Google Cloud Platformの市場シェア─2023年最新動向

Googleという企業については、もはや改めて紹介するまでもないでしょう。特に2008年にGoogle Cloudが導入されて以来、巨大企業であるGoogleはインターネットの中心となっています。ホスティングが特に注目されがちですが、実は他にもさまざまなサービスがあります。

Google Cloudの市場シェア(概要)

統計や結果のみ知りたいという方のために概要をご紹介します。

  • 2021年第三四半期時点でGoogle Cloudの市場シェアは全世界の8%を占める
  • 収益は、過去数年間、前年比45%程度伸び続けている
  • 2020年のクラウド市場規模は2747億9000万ドル
  • クラウド市場は、業界全体で年間19.1%の成長率が見込まれている
  • 2028年には、クラウド市場の産業規模は1兆2510億9000万ドルに達する可能性がある
  • クラウド市場のシェアは、Amazon、Microsoft、Googleの3社で61%を独占している

Google Cloud Platform(GCP)は、クラウドコンピューティングビジネスの市場シェアにおいて1位ではないものの、世界トップ3に数えられるクラウドサービスプロバイダーの一つです。Google Cloudのシェアは変動していますが、2008年のリリース以来着実に成長を続けています。

競合のAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Alibabaと比較して、Google Cloudは現在どのような立ち位置にいるのでしょうか?最新の統計はどうなっているのでしょうか?そして、今後どうなっていくのでしょうか?

Google Cloud Platformの用途

Google Cloud Platformはさまざまな技術を集約したサービスであり、他のクラウドビジネスプラットフォームと同様、様々な用途で利用されています。

クラウドコンピューティングを利用すれば、遠隔地のサーバーを必要とするような作業のほとんどを行うことができます。

  • アプリやIoTデバイスの実行
  • ウェブサーバーのホスティング
  • 機械学習アプリケーションの実行
  • ビッグデータの管理
  • 安全な場所でのファイルの保存

GCPの最大の魅力は、提供企業がGoogleであるという点です。

Googleのデータセンターでアプリやウェブサイトをホストし、ファイルを保存し、それらを自由に操作することができます。ファイルはクラウド上でホスト・バックアップされるため、データの損失を防ぐことができます。

GCPのもう一つの大きな特徴は、使った分だけ支払う料金モデル(従量課金制)です。法外な初期費用や契約解除料は一切発生せず、各サービスに個別の料金が設定されています。

また、登録すると90日間有効な300ドル分の無料クレジットがもらえるので、契約前にGoogle Cloudを試用することができます。強力なサーバーに裏打ちされた、リーズナブルな支払いモデルです。

Google Cloudの市場シェア

2021年第3四半期時点で、Google Cloudの市場シェアは全世界の8%を占めます。これは、AWS、マイクロソフトのクラウドサービスAzureに次ぐ3位です。それでも、GCPは世界最大級のクラウド企業と言えるでしょう。

Bar chart showing the market share of the cloud services Amazon AWS, Microsoft Azure, Google Cloud, Alibaba Cloud, IBM Cloud, and others, from Q4 '17 to Q3 '21. As of Q3 '21, AWS (blue bar) is at 32%, Azure (black bar) is 21%, Google Cloud (gray bar) is 8%, and other cloud vendors (orange bar) are a combined total of 39%
2021年第3四半期時点のGoogle Cloud市場シェア(画像出典: Statista)

ここ数年、Google Cloudの市場シェアは5〜9.5%の間で変動しており、一貫した上昇傾向や下降傾向は見られません。市場の他のクラウド企業のシェアも同様に変動しています。

しかし、だからといってGoogle Cloudのシェアが伸びていないわけではありません。過去数年、Google Cloudの収益は前年比45%程度増加しています。

Canalysの報告によると、2021年第3四半期の収益の増加は、GCPでは54%、AWSでは39%、Azureでは50%以上となっています。これは、他社に肩を並べ、やがては追い抜こうとしているGoogleにとっては良い兆しでしょう。

それでも、Google Cloudのシェアが今後どうなっていくか見通すことは困難です。クラウド業界は、AIや機械学習といったイノベーションによって驚異的な成長を遂げており、Googleはこれらに多大な投資を行っています。

Googleがクラウド市場の先頭を走る日が来る可能性は大いにあります。いずれにせよ、現在でも既に上位の地位を獲得しています。

他のクラウドプロバイダーと比較したGoogle Cloudの市場シェアの規模

Google Cloudのシェアが変動しているのは特に不思議なことではありません。他の大手クラウドプラットフォームの市場シェアも過去5年間は停滞を続けており、時折急上昇することがあるものの、それ以外は一貫した増加傾向や減少傾向が見られることはほぼありません。

