャルログイン)を有効にすること。セキュリティ上の懸念から賛否両論ではありますが、選択肢を広げるという意味で、ソーシャルログインも有効にしておけば、より多くのユーザーの決済プロセスを効率化することができます。

WooCommerce Social Loginは、SkyVergeによって開発された公式拡張機能です。また、Easy Digital Downloadsにもソーシャルログインの拡張機能があります。

Easy Digital Downloadsのソーシャルログイン
Easy Digital Downloadsのソーシャルログイン

最後にご紹介する3つ目の方法は、ダウンロード系商品の販売には該当しませんが、送料無料のサービスを提供すること。先ほどと同じ調査によると、28%の買い物客が、予想外の送料が発生する場合には、買い物をやめてしまうと答えています。

そのため、送料を徴収する場合には、最初からその料金を明示しておく、または送料込みの価格を表示するのが賢明です。とはいえ、送料を無料にすることが、コンバージョン向上に1番効果的。可能であれば、ぜひ導入を検討してみてください。

また、プラグインを使って購入までの流れを最適化しましょう。Easy Digital DownloadsのBuy Now Button(今すぐ購入ボタン)や、WooCommerceの拡張機能で、商品ページと決済ページを簡略化したり、アカウント登録済みのユーザー向けにワンクリック決済を設けたりすることができます。

11. サイトを隈なく確認する

これは一見基本的な作業ですが、案外多くの人が見落としがちです。サイトを隅々までチェックし、クリックできるものはすべてクリックしましょう。各ページをよく見直し、リンクを確認し、大切な文言に誤字などがないか目を通し、ナビゲーションをテストすること。また、ユーザーの立場になって実際にアカウントを作成し、商品をカートに入れ、商品を購入する手前まで進んで、決済処理が正しく動作するかを確認します。

手間がかかりますが、細かな問題点を発見することができるものです。リンク切れ誤字、カートの不具合など。問題を修正する時間を逆算して早めにテストを行って、セール本番直前に、念には念を入れて再度テストを行うことをお勧めします。

複数のデバイス、ブラウザを使用して自分で確認作業を行うことはもちろん、友人などにも確認をお願いするのも有益です。たとえ問題が見当たらなくても、買い物客のユーザー体験に影響を与える問題が見つかる可能性を考えれば、実行して損はありません。

A/Bテストを実施する

EC戦略には、A/Bテストは欠かせません。しかし、多くのマーケターが実施を検討しているものの、実際には行われないことがほとんどです。オンラインで商品を販売するなら、A/Bテストは非常に重要になります。

A/Bテストを毎週または毎月の習慣にすると、売上、CTR、訪問者のサイト滞在時間、さらにSEOの状況を簡単に把握できるようになります。

NelioのA/Bテスト例
NelioのA/Bテスト例

A/Bテストは、スプリットテストとも呼ばれ、2つのページ要素を比較してどちらがより優れているか、つまり、どちらの要素に訪問者がより反応するかを確かめることができます。例えば、新商品の名称を検討したければ、異なる商品名を表示した2つのウェブページを用意し、それぞれのページにトラフィックを誘導して、どちらの見出しがより多くのページビュー、滞在時間、コンバージョンを記録するかを確かめます。

その結果をもとに、より優れた方を採用し、同じことを繰り返します。また、多変量テストのような他のテストもあります。

A/Bテストが特に有用になるのは、セール開催前の数週間から数ヶ月の間です。万全の状態でセールを実施するため、最も多くのコンバージョンを獲得する要素を用意しておきたいところ。

また、セール期間中のA/Bテストには注意が必要です。トラフィックが急増するこの時期にテストを行うことはできますが、正当なデータが得られない傾向があります。これは、セール時期には、買い物客の行動が不規則になり、ターゲット層でないユーザーも多く訪れるためです。また、セールに向けて実施したキャンペーンが結果に影響を与える可能性もあります。

多くのデータを素早く入手するには有用ですが、状況が落ち着いてから同じテストを再度実行してください。セール中の偏ったデータに依存して、事業に損失を与えるような変更を採用してしまうかもしれません。

A/Bテストのおすすめプラグインとツールは以下の通りです。以下のほとんどはWordPressと互換性があるため、WooCommerceやEasy Digital DownloadsストアでA/Bテストを実行することができます。

なお、細かすぎる要素のA/Bテストは避けましょう。Brian Massey氏がECサイトのナビゲーションに関するA/Bテストの研究を発表しています。

Massey氏の研究によると、ナビゲーションの機能よりも、メニューで使用する文言が訪問者のユーザー体験に影響を与える可能性があります。例えば、ナビゲーション項目の「商品カテゴリー」を「商品を見る」に置き換えたところ、サイト全体のコンバージョン率が13%低下したことが明らかになっています。

メニューの文言を変えるだけで、大きな売上アップにつながる可能性があります。そして、A/Bテストを繰り返し行わない限り、何が最適な文言であるかはわかりません。

12. カスタマーサポートにライブチャットを採用する

一般的なカスタマーサポートへのメールでの問い合わせは、返答を受けるまで長い時間待たなければなりません。これがセール期間中にゲットしたい商品に関する急ぎの質問なら、余計にストレスを感じるもの。

サイトにすぐにスタッフと連絡が取れるライブチャットが組み込まれていれば、そんなユーザーのストレスを解消することができます。質問の返答をすぐに受け取ることができれば、商品の購入につながる可能性が高まります。逆に、すぐに返答を受けられなければ、買い物を途中で放棄してしまう確率が上がることを意味します。

eMarketer社の調査によると、ユーザーの62%が、ライブチャットのサポートを提供しているオンラインストアを再度利用したいと答えています。その理由は、商品に関して質問や疑問があっても、すぐにカスタマーサポートと連絡を取ることができるという安心感を得られるためです。そして、この安心感はもちろん売上の向上につながります。