ここ数年、上位企業にはほとんど変化はありませんが、総じて着実に成長しています。クラウド市場の2020年の市場規模は2747億9000万ドルで、業界全体の年間成長率は19.1%と予想されています。2028年には1兆2,510億9,000万ドルの産業規模になる可能性があります。

Alibaba Cloudは世界シェアが4〜6%とGoogleに若干の遅れをとっていますが、中国での存在感は絶大です。Canalysによると、これは中国でのクラウド規制が関係しているということです。現状Googleが優位であるように見えますが、Alibabaがまた追い越す可能性もあるでしょう(あるいは、Tencent CloudがGoogleの競合としてその座を奪う可能性もあります)。

クラウド市場のシェアはAmazon、Microsoft、Googleの上位3社が61%を独占しています。その他のクラウドサービスプロバイダーはすべて合わせても市場の39%に過ぎません。

Synergy Research Groupの調べでは、2020年以降、大手クラウド企業だけでなく、中小企業の収益もまた伸びているということです。クラウドインフラストラクチャ市場には多様な企業が数多く存在し、この状況はしばらく変わることはないでしょう。

Google Cloudは大半の競合を大きく引き離したものの、MicrosoftやAmazonを追い越すにはまだ長い道のりとなりそうです。そして、GCPがAlibabaのような小さな会社に追い抜かれる可能性もまだ捨てきれません。

ただ、GCPはわずか10年余りの間に驚くべき成長を遂げ、トップ3に食い込んでいるわけなので、何が起こっても不思議ではありません。

総じて、Google Cloud Platformの未来は明るいと言えるでしょう。

クラウドストレージにおけるGoogleの市場シェア

クラウドストレージは、クラウド市場の中でもニッチなサービスであり、Googleのシェアはごくわずかです。

2020年のクラウドストレージの市場規模は611億5000万ドルで、GoogleはBox社と提携し、この業界で成長を目指しました。

この提携により、Google Workspaceが統合され、離れた場所にいる関係者とのファイル共有が容易になりました。また、BoxのユーザーはGoogleドキュメント、Googleスプレッドシート、Googleスライドを使って、ファイルの共同作業や転送を行えるようになりました。

また、Googleはファイルのアーカイブや安全なストレージ、コンテンツ配信用の高性能ストレージなど、クラウドストレージサービスもいくつか提供しています。

このような便利な一連のサービスを提供しているにも関わらず、GCPはクラウドストレージ業界ではまだ推定0.23%の市場シェアしか有しておらず、46%近い市場シェアを持つAmazon S3に大きく差をつけられているのが現状です。

Google Cloud Storage stats in black text on a white square background, showing 0.23% market share.
Google Cloud Storageの市場シェアは現在0.23%(画像出典: Datanyze)

Google Cloud Platformの変遷

クラウドコンピューティングが本格的に普及し始めたのは、2000年代後半です。Amazonは2006年にクラウドプラットフォームを、Microsoftは2010年にAzureを立ち上げ、Alibaba Cloudは2009年に発表されています。

Googleは、2008年4月にクラウドプラットフォームを発表しました。当時はGoogle App Engineと呼ばれ、Googleのインフラ上でWebアプリケーションを開発・実行するためのプラットフォームでした。

2010年、GoogleはGoogle App Engine for Businessを発表し、クラウドストレージやAPIといった新機能を導入しました。

Googleは2011年11月にApp Engineを一般公開しました。それ以来、Googleはこのプラットフォームに多くの機能やプログラミング言語、サービスを追加してきました。また、Googleはアメリカ以外でもこのプラットフォームをリリースし、提携プログラムも用意しました。

Google App Engineは、Google Cloud Platformと総称されるようになり、今ではApp Engineは数あるサービスの1つとなりました。また、現在では、Webサイトのホスティング、Dockerコンテナでの作業、データ分析などさまざまなことができるようになっています。

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App EngineはGoogle Cloud Platformの人気サービス(画像出典: Google)

Google Cloudプロダクトの概要

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Google Cloudプロダクト(画像出典: Google)

Google Cloudには、さまざまなタスクに特化した100種類以上のプロダクトが用意されています。ここでは、GCPが提供するサービスの概要をご紹介します。

  • AIと機械学習Googleの革新的なVertex AIプラットフォームを使用すると、画像認識や動画認識などのブロックを使用して、インテリジェントクラウドの機能をアプリに取り込むことが可能。また、機械学習の実装に必要なクラウドインフラストラクチャサービスやGPUを購入できる。
  • API管理Apigee API Platform、AppSheet Automation、スケーラブルなCloud Endpoint、医療システムのサーバー向けの様々なAPI機能などが活用できる。
  • コンピューティング仮想マシン、ベースインフラ、専用GPUにより、Googleの最も人気のあるPaaS(Platform as a Service)であるGoogle Appを含め、スケーラブルなサーバー上でアプリケーションを構築できる。
  • コンテナ:専用コンテナ(Google Kubernetesコンテナなど)内で、アプリ構築からディープラーニングまで、あらゆるソフトウェアの開発・実行が可能。
  • データ分析ビッグデータとアナリティクスを管理し、ホストされたデータから自動的にインサイトを導き出すことができる。
  • データベース大量のデータやテーブルをGoogleのバックエンドに格納できる。
  • デベロッパーツールクラウドネイティブな統合開発環境(IDE)やコマンドラインツール、テストインフラまで、開発に役立つ様々なツールが利用できる。
  • 医療とライフサイエンスソフトウェアの課題を抱える医療業界に特化したツール。
  • ハイブリッドクラウドとマルチクラウド: プライベートクラウドやパブリッククラウドサービスプロバイダー、あるいはオンプレミスインフラなど、さまざまなクラウドツールを利用している企業向けのIaaS(Infrastructure as a Service)ツール。
  • モノのインターネット(IoT)IoTアプリケーションを作成し、顧客のデバイスに接続することが可能。
  • 管理ツールクラウド上のアプリケーションやサーバーの管理を支援するツール。
  • メディアとゲームゲームサーバーのオンデマンドでの運用やビジュアルエフェクトのレンダリングを実現。
  • 移行大量のデータを転送するための各種ツール。
  • ネットワーキングDNSCDNドメイン、ネットワーク接続などを管理。
  • Operationsクラウドサーバーで起きていることを、指標やモニタリングにより把握。
  • セキュリティとIDネットワークとアプリケーションのログ、機密データの処理、マルウェアの検出、セキュリティの強化された仮想マシンでのアプリケーション開発などが可能。
  • サーバーレスコンピューティングサーバーレスモデルを活用して、アプリケーションの開発とホストが可能。
  • ストレージファイルの保存、アーカイブ、移行、他者との共有が可能。

Googleでは他にも、ビデオ会議プラットフォーム「Google Meet」や生産性アプリケーションパッケージ「Google Workspace」など、さまざまなクラウドベースのSaaS(Software as a Service)も提供しています。

Googleの優位性(AWS・Azureとの比較)

Google Cloudは上記のとおりユニークなツールを数多く提供しています。では、AWSAzureと比較して、どのような優位性があるのでしょうか?

  • 最高レベルのスピード、安全性、安定を誇るGoogleのサーバーを利用してサービスを提供することで、障害の発生頻度を減らすことができる。
  • Googleはテクノロジー分野の最前線を走っており、そのサービスは革新的。より優れたパフォーマンス、より高速なコンテナ、そして常に進化を続ける技術に対応した最先端のクラウドホスティングを期待できる。
  • Google Cloudは、200以上の国や地域からなる29のリージョンに及ぶ、グローバルインフラストラクチャを誇り、今後も拡大が期待される。
  • ウェブサイトからアプリ、ビッグデータ、機械学習まで、機能性に特化した幅広い種類のクラウドサービスを提供している。AWSやAzureの方がプロダクトの種類は豊富だが、GCPにはAWSやAzureにはないサービスもある。
  • AWSやAzureは企業に特化しているが、Googleは企業だけでなく小規模なプロジェクトにも対応。
  • GoogleのUIは非常にシンプルで使いやすい。インターフェースは複雑になり過ぎず、それでも必要なデータはすべて揃っている。
  • GCPの料金はお手頃。AWSとAzureのサービスの多くが分単位の料金設定であるのに対し、GCPは秒単位の価格設定になっている。
  • AzureとAWSでは、一部のサービスを1年間無料で利用できる(ただしリソースの制限内に限る)。Googleでは、3ヶ月間有効な300ドル分の無料クレジットが利用できる。また、毎月の使用上限を超えない限り、永続的に無料で利用できるサービスもいくつかある。

全体として、GCPの一番の魅力は、Googleのサーバーを利用した高速で安全なバックエンドと、ユニークなサービスです。また、中小企業であっても利用しやすい点も特徴です。

Googleは今後も市場での優位性を維持できるのか?

現在、クラウド市場のシェアはAWSとAzureが独占していますが、Googleはなんとか3位に食い込むことができました。8%というシェアは、Amazonの32%やMicrosoftの21%には及びませんが、Googleは今も両社を追い上げています。

Googleの地位と人気を支えているのはサービスの質や統合性、革新性です。

上位2社を追い越すという明確な兆しは現状見られませんが、市場は成長を続けており、Googleもそれに合わせて成長しています。クラウド市場において、Googleが今後も大きな役割を果たすことは間違いないでしょう。

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