Drift社は、自社のサイトにライブチャットを設置して、インバウンドの新規見込み顧客を200%増やすことに成功しています。

Kinstaでは、創業当初からサイトにIntercomを採用しています。Intercomは、ライブチャットとチケット制のサポート(下記図参照)を管理画面に簡単に統合することができ、サイト訪問者は、ワンクリックで24時間年中無休カスタマーサポートに連絡を取ることができます。

私たちのチャットサポートは、多くのお客様にご満足いただいています。ログインした顧客にのみチャットサポートを提供するか、訪問者であれば誰でも利用できるようにするかはあなた次第ですが、まずは両方のパターンをテストしてみることをお勧めします。

KinstaはIntercomを採用
KinstaはIntercomを採用

幸い、ほぼすべてのチャットソリューションやプラグインが、WooCommerceまたはEasy Digital Downloadsと互換性があります。特にお勧めのライブチャットツールは、以下の通り。

他のツールも気になる方はこちらの記事もご覧ください。

カスタマーサポートの質が原因で売上を逃してしまうことのないよう、ライブチャットを実装して、お客さんからのお問い合わせに素早く対応しましょう。

13. マーケティング自動化ツールを利用する

何千人もの訪問者を同時に扱うなら、商品の紹介方法、販売の追跡方法、割引の適用方法を効率化する手段が必要です。ストレスの多い年末年始の買い物で、シームレスなユーザー体験を提供すれば、リピーターの獲得につながること間違いなしです。

マーケティング自動化とAIを採用して、多くのアクセスを収益につなげることで、ECサイトを次のレベルに引き上げることができます。WooCommerceストアには、Beeketingがお勧めです。

Beeketingを使うことで、「買い物客がカートに商品を入れると、関連商品を紹介するポップアップ画面が表示される」といった、効果実証済みのマーケティング手法をボタンのクリックだけで簡単に導入できます。

Beeketing
Beeketing

Beeketingは、700以上のユーザーレビューがあり、多くの五つ星評価を受けています。上でご紹介した機能だけでなく、他にも以下のような嬉しい機能が揃っています。

  • 商品ページにカウントダウンタイマーと「在庫残りわずか」の表示を追加して希少性を演出
  • モバイル版で「今すぐ購入」のボタンを固定設置(画面上部または下部)
  • 関連商品のアップセルとクロスセル(手動/自動)
  • 一緒に購入される商品をまとめて販売し特別割引を適用
  • ゲーミフィケーション機能(「XX円以上購入すると送料無料」など、カートの合計金額によって特別な特典を提供してより多くの商品を購入してもらう手法)
  • 注文完了後に、カート内の割引、送料無料、特典などを提供
  • 決済後に商品をアップセルして再購入を促進(インセンティブとしてクーポンを提供)
  • カゴ落ちやストア離脱ユーザーにリマインドメールを送信
  • 同じ商品を閲覧しているユーザー数や購入者数を表示して社会的証明を利用

また、セール目当てで訪れた買い物客にもアピールが必要です。ブラックフライデーや年末年始のセールは、収益が大きく跳ね上がる時期。つまり、お得な情報を得るためにブラウジングしていた結果、たまたま辿り着いただけで、サイトに長く滞在するつもりのないユーザーも多くいます。

しかし、そんな人の興味を引き、アカウント登録を促すことができれば、新規見込み顧客を獲得する大きなチャンスです。この機会はなんとしても活かしたいものです。

ヒントは、適切なタイミングで再エンゲージメントを図ること。クリスマスから年末年始にかけては出費が増える傾向にあるため、セール開始期間が早すぎると効果が薄くなり、遅すぎてはユーザーの気を引けない可能性があります。タイミングが肝心です。

これから開催するセールは、新年まで期間を延ばすことをお勧めします。その後、数ヶ月以内に大きなプロモーションを行ってください。年末年始にお得な買い物ができたユーザーを呼び戻し、再び関心を引くことができます。

セール期間に訪れた買い物客に再びエンゲージを促すちょっとした戦略としては、次回の買い物で使える割引コードの提供や、レビュー投稿に対する特典の贈呈、ツールを用いた購入品関連商品の紹介などがあります。お客さんに再来店のインセンティブを与えつつ、存在をアピールする良い方法になります。

適切な戦略を練れば、年末に急増した新規訪問者が長期的な顧客に変わる可能性は大いにあります。

まとめ

今年最後の大きなセール時期を迎える前に、余裕を持って実行できるちょっとした戦略が、結果を劇的に変える可能性があります。この時期は、1年で最も収益が見込める時期であり、新規訪問者の流入に対応できる様、事前の準備が必要です。適切なアプローチを取れば、たまたま訪れたユーザーを長期的な顧客にすることができるかもしれません。

買い物客には、良い印象を与えましょう。サイトが操作しづらく、最適化されておらず、頻繁にダウンするようであれば、当然ユーザーを遠ざけることに。潜在顧客だけでなく、既存顧客まで失ってしまう恐れもあります。WooCommerceやEasy Digital Downloadsストアは、セール前にしっかりと体制を整えておきましょう。

他にも効果的なEC戦略やヒントをご存知ですか?以下のコメント欄でぜひお聞かせください。

Brian Jackson

Brianの最大の情熱の一つは10年以上使用してきたWordPressです。複数のプレミアムプラグインさえ開発しています。Brianの趣味はブログや映画やハイキングなどです。TwitterでBrianとつながりましょう。